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◇393 約束、覚えているよね?
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空は今日も少し黒い雲が多い、何処となく冷たい風が勢いを増す今日この頃。
季節は二月になっていた。冬の寒さもいつも以上に厳しくなる。
春の暖かさにはまだほんのり遠く、ギルドホームでボーっとしていたアキラは暇にしていた。
「今日は誰も来ない」
みんな忙しいのだろうか。
雷斬とベルは部活が忙しいので来られないとは思っていた。
もちろんフェルノもそうだ。今日はテニス部がある日で、今頃ラケットを振り抜いているはずだ。
「まさかNightまでいないなんて……」
Nightはいつも暇なのか、ずっとログインしていた。
けれど今日はギルドホームに影も形もない。
いつもなら話し相手になってくれる人が居ないので、アキラも流石にログアウトをしようとした。
そんな折だった。急にメッセージが届いたのだ。
[アキラ、今から会えるかな?]
誰かだろうと思って差出人を確認。それは珍しい相手だった。
アキラは瞬きをして口をパクパクさせた。
「けみーさん? 如何して私に呼び出しを……ん?」
相手はけみーだった。それにしても、まさかけみーからメッセージが届くとは思わなかった。
一応フレンド登録はしていたのだが、今までこうした呼び出しを受けたことはない。
なにかあったのかもしれない。そう思ったアキラは早速けみーの下に行ってみることにした。
「多分店に居るよね? そこしか知らないもん」
アキラはギルドホームを出てDeep Skyのアイテム屋に向かう。
そこにけみーがいる確信は無いのだが、そこしか居そうな場所を知らなかった。
今日もDeep Skyのアイテム屋兼ギルドホームにやって来た。
目の前の道には誰一人として歩いていない。
隠れ家的な要素がより一層際立つ中、アキラは店の扉を開いた。
「こんにちは。けみーさん……うぉっ!?」
変な声が出てしまった。もの凄く失礼だとは気が付いていた。
けれど驚くのも無理はない。今日はソウラの姿は無く、見せのカウンターに立っていたのは、バーテンダーの格好をしたけみーだった。
「やぁ、いらっしゃい」
「けみーさんが今日の担当なんですか?」
「うん。でもソウラも居るよ。ソウラ、アキラが来たよ!」
地下室に向かって声を飛ばした。
すると壁に反響して反射したソウラの声が聴こえた。
「あっ、アキラー。来たのねー!」
少しだけ嫌な予感がした。もしかしたらまた頼まれごとかも知れない。
ちょっと今日は無理だ。何せ一人しかこっちにログインしていない。
ムッとした表情を浮かべるアキラだったが、けみーはそれを見越した上で口を開く。
「大丈夫。今日は僕のお願いだから」
「けみーさんの? あの、ソウラさんの仲介役とかじゃないですよね?」
「もちろん。今日は僕がアキラを呼んだんだよ。それそろ、あの時の約束を果たして貰っても良いと思ったんだよ。このまま長々と引っ張り続けると忘れてしまうかもしれないからね」
約束と言う言葉でピンと来た。この間謎の盾を完成させた時、けみーと約束したのだ。
けみーと戦う。それがけみーからの要望で、アキラはポンと手を叩いた。
「もしかして戦うってことですか?」
「そうだね。そろそろ体が鈍らないように、いつか来るあろうその時に備えて……ってことでね」
いつか来る時とは何なのか。アキラにはさっぱりだった。
けれどそれを抜きにして、突然の誘いに驚きを隠せない。
アキラは頬をポリポリと掻いていた。
「えっと、今日ですか?」
「今日ができれば望ましいけど……もしかして、何か用があるのかな? それならそっちを優先して貰っても構わないよ」
何と言う聖人ぶりなのか。
アキラはけみーは薄い笑みを浮かべられると、断るに断れなくなる。
あの時は本当にありがたかった。未だに盾がもの凄く役立ってはいないが大事に取ってある。それを思うとここはけみーを優先したいとアキラは思った。
「分かりました。私で良ければお願いします」
「本当かい? それじゃあ……決闘と言う形で一対一のPvPをしようか」
「はい!」
けみーはカウンターから出る。
服を着替え、アキラの前に立つと早速店を出ようとした。
けれどその後ろ姿を止められてしまった。もちろん止めたのはソウラだった。
「ちょっと待ってけみー、アキラ!」
「ソウラ、如何したんだい?」
「如何したって、今から行くの?」
「うん。大丈夫、店番の方は少しだけピーコに任せることになっているから」
今日もピーコはログインしているようで、先手を打ってけみーは頼んでいたらしい。
このことから鼻っから今日を予定していたらしく、用意周到だと感心した。
「そうじゃなくて、その決闘に私も付いて行ってもいいかしら?」
「ソウラも? 僕は構わないよ。アキラは?」
「私も大丈夫ですよ」
「良かった。二人の戦いぶり、私も見学したかったのよ」
ソウラは胸を撫で下ろした。
そこまでアキラとけみーの決闘を楽しみにしてくれていると何だか嬉しい。
ギャラリーもできたので、二人はコクコクと無言の相槌を打ち合うと恥じない決闘にすることにした。
季節は二月になっていた。冬の寒さもいつも以上に厳しくなる。
春の暖かさにはまだほんのり遠く、ギルドホームでボーっとしていたアキラは暇にしていた。
「今日は誰も来ない」
みんな忙しいのだろうか。
雷斬とベルは部活が忙しいので来られないとは思っていた。
もちろんフェルノもそうだ。今日はテニス部がある日で、今頃ラケットを振り抜いているはずだ。
「まさかNightまでいないなんて……」
Nightはいつも暇なのか、ずっとログインしていた。
けれど今日はギルドホームに影も形もない。
いつもなら話し相手になってくれる人が居ないので、アキラも流石にログアウトをしようとした。
そんな折だった。急にメッセージが届いたのだ。
[アキラ、今から会えるかな?]
誰かだろうと思って差出人を確認。それは珍しい相手だった。
アキラは瞬きをして口をパクパクさせた。
「けみーさん? 如何して私に呼び出しを……ん?」
相手はけみーだった。それにしても、まさかけみーからメッセージが届くとは思わなかった。
一応フレンド登録はしていたのだが、今までこうした呼び出しを受けたことはない。
なにかあったのかもしれない。そう思ったアキラは早速けみーの下に行ってみることにした。
「多分店に居るよね? そこしか知らないもん」
アキラはギルドホームを出てDeep Skyのアイテム屋に向かう。
そこにけみーがいる確信は無いのだが、そこしか居そうな場所を知らなかった。
今日もDeep Skyのアイテム屋兼ギルドホームにやって来た。
目の前の道には誰一人として歩いていない。
隠れ家的な要素がより一層際立つ中、アキラは店の扉を開いた。
「こんにちは。けみーさん……うぉっ!?」
変な声が出てしまった。もの凄く失礼だとは気が付いていた。
けれど驚くのも無理はない。今日はソウラの姿は無く、見せのカウンターに立っていたのは、バーテンダーの格好をしたけみーだった。
「やぁ、いらっしゃい」
「けみーさんが今日の担当なんですか?」
「うん。でもソウラも居るよ。ソウラ、アキラが来たよ!」
地下室に向かって声を飛ばした。
すると壁に反響して反射したソウラの声が聴こえた。
「あっ、アキラー。来たのねー!」
少しだけ嫌な予感がした。もしかしたらまた頼まれごとかも知れない。
ちょっと今日は無理だ。何せ一人しかこっちにログインしていない。
ムッとした表情を浮かべるアキラだったが、けみーはそれを見越した上で口を開く。
「大丈夫。今日は僕のお願いだから」
「けみーさんの? あの、ソウラさんの仲介役とかじゃないですよね?」
「もちろん。今日は僕がアキラを呼んだんだよ。それそろ、あの時の約束を果たして貰っても良いと思ったんだよ。このまま長々と引っ張り続けると忘れてしまうかもしれないからね」
約束と言う言葉でピンと来た。この間謎の盾を完成させた時、けみーと約束したのだ。
けみーと戦う。それがけみーからの要望で、アキラはポンと手を叩いた。
「もしかして戦うってことですか?」
「そうだね。そろそろ体が鈍らないように、いつか来るあろうその時に備えて……ってことでね」
いつか来る時とは何なのか。アキラにはさっぱりだった。
けれどそれを抜きにして、突然の誘いに驚きを隠せない。
アキラは頬をポリポリと掻いていた。
「えっと、今日ですか?」
「今日ができれば望ましいけど……もしかして、何か用があるのかな? それならそっちを優先して貰っても構わないよ」
何と言う聖人ぶりなのか。
アキラはけみーは薄い笑みを浮かべられると、断るに断れなくなる。
あの時は本当にありがたかった。未だに盾がもの凄く役立ってはいないが大事に取ってある。それを思うとここはけみーを優先したいとアキラは思った。
「分かりました。私で良ければお願いします」
「本当かい? それじゃあ……決闘と言う形で一対一のPvPをしようか」
「はい!」
けみーはカウンターから出る。
服を着替え、アキラの前に立つと早速店を出ようとした。
けれどその後ろ姿を止められてしまった。もちろん止めたのはソウラだった。
「ちょっと待ってけみー、アキラ!」
「ソウラ、如何したんだい?」
「如何したって、今から行くの?」
「うん。大丈夫、店番の方は少しだけピーコに任せることになっているから」
今日もピーコはログインしているようで、先手を打ってけみーは頼んでいたらしい。
このことから鼻っから今日を予定していたらしく、用意周到だと感心した。
「そうじゃなくて、その決闘に私も付いて行ってもいいかしら?」
「ソウラも? 僕は構わないよ。アキラは?」
「私も大丈夫ですよ」
「良かった。二人の戦いぶり、私も見学したかったのよ」
ソウラは胸を撫で下ろした。
そこまでアキラとけみーの決闘を楽しみにしてくれていると何だか嬉しい。
ギャラリーもできたので、二人はコクコクと無言の相槌を打ち合うと恥じない決闘にすることにした。
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