363 / 575
◇361 水神の護符
しおりを挟む
アキラたちはギルドホームへと戻って来た。
ここはとある島。
海の上に浮かんでいて、広大な森や火山、謎の石板、それから青い海、色んなものがハチャメチャに固まっている。
そこにポツンと建てられているのがこのギルドホーム。
二階建てになっていて、中にはピーコックから買い取った家具が置かれている。
正直前衛的なものもあり、アキラたちには価値が分からないものも多いけれど、カラフルなそれぞれのイメージカラーに合った椅子は気に入っていた。
「何処に置こうか??」
「神棚があればそこに置いたのですが……」
正直、和ではなく洋をイメージしている建築物のため、神棚などは設置していない。
アキラたちはせっかくに手に入れた龍の髭二つを手に、飾る場所に困る。
「もう、ここしかないかなー?」
フェルノは視線の先を見つめていた。
そこにあるのは食器棚。まさかの食器棚の中に飾ろうとしていた。
「流石にダメだよフェルノ。罰当たりだって起こられちゃうよ!」
主に雷斬とアクアドラゴンご本人から。
実際、雷斬も「それは流石に……」と圧を掛けていた。
しかしアキラの呼びかけにフェルノも「流石にしないよー」と笑って答える。
とは言え最適な場所はそうない。何処に設置するか迷っている間に、Nightは何か作業をしていた。
「【ライフ・オブ・メイク】」
「Night、何を作っているの?」
アキラは気になってNightに尋ねてみた。
すると木製の台の様なものが完成していて、壁に取り付けられそうになっていた。
「よし、完成だな」
「Night、それはなに? もしかして神棚?」
「そんなわけが無いだろ。ここに置いておく。適当に落ちても安全な場所に固定してだな」
Nightは完成した台を持ってリビングの中を見回す。
良さそうな場所が無いので、隣の部屋に移る。
そこはほとんど使っていない部屋で、ここなら大丈夫だと悟った。
「よし、この辺に設置するぞ」
「ちょっと可愛そうだね」
「そうですね。この部屋はあまり使用していないので、失礼かと思います」
「それを気にしていたら先には進めないぞ。それにここなら扉を開けて置けばリビングとも繋がる。問題は無いだろ」
おまけにNightの作った台は軽くて丈夫。
当たっても怪我はしないようになっていた。
しかも取り外しも簡単で、壁にも跡が残らない優れもの。
これなら必要に応じて適宜移動が可能なので、とりあえず飲み込むことにして、台を天井付近の壁に設置する。
「せーのっ!」
Nightは椅子に乗り、爪先を立てて台を設置しようとする。
しかしフラフラして危なかったので、アキラは心配になり体を抑える。
「危ないよNight」
ガタガタと椅子が揺れた。
見兼ねて雷斬の肩をポンとベルが叩くと、「雷斬が設置すればいいでしょ?」と一番背の高い人を指名する。
「そうですね。Nightさん、私が代わりに設置します。指示をください」
「そうか。それなら天井付近の壁。少し距離を開けて置いて、空間を作ってくれ」
「分かりました。この辺りですか?」
「その辺でいい。台の木片に付いている金具を回してくれ。ゴム製になっているから安全だ」
「本当ですね。これなら壁にも跡が残りませんね。よいしょ、これで良いですね。おお!」
しっかりと壁に台が固定されていた。
アキラたちは妙な達成感を感じたので、丁度良く雷斬に龍の髭が入ったお札を手渡す。
「雷斬、コレも代わりに置いておいて」
「分かりました。この辺りで良いでしょうか?」
雷斬はお札を置いた。
雷斬が作ってくれたものなのでかなり格好がいい。
こう見るだけで見栄えも何だか変わって来ると思った矢先、不思議な感覚が襲って来た。
グワン!
