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◇272 パソコンしかない蒼伊の部屋
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明輝たちは蒼伊の部屋に向かった。
途中でよがらと別れ、業務に戻って行った。
「それでは蒼伊様。私はこれで……」
「分かった」
ぺこりとよがらは頭を下げた。
何処に行ったのかと思ったが、メイドさんが二人しかいないのできっと忙しいんだと思い、明輝と烈火は何も言わなかった。
「それじゃあ行くぞ」
「それは良いけど……その子は良いの?」
蒼伊の足元をサファイアがトコトコと付いていた。
「ニャーニャー」と、これぞ本当の猫撫で声で鳴いていた。
「抱っこして欲しいんじゃないのかな?」
「いや違うな。サファイアは遊んで欲しいんだ」
「遊んで欲しいの? それじゃあさっき放り投げたのは……」
「アレは邪魔だったからだ」
そうは言いつつも、飼い猫のサファイアは蒼伊に懐いていた。
凄く細身で軽かった。
艶のある黒い毛並みが素敵で、うっとりしてしまった。
「その子ってさ、誰にでも懐くの?」
「そんなことは無いぞ。二人は私の匂いが付いているからじゃないか?」
「「それはちょっと嫌かな」」
「如何いう意味だ?」
蒼伊は明輝と烈火を睨んだ。
しかし考えても仕方ないので廊下の突き辺りを目指すと、一つ部屋を空けてから扉の前に止まった。
「ここだ」
「ここが蒼伊の部屋なの? 何だか普通だね」
「普通の何が悪いんだ?」
「悪くはないけど、他の部屋と扉の形も色も同じだね」
普通に気が付かなかったら、違う部屋に入ってしまいそうだった。
カラオケボックスとかフロントで鍵を間違えたホテルと同じ感じだった。
「まあいいだろ。それより入れ」
蒼伊は部屋の扉を開けた。
明輝と烈火も中に入ると、不意に瞬きをしてしまった。
「な、何これ?」
「大量のパソコンが並んでいるんだけどー」
「パソコンは一つだ。大量なのはディスプレイだな」
蒼伊の部屋はとても広かった。
だけど物があまりに少なかった。
ベッドが部屋の隅に一つ置いてあり、机と本棚が一つずつ置かれていた。
後は大量のディスプレイモニターが並んでいた。
「ここが蒼伊の部屋なの?」
「そうだ」
「広い部屋なのに物が少ないね。しかもこの乾いた感じは何?」
「この部屋は無駄に広いんだ。それよりお前たちを呼んだ理由だが……」
そう言えばと明輝と烈火は思い出した。
蒼伊の家にやって来たのは、何か呼ばれたからだった。
一体何をやることになるのかちょっとだけわくわくする一方、怖くもあった。
「まさか変なことするんじゃないよね?」
「そんなことはしない。二人を呼んだのはこれをして欲しいからだ」
そう言って蒼伊はディスクを取り出した。
白箱になっていて、油性ペンで手書きしたタイトルが書かれていた。
「何コレ?」
「もしかして蒼伊が書いたのー?」
「そうだ」
普通に綺麗な字だった。
とは言え蒼伊はそこに注目して貰いたくはないようだ。
「そんなことは如何でもいい。二人を呼んだのは単に遊ぶためだけじゃない。コイツをやりたいんだ」
明輝と烈火は瞬きを繰り返してしまった。
突然の蒼伊からの告白に、ちょっとキュンとしたのだ。
まさかこんなにもストレートに告白されるとは思っていなかった。
けれど嬉しくて笑みを浮かべた。
「そっか。そっかそっかー。そんなに遊びたいんだねー」
「仕方ないなー。でも良いよー、蒼伊がそこまで言うならさー」
「ウザいな」
蒼伊は全く乗ってくれなかった。
これだと完全に明輝と烈火がスベッたみたいだ。
「ごめんごめん。それより誘ってくれて嬉しいよ」
「GAMEなら結構やっているから任せてよー。それでさ、コレ何? 古い昔のGAMEでもダウンロードしたの?」
「そんな訳ないだろ。それに古い機種はある程度揃っているからな」
蒼伊がGAME好きなのは知っていたが、ここまでとは思っていなかった。
前にFPSを遊んだ時も非常に上級者のテクニックが詰め込まれていた。
そのおかげで適当に遊んでいた明輝があそこまで上級者と遊べたのは一重に蒼伊のおかげだった。
「それじゃあ遊ぼっか。でもコレパソコンのやつ?」
「そうだな」
「……私キーボード操作とかゲームパッド? 苦手だよ。特にゲームパッドとか、あれ以来触ってないよ?」
「問題ない。全部キーボードでやるからな」
蒼伊はそう言うとパソコンの前に着席した。
それから本体を起動すると、早速何かを準備し始めた。
カタカタカタカタ——
カタカタカタカタ——
カタカタカタカタ——
カタカタカタカタ——
「こ、怖いね」
「恐いって。しかも速いって!」
「これくらい慣れれば普通だ」
いいや普通の域では無かったと、明輝と烈火は素直に直感した。
ものの一分で一体どれくらいのコードを打ち込んでいるのか、明輝と烈火はそこまでは予想できたが、全くそれ以降が出なかった。
ごくりと喉を鳴らしていた。蒼伊は警戒に何かを立ち上げ終えていた。
すると準備ができたのか、蒼伊は声を発した。
「良し始めるぞ」
「えっと、どっちがプレイしたらいいのかな?」
「明輝やって良いよ。私は見てるから」
「良いの? 私の方が下手なのに」
「もちろん。それじゃあ……って、このGAME」
烈火は何かに気が付いた。
ディスプレイに表示されていたのは烈火が知っているタイトルだった。
