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55.腰と足
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「そうだよ」
女の子らしい生徒の言葉に周りの生徒は「だよな」「そう思ってたぜ」なんて納得の輪が広がっていく一方、「しかし………」「あれはな………」とまだ疑っている人達もいた。
「マジか~」
「こんなにカワイイのに~」
「ウソだろ~」
「ってか俺は男をナンパしたのか~」
「なんてこった~」
元々男だと理解しながらナンパを始めた2人は、すぐに納得する言葉を呟きながらも大げさなリアクションで落ち込んで肩を落としていたので、僕はリンの腰を軽く殴り、ユウの足を軽く蹴った。
「イタッ」
「何する」
「場所を考えればわかりきったことなのにそこまで落ち込むな」
「それもそうなんだけど」
「それでもな………」
2人共チラチラと女の子らしい生徒のほうを見ていた。
「本人が男だって言ってるだろ」
呆れながら言ってやるも、それでも納得してない様子の2人はまだチラチラと見ていた。
なので、再度その腰と足に攻撃を入れながらため息を吐き、女の子らしい生徒のほうへ目を向けた。
「2人がゴメンね」
「ううん。大丈夫だよ」
苦笑ぎみだけど慣れている様子の女の子らしい生徒はホントに気にした様子はなかった。
「あっ、ちなみに右のバカが桐リンで左のアホが親乃ユウで僕が主人コウ。よろしくね」
「誰がバカで」
「誰がアホだ」
文句を言いながらリンとユウが両サイドから頭を小突いてきた。
「あぁ間違えた。リンがアホでユウがバカだったね」
『そうそう』
「俺がアホで」
「俺がバカ」
『って違うわ!』
今度はボディに軽く拳を打ち込んできた2人。
そんな僕達の漫才で周りが笑い出すと、目の前の女の子らしい生徒も笑い出したのでいい感じの雰囲気になってきただろう。
「ちょっと、彼の自己紹介がまだなんだから静かにしてね」
2人の肩を押して距離をつくると、女の子らしい生徒の方に目を向けた。
すると、2人だけじゃなく、見ていた生徒全員の視線が女の子らしい生徒に向いた。
「僕の名前は桜乃ハルだよ。よろしくね」
ハルが笑顔を向けてきた瞬間に周りからキュンという音が聞こえてきた気がした。
それぐらいハルの笑顔は可愛らしく、もう女の子でいいんじゃないかな?と思ってしまった。
すると、リンとユウが僕の肩に腕を乗せ、そこに頭を預けてきた。
「なぁ、コウ」
「なに?」
「あれでホントに男だというのか?」
「ホントに女じゃないのか?」
「ハルが男って自分で言ったでしょ」
「そうなんだけど」
「あの笑顔は反則だろう」
言いたいことはわかるので苦笑してしまったが、ハルにとってはイヤな反応だったかもしれないので様子をうかがうと、ハルも苦笑していたので大丈夫なのだろう。
「はいはい。反則かもしれないけど男だからね。だからみんなも間違えたらダメだからね」
2人が寄りかかってきているので顔を動かせる範囲は少ないが、見える範囲の中でも何人かの生徒が顔を背けていた。
なので、本気で間違えを起こしそうな生徒が出てきそう、と内心思ってしまった。
すると、落ち着いたのかリンとユウが離れたので僕はハルに向かって頭を下げた。
「僕と付き合ってください」
そんな僕の告白に周りがザワッとしたが、
『ってお前が告白するんかい!』
すぐに2人に頭を叩かれたので僕がハルの机に倒れ込むと、クラスだけではなく廊下から笑いが起きていた。
いい雰囲気になったと思いながら起き上がる。
「冗談だって」
睨みつけているリンとユウを押し留めているとチャイムが鳴り響いた。
「ほら、席に座らないと」
僕がそう言うと、元々怒っているわけでもない2人はすぐに睨むのを止めて席順が貼られている黒板へと向かったので僕もあとに続く。
「よし。俺は1番後ろだ」
1番後ろの席に喜ぶユウ。
「俺は窓際の真ん中か」
リンは普通に言った。
「僕は………1番前か」
「しかも、教卓の真ん前って」
ユウが笑ってきた。
確かに、ほとんどの人が嫌がる席だろうが、僕は気にしないのでユウに笑われても気にせずに座った。
「ほら、座るぞ」
リンに促されたユウも席についた。
そうしてみんながそれぞれの席についた時、廊下から「パン!」という音が聞こえてきた。
女の子らしい生徒の言葉に周りの生徒は「だよな」「そう思ってたぜ」なんて納得の輪が広がっていく一方、「しかし………」「あれはな………」とまだ疑っている人達もいた。
「マジか~」
「こんなにカワイイのに~」
「ウソだろ~」
「ってか俺は男をナンパしたのか~」
「なんてこった~」
元々男だと理解しながらナンパを始めた2人は、すぐに納得する言葉を呟きながらも大げさなリアクションで落ち込んで肩を落としていたので、僕はリンの腰を軽く殴り、ユウの足を軽く蹴った。
「イタッ」
「何する」
「場所を考えればわかりきったことなのにそこまで落ち込むな」
「それもそうなんだけど」
「それでもな………」
2人共チラチラと女の子らしい生徒のほうを見ていた。
「本人が男だって言ってるだろ」
呆れながら言ってやるも、それでも納得してない様子の2人はまだチラチラと見ていた。
なので、再度その腰と足に攻撃を入れながらため息を吐き、女の子らしい生徒のほうへ目を向けた。
「2人がゴメンね」
「ううん。大丈夫だよ」
苦笑ぎみだけど慣れている様子の女の子らしい生徒はホントに気にした様子はなかった。
「あっ、ちなみに右のバカが桐リンで左のアホが親乃ユウで僕が主人コウ。よろしくね」
「誰がバカで」
「誰がアホだ」
文句を言いながらリンとユウが両サイドから頭を小突いてきた。
「あぁ間違えた。リンがアホでユウがバカだったね」
『そうそう』
「俺がアホで」
「俺がバカ」
『って違うわ!』
今度はボディに軽く拳を打ち込んできた2人。
そんな僕達の漫才で周りが笑い出すと、目の前の女の子らしい生徒も笑い出したのでいい感じの雰囲気になってきただろう。
「ちょっと、彼の自己紹介がまだなんだから静かにしてね」
2人の肩を押して距離をつくると、女の子らしい生徒の方に目を向けた。
すると、2人だけじゃなく、見ていた生徒全員の視線が女の子らしい生徒に向いた。
「僕の名前は桜乃ハルだよ。よろしくね」
ハルが笑顔を向けてきた瞬間に周りからキュンという音が聞こえてきた気がした。
それぐらいハルの笑顔は可愛らしく、もう女の子でいいんじゃないかな?と思ってしまった。
すると、リンとユウが僕の肩に腕を乗せ、そこに頭を預けてきた。
「なぁ、コウ」
「なに?」
「あれでホントに男だというのか?」
「ホントに女じゃないのか?」
「ハルが男って自分で言ったでしょ」
「そうなんだけど」
「あの笑顔は反則だろう」
言いたいことはわかるので苦笑してしまったが、ハルにとってはイヤな反応だったかもしれないので様子をうかがうと、ハルも苦笑していたので大丈夫なのだろう。
「はいはい。反則かもしれないけど男だからね。だからみんなも間違えたらダメだからね」
2人が寄りかかってきているので顔を動かせる範囲は少ないが、見える範囲の中でも何人かの生徒が顔を背けていた。
なので、本気で間違えを起こしそうな生徒が出てきそう、と内心思ってしまった。
すると、落ち着いたのかリンとユウが離れたので僕はハルに向かって頭を下げた。
「僕と付き合ってください」
そんな僕の告白に周りがザワッとしたが、
『ってお前が告白するんかい!』
すぐに2人に頭を叩かれたので僕がハルの机に倒れ込むと、クラスだけではなく廊下から笑いが起きていた。
いい雰囲気になったと思いながら起き上がる。
「冗談だって」
睨みつけているリンとユウを押し留めているとチャイムが鳴り響いた。
「ほら、席に座らないと」
僕がそう言うと、元々怒っているわけでもない2人はすぐに睨むのを止めて席順が貼られている黒板へと向かったので僕もあとに続く。
「よし。俺は1番後ろだ」
1番後ろの席に喜ぶユウ。
「俺は窓際の真ん中か」
リンは普通に言った。
「僕は………1番前か」
「しかも、教卓の真ん前って」
ユウが笑ってきた。
確かに、ほとんどの人が嫌がる席だろうが、僕は気にしないのでユウに笑われても気にせずに座った。
「ほら、座るぞ」
リンに促されたユウも席についた。
そうしてみんながそれぞれの席についた時、廊下から「パン!」という音が聞こえてきた。
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