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33.カツ丼で
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チョウちゃん達への罰の正座が始まってすぐの時にケイさんがふと時計を見た。
「そういや、そろそろ晩飯の時間か」
ケイさんの言葉に時計を見ると、いつの間にか7時になっていた。
「えっ?いつの間に?」
確か、小説町の駅に降り立ったのが2時くらいだったはずなので、リンの襲撃に商店街での質問大会とその後の僕の暴走と警察署に来てからの聞き取り。色々あったとはいえ5時間も経ってるってありえないのだけど!そんなに時間かかるようなことはしていないはずなのに………。
なんでだろうか?
うん。誰かの陰謀のような気がする。
チラッとリンを見てみるも、変わらず笑顔で罰の正座をしている。チョウちゃんやジンはすでに苦悶の表情を浮かべているというのに、流石は神獣と言うべきか。こんなことでは罰にすらなっていないのだろう。
僕の視線に気づき、何を言いたいのか察したリンは真面目な顔で違うとばかりに首を振った。真面目な顔をしている時のリンはウソをついたことはないので、リンではないのだろう。
ちなみに、ケイさんから事情聴取をされている時に確認したのだけど、町内テレビをやっている神はリンではなく、ホントにどこかの神が気まぐれに始めたテレビらしい。
もしかしたら、今回の時間が早く進んでいるように感じた原因もその神の仕業かもしれないね。
しかし、本当なら今頃はチョウちゃんの家で荷物の片付けを終えて夕食でもってことになっていたはずなのに。
内心ため息を吐きつつ、こうなってしまった原因の一部が自分であることになんとも言えない気持ちになった。
しかし、チョウちゃん達の罰を止めさせる気はないのであと1時間程はここに居ることになるわけで、夕食は少し遅くなるね。
「コウ。カツ丼食べるか?」
ケイさんからの提案に、昨日の父さんを思い出してしまってつい吹き出してしまった。
「どうした?」
そんな僕を不思議そうにに見てくるケイさん。
「そんな面白いこと言ったか?」
「いえ。実は昨日ですね」
僕は昨日の夜のことにあった父さんとのやり取りのことを説明した。
「なるほどね」
話を聞き終えたケイさんとリンは笑っていた。
「でも、テレビで見たことあるのだけど、警察署ではご飯は出しちゃいけないのじゃないの?」
「それは相手が容疑者だった場合で、久しぶりに会う友達相手なら関係ないから、好きなモノを選ぶといい。私のおごりだ」
そう言いながら出前のメニューを目の前に置いてくれるケイさん。
「ご馳走になります」
一瞬どうしようか悩んだが、せっかくこう言ってくれているのを断るのもケイさんに悪い気がするし、断ったとしてもケイさんならムリに押し通してきそうだ。それに、お腹がすいているのは確かなので好意に甘えることにした。
「ねぇ、ケイさん。私達には」
手をあげながらリンがそんなことを言ってきた。
罰をうけているのにそんなことを言い出せるリンの精神力はさすがだね。というか、チョウちゃんやジンも正座の痛みがなければそんなことを言い出しそうなので、3人の精神力はスゴいよ。
「ちょっと待ってな」
ケイさんは立ち上がって部屋を出ていった。
ちょっと意外。罰とか言ってご飯を出さないかと思ったのに。
なんて思っているとすぐに帰ってきたケイさんはの手には半額シールが貼られたお弁当を3つ。
「3人で話し合って好きなのを選ぶといい」
「ちょっと!コウとの差が激しすぎない!?」
「これも1つの罰だ」
なるほど。ご飯は出すけどちゃんと差はつけるのね。
そう言われると反論出来ず、リンは黙ってお弁当の中から焼肉弁当を取って食べ始めた。
ここで文句を言えばお弁当を持っていかれるだけだろうしね。賢明な判断なのだろう。
ちなみに残りのお弁当は幕の内弁当か日の丸弁当なので、1番いいお弁当を話し合うことすらせずに食べ始めるところはちゃっかりしている。
まぁ、チョウちゃんやジンは足の痛みに耐えるのに必死なわけで、文句を言う気力もないだろうけど。
「コウは決まったか?」
「カツ丼で」
今回こうして警察署で夕食を食べることになった原因は僕にもあるので、昨日の父さんみたいに容疑者気分でカツ丼を食べることにした。
「カツ丼な」
出前の注文のためにケイさんが出ていくと、チョウちゃんが僕の腰をつついてきた。
「なに?チョウちゃん」
「コウくんからケイに正座する時間を短くするように頼めない?」
「そや。姐さんから頼めば時間を短くしてくれるやろ」
確かに、頼めば短くならないこともないだろう。
「まだ10分も経ってないんだよ」
「ムリムリ!10分でもムリなのにあと50分なんて足が死んじゃうよ!」
「そや!俺らの足が動かなくなったらどないするねん!」
「1時間正座したくらいで足が動かなくなるわけないでしょ」
それに2人共1つ忘れているだろう。
「それに僕の怒りがおさまったわけじゃないからね」
「うっ」
「ぐっ」
2人共理解してくれたのか、チョウちゃんは幕の内弁当をジンは日の丸弁当を食べ始めた。
「コウ。カツ丼届いたぞ」
ケイさんがカツ丼を持って戻ってきたので、僕も夕食としよう。
「そういや、そろそろ晩飯の時間か」
ケイさんの言葉に時計を見ると、いつの間にか7時になっていた。
「えっ?いつの間に?」
確か、小説町の駅に降り立ったのが2時くらいだったはずなので、リンの襲撃に商店街での質問大会とその後の僕の暴走と警察署に来てからの聞き取り。色々あったとはいえ5時間も経ってるってありえないのだけど!そんなに時間かかるようなことはしていないはずなのに………。
なんでだろうか?