アキラたちはお札を置いて瞬間、不思議なウェーブを感じ取った。
別に目に見えるわけではなく、何となく頭の中にイメージが叩き込まれる感覚だ。
清く澄み切った水が一気に全身を取り巻く。
逃げる暇もない。抗う術もない。
だけどその必要なんて全くないほど心地よく、アキラたちは全員水の中に居る感覚に襲われた。
「今のって……もしかして、龍の髭の効果?」
「そうだとすれば本当にアクアドラゴンなのかもしれないな」
「アクアドラゴンの龍の髭。結構凄いものを手に入れちゃったね、アキラ!」
「うん。アクアドラゴンには感謝しないとね」
「うーん。うん」
フェルノは少し寂しそうにする。
何かあるのかと、アキラは声を掛けてみた。
「フェルノ、如何したの? もしかして、お腹でも痛いの?」
「そうじゃなくてさー。なんか、霞むなーって思って」
「霞むって?」
「今のってアクアドラゴンの龍の髭の効果でしょ? 私が持って帰ってきて龍の髭とは一体……」
フェルノが遠い目をしてしまった。
アキラは親友として何とか元の目に戻そうと励ます。
肩をポンと叩いて、「大丈夫だよ!」と声を掛けていた。
「だってさ、アクアドラゴン自体が例外の外に居る存在でしょ? 例外の例外はもう関係ないよ。逸脱した強さ? っているのがあるものでしょ?」
「そんなものかなー? うーん、まあ考えても仕方ないか」
フェルノは自力で這いあがった。
あまり深い溝に落ちなくて良かったと、全員が安堵していた。
「まあ、イベントの成果はぼちぼちだな」
「それは良いけど、今度は私の言うことをもっと信じてよね!」
「それは場合に寄るな。私は利己的だから」
Nightは黄昏ていた。
しかしアキラはちょっとだけ反発すると、Nightが笑みを浮かべて答える姿を見て、もう如何でも良くなった。
ここはとある島。
海の上に浮かんでいて、広大な森や火山、謎の石板、それから青い海、色んなものがハチャメチャに固まっている。
そこにポツンと建てられているのがこのギルドホーム。
二階建てになっていて、中にはピーコックから買い取った家具が置かれている。
正直前衛的なものもあり、アキラたちには価値が分からないものも多いけれど、カラフルなそれぞれのイメージカラーに合った椅子は気に入っていた。
「何処に置こうか??」
「神棚があればそこに置いたのですが……」
正直、和ではなく洋をイメージしている建築物のため、神棚などは設置していない。
アキラたちはせっかくに手に入れた龍の髭二つを手に、飾る場所に困る。
「もう、ここしかないかなー?」
フェルノは視線の先を見つめていた。
そこにあるのは食器棚。まさかの食器棚の中に飾ろうとしていた。
「流石にダメだよフェルノ。罰当たりだって起こられちゃうよ!」
主に雷斬とアクアドラゴンご本人から。
実際、雷斬も「それは流石に……」と圧を掛けていた。
しかしアキラの呼びかけにフェルノも「流石にしないよー」と笑って答える。
とは言え最適な場所はそうない。何処に設置するか迷っている間に、Nightは何か作業をしていた。
「【ライフ・オブ・メイク】」
「Night、何を作っているの?」
アキラは気になってNightに尋ねてみた。
すると木製の台の様なものが完成していて、壁に取り付けられそうになっていた。
「よし、完成だな」
「Night、それはなに? もしかして神棚?」
「そんなわけが無いだろ。ここに置いておく。適当に落ちても安全な場所に固定してだな」
Nightは完成した台を持ってリビングの中を見回す。
良さそうな場所が無いので、隣の部屋に移る。
そこはほとんど使っていない部屋で、ここなら大丈夫だと悟った。
「よし、この辺に設置するぞ」
「ちょっと可愛そうだね」
「そうですね。この部屋はあまり使用していないので、失礼かと思います」
「それを気にしていたら先には進めないぞ。それにここなら扉を開けて置けばリビングとも繋がる。問題は無いだろ」
おまけにNightの作った台は軽くて丈夫。
当たっても怪我はしないようになっていた。
しかも取り外しも簡単で、壁にも跡が残らない優れもの。
これなら必要に応じて適宜移動が可能なので、とりあえず飲み込むことにして、台を天井付近の壁に設置する。
「せーのっ!」
Nightは椅子に乗り、爪先を立てて台を設置しようとする。
しかしフラフラして危なかったので、アキラは心配になり体を抑える。
「危ないよNight」
ガタガタと椅子が揺れた。
見兼ねて雷斬の肩をポンとベルが叩くと、「雷斬が設置すればいいでしょ?」と一番背の高い人を指名する。
「そうですね。Nightさん、私が代わりに設置します。指示をください」
「そうか。それなら天井付近の壁。少し距離を開けて置いて、空間を作ってくれ」
「分かりました。この辺りですか?」
「その辺でいい。台の木片に付いている金具を回してくれ。ゴム製になっているから安全だ」
「本当ですね。これなら壁にも跡が残りませんね。よいしょ、これで良いですね。おお!」
しっかりと壁に台が固定されていた。
アキラたちは妙な達成感を感じたので、丁度良く雷斬に龍の髭が入ったお札を手渡す。
「雷斬、コレも代わりに置いておいて」
「分かりました。この辺りで良いでしょうか?」
雷斬はお札を置いた。
雷斬が作ってくれたものなのでかなり格好がいい。
こう見るだけで見栄えも何だか変わって来ると思った矢先、不思議な感覚が襲って来た。
グワン!
アキラたちはお札を置いて瞬間、不思議なウェーブを感じ取った。
別に目に見えるわけではなく、何となく頭の中にイメージが叩き込まれる感覚だ。
清く澄み切った水が一気に全身を取り巻く。
逃げる暇もない。抗う術もない。
だけどその必要なんて全くないほど心地よく、アキラたちは全員水の中に居る感覚に襲われた。
「今のって……もしかして、龍の髭の効果?」
「そうだとすれば本当にアクアドラゴンなのかもしれないな」
「アクアドラゴンの龍の髭。結構凄いものを手に入れちゃったね、アキラ!」
「うん。アクアドラゴンには感謝しないとね」
「うーん。うん」
フェルノは少し寂しそうにする。
何かあるのかと、アキラは声を掛けてみた。
「フェルノ、如何したの? もしかして、お腹でも痛いの?」
「そうじゃなくてさー。なんか、霞むなーって思って」
「霞むって?」
「今のってアクアドラゴンの龍の髭の効果でしょ? 私が持って帰ってきて龍の髭とは一体……」
フェルノが遠い目をしてしまった。
アキラは親友として何とか元の目に戻そうと励ます。
肩をポンと叩いて、「大丈夫だよ!」と声を掛けていた。
「だってさ、アクアドラゴン自体が例外の外に居る存在でしょ? 例外の例外はもう関係ないよ。逸脱した強さ? っているのがあるものでしょ?」
「そんなものかなー? うーん、まあ考えても仕方ないか」
フェルノは自力で這いあがった。
あまり深い溝に落ちなくて良かったと、全員が安堵していた。
「まあ、イベントの成果はぼちぼちだな」
「それは良いけど、今度は私の言うことをもっと信じてよね!」
「それは場合に寄るな。私は利己的だから」
Nightは黄昏ていた。
しかしアキラはちょっとだけ反発すると、Nightが笑みを浮かべて答える姿を見て、もう如何でも良くなった。
0
お気に入りに追加
221
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
私が出て行った後、旦那様から後悔の手紙がもたらされました
新野乃花(大舟)
恋愛
ルナとルーク伯爵は婚約関係にあったが、その関係は伯爵の妹であるリリアによって壊される。伯爵はルナの事よりもリリアの事ばかりを優先するためだ。そんな日々が繰り返される中で、ルナは伯爵の元から姿を消す。最初こそ何とも思っていなかった伯爵であったが、その後あるきっかけをもとに、ルナの元に後悔の手紙を送ることとなるのだった…。
後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~
夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。
多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』
一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。
主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!!
小説家になろうからの転載です。
世紀末ゾンビ世界でスローライフ【解説付】
しおじろう
SF
時は世紀末、地球は宇宙人襲来を受け
壊滅状態となった。
地球外からもたされたのは破壊のみならず、
ゾンビウイルスが蔓延した。
1人のおとぼけハク青年は、それでも
のんびり性格は変わらない、疲れようが
疲れまいがのほほん生活
いつか貴方の生きるバイブルになるかも
知れない貴重なサバイバル術!
最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした
水の入ったペットボトル
SF
これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。
ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。
βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?
そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。
この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる