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45.うっすらと
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話し合いが終わったので、僕達はギルドを出て家へと向かって歩き出した。
もちろん家といっても向かうのはカリスナの家だ。
流石に囮になってルーキーイーターに襲われないといけない時に本当の家である領主の館に向かって帰るわけにもいかないからね。
「で、どんな作戦になったんだ?」って。
僕とリコフィスとオリフィスの役目は簡単だよ。
途中でションゴン達と別れて、近道になる路地裏を歩いてカリスナの家まで向かいながらルーキーイーター達に捕まるだけ。
あとの対応はカリスナ達がするから助け出されるまでは大人しくしているだけだね。
「それってつまり、救出作戦については何も知らない、というわけか?」だって。
知らないもなにも、僕達の方から下手に動いてルーキーイーター達を刺激してもカリスナ達の救出作戦の邪魔になるのだから、カリスナ達に全て任せることになるのだから元々知る必要すらないだろ?
「いや。囮になって捕まって敵のアジトに連れて行かれてなにされるか分からないのに、何も知らない状況で不安にならねーのか?」か。
不安になる必要なんてないくらいションゴン達のことは信頼しているからね。
「信頼しているからって、何も知らないのはやっぱりマズい気がするけどな」か。
もし僕達が救出作戦の内容を知らないことでカリスナ達が動きづらいというのなら、向こうから救出作戦の内容を教えてくれるだろうから、それがないってことは僕達が知らなくてもいいってことだろう。
なら、僕は何も考えずに囮としての役割をこなすだけだろう。
「まぁ、それもそうか」だろ。
というわけで、今日のダンジョンでの話をしながら何気ない感じで通りを歩いていく。
そうして歩く中で一瞬ションゴンとアイコンタクトをとる。
「なんのアイコンタクトなんだ?」か。
ルーキーイーターらしき存在がついてきているかの確認のアイコンタクトだね。
「で、結果はどうだったんだ?」か。
結果としては、ダンジョンでついてきた人物と同じ気配がついてきてるって。
「さっきの一瞬のアイコンタクトでそんな会話が出来るなんてスゲーな」か。
僕達にとっては当たり前のことだね。
だからこそ、普通の会話をしながらもアイコンタクトで情報交換が出来るんだよね。
そんなアイコンタクトによって追跡者の存在が共通の認識になったことだし、そろそろションゴン達と別れるとしようかな。
「それじゃあね」
「また明日な」
「気をつけて帰れよ」
というわけでションゴン達と別れると、リコフィスとオリフィスが腕に抱きついてきたので、通りを少し歩いてから裏路地へと入っていく。
「さて、襲撃してくるかな?」か。
僕としてはさっさと襲撃してくれたほうがいいかな。長引いても面倒くさいしね。
なんて思っていると、前から道に迷っている男性が近づいてきた。
その男性を見た瞬間、僕は足を止めてしまった。
「ルイ?」
「どうしたの?」
オリフィスとリコフィスは戸惑い気味に僕を見てきた。
それもそうだろう。
例え怪しい人と出会ったとしても気にせずにいる、というのも作戦の1つだったからだ。
しかし、そう決めていたのに足を止めてしまうほど、前から歩いてきている男性からうっすらとした黒いモヤが出ていて不気味だったからだ。
『ルイ?』
2人はさらに戸惑いながら首をかしげてきた様子からみて、男性から出ているうっすらとした黒いモヤが見えていないみたいだ。
お前は見えているのか?
「見えているな」か。
つまり、僕達しか見えない何かってわけか。
さて、あのうっすらとした黒いモヤはどう考えればいいのか。
などと考えつつも、作戦もあることだし止めた足を動かして歩き出した。
「このままいけば確実に捕まるぞ?」だね。
わかっているけどそれも作戦のうち、というよりそれが本命だからね。
などと思っていると、男性が僕達の前にやって来た。
「すいません」
男性は僕達に警戒されないようにするために気のいい笑顔を向けてきたが、あいにくとこっちは相手の正体に見当がついているのでその笑顔は不気味にしか見えない。
なので、内心ではしっかりと警戒しつつも表情は笑顔で答える。
「なんですか?」
「道に迷ってしまったんだけど、表通りに出るためにはどうすればいいのかな?」
表通り、ね。
確かに向かう先としてはおかしいところはないのだけど、表通りに向かうためにここに迷い込むのはおかしいといえる。そんなことよっぽどの方向音痴でしかありえないだろう。
とはいえ、それをツッコむ気はないのでしっかりと道案内をしよう。
「表通りに出るには」
道を教えるために後ろを振り返ったのだけど、そこにはさっきまで居なかった男達がいつの間にか居た。
「え?」
と思っている間に僕は意識を失った。
もちろん家といっても向かうのはカリスナの家だ。
流石に囮になってルーキーイーターに襲われないといけない時に本当の家である領主の館に向かって帰るわけにもいかないからね。
「で、どんな作戦になったんだ?」って。
僕とリコフィスとオリフィスの役目は簡単だよ。
途中でションゴン達と別れて、近道になる路地裏を歩いてカリスナの家まで向かいながらルーキーイーター達に捕まるだけ。
あとの対応はカリスナ達がするから助け出されるまでは大人しくしているだけだね。
「それってつまり、救出作戦については何も知らない、というわけか?」だって。
知らないもなにも、僕達の方から下手に動いてルーキーイーター達を刺激してもカリスナ達の救出作戦の邪魔になるのだから、カリスナ達に全て任せることになるのだから元々知る必要すらないだろ?