うん。誰かの陰謀のような気がする。
チラッとリンを見てみるも、変わらず笑顔で罰の正座をしている。チョウちゃんやジンはすでに苦悶の表情を浮かべているというのに、流石は神獣と言うべきか。こんなことでは罰にすらなっていないのだろう。
僕の視線に気づき、何を言いたいのか察したリンは真面目な顔で違うとばかりに首を振った。真面目な顔をしている時のリンはウソをついたことはないので、リンではないのだろう。
ちなみに、ケイさんから事情聴取をされている時に確認したのだけど、町内テレビをやっている神はリンではなく、ホントにどこかの神が気まぐれに始めたテレビらしい。
もしかしたら、今回の時間が早く進んでいるように感じた原因もその神の仕業かもしれないね。
しかし、本当なら今頃はチョウちゃんの家で荷物の片付けを終えて夕食でもってことになっていたはずなのに。
内心ため息を吐きつつ、こうなってしまった原因の一部が自分であることになんとも言えない気持ちになった。
しかし、チョウちゃん達の罰を止めさせる気はないのであと1時間程はここに居ることになるわけで、夕食は少し遅くなるね。
「コウ。カツ丼食べるか?」
ケイさんからの提案に、昨日の父さんを思い出してしまってつい吹き出してしまった。
「どうした?」
そんな僕を不思議そうにに見てくるケイさん。
「そんな面白いこと言ったか?」
「いえ。実は昨日ですね」
僕は昨日の夜のことにあった父さんとのやり取りのことを説明した。
「なるほどね」
話を聞き終えたケイさんとリンは笑っていた。
「でも、テレビで見たことあるのだけど、警察署ではご飯は出しちゃいけないのじゃないの?」
「それは相手が容疑者だった場合で、久しぶりに会う友達相手なら関係ないから、好きなモノを選ぶといい。私のおごりだ」
そう言いながら出前のメニューを目の前に置いてくれるケイさん。
「ご馳走になります」
一瞬どうしようか悩んだが、せっかくこう言ってくれているのを断るのもケイさんに悪い気がするし、断ったとしてもケイさんならムリに押し通してきそうだ。それに、お腹がすいているのは確かなので好意に甘えることにした。
「ねぇ、ケイさん。私達には」
手をあげながらリンがそんなことを言ってきた。
罰をうけているのにそんなことを言い出せるリンの精神力はさすがだね。というか、チョウちゃんやジンも正座の痛みがなければそんなことを言い出しそうなので、3人の精神力はスゴいよ。
「ちょっと待ってな」
ケイさんは立ち上がって部屋を出ていった。
ちょっと意外。罰とか言ってご飯を出さないかと思ったのに。
なんて思っているとすぐに帰ってきたケイさんはの手には半額シールが貼られたお弁当を3つ。
「3人で話し合って好きなのを選ぶといい」
「ちょっと!コウとの差が激しすぎない!?」
「これも1つの罰だ」
なるほど。ご飯は出すけどちゃんと差はつけるのね。
そう言われると反論出来ず、リンは黙ってお弁当の中から焼肉弁当を取って食べ始めた。
ここで文句を言えばお弁当を持っていかれるだけだろうしね。賢明な判断なのだろう。
ちなみに残りのお弁当は幕の内弁当か日の丸弁当なので、1番いいお弁当を話し合うことすらせずに食べ始めるところはちゃっかりしている。
まぁ、チョウちゃんやジンは足の痛みに耐えるのに必死なわけで、文句を言う気力もないだろうけど。
「コウは決まったか?」
「カツ丼で」
今回こうして警察署で夕食を食べることになった原因は僕にもあるので、昨日の父さんみたいに容疑者気分でカツ丼を食べることにした。
「カツ丼な」
出前の注文のためにケイさんが出ていくと、チョウちゃんが僕の腰をつついてきた。
「なに?チョウちゃん」
「コウくんからケイに正座する時間を短くするように頼めない?」
「そや。姐さんから頼めば時間を短くしてくれるやろ」
確かに、頼めば短くならないこともないだろう。
「まだ10分も経ってないんだよ」
「ムリムリ!10分でもムリなのにあと50分なんて足が死んじゃうよ!」
「そや!俺らの足が動かなくなったらどないするねん!」
「1時間正座したくらいで足が動かなくなるわけないでしょ」
それに2人共1つ忘れているだろう。
「それに僕の怒りがおさまったわけじゃないからね」
「うっ」
「ぐっ」
2人共理解してくれたのか、チョウちゃんは幕の内弁当をジンは日の丸弁当を食べ始めた。
「コウ。カツ丼届いたぞ」
ケイさんがカツ丼を持って戻ってきたので、僕も夕食としよう。
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