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第54章

結ばれた二人

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「左月、城に戻って大殿に弥三郎様が潮江城を落としたことを知らせるのです。すぐにお出で下さいとな。」
「はっ。ですが、お二人は?」
「ここで大殿をお待ちします。」
「ですが・・・・・。敵が攻めて来たら如何なさいます。」
 弥三郎が笑いながら口を挟む。
「左月は面白き男だな。城を奪い返しに来るぐらいの気骨があるなら、そもそも城を捨てる事などあるまい。」
 左月は己の思慮の浅さを恥じた。
「はっ。確かに仰せの通り。」
「こちらの心配は無用です。早う行きなさい。」
 さくに促され、左月は踵を返して馬に伸び乗ると去っていく。2人はそれを見送った。
「父上はお喜び下さるだろうか。」
 弥三郎がぼそりと呟いたのを聞いて、さくは言った。
「それはもう驚きになられるかと。酔い潰れて起きたら城が落ちている訳ですから。」
「さくはどうだ?」
「さくは特別驚いたという程ではありません。」
「これ程では驚かぬと申すか。」
「はい。さくは信じておりました。弥三郎様は本当は出来る方だと。これぐらいは当然かと。」
「・・・・・・。さくだけじゃ。私の可能性を信じてくれていたのは。見放さなかったのは。」
 弥三郎はさくを抱きしめた。
「ほんに頑張られましたな。さくも教育係として、鼻が高こう御座い・・・・・、キャッ!何をなさいます!」
 弥三郎の指がさくの小袖の裾から秘部に分け入って来る。
「さく、私はそなたを愛している。私と夫婦になって、これからも傍に居てくれ。」
 弥三郎はさくの秘部を弄りながら、小袖を強引に脱がしに掛かる。
「お、お止め下さい。この様な場所で。」
「他に誰も居らぬ。良いではないか。私が功績を立てたら、まぐわう約束であろう。
 弥三郎は強引にさくの小袖を引っ剥がし、小振りな胸にしゃぶり付いた。
「ちょ、ちょっとお待ちを・・・・・。」
「待てん。何年待ったと思っておる。そなたも武家の娘ならば、主君との約束は果たすものぞ。」
「・・・・・・・。」
 さくは抗うのを止めた。さくも弥三郎に奪って欲しかったからだ。抗うのを止めた事を合意と取った弥三郎はさくを全裸にし、右足を担いだ状態で火処に矛を宛がう。
「弥三郎様、ひとつ、話を聞いて貰っても良いですか。」
「どうした?」
「入らないかもしれません。」
 さくの頭には敵の兵士に犯されそうになった時に、誰も火処を貫通させる事が出来なかった記憶が甦って来た。お陰で難を逃れたのだが、自分は何か体に欠陥が有って、男とまぐわう事が出来ないのかもしれないという、不安である。
「心配するな。さくの体の事は知り尽くしておる。たっぷり蜜を溢れさせてから入れてやる。」
 弥三郎はそう言うと、口吸いをしながら、右手の指で突起を擦り上げた。
「あっ。・・・・・。」
 弥三郎の指は優しく、柔らかい。敵の兵士の様にガシガシと擦るだけではない愛情があった。
「弥三郎様・・・・・。」
 さくも弥三郎の舌を吸い返す。
「さくは私だけのものだ。私以外の者に触らせても入れさせてもならんぞ。」
 そういうと弥三郎はさくの右足を抱えたまま、足元に跪き、火処に口を付けた。
「あっ。その様な所に口を付けてはなりません!」
 さくは悲鳴を上げた。今の時代では一般的でも、戦国乱世の時代ではおなごの火処は不浄とされ、舐める事など、もっての外だからである。
「平気だ。さくの体に汚い所など無い。足でも尻の穴でもどこでも舐めてやる。」
「・・・・・・・・。」
 さくはその言葉に唖然とした。弥三郎は生粋の変態であることを改めて認識する。そういえば初めての出会いの時も、水浴みを覗いて矛を扱いていたのだったな。最初も最後も変態行為に付き合わされるとは何という男なのであろうか・・・・・。だが、その様な事は枝葉の事だ。さくは弥三郎の良い所も悪い所も含めて、全部が好きになっていたからである。
「さくよ。綺麗な火処をしているな。」
「・・・・・・・。」
「感じているのだろう。豆が膨らんでおるぞ。」
「・・・・・・・。」
 火処を奥まで覗かれ、舐められ、言葉責めに遭い、さくはどうしようもなく体の昂ぶりを覚えた、無意識のうちに言葉が出た。
「弥三郎様・・・・・。お願いです。挿れてくださいまし。」
 さくの火処からは足元に滴り落ちる程の愛液が溢れている。二人の気持ちが一つになった証だった。弥三郎は足元から立ち上がると、片足を抱えたまま、矛を宛がう。
「あっ・・・・・。」
 火処の入り口に矛が当たっただけで、さくの体はビクンビクンと跳ねた。
「私はこの時を待ち望んでいたのだ。さくもそうであろう。」
 弥三郎はいつも通りに妄言を吐いた。さくは否定せず忖度する。
「はい。さくも抱かれとう御座いました。」
 我ながら馬鹿な事を言ってるなと、さくは笑ったが、いつも弥三郎をネタにして自慰に耽っていたのは本当の事であるのだから、ここは弥三郎の喜ぶように答えてやろうと思ったのだ。
「そうだろう、そうだろう。私の思っていた通りだ、さくと私は似た者同士だからな。」
 全然違うわ。と、さくは突っ込んでやろうという思いを抱いた。弥三郎は何故にそう思うのか。弥三郎の勝手な解釈で、さくはとんでもない助平な色情狂と思われているらしかった。
「では、城取りの記念に子作りだ。」
 さくの複雑な心境は弥三郎の逞しい腰の動きに搔き消された。矛が火処の奥までズブリと穿ち、さくは悲鳴を上げた。痛みの悲鳴ではない。快感による嬌声である。痛みのない挿入だった。立ったまま欲望のままに突き上げる激しい動きに、さくは堪らず声を漏らし続けた。自分でも声が我慢出来ない。さくは弥三郎に抱き付きながら、自分の掌で口を押さえんとするが、弥三郎は息を切らしながら命令した。
「構わん、さく。ここには誰も居らんのだ。もっと声を出せ。さくの声をもっと聞かせよ。」
「は、はい。」
 さくは気兼ねなく、初めて感じた性の喜びを嬌声で吐露した。弥三郎も野獣の咆哮でそれに応じる。潮江城では2人だけの性の饗宴が繰り広げられたのであった。
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