「いや。囮になって捕まって敵のアジトに連れて行かれてなにされるか分からないのに、何も知らない状況で不安にならねーのか?」か。
不安になる必要なんてないくらいションゴン達のことは信頼しているからね。
「信頼しているからって、何も知らないのはやっぱりマズい気がするけどな」か。
もし僕達が救出作戦の内容を知らないことでカリスナ達が動きづらいというのなら、向こうから救出作戦の内容を教えてくれるだろうから、それがないってことは僕達が知らなくてもいいってことだろう。
なら、僕は何も考えずに囮としての役割をこなすだけだろう。
「まぁ、それもそうか」だろ。
というわけで、今日のダンジョンでの話をしながら何気ない感じで通りを歩いていく。
そうして歩く中で一瞬ションゴンとアイコンタクトをとる。
「なんのアイコンタクトなんだ?」か。
ルーキーイーターらしき存在がついてきているかの確認のアイコンタクトだね。
「で、結果はどうだったんだ?」か。
結果としては、ダンジョンでついてきた人物と同じ気配がついてきてるって。
「さっきの一瞬のアイコンタクトでそんな会話が出来るなんてスゲーな」か。
僕達にとっては当たり前のことだね。
だからこそ、普通の会話をしながらもアイコンタクトで情報交換が出来るんだよね。
そんなアイコンタクトによって追跡者の存在が共通の認識になったことだし、そろそろションゴン達と別れるとしようかな。
「それじゃあね」
「また明日な」
「気をつけて帰れよ」
というわけでションゴン達と別れると、リコフィスとオリフィスが腕に抱きついてきたので、通りを少し歩いてから裏路地へと入っていく。
「さて、襲撃してくるかな?」か。
僕としてはさっさと襲撃してくれたほうがいいかな。長引いても面倒くさいしね。
なんて思っていると、前から道に迷っている男性が近づいてきた。
その男性を見た瞬間、僕は足を止めてしまった。
「ルイ?」
「どうしたの?」
オリフィスとリコフィスは戸惑い気味に僕を見てきた。
それもそうだろう。
例え怪しい人と出会ったとしても気にせずにいる、というのも作戦の1つだったからだ。
しかし、そう決めていたのに足を止めてしまうほど、前から歩いてきている男性からうっすらとした黒いモヤが出ていて不気味だったからだ。
『ルイ?』
2人はさらに戸惑いながら首をかしげてきた様子からみて、男性から出ているうっすらとした黒いモヤが見えていないみたいだ。
お前は見えているのか?
「見えているな」か。
つまり、僕達しか見えない何かってわけか。
さて、あのうっすらとした黒いモヤはどう考えればいいのか。
などと考えつつも、作戦もあることだし止めた足を動かして歩き出した。
「このままいけば確実に捕まるぞ?」だね。
わかっているけどそれも作戦のうち、というよりそれが本命だからね。
などと思っていると、男性が僕達の前にやって来た。
「すいません」
男性は僕達に警戒されないようにするために気のいい笑顔を向けてきたが、あいにくとこっちは相手の正体に見当がついているのでその笑顔は不気味にしか見えない。
なので、内心ではしっかりと警戒しつつも表情は笑顔で答える。
「なんですか?」
「道に迷ってしまったんだけど、表通りに出るためにはどうすればいいのかな?」
表通り、ね。
確かに向かう先としてはおかしいところはないのだけど、表通りに向かうためにここに迷い込むのはおかしいといえる。そんなことよっぽどの方向音痴でしかありえないだろう。
とはいえ、それをツッコむ気はないのでしっかりと道案内をしよう。
「表通りに出るには」
道を教えるために後ろを振り返ったのだけど、そこにはさっきまで居なかった男達がいつの間にか居た。
「え?」
と思っている間に僕は意識を失った。
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