487 / 550
◇482 スキル【触手】をGETした!
しおりを挟む
首領栗フィッシュのHPは失われ、全身が粒子となって消えてしまう。
アキラたちの勝利に終わったはいいものの、かなり苦戦を強いられた。
腰を落としたアキラはホッと一息を付くと、地面に座り込んでしまった。
「はぁー。ああ、立てないよ」
「大丈夫ー、アキラ?」
「うん。大丈夫だけど、少し疲れちゃったよ」
「そっかー。ごめんね、私たちが遅れちゃって」
フェルノは自分が助けに遅れたことを気にしてしまう。
だけどアキラからしてみれば助けに来てくれただけでありがたかった。
友達の絆を再確認すると、武器も無しで来てくれた雷斬のことを見つめた。
「雷斬もありがとう。でも手刀で倒すとは思わなかったよ」
「いえ、私が我儘なだけですから。それに手刀でも攻撃を捌き切れる相手で良かったです」
「いや、捌き切っちゃうのが凄いんだけどね」
雷斬は武器を装備していなかった。しかし手刀のみであれだけアキラたちが苦戦した相手の動きを制限してしまった。
あまりにも卓越した技術を見せられてしまい、アキラたちは言葉を失う。
とは言え全員の力で倒すことができた。アキラは一人では倒せなかったと実感する。
友達を信じたおかげでここまで来られたと思い、ふと視線を落とすとレベルが上がっていた。
「あっ、久しぶりにレベルが上がってる」
「レベルって、意味なくない?」
「うん。でもレベルが上がるとHPが少し増えるでしょ? それが嬉しいんだよ」
「アキラって謙虚だねー。ちなみに新しいスキルは? 最近【キメラハント】でスキルを奪ってないでしょー?」
フェルノはアキラが最近スキルを奪えていないことを気にした。
言われてみれば確かにそうかもしれない。アキラもハッとなってしまう。
【キメラハント】でスキルを奪えるかどうかはかなり鬼門。
それもそのはず、このスキルの仕様はかなり難儀なものだった。
「【キメラハント】って、自分が最大のダメージを与えないといけないんだよ? しかも確実に奪えるかは相手の芯を掴まないといけない。私、武術に凄く精通している訳じゃないから分からないから、ほとんど確立になっちゃうんだよね」
「確かにここ最近は私たちが前線に出過ぎていましたね」
「私は遊撃担当だからね。でも今回は頑張ったから、なにかスキルが手に入っていたら嬉しいなー。なんてね」
アキラは【キメラハント】でスキルを奪えていないか期待した。
とは言え期待が空回りしちゃうかもしれない。
そんな不安に襲われながらも意識をすんなり切り替えると、メニューからスキルを確認した。すると目の前にポップした画面には、アキラの期待以上のものが浮かび上がる。
固有スキル:【キメラハント】
『新しいスキルを略奪しました。首領栗フィッシュ:【触手】』
本当にスキルを奪っていた。
口元を抑えると、アキラは久々に手に入れたスキルに嬉しくなる。
しかも今回手に入れたスキルはあんなに苦戦を強いられた触手攻撃。
もしも上手く扱うことができれば、今までにない強力な武器になる。
【甲蟲】+【灰爪】や【月跳】に変わる第三の戦術を取り入れることができるのだ。
「どうしたの、アキラ?」
「なにかあったんですか? それにその表情は……」
「うん。新しいスキルを手に入れたよ。変幻自在の攻撃がまたできるかも。しかもこのタイミングはかなり強そうかも」
アキラは一人で嬉しくなってしまう。けれどフェルノも雷斬も同じように喜んでくれた。
ここまで新スキルを略奪できていなかったアキラが成長することは、即ち全員の幅を大きく広げることになる。新たな道が切り開かれると共に、緩やかな笑みを零した。
「やりましたね、アキラさん。これでまた強くなれました」
「うん。もしかしたら、次は一人でも首領栗フィッシュを倒せるかも」
「それはいいねー。でーも、抜け駆けはダメだよー」
「分かっているよ。でも頑張った甲斐があったよ。新スキル【触手】。今から使うのが楽しみだよ」
アキラは何だか元気が出て来た。落としていた腰が持ち上がると、膝に力が入って立ち上がることができた。
となるとここに長居する必要はもう無い。
アキラは体力が回復すると、フェルノと雷斬の顔を見回した。
「それじゃあ戻ろっか。Nightとベルが待ってるんでしょ?」
ここに居ないNightとベルは今頃手続きをしてくれている。
早く二人にも勝利の報告と得られたたくさんの報酬を話したい。
その気持ちに気が付いたフェルノと雷斬もコクリと首を縦に振ると、森を抜けて最短距離でファストに戻ることにした。
アキラたちの勝利に終わったはいいものの、かなり苦戦を強いられた。
腰を落としたアキラはホッと一息を付くと、地面に座り込んでしまった。
「はぁー。ああ、立てないよ」
「大丈夫ー、アキラ?」
「うん。大丈夫だけど、少し疲れちゃったよ」
「そっかー。ごめんね、私たちが遅れちゃって」
フェルノは自分が助けに遅れたことを気にしてしまう。
だけどアキラからしてみれば助けに来てくれただけでありがたかった。
友達の絆を再確認すると、武器も無しで来てくれた雷斬のことを見つめた。
「雷斬もありがとう。でも手刀で倒すとは思わなかったよ」
「いえ、私が我儘なだけですから。それに手刀でも攻撃を捌き切れる相手で良かったです」
「いや、捌き切っちゃうのが凄いんだけどね」
雷斬は武器を装備していなかった。しかし手刀のみであれだけアキラたちが苦戦した相手の動きを制限してしまった。
あまりにも卓越した技術を見せられてしまい、アキラたちは言葉を失う。
とは言え全員の力で倒すことができた。アキラは一人では倒せなかったと実感する。
友達を信じたおかげでここまで来られたと思い、ふと視線を落とすとレベルが上がっていた。
「あっ、久しぶりにレベルが上がってる」
「レベルって、意味なくない?」
「うん。でもレベルが上がるとHPが少し増えるでしょ? それが嬉しいんだよ」
「アキラって謙虚だねー。ちなみに新しいスキルは? 最近【キメラハント】でスキルを奪ってないでしょー?」
