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16.説明が雑!
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両親からの許可をもらえた翌日。僕達はまず街の工房へ来ていた。
「すぐに冒険者ギルドに行って冒険者登録すると思ったのに」か。
アハハ。父さん達から無事に了承も得れたし、そんな焦っていくつもりはないよ。
そもそも武器や防具とか何も持ってないのに冒険者登録をしたところで街の外に出ることも出来ないのだからね。
「こんにちは」
この工房は僕が鍛冶の職業を習うために通っていた工房なので、勝手知ったるということもあって気楽に入る。
「いらっしゃいませ、って坊っちゃんじゃないですか」
カウンターに居たのはここの工房の親方の娘のアルナーさんだった。
アルナーさんをはじめ、親方以外の工房の人は僕のことを坊っちゃんと呼ぶ。
最初のほうは何度止めてと言っていたのだが、何度言っても止めてくれない状態のまま2年も経つと僕も完全に諦めて受け入れることにした。
「こんにちは、アルナーさん」
「どうしたのですか?みんなお揃いで。父さんなら工房にますよ?」
そう言いながらアルナーさんは奥を指し示す。
「わかってます」
親方がお店のほうに出てくるなんてよっぽどの顔なじみか腐れ縁の相手、あとは特注の品を注文しにきたり受け取りに来た人が来た時ぐらいで、それ以外ではほぼないことだ。
なので、僕が親方に用事があるのなら工房の方へ直接行くだろう。
「今日はお店の方に用事があって来たので親方はいいです。呼ぶとめんどうなので」
僕の言い分にアルナーさんは苦笑していた。
確かに僕の言い分はあんまりだったが、親方が出てくると色々うるさかったりするので呼ばないでほしいというのは本心だったりする。
「それで、うちに用事ってなにかな?」
気持ちを切り替えたアルナーさんが問いかけてきた。
「冒険者登録をしに行こうと思うので、装備を揃えるために来ました」
というか、工房に表から来る用事なんて、装備を買うかメンテをしてもらうかしかない。
「えっ?」
驚いて目を丸くするアルナーさん。
「やっぱりそんな反応になるんだな」か。
確かに父さんも母さんもそんな反応になってたね。
「えっ?えっ?冒険者登録?坊っちゃんが?」
僕の言葉が飲み込めていないのか、アルナーさんは何度もえっ?を繰り返していた。
「もちろん僕だけじゃなくてカレン達も登録してみんなでパーティを組むよ」
「いや、それにしても坊っちゃんが冒険者登録って………」
ちゃんとカレン達も登録してパーティを組むと言ったのに驚かれてしまったことには納得がいかない。
そもそも僕の戦闘技術は護身程度なので1人で冒険者登録なんてするわけがない。
「それだけお前が冒険者登録することが普通じゃないってことだろ」か。
そうかもしれないけど、貴族の家の人間である以上は魔物と戦うことは避けられないだろうし、その時に魔物との戦闘の経験が無いのとあるのでは生存確率がかなり変わってくるだろう。
だから、今回の冒険者登録は僕達にとっては絶対に必要になるわけだから、周りからどんなに普通じゃないと言われようと止める気はないね。
「領主様には了承を得てきているの?」
アルナーさんにとっては当然の疑問だろう。
「もちろんです。勝手に来れるわけがありません」
そんなことをしたらそれこそ一生勝手な外出禁止とか言われそうだ。
「それもそうよね」
僕の言葉には納得しつつも、やっぱり驚き続けているアルナーさん。
「お前の親って領主だったのかよ」って。
今それ気にするところかな?
「気になったから仕方ないだろ」って。
はぁ。そうだよ。父さんはエルティバラ領の領主だよ。これでいいかい。
「説明が雑!」って。
うるさいな~。今は関係ないことなのだからこれぐらいの説明でいいだろ。
アルナーさんが驚きから返ってくるのを待っていてもいいのだけれど、それだとちょっと時間もかかりそうなのでこちらから言葉をかける。
「というわけで、装備一式を整えるために来たわけです」
鍛冶を習った手前ある程度の装備品の良し悪しはわかるので、まだアルナーさんが驚き続けるようなら勝手に選び始めてしまおう。
「あっ、そうなんだ。ってそうじゃない!父さん!」
見事なノリツッコミの直後になぜか親方を呼ぶアルナーさんに、なんで親方呼んだの?とツッコみたくなったが、呼ばれてしまったものは仕方ないのでツッコむことは止めた。
「うるさいぞ!アルナー!って、ルイじゃねーか」
工房のほうからやって来た親方の手には小槌が握られていたので、今日も商品となる装備品を作っていたのだろう。
「こんにちは、親方」
「おうって、工房じゃなくて店の方に来るなんて何しに来た?」
いぶかしげな表情で僕を見てくる親方。
そんな表情をされても困るわけだけど、ここで返事を間違えると話が長くなるだろうから慎重に答えないとと考えていると、
「父さん!坊っちゃん冒険者になるって言ってるんだよ!」
先にアルナーさんに答えられた。
「はぁ?冒険者になるって?どういうことだ、ルイ?」
睨みつけるように僕を見てきた親方。
親方を呼ぶとこうして厄介なことになりそうだからイヤだったのに。
僕は内心大きなため息を吐いた。
「すぐに冒険者ギルドに行って冒険者登録すると思ったのに」か。
アハハ。父さん達から無事に了承も得れたし、そんな焦っていくつもりはないよ。
そもそも武器や防具とか何も持ってないのに冒険者登録をしたところで街の外に出ることも出来ないのだからね。
「こんにちは」
この工房は僕が鍛冶の職業を習うために通っていた工房なので、勝手知ったるということもあって気楽に入る。
「いらっしゃいませ、って坊っちゃんじゃないですか」
カウンターに居たのはここの工房の親方の娘のアルナーさんだった。
アルナーさんをはじめ、親方以外の工房の人は僕のことを坊っちゃんと呼ぶ。
最初のほうは何度止めてと言っていたのだが、何度言っても止めてくれない状態のまま2年も経つと僕も完全に諦めて受け入れることにした。
「こんにちは、アルナーさん」
「どうしたのですか?みんなお揃いで。父さんなら工房にますよ?」
そう言いながらアルナーさんは奥を指し示す。
「わかってます」
親方がお店のほうに出てくるなんてよっぽどの顔なじみか腐れ縁の相手、あとは特注の品を注文しにきたり受け取りに来た人が来た時ぐらいで、それ以外ではほぼないことだ。
なので、僕が親方に用事があるのなら工房の方へ直接行くだろう。
「今日はお店の方に用事があって来たので親方はいいです。呼ぶとめんどうなので」
僕の言い分にアルナーさんは苦笑していた。
確かに僕の言い分はあんまりだったが、親方が出てくると色々うるさかったりするので呼ばないでほしいというのは本心だったりする。
「それで、うちに用事ってなにかな?」
気持ちを切り替えたアルナーさんが問いかけてきた。
「冒険者登録をしに行こうと思うので、装備を揃えるために来ました」
というか、工房に表から来る用事なんて、装備を買うかメンテをしてもらうかしかない。
「えっ?」
驚いて目を丸くするアルナーさん。
「やっぱりそんな反応になるんだな」か。
確かに父さんも母さんもそんな反応になってたね。
「えっ?えっ?冒険者登録?坊っちゃんが?」
僕の言葉が飲み込めていないのか、アルナーさんは何度もえっ?を繰り返していた。
「もちろん僕だけじゃなくてカレン達も登録してみんなでパーティを組むよ」
「いや、それにしても坊っちゃんが冒険者登録って………」
ちゃんとカレン達も登録してパーティを組むと言ったのに驚かれてしまったことには納得がいかない。
そもそも僕の戦闘技術は護身程度なので1人で冒険者登録なんてするわけがない。
「それだけお前が冒険者登録することが普通じゃないってことだろ」か。
そうかもしれないけど、貴族の家の人間である以上は魔物と戦うことは避けられないだろうし、その時に魔物との戦闘の経験が無いのとあるのでは生存確率がかなり変わってくるだろう。
だから、今回の冒険者登録は僕達にとっては絶対に必要になるわけだから、周りからどんなに普通じゃないと言われようと止める気はないね。
「領主様には了承を得てきているの?」
アルナーさんにとっては当然の疑問だろう。
「もちろんです。勝手に来れるわけがありません」
そんなことをしたらそれこそ一生勝手な外出禁止とか言われそうだ。
「それもそうよね」
僕の言葉には納得しつつも、やっぱり驚き続けているアルナーさん。
「お前の親って領主だったのかよ」って。
今それ気にするところかな?
「気になったから仕方ないだろ」って。
はぁ。そうだよ。父さんはエルティバラ領の領主だよ。これでいいかい。
「説明が雑!」って。
うるさいな~。今は関係ないことなのだからこれぐらいの説明でいいだろ。
アルナーさんが驚きから返ってくるのを待っていてもいいのだけれど、それだとちょっと時間もかかりそうなのでこちらから言葉をかける。
「というわけで、装備一式を整えるために来たわけです」
鍛冶を習った手前ある程度の装備品の良し悪しはわかるので、まだアルナーさんが驚き続けるようなら勝手に選び始めてしまおう。
「あっ、そうなんだ。ってそうじゃない!父さん!」
見事なノリツッコミの直後になぜか親方を呼ぶアルナーさんに、なんで親方呼んだの?とツッコみたくなったが、呼ばれてしまったものは仕方ないのでツッコむことは止めた。
「うるさいぞ!アルナー!って、ルイじゃねーか」
工房のほうからやって来た親方の手には小槌が握られていたので、今日も商品となる装備品を作っていたのだろう。
「こんにちは、親方」
「おうって、工房じゃなくて店の方に来るなんて何しに来た?」
いぶかしげな表情で僕を見てくる親方。
そんな表情をされても困るわけだけど、ここで返事を間違えると話が長くなるだろうから慎重に答えないとと考えていると、
「父さん!坊っちゃん冒険者になるって言ってるんだよ!」
先にアルナーさんに答えられた。
「はぁ?冒険者になるって?どういうことだ、ルイ?」
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僕は内心大きなため息を吐いた。
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