276 / 568
◇275 イヴの集い(一年目)
しおりを挟む
シャンシャンシャーン!
シャンシャンシャーン!
シャンシャンシャンシャシャーン!
ログインしてみると、いつもとは違う雰囲気だった。
しかもBGMが流れているようで、GAMEオリジナルに編曲されたクリスマスらしい曲だった。
「凄い。凄い凄い凄い!」
「はしゃぐな。馬鹿みたいだ」
興奮しているアキラをNightは咎めた。
アキラの興奮はフェルノにも伝わっていた。
頭の上ではいつものように腕を組んでいたが、キラキラと輝いている街並みに目を奪われてしまっていた。
「まあいいじゃんかー」
「フェルノ……仲間が居て良かったー」
アキラは感激していた。
フェルノだけではないが、雷斬もベルもきっと同じ気持ちだろうと推測した。
今回のイベントは初めてのクリスマスイベントだから準備が大変だった。
何もかもを用意しないといけないのでこうして無事に開催できたことに強烈な達成感を抱いた。
その感動に比べればと、フェルノはちょっとだけ意地悪を言ってみた。
「そうそう。最近ログインして無かったNightさんには分からないんだよねー」
フェルノは鋭い目でNightを見た。
完全に煽っていたが、それを踏まえてアキラはふと思い出した。
話に乗った方が面白いと思ったのだ。
「そう言えばNight」
「何だ?」
「今日は居るんだね」
アキラもここ最近ログインしていなかったNightを煽った。
すると腰に手を当てて自信満々だった。
「ああ。アキラとフェルノのおかげでデバッグも終わったからな。今まで通りのんびりできる。助かった」
普通に感謝されてしまった。
アキラとフェルノは瞬きをして顔を見合わせると、何故か体を震わせた。
「う、うわぁ……こうやってNightが突然感謝すると違和感が……」
「そ、そうだね。しかも自分から意図した満面の笑みが逆に不気味……いや、これはこれで逆に有り?」
「お前たち、私を何だと思っているんだ」
Nightはいつも通りに戻った。
鋭い目付きでアキラたちを睨みつけると、怒るのも億劫になったのか、先に行ってしまった。
「もういい。行くぞ」
「「何処に?」」
Nightは転びそうになった。
今日は気分が良いのか、アクションが少しオーバーだった。
心の余裕が自分のアバターにも反映されていた。
「雷斬とベルと待ち合わせしているだろ」
「それはそうだけど……」
アキラとフェルノは固まってしまった。
それもそのはずで、元気なNightはいつもと違って新鮮だった。
「とりあえずは集合場所まで行くぞ。三十分も前に前のりしている私たちが悪いからな」
「それはそうだけど……多分気にしないと思うよ?」
「それじゃあ何だ。久しぶりにストレスの無くなった私がそんなに不自然か?」
「それも違うよ。ただね……まさか反対側に出るとは……」
「この先を突っ切るの勇気いるよね」
フェルノが代弁してくれた。
目の前にはたくさんの人だかりができていて、ギルドの裏口から出てきたことを後悔していた。
如何してこんなことになったのか、それはアキラたちが先にログインしていたからだ。
今から三十分前にログインした際、ギルド会館の外はたくさんの人だかりができていた。
「うわぁ、凄い人だね!」
アキラはあまりの人の多さに目を奪われてしまった。
ギルド会館から一歩足を踏み出そうものなら、人混みの中に飲み込まれてしまうんじゃないかと思ってしまった。
「それじゃあ早速……」
「待った待った。そのまま突き進んだら大変なことになっちゃうでしょー」
フェルノに首根っこを掴まれてしまった。
アキラは危うく人の中に溶けそうになったところを助けて貰った。
「うわぁ、急に如何したの?」
「急にじゃなくってさ、流石にこの中を突っ切るのは無理でしょ?」
「そうだな。このまま闇雲に人の中に溶けられれば合流は難しくなる」
Nightの言うことはもっともだった。
とは言え雷斬たちとの合流地点は、噴水広場の方だ。
こことは距離が離れていた。
今から勝手な都合でギルド会館集合とは言い難い上に、ギルド会館にはたくさんの人が集まっていた。
ここに集まればより一層自由に動けなくなりそうだ。
そこでNightは提案した。
「仕方ない。一旦裏口から出るぞ」
「「裏口?」」
「ああ。このギルド会館の裏口から反対側に出て、まだ少しは空いていそうな路地を抜けて広場に向かう。それが妥当だろ」
Nightはアキラたちに提案した。
とても良い案だとアキラたちも納得して裏口から外に出た。
すると確かに人は少なかった。
空いている狭い路地を通り、大通りに出たは良いが、ここからが本当の問題だった。
「まあここまでは予定通りだが……」
「クリスマスイベントって凄いね。ハロウィンイベントが今年はあまり盛り上がらなかったからかな?」
「可能性はあるねー。でもさ、流石にこれはやりすぎじゃないのー?」
大通りにはたくさんのお店が並んでいた。
そこにはサンタやトナカイの格好をした人達が多く居た。
如何やらハロウィンの弊害がここに来て出てきてしまった。
圧倒的な盛り上がりを見せるのは良いのだが、このままだと合流はまず難しかった。
「仕方ないな。反対側に出たのは私たちの責任だ」
「責任問題なのかな?」
「とりあえず雷斬たちとの合流は後回しだな。メッセージを送って」
Nightは半分諦めてしまっていた。
如何やら別行動で楽しむことになりそうだ。
シャンシャンシャーン!
シャンシャンシャンシャシャーン!
ログインしてみると、いつもとは違う雰囲気だった。
しかもBGMが流れているようで、GAMEオリジナルに編曲されたクリスマスらしい曲だった。
「凄い。凄い凄い凄い!」
「はしゃぐな。馬鹿みたいだ」
興奮しているアキラをNightは咎めた。
アキラの興奮はフェルノにも伝わっていた。
頭の上ではいつものように腕を組んでいたが、キラキラと輝いている街並みに目を奪われてしまっていた。
「まあいいじゃんかー」
「フェルノ……仲間が居て良かったー」
アキラは感激していた。
フェルノだけではないが、雷斬もベルもきっと同じ気持ちだろうと推測した。
今回のイベントは初めてのクリスマスイベントだから準備が大変だった。
何もかもを用意しないといけないのでこうして無事に開催できたことに強烈な達成感を抱いた。
その感動に比べればと、フェルノはちょっとだけ意地悪を言ってみた。
「そうそう。最近ログインして無かったNightさんには分からないんだよねー」
フェルノは鋭い目でNightを見た。
完全に煽っていたが、それを踏まえてアキラはふと思い出した。
話に乗った方が面白いと思ったのだ。
「そう言えばNight」
「何だ?」
「今日は居るんだね」
アキラもここ最近ログインしていなかったNightを煽った。
すると腰に手を当てて自信満々だった。
「ああ。アキラとフェルノのおかげでデバッグも終わったからな。今まで通りのんびりできる。助かった」
普通に感謝されてしまった。
アキラとフェルノは瞬きをして顔を見合わせると、何故か体を震わせた。
「う、うわぁ……こうやってNightが突然感謝すると違和感が……」
「そ、そうだね。しかも自分から意図した満面の笑みが逆に不気味……いや、これはこれで逆に有り?」
「お前たち、私を何だと思っているんだ」
Nightはいつも通りに戻った。
鋭い目付きでアキラたちを睨みつけると、怒るのも億劫になったのか、先に行ってしまった。
「もういい。行くぞ」
「「何処に?」」
Nightは転びそうになった。
今日は気分が良いのか、アクションが少しオーバーだった。
心の余裕が自分のアバターにも反映されていた。
「雷斬とベルと待ち合わせしているだろ」
「それはそうだけど……」
アキラとフェルノは固まってしまった。
それもそのはずで、元気なNightはいつもと違って新鮮だった。
「とりあえずは集合場所まで行くぞ。三十分も前に前のりしている私たちが悪いからな」
「それはそうだけど……多分気にしないと思うよ?」
「それじゃあ何だ。久しぶりにストレスの無くなった私がそんなに不自然か?」
「それも違うよ。ただね……まさか反対側に出るとは……」
「この先を突っ切るの勇気いるよね」
フェルノが代弁してくれた。
目の前にはたくさんの人だかりができていて、ギルドの裏口から出てきたことを後悔していた。
如何してこんなことになったのか、それはアキラたちが先にログインしていたからだ。
今から三十分前にログインした際、ギルド会館の外はたくさんの人だかりができていた。
「うわぁ、凄い人だね!」
アキラはあまりの人の多さに目を奪われてしまった。
ギルド会館から一歩足を踏み出そうものなら、人混みの中に飲み込まれてしまうんじゃないかと思ってしまった。
「それじゃあ早速……」
「待った待った。そのまま突き進んだら大変なことになっちゃうでしょー」
フェルノに首根っこを掴まれてしまった。
アキラは危うく人の中に溶けそうになったところを助けて貰った。
「うわぁ、急に如何したの?」
「急にじゃなくってさ、流石にこの中を突っ切るのは無理でしょ?」
「そうだな。このまま闇雲に人の中に溶けられれば合流は難しくなる」