フェルノはアキラが最近スキルを奪えていないことを気にした。
言われてみれば確かにそうかもしれない。アキラもハッとなってしまう。
【キメラハント】でスキルを奪えるかどうかはかなり鬼門。
それもそのはず、このスキルの仕様はかなり難儀なものだった。
「【キメラハント】って、自分が最大のダメージを与えないといけないんだよ? しかも確実に奪えるかは相手の芯を掴まないといけない。私、武術に凄く精通している訳じゃないから分からないから、ほとんど確立になっちゃうんだよね」
「確かにここ最近は私たちが前線に出過ぎていましたね」
「私は遊撃担当だからね。でも今回は頑張ったから、なにかスキルが手に入っていたら嬉しいなー。なんてね」
アキラは【キメラハント】でスキルを奪えていないか期待した。
とは言え期待が空回りしちゃうかもしれない。
そんな不安に襲われながらも意識をすんなり切り替えると、メニューからスキルを確認した。すると目の前にポップした画面には、アキラの期待以上のものが浮かび上がる。
固有スキル:【キメラハント】
『新しいスキルを略奪しました。首領栗フィッシュ:【触手】』
本当にスキルを奪っていた。
口元を抑えると、アキラは久々に手に入れたスキルに嬉しくなる。
しかも今回手に入れたスキルはあんなに苦戦を強いられた触手攻撃。
もしも上手く扱うことができれば、今までにない強力な武器になる。
【甲蟲】+【灰爪】や【月跳】に変わる第三の戦術を取り入れることができるのだ。
「どうしたの、アキラ?」
「なにかあったんですか? それにその表情は……」
「うん。新しいスキルを手に入れたよ。変幻自在の攻撃がまたできるかも。しかもこのタイミングはかなり強そうかも」
アキラは一人で嬉しくなってしまう。けれどフェルノも雷斬も同じように喜んでくれた。
ここまで新スキルを略奪できていなかったアキラが成長することは、即ち全員の幅を大きく広げることになる。新たな道が切り開かれると共に、緩やかな笑みを零した。
「やりましたね、アキラさん。これでまた強くなれました」
「うん。もしかしたら、次は一人でも首領栗フィッシュを倒せるかも」
「それはいいねー。でーも、抜け駆けはダメだよー」
「分かっているよ。でも頑張った甲斐があったよ。新スキル【触手】。今から使うのが楽しみだよ」
アキラは何だか元気が出て来た。落としていた腰が持ち上がると、膝に力が入って立ち上がることができた。
となるとここに長居する必要はもう無い。
アキラは体力が回復すると、フェルノと雷斬の顔を見回した。
「それじゃあ戻ろっか。Nightとベルが待ってるんでしょ?」
ここに居ないNightとベルは今頃手続きをしてくれている。
早く二人にも勝利の報告と得られたたくさんの報酬を話したい。
その気持ちに気が付いたフェルノと雷斬もコクリと首を縦に振ると、森を抜けて最短距離でファストに戻ることにした。
11
お気に入りに追加
208
あなたにおすすめの小説
いや、一応苦労してますけども。
GURA
ファンタジー
「ここどこ?」
仕事から帰って最近ハマってるオンラインゲームにログイン。
気がつくと見知らぬ草原にポツリ。
レベル上げとモンスター狩りが好きでレベル限界まで到達した、孤高のソロプレイヤー(とか言ってるただの人見知りぼっち)。
オンラインゲームが好きな25歳独身女がゲームの中に転生!?
しかも男キャラって...。
何の説明もなしにゲームの中の世界に入り込んでしまうとどういう行動をとるのか?
なんやかんやチートっぽいけど一応苦労してるんです。
お気に入りや感想など頂けると活力になりますので、よろしくお願いします。
※あまり気にならないように製作しているつもりですが、TSなので苦手な方は注意して下さい。
※誤字・脱字等見つければその都度修正しています。
ーOnly Life Onlineーで生産職中心に遊んでたらトッププレイヤーの仲間入り
星月 ライド
ファンタジー
親友の勧めで遊び、マイペースに進めていたら何故かトッププレイヤーになっていた!?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
注意事項
※主人公リアルチート
暴力・流血表現
VRMMO
一応ファンタジー
もふもふにご注意ください。
【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件
こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。
だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。
好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。
これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。
※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ
最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
病弱な私はVRMMOの世界で生きていく。
べちてん
SF
生まれつき体の弱い少女、夏凪夕日は、ある日『サンライズファンタジー』というフルダイブ型VRMMOのゲームに出会う。現実ではできないことがたくさんできて、気が付くとこのゲームのとりこになってしまっていた。スキルを手に入れて敵と戦ってみたり、少し食事をしてみたり、大会に出てみたり。初めての友達もできて毎日が充実しています。朝起きてご飯を食べてゲームをして寝る。そんな生活を続けていたらいつの間にかゲーム最強のプレイヤーになっていた!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる