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◇405 専用航路を教えて貰った

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 アキラは同じギルドメンバーのNightとフェルノの三人でカカオ豆を採りに向かった。
 如何やらソウラが言うにアクア・カカオ豆はこの時期にしか採れない希少品で、特定のエリアにしか生らないらしい。
 しかもそこに行くには海を越える必要があるそうだ。
 港町に未だ行ったことの無いアキラたちが果たして無事に辿り着けるかと思ったのも束の間。まずはギルド会館に情報を求めて行ってみると、意外なことを言われてしまった。

「アクア・カカオ豆の生る島ですか? それでしたらちょうどいい依頼がありますよ」

 ギルド会館で働くNPCで金髪が素敵な女性ルーミラ。
 屈託のない笑みを浮かべてニコニコ話してくれる彼女によると、如何やらアクア・カカオ豆入手の依頼があるらしい。
 これは一石二鳥なのでは? アキラはそう睨み早速依頼を受けてみる。

「それって受けれますか?」
「勿論受けることができますよ。継ぎ接ぎの絆の皆様はランクも十分ですから」

 最近はギルドの依頼をちょこちょこ受けていた。
 そのおかげか、いつの間にかランクCになっていた。
 だけどその実感はまるでなく、ギルドも未だに小さいまま。響姫が来るのを待つばかりで、今日も三人だけだった。がしかし、ルーミラは精鋭だと褒めてくれた。

「たった五人のギルドでランクCになってしまうのは凄いことですよ。まさしく精鋭集団ですね」

 手を合わせてにこやかに讃えてくれた。
 嬉しさが伝わったのか、フェルノが耳元で口添えする。

「褒められたよー」
「そうだね。頑張って来た甲斐があったよ」
「ほとんど依頼は受けていないがな」
「ちょっとNight、そんなこと言わないでよー」
「そうだな。すまない」

 三人はルーミラとの会話の中で、心の余裕が出て来た。
 しかしアクア・カカオ豆の依頼を受けた以上は成果を出さないといけない。
 失敗したら違約金が発生するからな上、如何やって行けばいいか、これから考えないといけなかった。

「それじゃあ港まで行こっか」
「そうだな。初めて行く場所だが、確か地図によるとここから……」

 マップを開こうとするNight。その行動を未然に止めるようにルーミラは声を掛けた。
 何やら言いたいことがあるようなので、先に耳を傾ける。
 するとアクア・カカオ豆の生る島の場所まで直行する航路があるらしい。

「港に行く必要はありませんよ。アクア・カカオ豆の生るとされるアークラー島は絶海の孤島です。周囲の波は高く、特定の航路でしか行くことは不可能だとされています」
「それじゃあ港に行っても乗せてはくれないと」
「そう言うことです。ですので、こちらから航路を提示させていただきますね」

 ルーミラはギルド会館の奥へと通してくれた。
 普通ならこんなことできないはずだが、今回の様な通常プレイでは行けない場所にはギルド側から送ってくれるらしい。これは便利だと思う反面、今までもギルドをもっと頼っていたら楽だったのでは? と明輝は嫌な事実に気付いてしまった。
 すぐに意識を切り替えて忘れることにして、心機一転でルーミラの後を続く。

「この先に何があるんだ?」
「行けば分かりますよ。この先にあるのは、皆様のギルドホームに続く扉とはまた一つ異なる扉です」
「次元転移用の扉型ポータルか」
「SFだなー」

 今更言っても遅かった。
 ここがGAMEの世界だから仕方ないのだが、一体どんな扉か気になる。
 きっともの凄く大きな扉なんだろうなと思ったが、ルーミラはスッと立ち止まった。

「ここです」
「えっ、ここ!?」

 普通の通路だった。真っ暗だからほとんど何も見えないが、確かに狭い通路の半分を少し過ぎた辺りで足が止まったのだ。
 ここに一体何があるのか。アキラたちは扉らしきものは無く、通路の壁を触っては見たもののスイッチらしいものも何も無かった。

「おかしい。何も無いならここに来た意味は」
「期待して損しちゃったー」
「勝手な期待だったけどね。えっと、なにか特別な方法をする必要があるんですか?」

 ルーミラにアキラは尋ねる。
 するとルーミラは「下ですよ」と教えてくれた。
 「下?」と首を捻ったが、確かに壁の下の方に目をやると、小さな四角い扉が付いていた。

「な、なにこの四角? しかも取っ手が付いてる」
「もしかしてコレが扉か?」
「はい、こちらがアークラー島までの航路がある扉になります」
「「「想像と違う」」」

 三人は見事にハモった。なんだかコレじゃない感が強い。
 けれどルーミラが言うのだからきっと大丈夫だと信じるしかない。
 アキラが代表して扉を開けてみると、ウネウネとした虹色の光りが迸っていた。

「本当だ。他の扉とおんなじ光り方してるよ」
「と言うことは信じても良さそうだな。なにかあれば強制ログアウトされるだろ」
「それが前提なのー?」
「それでも行くしかないんだよね」
「そう言うことだ。ルーミラ」
「はい!」

 Nightはルーミラに尋ねた。
 いい返事で返されると、「小舟はどうする?」と要求した。
 するとルーミラは「大丈夫です」とはっきり答えた。なにも用意しなくても良いと悟り、アキラたちは扉の中に四つん這いになって潜るのだった。
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