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第8章
弥三郎は器量人?
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まさか・・・・、目の前にいる・・・・この男が・・・・・、弥三郎様?
さくは思いもかけない展開に呆然とその場に立ち尽くす。大殿は不思議そうな顔である。
「弥三郎。さくと何があった?」
「別に。何も。」
弥三郎はしらを切る。
「さく、一体なんだ。弥三郎と会った事があるのか?」
さくは返答に窮した。若殿が自分に付き纏って、何度も痴態を覗き見ては自慰に及んでいる変態だとは言えない。また、弥三郎だとは気付かずに、散々殴り倒して、肩を懐剣で刺したと分かれば自害を命じられても仕方がない。弥三郎の表情をちらり覗き見ると、弥三郎もじーっとこちらの出方を窺う様な表情である。これは話を合わせろと云う事だとさくは悟った。
「い、いえ。弥三郎様が以前に出会った者と余りにも似ていたものですからびっくりしてしまいまして・・・・。わたくしめの勘違いでした。」
「・・・・・。ふ~ん。左様か。」
大殿はじろじろと、さくの表情を値踏みする様かのように見ていた。明らかに不審がってる様だ。
「・・・・・・・・。まあ、よい。ところで弥三郎。肩の傷はどうじゃ?大丈夫か?」
大殿が弥三郎に語りかけたのを聞いて、さくはぎくりとする。弥三郎を痛めつけたのは、さくだったからだ。弥三郎の返答次第でお咎めを受けるやも知れぬ。場合によってはさくの首が飛ぶのである。
「別に。普通です。」
「そうか。」
二人の会話を傍で聞いていた、はるが口を挟む。
「弥三郎様は肩をどうされたのですか?」
「それがな、先程、血塗れで帰って来てな。野盗に襲われ、肩を刺された様なのじゃ。」
「まあ、怖い。」
弥三郎は本当の事は言っていない様だ。
「この辺りの野盗は一掃した筈なのじゃが、蛆のよう湧いてくるな。」
「そういえば、お城に参る途中でも、変態が出たのです。」
「変態?」
「はい、実は・・・・・。」
はるは何を言うつもりなのか!その変態は目の前の弥三郎様じゃ!さくは慌てて話を逸らしに掛かった。
「大殿!実はこちらへ向かう途上で、我らを付け狙う輩に遭遇しまして。危ない所で御座いました。これでは領民が安心して暮らす事が出来ません。速やかに野盗を掃討すべきだと思います。我が父・国安に領内の治安回復をお任せ頂けませんでしょうか?」
「そうじゃの。捨て置けぬ。速やかに国安に命じよう。」
「この上なき栄誉に御座います。」
「では、早速、国安に文を書く。後の事はさくに任せるぞ。」
そう言うと、大殿は弥三郎・さく・はるを残して去って行った。上手く話を逸らせる事に成功したさくはふ~っと一息付いた。さて、これからどうするか。弥三郎は机の前に座って本を読み続けている。さくは声を掛けた。
「肩の傷はどうですか?」
「縫って貰った。大分良い。」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
二人の間に気まずい沈黙が流れる。
「うわ~っ!凄い量の本ですね。」
微妙な空気を読まない、はるが感嘆の声を上げた。さくは部屋の中を見渡す。部屋に据え置かれている棚には本・本・本・本の山だ。若殿に気を取られていた所為で全く気付かなかったが、凄い量だ。この様な大量な本を、さくもはるも見た事が無かった。
「一体、何を読んでいるのですか?」
はるが屈託のない笑顔を浮かべて言った。
「・・・・・。今は源氏物語じゃ。」
「源氏物語!凄い。教養があるのですね。」
「・・・・・・・。他にも四書五経は諳んじておる。」
煽てられた弥三郎は得意げに言った。
「四書五経?」
はるはさくを振り返る。
「四書とは大学・中庸・論語・孟子。五経とは易経・書経・詩経・礼記・春秋の事です。武家のおのこの嗜みです。」
さくははるに説明しながらも、内心は感心していた。印象最悪の馬鹿殿と思ってはいたが、実際は教養があり、勉学に励む青年であったことにだ。
「しかし、部屋に籠って本を読んでばかりでは、折角の知識も役に立たせる機会が御座いませんのでは。」
さくは引き籠りの若殿をやんわりと窘めた。
「それはいずれ・・・・・・・。」
弥三郎は消え入りそうな程の小さい声で呟いた。
「いずれとはいつの事でしょう?」
「・・・・・・・・・・。」
弥三郎は答えない。
「実語教は読まれましたか?」
「無論じゃ。」
弥三郎はそこだけは声を大にした。
「こう書かれていませんでしたか。玉は磨かれなければ光らない。光のない玉は石瓦となる。」
「書かれているが、それが何じゃ?」
「外に出て、玉を磨くのです。外の世界に目を向けて経験を積まなければ玉は磨かれません。弥三郎様の折角の教養も、今のままでは光の無い石瓦に過ぎません。」
「・・・・・・・・。それは時が来ればじゃ。時が来れば一気に龍の如く駆け上がってやるわ。」
「その時と言うのはいつでしょうか?」
「・・・・・・・。それはいずれ。」
弥三郎はぼそりと言った。
「・・・・・・・。」
さくは呆れた。弥三郎の言い分は典型的な引き籠りの言い分である。いずれやる・いずれやる。と言いながらそのいずれは一生来ないのである。この様な言い訳をする所を見ると、大殿がこの屁理屈を許してきたのであろう。阿呆め。親子共々益体も無いのである。ここはびしっと自分が言ってやらねば。
「弥三郎様。弥三郎様の言う、いずれと言うのは一体、いつになるのでしょう?いい年をして初陣もまだではありませんか。皆からどのように噂されているかご存じなのですか。」
「知らぬ。私は噂など気にしない。言いたい奴には言わせておけば良いのだ。」
「・・・・・・。いいですか。これは弥三郎様だけの問題では無いのですよ。敵対している他国の間者がこの国に入ってきているのは疑いようのない事実。弥三郎様の噂が伝わればどうなります?跡目を継ぐのがその様なうつけと分かれば、大殿に屈服した相手が一斉に蜂起いたします。臣下から離反するものが出るのは明らかです。国の存亡、しいては付き従う家臣の去就に影響するのですよ。」
「国の行く末については私も考えている所だ。」
これだけ言っても弥三郎はあっけらかんとしている。「国の行く末を考えている」と来た。一体、どの様に考えているのだ。聞かせて貰いたいものだ。
「左様ですか。どの様に?」
さくは冷たく突き放すような言い方をした。どうせろくな考えは持っていまいと思ったからなのだが。
「さくはこの国の問題点をどう見る?」
質問に質問で返してきた若殿に、さくは半ばムッと来た。この男、何を勿体ぶっているんだ。「はよ話せ。」と、言ってやりたいのをグッと堪えてさくは話に付き合ってやる。
「貧しき国に群雄割拠し、それぞれが城郭・砦を築き、闘争に明け暮れる。この国を一つに纏めるこれといった勢力が無い。」
「うん。その通りだ。だからこの国を一つに纏めるべく私がいるのだ。」
「・・・・・・・・・・。」
さくは言葉が無い。弥三郎の大言壮語にである。この国を纏めるべく自分が居るという。なんの功績も無い男がよく言えたものである。阿呆なのか?
「・・・・・。それでは、弥三郎様はこの国を一つに纏める為に、具体的にどうすれば良いとお考えなので?」
「いくつか考えた。聞きたいか?」
「はい。是非、お聞かせ下さい。」
どうせろくな考えではないだろう。さくは内心冷ややかだった。
「まず、我が領地は豊かではない。それは山が多く、米の収穫量が少ないからだ。そこで、私は考えたのだが、山から木を伐採して材木にしてはどうだろうか。それを上方に売るのだ。木材を米の様に管理して専売する。それでこの国を潤すのだ。」
さくは弥三郎の考えに驚いた。確かにこの国は山が多く、田畑が少ない。さくはどうやって田畑を増やすか。その事ばかりに囚われていたのだが、弥三郎は山が多い事を逆手に取って、木を材木にして上方に売れば良いと言うのだ。確かにこの考えは理に適っている。
「それともう一つは兵の数だ。周辺の国々の国力はどこも似たり寄ったりだ。それが勢力の拮抗を招いて、争いに中々決着が着かない。それを収めるには如何に兵の数を他国より多く動員できるか。それに尽きる。違うか?」
「や、弥三郎様の仰る通りに御座います。」
若殿はなかなかに目の付け所が鋭い。さくはまたもや驚き、仰る通りと言う他なかった。
「そこで目を付けたのが農民だ。農民を如何に多く動員し、兵数を水増し出来るかだ。それがこの群雄割拠を収め、大きな一つの国を作る秘策だ。」
「農民ですか?・・・・しかし、いくら兵の数を多くするためとはいえ、農民の力に頼るというのは・・・・・。」
「いかんか?