Nightの言うことはもっともだった。
とは言え雷斬たちとの合流地点は、噴水広場の方だ。
こことは距離が離れていた。
今から勝手な都合でギルド会館集合とは言い難い上に、ギルド会館にはたくさんの人が集まっていた。
ここに集まればより一層自由に動けなくなりそうだ。
そこでNightは提案した。
「仕方ない。一旦裏口から出るぞ」
「「裏口?」」
「ああ。このギルド会館の裏口から反対側に出て、まだ少しは空いていそうな路地を抜けて広場に向かう。それが妥当だろ」
Nightはアキラたちに提案した。
とても良い案だとアキラたちも納得して裏口から外に出た。
すると確かに人は少なかった。
空いている狭い路地を通り、大通りに出たは良いが、ここからが本当の問題だった。
「まあここまでは予定通りだが……」
「クリスマスイベントって凄いね。ハロウィンイベントが今年はあまり盛り上がらなかったからかな?」
「可能性はあるねー。でもさ、流石にこれはやりすぎじゃないのー?」
大通りにはたくさんのお店が並んでいた。
そこにはサンタやトナカイの格好をした人達が多く居た。
如何やらハロウィンの弊害がここに来て出てきてしまった。
圧倒的な盛り上がりを見せるのは良いのだが、このままだと合流はまず難しかった。
「仕方ないな。反対側に出たのは私たちの責任だ」
「責任問題なのかな?」
「とりあえず雷斬たちとの合流は後回しだな。メッセージを送って」
Nightは半分諦めてしまっていた。
如何やら別行動で楽しむことになりそうだ。
0
お気に入りに追加
221
あなたにおすすめの小説
仮想空間のなかだけでもモフモフと戯れたかった
夏男
SF
動物から嫌われる体質のヒロインがモフモフを求めて剣と魔法のVRオンラインゲームでテイマーを目指す話です。(なれるとは言っていない)
※R-15は保険です。
※小説家になろう様、カクヨム様でも同タイトルで投稿しております。
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
沢山寝たい少女のVRMMORPG〜武器と防具は枕とパジャマ?!〜
雪雪ノ雪
ファンタジー
世界初のフルダイブ型のVRゲーム『Second World Online』通称SWO。
剣と魔法の世界で冒険をするVRMMORPGだ。
このゲームの1番の特徴は『ゲーム内での3時間は現実世界の1時間である』というもの。
これを知った少女、明日香 睡月(あすか すいげつ)は
「このゲームをやれば沢山寝れる!!」
と言いこのゲームを始める。
ゲームを始めてすぐ、ある問題点に気づく。
「お金がないと、宿に泊まれない!!ベットで寝れない!!....敷布団でもいいけど」
何とかお金を稼ぐ方法を考えた明日香がとった行動は
「そうだ!!寝ながら戦えばお金も経験値も入って一石三鳥!!」
武器は枕で防具はパジャマ!!少女のVRMMORPGの旅が今始まる!!
..........寝ながら。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
おもしろ夫婦のゲーム・ライフ
石動 守
SF
「ゲームがやりたい~~!」
と魂の叫びを上げる妻に、夫はその場を提供する。
しかし、妻は
「嫌よ! 毎日見てる顔とゲーム内でも一緒とか」
少々愛情を疑う夫であったが、妻の意見を採用する。
さて、VRゲームを始める二人、どんなゲーム・ライフを送ることになるのやら……
*先の長い小説です。のんびり読んで下さい。
*この作品は、「小説家になろう」様、「カクヨム」様でも連載中です。
VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる