上 下
4 / 7

太陽神降臨

しおりを挟む
「じゃあ、行ってきます」

 なんだこの面接前のような緊張感は。異世界に来たのはいいけれど、なんか思ってたのと違うぞ。

 などと考えながら、鳥のさえずりにも聞こえる鴬張りの床を、きゅっきゅと鳴らしながら歩く。

「ここからが“本殿"だ。童、常に感謝の念を持ち、敬う心を忘れるな」

 大きな扉の前で、男は私を見る事もせず、真正面を向いたままで口を開いた。その様はあまり良い気分を私に残さない。

「あの、付いてこないんですか?」
「この先は、許可の下った者以外は入れない」

 なるほど。それだけ神聖な場所って認識でいいのか? まあいい。なんでも来いや。

 そうやって流れに身を任せ、まずは扉を開けようと一歩、足を前に出したその時だった。その彫刻細工が美しい大扉が、まるで私を待っていたかのように自ら口を開け始めたのだ。

 そして扉に誘われるように一歩、また一歩と歩みを進めると、再び扉が動き出し、大きく開けていたその口を閉じてしまった。――――これで私は完全に独り。

「マジか。なんだこれ、どうすればいいんだ?」

 先ほど歩いて来た殿内とは違い、今度は最低限の窓しかない大部屋。というよりも、大空間と表現するのがふさわしいだろう。

 足を踏み出すと、床の軋む音が寂しくこだまする。
 高さも奥行きも桁違いな本殿は、その広さの割には静かで、つんとした無音だけが騒がしく耳の中で反響する。

「人の子。龍野一二三よ」

 ――――小雨の如く静かに降って来た声。その美しい声は、なぜか私が人間だった頃の名前を呼んだ。
 
 でも何で私の名前を知ってるんだ?

「こ度は、我らの烏が、お主に大変な迷惑を掛けてしまったことを、深くお詫び申す」

 綺麗な女性の声。日差しのように透き通る声だが、真夏の太陽のような力強さも持っている。
 
 ……烏って、あの三本足の烏のことか?
「いえ。とんでもありません。あんな所に立っていた私も私ですし…………」

 私にぶつかって来た烏が、まさかの神の使いだったという事実を知り、逆に申し訳ない気持ちが浮上してくる。
 こちらに向かって飛んできたとは言え、落ちたのは私の責任でもあるからなあ。

「ですのでどうか、お気になさらないでください」
「左様であるか。どうやらお主は、激しく寛大な心の持ち主のようだな」

 ――――その次の瞬間、突如として大空間に光が注ぎ込まれる。太陽を直視することが出来ないように、今の私も、その眩しさに目を開けることが出来ない。
 私は咄嗟に袖で光を遮断して目を守る。そしてしばらくそうしていると、逆光のような光は次第に落ち着いてきた。そして代わりに、声が一つ。

「ふう、いつぶりだろうか。天の山腹に降りてきたのは」

 天の声とは違う声……?
 袖を降ろすと、目に飛び込むは絶世の美女。もとい天女。

 七色の装束を身に纏い、耳や頭には色鮮やかな宝飾。そして奥が透いて見えるほどの薄い羽衣が、まるで龍のように巻き付いている。
 背丈はユキメより少し高く、恐らく一七〇以上はある。まあ、とにかく美人だ。

「どうした? あまりの眩しさに失明したか?」

 そう言って天女は笑うが、あの光は冗談に聞こえない眩しさだった。下手したら本当に失明していたかもしれない。

「あの、貴女様は?」

 恐る恐る私は彼女に問う。しかし私の勘が外れていなければ、多分彼女は腰に手を当て、胸を張って答えるだろう。

「よくぞ聞いてくれた。余は天の神々が住まう都、天都を治める主宰神。名を、天陽あまはる大神である!」

 予想通りの自己紹介。やはり彼女はお姫様タイプ。しかも一人称が“余”だ。きっと権力を振りかざして、無理難題を押し付けるタイプの神様に違いない。

「な、なるほど」
「あれ、もしかして余がどれだけ凄いか分かってない?」

 どこか友達と話してるような感覚だ。まだ参道で出会った樹木の女神さまの方が、よっぽど|貴(とうと)かった。

「いや、そんなことないですよ」
「言っておくが、余より偉い神様なんていないんじゃからな」

 調子が狂う。これだけの大々的な空間でこの背丈だし、なんか性格も十代みたいだ。本当は偉い神様の娘なのではと疑ってしまう。

「し、しかし何故そのような神様が、わざわざ私の前に現れたんですか?」
 ――――と、素朴な質問をしてみる。
「うむ。その方が誠意が伝わるかなって思って」

 理由が高校生! “近くにいたから来たよ"的なノリだよ。この神様、行けたら行くって言うタイプの神様だなこれ。

「…………なるほど」
「でも本当に悪かったって思ってるから!」

 いや、そんな半ギレで言われても。
 それにもう過ぎたことだし、私もそれほど気にしてないんだよな。三十年も前の話だし。

「ですので、そこまで気にしてないので大丈夫ですよ」
「そうかそうか。なら良かった」

 どこか軽いんだよなぁ。でもまあいいか。最高神様が直々に謝ってくれたんだ。それだけでも有難いことだ。

「では、そろそろ本題に参りませんか?」

 ――――そう。私がここに来た目的は禊祓を済ませに来たことだ。私は早く終わらせて神通力を使いたいのだ。

「ふむ禊だな。喜べ、今回はこの余が直々に執り行うぞ」
 何でこんなに恩着せがましいんだろう?
「はあ。有難うございます」
「それじゃあ、そこに座れ」

 言われるがままに私は彼女の指さす場所に座る。しかしそこから真上を見ると、そういう構造なのか、天井には大きな穴がぽっかりと開いている。

 ……一体何が起きるんだ?

「ちょっと待っておれ」

 そう言って彼女は目をつむり、ぶつぶつと何か言葉を唱え始める。
 すると、まるで何かの引き金を引いたかのように、突然頭上からテニスボール大の雨が降りそそぐ。

「――――冷た!」
「まだまだ序の口だよー」

 唱える声はどんどん大きくなり、それに従い雨も勢いを増していく。というよりも、もはや雨なんて可愛い物ではない。
 大滝の様に連続して降り注ぐ大量の水。その勢いに耐えきれなかった私は、思わず腹ばいになってしまい、その凄まじい水圧を全身に受けてしまう。

 ――――まるで誰かに押さえつけられている感覚だっ。頭が上がらないし、呼吸も出来ないっ! これはヤバイッ、死ぬッ!

 そう思った次の瞬間、岩のようにのしかかっていた奔流は、まるで蛇口を捻ったかのようにピタリと止んだ。
 

 しかし、あれだけの水が落ちてきたにも関わらず、床には水が溜まるどころか、水滴一つさえ残っていない。一体あれは何だったのだ?

 降水が止み、私は気管に入った水を吐こうと、全身の筋肉が縮こまるほど激しく咳き込む。それにしても冗談ではない。年齢は三十でも、体はまだ五、六歳児と同等なんだぞ。
 ――――完全に殺しに来てる。

「お疲れサマー」 

 心臓も一緒に出てしまいそうなくらい、大量の水を吐く私の背中をさすりながら、彼女は陽気な口調で労いの言葉をかける。

「ちなみに、今の“サマー”は"さま”と掛けてるんだよ。ほら私“太陽の神"だから」
 何言ってんだこいつ。人が死にそうだって時に。
「でもこれで、の禊は終了だよ」
 
 今なんと言った。三十歳の禊と言ったのか? もしかしてこれで終わりじゃないの?

 そんな私の疑問に答えるかのように、太陽の神はまさしく、さんさんと太陽のような陽気なテンションでこう言う。

「残るは七十歳の禊だけじゃ。多分その禊祓は余じゃないけど、まあ頑張ってね」
 ――――むしろお前じゃない方がいい気がする。
「さて、それじゃあ、次は契りの話だけど……」

 そうだ。まだ課題は残っていたんだった。確か、力を貸してくれる神様と契約を交わすんだっけ?

「喜べ。お主の神通力。余が力を貸してやる」

 正直、この神様とは今日で関係を終わらせたいが、ここで断ったらもっと面倒な繋がりが出来そうだ。

「……あざっす」
 咳に紛れて、私はお礼の言葉を砕いた。
「それじゃあ、“余の血”と“お主の血”を今から交わすぞ」

 そう言って私の対面にちょこんと正座をすると、絵に描いた様な白くて細い人差し指を私に向けた。

「……でも、どうやるんですか?」

 何故だかすごく嫌な予感がする。果たして血と血の交換とは大丈夫なものなのだろうか。衛生的にも、絵面的にも。

「――――まず、相手の指の先を少し切る。次に、指を咥えてその血を飲むのだ」

 おっと、ちょっとヤバそうだな。…………でもまあ、人間の身体とは構造が違うっぽいし、大丈夫なのかな?

「わかりました」

 ようやく咳も落ち着いて来た私は、袴に染みこんでいる水を雑巾の様に絞り出しながら頷く。
 そして、“床は濡れていないのに、なぜ袴は濡れたままなのか"と、禊祓のシステムを呪った。

「うむ、では余の小刀を貸してやる。故にまずはお主が切れ」

 正直、指の一本くらいは切り落としてやりたいところだが、生憎、それを実行するほどの度胸を、私は持ち合わせていない。
 そうして彼女の手から私の小さい手へと、白銀に輝く小刀が渡る。
 私は今から神様の指を切るのだが、まあこの神様の指なら問題なく切れるだろう。

「――――痛っ」
 
 しかし痛みに耐えるその儚げな表情に、不覚にも私の顔は火照ってしまう。というか、神様にも痛覚はあるのだな。それともこの刀が特殊なのか。

「では、次は余の番だな」

 そう言って彼女は逆の手で小刀を握ると、台の上に置かれた白い布を手に取り、刃を伝う真っ赤な血を拭う。
 ……しかし綺麗な手だ。女性らしい細い指に滑らかな関節。それなのに刀の柄を握る姿は様になっている。

 と、私が彼女の手に見惚れていると、その手は私の指に軽く傷をつけた。
 そして指先からの出血を確認すると、彼女はもう一度血を拭き取り、その刀身を胸の前でゆっくりと鞘に納めて台に戻す。

「それじゃあ今度は、相手の指を咥えます」

 血の滴る指が私に向けられる。体に残る龍の本能なのかは分からないが、その真っ赤な貴い血を見ると、体がうずいて仕様がない。

「ふふ。その糸のように細い瞳孔と、血を見ると赤く輝く瞳。最早お主も、立派な龍人なのだな」

 ――――ついに我慢が出来ず、私は神様の指を咥えた。そして指先から溢れる血液を、この舌の隅々にまで絡ませる。
 水とは違い、粘り強く舌に巻きつくような感触。唾液に混ぜて飲み込めば、鼻の奥では鉄分が弾ける。

「こ、こら。そんなに舐めまわすものではないっ」
「す、すいません」

 上手く感情の読み取れない表情を見て、思わず指を離してしまった。しかしその際、唾液が口から伸びてしまったので、恥ずかしく思いながらもすかさず袖で拭う。

「こっ、今度は私の番だ」

 神様は頬を薄く染めながらも、ゆっくりと私の指を口に含む。しかしこの感じ、どうやら彼女は慣れていないようだ。もちろん私も慣れていないが。

 ――――そして、柔らかくて暖かい感触が指先に伝わってくる。
 彼女が血を飲み込むたびに、舌全体が指に強く吸い付いて嫌でも鳥肌が立つが。たまに猫の甘噛みのように歯が当たるのは不思議と心地がいい。

 …………そうして彼女は唾液が漏れないように、ゆっくりと私の指を口から離す。しかし本当にこれで終わったのだろうか。

「これで、お主の身体には余の血が流れることとなる。同様に、余の身体にもだ」

 艶やかな深紅色の口紅に、彼女は絵具のように赤い血を染み込ませたまま口を開く。まるで告白でもするかのように頬を赤らめながら。

「もういいんですか?」

 何か気まずい。さっきから神様と目が合わなくて余計に気まずい。先ほどの滝行が気まずさの余り、手を振って走り去っていく勢いだ。

「うむ。後はしっかりと祝詞を読んでくれれば、それが”繋がり”となり、余はお主に力を貸すことが出来るだろう」

 少しぎこちないドヤ顔だが、不覚にも少し可愛く見えてしまった。

「それじゃ、余も最高神ゆえ、こう見えても忙しいのでな。ここいらで失礼させてもらう」

 ――先程は「今日で関係を終わらせたい」と思っていたが前言撤回だ。恐らく、彼女とはしばらく会えなくなるだろう。そう思うと少し寂しい。

「わかりました。本日は誠に、ありがとうございました」

 九十度に腰を曲げてお辞儀をする。その最中、川のせせらぎを聞いているかのように心が安らぎ、やはりこの方も神様なのだなと強く実感する。

「うむ。お主も神使の責務、しっかりと務めるのだぞ」

 そう言って、天陽大神様は再び、眩い光と共に閃光のように消え去る。
 それと同時に、堅く閉ざされていた出口も、ゆっくりと口を開け始めた。


「ああ、ソウ様! よくぞ無事に戻られました!」

 ユキメと別れた廊下。太陽の神、天陽大神と契りを交わした私は、びしょ濡れの袴を引きずってそこに戻って来た。

「少々お時間が掛かったようですが、大事ありませんか?」

 腰を落とし、目に涙を浮かべながら私を見上げるユキメ。彼女は私の身体を事細かく確認し、契りの際に傷つけた指を発見する。

「血が。いま手当いたします!」

 袴の袖を爪で切り取り、それを私の指に優しく巻き付ける。だが、あの滝行の後にこのテンションは少し疲れる。

「大丈夫だよユキメ。これくらいの傷」
「なりませぬ! この貴いお体に不純物を入れてしまうのは言語道断」

 可愛い。あれだけクールで凛としているユキメが今、私のためにここまで取り乱している。しかしこの世界に来てからどうにも美女ばかりに囲まれる。趣味が変わりそうだ。

「ありがとうユキメ」

 黒みつのように艶やかなその髪に、私はそっと手を置いた。すると傷の手当てに集中していたユキメが、はっとした表情で私を見上げる。

「あ、ああ。身に余る幸福ッ!」

 彼女はそのまま床に手を着き、その頭も同様に床に打ち付けた。ヨウ家ラヴなのは嬉しいが、他人の目があることも知って欲しい。

「して、ソウ様の清く貴い血を口にしたのは、どの神にございますか?」

 ユキメの言葉を聞き、これまで無関心だった糸目の男も、変わらず無関心を装いながら、待ちわびていたかのように薄く目を開く。

「名前が難しい神様だったよ。太陽の神様って言ってたっけ?」
 
 天陽大神だ。しかし私は子供らしさを出すために、あえて言葉を濁した。
 ――――ふふふ。一体どんな顔で驚くんだろうな。さあ見せてくれその痴態を。

「太陽神だとッ!」

 薄く開きかかっていた糸目が、今では誰よりも大きく見開いている。
 そうだろ、そうだろ。お前のボスと私は契約したのよ。

「大御神がなに故このような小娘と!」

 分かる。その気持ちはよく分かる。自分が尊敬して止まない神様が、私みたいなぽっと出と血を交わしたんだ。妻を寝取られた様な気持ちはよく分かる。
 ――――でもだからといって、私の襟元を掴むのはやめてほしい。苦しいから。

「手を離せ」

 私を掴む男神に、声を強張らせたユキメが立ちはだかる。それなのに私は、ユキメが怖くてその顔を見られない。
 神が配分を間違えて作った様な顔が、今どのように歪んでいるのか。気にもならないし、気にしたくもない。

「ユキメ、大丈夫ッ、退がって!」
 私の必死の声掛けも届かず、振り絞った言葉は虚しく空に散る。
「……う、うぬは、自分が何をしているのか、分かっておるのか?」

 そう言う男の額には汗が伝う。目線はバラバラで、一か所に留まらず泳いでいるが、それは決してユキメの顔には向かなかった。
 
 ――――しかしこれは不味い。いくら位が低いとは言えど、相手は|天つ神(あまつかみ)だ。ユキメを止めないと彼女自身に処罰が下される。

「台下こそ、大御神の神使に無礼を働いておるのが分からぬのか?」

 ユキメの言葉を聞くと、男神は面白くなさそうに舌打ちをし、そのまま私を掴む手を離した。
 
 ……でもちょっと待てよ。糸目の男神はユキメの言葉に何も言い返さなかった。もしかして今のあたしって、神様レベルに偉い感じ?

「…………失礼を致した」

 めっちゃ悔しそうだなあ。そんなに偉いのかあの神様は。ゲームで例えるなら、ガチャで激レア引いた感じか?

「お聞き入れ感謝申す。……さあ、参りましょうソウ様」

ユキメは男神に最敬礼をすると、今度は私の手を引いて歩き出す。いつも通りの美しい顔で微笑みながら。

 そうして拝殿を出ると、石柱の上から私を見下ろしていた狛犬が、今では手のひらを返したかのように地べたで首を垂れている。怖かったはずの顔も、今ではまるで子犬の様だ。

「ねえユキメ。天陽大神はそんなに偉い神様なの?」
 行きとは違い、どこか満足そうな表情で歩くユキメに私は問う。
「ええ! それはもう貴い神にございます。この世で、大御神より位の高い神は存在しません……」

 嬉しそうに話すユキメを見て、私の気分も少し和らいだ。ずっと不安だったけど、彼女を失望させずに済んでよかった。

「そしてその品位の高さ故、大御神と契りを交わせた神使は、この世に一人としていませんでした。流石はヨウ家の御子であります!」

 この世界であたし一人!? 待て待て待て。という事はつまり、私は現時点で最強の龍人になったって事なのか? 

 それはそれで…………。

「――――激アツすぎるぅ」

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」 公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。 血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

処理中です...