「・・・・・。農民を数だけ動員致しましても、彼らは烏合の衆です。嫌々、戦に駆り出されるだけで戦う気は無く、弱う御座います・・・・・。」
「私はそうは思わぬ。彼奴等は常日頃、農作業に従事している為、体が強い。武士などより余程な。農民を戦に動員し、見返りとして開墾領地の権利を与えてやるのだ。やる気を出す筈とは思わんか。」
「・・・・・・。は、はあ。」
「農民たちに農作業している間でも、常に武器や兵糧を携帯させ、何か事ある時にはすぐに戦に招集出来るようにするのだ。これを徹底させる。」
「・・・・・・・。」
「国を富ませ、強兵を他国より多く集める。この二つの策だけで乱立する土豪たちを平らげる事が出来ると私は思う。」
弥三郎はそう断言した。それに対するさくの感想は感嘆である。世間から蔑まれるこの若殿は、独り部屋に籠りながらこの国を統一する術を書物を読みながらあれこれ考えていたに違いない。二つの策とも、さくには考え付かない見事なものだ。
「お見事な策に御座います。さくは感服致しました。」
「そうであろう。」
さくの称賛に弥三郎は得意げである。
「なかなかこの様な策は考え付かぬものです。ですが、何故、大殿は弥三郎様のお考えをお取り上げにならないのでしょう?」
さくは弥三郎の策を聞いて素晴らしい考えだと思った。ところがこの策を大殿は実行に移していない。何故だろう。甘やかしている息子がこの様な素晴らしい策を献策したら喜んで取り上げるだろうに・・・・・。
「父上には話していない。」
「話されてない?何故です?素晴らしい策ですのに。」
「父上は私とその様な話はされない。私の事をうつけと思っておられるのだろう。だから私も話さない。」
「・・・・・・・。」
弥三郎は寂しそうに笑った。大殿と弥三郎の間には複雑な親子関係がある様だ。大殿は弥三郎に対して腫れ物に触る様な対応である。一方、弥三郎もそれが分かって、いじけているのだろう。さて、まずはこの二人の関係を新たに構築しなければならないなと考えたさくは一計を案じた。
「弥三郎様。今から大殿に、さくに話された富国強兵策を進言されたら如何に御座いますか?」
「・・・・・・嫌だ。」
「何故で御座いますか?」
「話した所で自分の事もままならぬ引き籠りが、軽々と国の事を語っておると思われるのが落ちであろう。」
「そんなことは御座いませぬ。弥三郎様の話を聞いてさくは感動しました。大殿もきっと同じように考えられるでしょう。頼りないと思っていた跡取りが、凄い事を考えていたと。」
「そうかのう?」
「そうです。間違いありません。」
「そんなに凄いか。」
「感服しました。他にも国の為のお考えがあるのでしたら、さくはお聞きしたいです。」
「そうか。では、二人にだけ話そう。」
さくに煽てられた弥三郎は、自分の考えに自信を持ったらしく、さくとはるに饒舌に部屋に引き籠って考えた策を披露した。・・・・のだが、それは引き籠りの妄想が炸裂したものであった。
「まず、今の世の中のおなご達の風紀の乱れは許しがたい。そうは思わぬか?」
弥三郎はさくにいきなり問いかけた。
「風紀の乱れと申しますと?」
「男と見れば誰これと相手構わずまぐわう事じゃ。」
「・・・・・・・・・・。」
「我が領内では17歳になるまでまぐわいを禁止すべきだ。」
「・・・・・・・・・・。」
「そして17歳になったら、領内のおなごを全員、城に集め、私が気に入ったものを側室にするのが良いと思うのだ。」
「・・・・・・・・・・。」
一体、何を言っているんだ。この男・・・・・・・。それがさくの率直な感想であった。確かに今の世のおなご達は誰これ構わず不特定多数の男と簡単にまぐわう。それをさくと同じように弥三郎も憂いているというのならば話は分かる。が、おなごが17歳になったら、自分が見分し、気に入ったものを側室にしたい等と宣っている。要するに気に入ったおなごたちの処女が他の男達に奪われるのが気に入らないだけではないか。そういえば、さくを見初めたきっかけも立ち居振る舞いで生娘だと分かったからだとこの男は言っていたな。しょ~もないな。さくは先程の感慨がどこかに吹っ飛んだ。戦国時代・女が処女かそうでないかは全く重きが置かれない。まして武家なら尚更。処女やら年下やらお姫様が良い等と言うものは殆ど皆無。女は家を存続させるための道具に過ぎず、兎に角、元気な子供を沢山産むおなごが好まれた。例えば未亡人とか年上とか。経験豊富なものが良いとされていたのだ。弥三郎の様なおなごに対する価値観を持つものは珍しかった。
「それから、おなごが用を足すときは厠を使わせず、野外でさせる様にしたい。」
「・・・・・・・。」
要するにこれも、弥三郎がおなごが用を足す所を覗きたいがためにほざいているだけである様に思われた。さくは突っ込まずにはいられなかった。
「・・・・・・・。何故、おなごが厠を使ってはならぬのですか。」
「それは・・・・だな、おなごが用を足す所を覗こうとする不届き物がいるからだ。」
それは弥三郎様の事ではありませんか!と、突っ込みたくなるのを、さくは何とか我慢した。
「野外で用を足せば、余計覗かれるではありませんか。今日も姫様が用を足している所を下賤な男が覗いていたのです。覗きながら矛まで扱いていたそうですよ。」
犯人が目の前にいる男だと知らない、はるは弥三郎に反論する。それを聞いた弥三郎は目線を泳がせ、さくを仰ぎ見た。
「ほんに野外で用を足すのは危のう御座いますこと。」
さくは険のある言い方をした。それを察した弥三郎は咳払いをしながら誤魔化そうとする。
「ゴ、ゴホン。それもそうじゃの。これは取り消そう。」
「当たり前に御座います。」
さくは冷ややかに言った。だが、饒舌になった弥三郎は更に妄言をほざこうとする。
「では、おなごが水浴みするときは湯帳を着る事は禁止としたい。」
「・・・・・・・。」
さくは白い目で弥三郎を見つめる。湯帳というのは水浴みする時におなごが着る浴衣である。要するにそれを脱がせて裸が見たいだけであろう。さくは水浴みする所を覗かれたのは自分だけではないなと直感した。この男はさく以外にもおなごの用便や水浴みを覗き見て、矛を扱く変態である。
「それから、おなごの・・・・・・・。」
「もう、充分で御座います。」
さくは弥三郎がそれ以上喋るのを、ぴしゃりと制止した。初めは器量人と思ったが、長く喋らせたら襤褸が出た。引き籠り生活に寄り、妄想に毒されたきちがいである。こんな男をこれから養育しないとならないとは暗惨たる思いである。そんなさくの思いを勘案せず、弥三郎は尚も喋り足りない様子だ。
「いや、これが妙案なのだ。おなごの・・・・・・。」
「聞きません。」
さくは又も弥三郎の話を遮った。
「何故だ。何故、話を聞いてくれぬのか?」
「さくは弥三郎様は口数が少なく、殆ど喋らないと伺っておりました。大殿からも何とかする様に仰せつかっていたのですが、本来はおしゃべりな質なのですね。」
「・・・・・・・。」
さくがちくりと皮肉を言うと、弥三郎は押し黙った。
「弥三郎様が殆ど喋らない事を、大殿は大層ご心配な様子。今、さくにお話頂きました最初の2つの策を大殿に聞いて頂きませんか?」
「・・・・・・・。」
「優れた智謀を持っていても、部屋に引き籠って独りで悦に浸っていては、宝の持ち腐れに御座います。外に出て、自らの考えを話すのです。」
「・・・・・・・・・・。もし、父上や皆に貶されたらどうする・・・・・。」
「弥三郎様の策には皆が驚く事でしょう。さくが受け合います。話してみましょう。」
「・・・・・・・・。分かった。さくがそこまで言うのなら・・・・話してみるか!」
「それがよう御座います。」
さくはにっこり微笑んだ。ようやく弥三郎が引き籠りからの脱却・第一歩を踏み出そうとしているのだ!だが、弥三郎は言った。
「はる、硯を持て。」
「は、はい。」
はるはいそいそと硯を用意すると、急いで墨を擦る。?????謎である。今の話の流れからすると、今すぐに、さくを連れ立って大殿の元へ行く様な流れであるのに、何故、硯の用意を?
「弥三郎様。早く大殿の元へ参りましょう。何故、今、硯が必要なのですか?」
「父上に書状を書くのだ。」
「・・・・・・・。何故、何の書状を書くのですか?」
「さくがこの国の富国強兵策を父上に披露しろと申したではないか。」
「・・・・・・・。もしかして、それを書状で伝えるお積りですか?」
「そうだ。」
「・・・・・・・。何故に自分の口で伝えないのですか?同じ城に住んでいる人に、書状を書く等と聞いた事がありませぬ。」
「私はいつもこうしている。」
「・・・・・・・。」
なんだこの奇異な若殿は・・・・。同じ城に居住する家族でありながら書状でやりとりするとは・・・・・。さくが唖然としているのをよそに、弥三郎はすらすらと書状をしたためる。さくは慌てて声を掛けた。
「最初の二つの策だけを進言するのです。おなごは17歳までまぐあい禁止とか厠禁止とかおかしなことを書いてはなりません。」
「・・・・・・・・。分かった。」
弥三郎は不服そうに頷いた。初めの策は素晴らしいが、その後の話は弥三郎の可笑しさを際立たせるものだ。大殿の耳には入れられなかった。本当は大殿に直接進言させたかったが、弥三郎がおかしなことを宣うかも分からず、それを考えれば書状で考えを述べるのも悪くないかもしれないと、さくは考え直した。問題点はおいおい直させるとして、今は弥三郎の後継者としての資質を示すのが重要である。
「これでどうだろうか。」
さくは弥三郎から渡された書状に目を通す。理路整然とこの国が取るべき戦略が書かれていた。しかも達筆である。さすが読書家であった。
「流れる様に書かれた文章です。説得力があります。大殿もこれを読めば、必ず心を動かされます。」
弥三郎はさくの言葉を聞いて、微笑みを浮かべた。
さくは思いもかけない展開に呆然とその場に立ち尽くす。大殿は不思議そうな顔である。
「弥三郎。さくと何があった?」
「別に。何も。」
弥三郎はしらを切る。
「さく、一体なんだ。弥三郎と会った事があるのか?」
さくは返答に窮した。若殿が自分に付き纏って、何度も痴態を覗き見ては自慰に及んでいる変態だとは言えない。また、弥三郎だとは気付かずに、散々殴り倒して、肩を懐剣で刺したと分かれば自害を命じられても仕方がない。弥三郎の表情をちらり覗き見ると、弥三郎もじーっとこちらの出方を窺う様な表情である。これは話を合わせろと云う事だとさくは悟った。
「い、いえ。弥三郎様が以前に出会った者と余りにも似ていたものですからびっくりしてしまいまして・・・・。わたくしめの勘違いでした。」
「・・・・・。ふ~ん。左様か。」
大殿はじろじろと、さくの表情を値踏みする様かのように見ていた。明らかに不審がってる様だ。
「・・・・・・・・。まあ、よい。ところで弥三郎。肩の傷はどうじゃ?大丈夫か?」
大殿が弥三郎に語りかけたのを聞いて、さくはぎくりとする。弥三郎を痛めつけたのは、さくだったからだ。弥三郎の返答次第でお咎めを受けるやも知れぬ。場合によってはさくの首が飛ぶのである。
「別に。普通です。」
「そうか。」
二人の会話を傍で聞いていた、はるが口を挟む。
「弥三郎様は肩をどうされたのですか?」
「それがな、先程、血塗れで帰って来てな。野盗に襲われ、肩を刺された様なのじゃ。」
「まあ、怖い。」
弥三郎は本当の事は言っていない様だ。
「この辺りの野盗は一掃した筈なのじゃが、蛆のよう湧いてくるな。」
「そういえば、お城に参る途中でも、変態が出たのです。」
「変態?」
「はい、実は・・・・・。」
はるは何を言うつもりなのか!その変態は目の前の弥三郎様じゃ!さくは慌てて話を逸らしに掛かった。
「大殿!実はこちらへ向かう途上で、我らを付け狙う輩に遭遇しまして。危ない所で御座いました。これでは領民が安心して暮らす事が出来ません。速やかに野盗を掃討すべきだと思います。我が父・国安に領内の治安回復をお任せ頂けませんでしょうか?」
「そうじゃの。捨て置けぬ。速やかに国安に命じよう。」
「この上なき栄誉に御座います。」
「では、早速、国安に文を書く。後の事はさくに任せるぞ。」
そう言うと、大殿は弥三郎・さく・はるを残して去って行った。上手く話を逸らせる事に成功したさくはふ~っと一息付いた。さて、これからどうするか。弥三郎は机の前に座って本を読み続けている。さくは声を掛けた。
「肩の傷はどうですか?」
「縫って貰った。大分良い。」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
二人の間に気まずい沈黙が流れる。
「うわ~っ!凄い量の本ですね。」
微妙な空気を読まない、はるが感嘆の声を上げた。さくは部屋の中を見渡す。部屋に据え置かれている棚には本・本・本・本の山だ。若殿に気を取られていた所為で全く気付かなかったが、凄い量だ。この様な大量な本を、さくもはるも見た事が無かった。
「一体、何を読んでいるのですか?」
はるが屈託のない笑顔を浮かべて言った。
「・・・・・。今は源氏物語じゃ。」
「源氏物語!凄い。教養があるのですね。」
「・・・・・・・。他にも四書五経は諳んじておる。」
煽てられた弥三郎は得意げに言った。
「四書五経?」
はるはさくを振り返る。
「四書とは大学・中庸・論語・孟子。五経とは易経・書経・詩経・礼記・春秋の事です。武家のおのこの嗜みです。」
さくははるに説明しながらも、内心は感心していた。印象最悪の馬鹿殿と思ってはいたが、実際は教養があり、勉学に励む青年であったことにだ。
「しかし、部屋に籠って本を読んでばかりでは、折角の知識も役に立たせる機会が御座いませんのでは。」
さくは引き籠りの若殿をやんわりと窘めた。
「それはいずれ・・・・・・・。」
弥三郎は消え入りそうな程の小さい声で呟いた。
「いずれとはいつの事でしょう?」
「・・・・・・・・・・。」
弥三郎は答えない。
「実語教は読まれましたか?」
「無論じゃ。」
弥三郎はそこだけは声を大にした。
「こう書かれていませんでしたか。玉は磨かれなければ光らない。光のない玉は石瓦となる。」
「書かれているが、それが何じゃ?」
「外に出て、玉を磨くのです。外の世界に目を向けて経験を積まなければ玉は磨かれません。弥三郎様の折角の教養も、今のままでは光の無い石瓦に過ぎません。」
「・・・・・・・・。それは時が来ればじゃ。時が来れば一気に龍の如く駆け上がってやるわ。」
「その時と言うのはいつでしょうか?」
「・・・・・・・。それはいずれ。」
弥三郎はぼそりと言った。
「・・・・・・・。」
さくは呆れた。弥三郎の言い分は典型的な引き籠りの言い分である。いずれやる・いずれやる。と言いながらそのいずれは一生来ないのである。この様な言い訳をする所を見ると、大殿がこの屁理屈を許してきたのであろう。阿呆め。親子共々益体も無いのである。ここはびしっと自分が言ってやらねば。
「弥三郎様。弥三郎様の言う、いずれと言うのは一体、いつになるのでしょう?いい年をして初陣もまだではありませんか。皆からどのように噂されているかご存じなのですか。」
「知らぬ。私は噂など気にしない。言いたい奴には言わせておけば良いのだ。」
「・・・・・・。いいですか。これは弥三郎様だけの問題では無いのですよ。敵対している他国の間者がこの国に入ってきているのは疑いようのない事実。弥三郎様の噂が伝わればどうなります?跡目を継ぐのがその様なうつけと分かれば、大殿に屈服した相手が一斉に蜂起いたします。臣下から離反するものが出るのは明らかです。国の存亡、しいては付き従う家臣の去就に影響するのですよ。」
「国の行く末については私も考えている所だ。」
これだけ言っても弥三郎はあっけらかんとしている。「国の行く末を考えている」と来た。一体、どの様に考えているのだ。聞かせて貰いたいものだ。
「左様ですか。どの様に?」
さくは冷たく突き放すような言い方をした。どうせろくな考えは持っていまいと思ったからなのだが。
「さくはこの国の問題点をどう見る?」
質問に質問で返してきた若殿に、さくは半ばムッと来た。この男、何を勿体ぶっているんだ。「はよ話せ。」と、言ってやりたいのをグッと堪えてさくは話に付き合ってやる。
「貧しき国に群雄割拠し、それぞれが城郭・砦を築き、闘争に明け暮れる。この国を一つに纏めるこれといった勢力が無い。」
「うん。その通りだ。だからこの国を一つに纏めるべく私がいるのだ。」
「・・・・・・・・・・。」
さくは言葉が無い。弥三郎の大言壮語にである。この国を纏めるべく自分が居るという。なんの功績も無い男がよく言えたものである。阿呆なのか?
「・・・・・。それでは、弥三郎様はこの国を一つに纏める為に、具体的にどうすれば良いとお考えなので?」
「いくつか考えた。聞きたいか?」
「はい。是非、お聞かせ下さい。」
どうせろくな考えではないだろう。さくは内心冷ややかだった。
「まず、我が領地は豊かではない。それは山が多く、米の収穫量が少ないからだ。そこで、私は考えたのだが、山から木を伐採して材木にしてはどうだろうか。それを上方に売るのだ。木材を米の様に管理して専売する。それでこの国を潤すのだ。」
さくは弥三郎の考えに驚いた。確かにこの国は山が多く、田畑が少ない。さくはどうやって田畑を増やすか。その事ばかりに囚われていたのだが、弥三郎は山が多い事を逆手に取って、木を材木にして上方に売れば良いと言うのだ。確かにこの考えは理に適っている。
「それともう一つは兵の数だ。周辺の国々の国力はどこも似たり寄ったりだ。それが勢力の拮抗を招いて、争いに中々決着が着かない。それを収めるには如何に兵の数を他国より多く動員できるか。それに尽きる。違うか?」
「や、弥三郎様の仰る通りに御座います。」
若殿はなかなかに目の付け所が鋭い。さくはまたもや驚き、仰る通りと言う他なかった。
「そこで目を付けたのが農民だ。農民を如何に多く動員し、兵数を水増し出来るかだ。それがこの群雄割拠を収め、大きな一つの国を作る秘策だ。」
「農民ですか?・・・・しかし、いくら兵の数を多くするためとはいえ、農民の力に頼るというのは・・・・・。」
「いかんか?
「・・・・・。農民を数だけ動員致しましても、彼らは烏合の衆です。嫌々、戦に駆り出されるだけで戦う気は無く、弱う御座います・・・・・。」
「私はそうは思わぬ。彼奴等は常日頃、農作業に従事している為、体が強い。武士などより余程な。農民を戦に動員し、見返りとして開墾領地の権利を与えてやるのだ。やる気を出す筈とは思わんか。」
「・・・・・・。は、はあ。」
「農民たちに農作業している間でも、常に武器や兵糧を携帯させ、何か事ある時にはすぐに戦に招集出来るようにするのだ。これを徹底させる。」
「・・・・・・・。」
「国を富ませ、強兵を他国より多く集める。この二つの策だけで乱立する土豪たちを平らげる事が出来ると私は思う。」
弥三郎はそう断言した。それに対するさくの感想は感嘆である。世間から蔑まれるこの若殿は、独り部屋に籠りながらこの国を統一する術を書物を読みながらあれこれ考えていたに違いない。二つの策とも、さくには考え付かない見事なものだ。
「お見事な策に御座います。さくは感服致しました。」
「そうであろう。」
さくの称賛に弥三郎は得意げである。
「なかなかこの様な策は考え付かぬものです。ですが、何故、大殿は弥三郎様のお考えをお取り上げにならないのでしょう?」
さくは弥三郎の策を聞いて素晴らしい考えだと思った。ところがこの策を大殿は実行に移していない。何故だろう。甘やかしている息子がこの様な素晴らしい策を献策したら喜んで取り上げるだろうに・・・・・。
「父上には話していない。」
「話されてない?何故です?素晴らしい策ですのに。」
「父上は私とその様な話はされない。私の事をうつけと思っておられるのだろう。だから私も話さない。」
「・・・・・・・。」
弥三郎は寂しそうに笑った。大殿と弥三郎の間には複雑な親子関係がある様だ。大殿は弥三郎に対して腫れ物に触る様な対応である。一方、弥三郎もそれが分かって、いじけているのだろう。さて、まずはこの二人の関係を新たに構築しなければならないなと考えたさくは一計を案じた。
「弥三郎様。今から大殿に、さくに話された富国強兵策を進言されたら如何に御座いますか?」
「・・・・・・嫌だ。」
「何故で御座いますか?」
「話した所で自分の事もままならぬ引き籠りが、軽々と国の事を語っておると思われるのが落ちであろう。」
「そんなことは御座いませぬ。弥三郎様の話を聞いてさくは感動しました。大殿もきっと同じように考えられるでしょう。頼りないと思っていた跡取りが、凄い事を考えていたと。」
「そうかのう?」
「そうです。間違いありません。」
「そんなに凄いか。」
「感服しました。他にも国の為のお考えがあるのでしたら、さくはお聞きしたいです。」
「そうか。では、二人にだけ話そう。」
さくに煽てられた弥三郎は、自分の考えに自信を持ったらしく、さくとはるに饒舌に部屋に引き籠って考えた策を披露した。・・・・のだが、それは引き籠りの妄想が炸裂したものであった。
「まず、今の世の中のおなご達の風紀の乱れは許しがたい。そうは思わぬか?」
弥三郎はさくにいきなり問いかけた。
「風紀の乱れと申しますと?」
「男と見れば誰これと相手構わずまぐわう事じゃ。」
「・・・・・・・・・・。」
「我が領内では17歳になるまでまぐわいを禁止すべきだ。」
「・・・・・・・・・・。」
「そして17歳になったら、領内のおなごを全員、城に集め、私が気に入ったものを側室にするのが良いと思うのだ。」
「・・・・・・・・・・。」
一体、何を言っているんだ。この男・・・・・・・。それがさくの率直な感想であった。確かに今の世のおなご達は誰これ構わず不特定多数の男と簡単にまぐわう。それをさくと同じように弥三郎も憂いているというのならば話は分かる。が、おなごが17歳になったら、自分が見分し、気に入ったものを側室にしたい等と宣っている。要するに気に入ったおなごたちの処女が他の男達に奪われるのが気に入らないだけではないか。そういえば、さくを見初めたきっかけも立ち居振る舞いで生娘だと分かったからだとこの男は言っていたな。しょ~もないな。さくは先程の感慨がどこかに吹っ飛んだ。戦国時代・女が処女かそうでないかは全く重きが置かれない。まして武家なら尚更。処女やら年下やらお姫様が良い等と言うものは殆ど皆無。女は家を存続させるための道具に過ぎず、兎に角、元気な子供を沢山産むおなごが好まれた。例えば未亡人とか年上とか。経験豊富なものが良いとされていたのだ。弥三郎の様なおなごに対する価値観を持つものは珍しかった。
「それから、おなごが用を足すときは厠を使わせず、野外でさせる様にしたい。」
「・・・・・・・。」
要するにこれも、弥三郎がおなごが用を足す所を覗きたいがためにほざいているだけである様に思われた。さくは突っ込まずにはいられなかった。
「・・・・・・・。何故、おなごが厠を使ってはならぬのですか。」
「それは・・・・だな、おなごが用を足す所を覗こうとする不届き物がいるからだ。」
それは弥三郎様の事ではありませんか!と、突っ込みたくなるのを、さくは何とか我慢した。
「野外で用を足せば、余計覗かれるではありませんか。今日も姫様が用を足している所を下賤な男が覗いていたのです。覗きながら矛まで扱いていたそうですよ。」
犯人が目の前にいる男だと知らない、はるは弥三郎に反論する。それを聞いた弥三郎は目線を泳がせ、さくを仰ぎ見た。
「ほんに野外で用を足すのは危のう御座いますこと。」
さくは険のある言い方をした。それを察した弥三郎は咳払いをしながら誤魔化そうとする。
「ゴ、ゴホン。それもそうじゃの。これは取り消そう。」
「当たり前に御座います。」
さくは冷ややかに言った。だが、饒舌になった弥三郎は更に妄言をほざこうとする。
「では、おなごが水浴みするときは湯帳を着る事は禁止としたい。」
「・・・・・・・。」
さくは白い目で弥三郎を見つめる。湯帳というのは水浴みする時におなごが着る浴衣である。要するにそれを脱がせて裸が見たいだけであろう。さくは水浴みする所を覗かれたのは自分だけではないなと直感した。この男はさく以外にもおなごの用便や水浴みを覗き見て、矛を扱く変態である。
「それから、おなごの・・・・・・・。」
「もう、充分で御座います。」
さくは弥三郎がそれ以上喋るのを、ぴしゃりと制止した。初めは器量人と思ったが、長く喋らせたら襤褸が出た。引き籠り生活に寄り、妄想に毒されたきちがいである。こんな男をこれから養育しないとならないとは暗惨たる思いである。そんなさくの思いを勘案せず、弥三郎は尚も喋り足りない様子だ。
「いや、これが妙案なのだ。おなごの・・・・・・。」
「聞きません。」
さくは又も弥三郎の話を遮った。
「何故だ。何故、話を聞いてくれぬのか?」
「さくは弥三郎様は口数が少なく、殆ど喋らないと伺っておりました。大殿からも何とかする様に仰せつかっていたのですが、本来はおしゃべりな質なのですね。」
「・・・・・・・。」
さくがちくりと皮肉を言うと、弥三郎は押し黙った。
「弥三郎様が殆ど喋らない事を、大殿は大層ご心配な様子。今、さくにお話頂きました最初の2つの策を大殿に聞いて頂きませんか?」
「・・・・・・・。」
「優れた智謀を持っていても、部屋に引き籠って独りで悦に浸っていては、宝の持ち腐れに御座います。外に出て、自らの考えを話すのです。」
「・・・・・・・・・・。もし、父上や皆に貶されたらどうする・・・・・。」
「弥三郎様の策には皆が驚く事でしょう。さくが受け合います。話してみましょう。」
「・・・・・・・・。分かった。さくがそこまで言うのなら・・・・話してみるか!」
「それがよう御座います。」
さくはにっこり微笑んだ。ようやく弥三郎が引き籠りからの脱却・第一歩を踏み出そうとしているのだ!だが、弥三郎は言った。
「はる、硯を持て。」
「は、はい。」
はるはいそいそと硯を用意すると、急いで墨を擦る。?????謎である。今の話の流れからすると、今すぐに、さくを連れ立って大殿の元へ行く様な流れであるのに、何故、硯の用意を?
「弥三郎様。早く大殿の元へ参りましょう。何故、今、硯が必要なのですか?」
「父上に書状を書くのだ。」
「・・・・・・・。何故、何の書状を書くのですか?」
「さくがこの国の富国強兵策を父上に披露しろと申したではないか。」
「・・・・・・・。もしかして、それを書状で伝えるお積りですか?」
「そうだ。」
「・・・・・・・。何故に自分の口で伝えないのですか?同じ城に住んでいる人に、書状を書く等と聞いた事がありませぬ。」
「私はいつもこうしている。」
「・・・・・・・。」
なんだこの奇異な若殿は・・・・。同じ城に居住する家族でありながら書状でやりとりするとは・・・・・。さくが唖然としているのをよそに、弥三郎はすらすらと書状をしたためる。さくは慌てて声を掛けた。
「最初の二つの策だけを進言するのです。おなごは17歳までまぐあい禁止とか厠禁止とかおかしなことを書いてはなりません。」
「・・・・・・・・。分かった。」
弥三郎は不服そうに頷いた。初めの策は素晴らしいが、その後の話は弥三郎の可笑しさを際立たせるものだ。大殿の耳には入れられなかった。本当は大殿に直接進言させたかったが、弥三郎がおかしなことを宣うかも分からず、それを考えれば書状で考えを述べるのも悪くないかもしれないと、さくは考え直した。問題点はおいおい直させるとして、今は弥三郎の後継者としての資質を示すのが重要である。
「これでどうだろうか。」
さくは弥三郎から渡された書状に目を通す。理路整然とこの国が取るべき戦略が書かれていた。しかも達筆である。さすが読書家であった。
「流れる様に書かれた文章です。説得力があります。大殿もこれを読めば、必ず心を動かされます。」
弥三郎はさくの言葉を聞いて、微笑みを浮かべた。
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