もちろんマイナー寄りではあるが、完成度の高さから有名なものだった。
途中でよがらと別れ、業務に戻って行った。
「それでは蒼伊様。私はこれで……」
「分かった」
ぺこりとよがらは頭を下げた。
何処に行ったのかと思ったが、メイドさんが二人しかいないのできっと忙しいんだと思い、明輝と烈火は何も言わなかった。
「それじゃあ行くぞ」
「それは良いけど……その子は良いの?」
蒼伊の足元をサファイアがトコトコと付いていた。
「ニャーニャー」と、これぞ本当の猫撫で声で鳴いていた。
「抱っこして欲しいんじゃないのかな?」
「いや違うな。サファイアは遊んで欲しいんだ」
「遊んで欲しいの? それじゃあさっき放り投げたのは……」
「アレは邪魔だったからだ」
そうは言いつつも、飼い猫のサファイアは蒼伊に懐いていた。
凄く細身で軽かった。
艶のある黒い毛並みが素敵で、うっとりしてしまった。
「その子ってさ、誰にでも懐くの?」
「そんなことは無いぞ。二人は私の匂いが付いているからじゃないか?」
「「それはちょっと嫌かな」」
「如何いう意味だ?」
蒼伊は明輝と烈火を睨んだ。
しかし考えても仕方ないので廊下の突き辺りを目指すと、一つ部屋を空けてから扉の前に止まった。
「ここだ」
「ここが蒼伊の部屋なの? 何だか普通だね」
「普通の何が悪いんだ?」
「悪くはないけど、他の部屋と扉の形も色も同じだね」
普通に気が付かなかったら、違う部屋に入ってしまいそうだった。
カラオケボックスとかフロントで鍵を間違えたホテルと同じ感じだった。
「まあいいだろ。それより入れ」
蒼伊は部屋の扉を開けた。
明輝と烈火も中に入ると、不意に瞬きをしてしまった。
「な、何これ?」
「大量のパソコンが並んでいるんだけどー」
「パソコンは一つだ。大量なのはディスプレイだな」
蒼伊の部屋はとても広かった。
だけど物があまりに少なかった。
ベッドが部屋の隅に一つ置いてあり、机と本棚が一つずつ置かれていた。
後は大量のディスプレイモニターが並んでいた。
「ここが蒼伊の部屋なの?」
「そうだ」
「広い部屋なのに物が少ないね。しかもこの乾いた感じは何?」
「この部屋は無駄に広いんだ。それよりお前たちを呼んだ理由だが……」
そう言えばと明輝と烈火は思い出した。
蒼伊の家にやって来たのは、何か呼ばれたからだった。
一体何をやることになるのかちょっとだけわくわくする一方、怖くもあった。
「まさか変なことするんじゃないよね?」
「そんなことはしない。二人を呼んだのはこれをして欲しいからだ」
そう言って蒼伊はディスクを取り出した。
白箱になっていて、油性ペンで手書きしたタイトルが書かれていた。
「何コレ?」
「もしかして蒼伊が書いたのー?」
「そうだ」
普通に綺麗な字だった。
とは言え蒼伊はそこに注目して貰いたくはないようだ。
「そんなことは如何でもいい。二人を呼んだのは単に遊ぶためだけじゃない。コイツをやりたいんだ」
明輝と烈火は瞬きを繰り返してしまった。
突然の蒼伊からの告白に、ちょっとキュンとしたのだ。
まさかこんなにもストレートに告白されるとは思っていなかった。
けれど嬉しくて笑みを浮かべた。
「そっか。そっかそっかー。そんなに遊びたいんだねー」
「仕方ないなー。でも良いよー、蒼伊がそこまで言うならさー」
「ウザいな」
蒼伊は全く乗ってくれなかった。
これだと完全に明輝と烈火がスベッたみたいだ。
「ごめんごめん。それより誘ってくれて嬉しいよ」
「GAMEなら結構やっているから任せてよー。それでさ、コレ何? 古い昔のGAMEでもダウンロードしたの?」
「そんな訳ないだろ。それに古い機種はある程度揃っているからな」
蒼伊がGAME好きなのは知っていたが、ここまでとは思っていなかった。
前にFPSを遊んだ時も非常に上級者のテクニックが詰め込まれていた。
そのおかげで適当に遊んでいた明輝があそこまで上級者と遊べたのは一重に蒼伊のおかげだった。
「それじゃあ遊ぼっか。でもコレパソコンのやつ?」
「そうだな」
「……私キーボード操作とかゲームパッド? 苦手だよ。特にゲームパッドとか、あれ以来触ってないよ?」
「問題ない。全部キーボードでやるからな」
蒼伊はそう言うとパソコンの前に着席した。
それから本体を起動すると、早速何かを準備し始めた。
カタカタカタカタ——
カタカタカタカタ——
カタカタカタカタ——
カタカタカタカタ——
「こ、怖いね」
「恐いって。しかも速いって!」
「これくらい慣れれば普通だ」
いいや普通の域では無かったと、明輝と烈火は素直に直感した。
ものの一分で一体どれくらいのコードを打ち込んでいるのか、明輝と烈火はそこまでは予想できたが、全くそれ以降が出なかった。
ごくりと喉を鳴らしていた。蒼伊は警戒に何かを立ち上げ終えていた。
すると準備ができたのか、蒼伊は声を発した。
「良し始めるぞ」
「えっと、どっちがプレイしたらいいのかな?」
「明輝やって良いよ。私は見てるから」
「良いの? 私の方が下手なのに」
「もちろん。それじゃあ……って、このGAME」
烈火は何かに気が付いた。
ディスプレイに表示されていたのは烈火が知っているタイトルだった。
もちろんマイナー寄りではあるが、完成度の高さから有名なものだった。
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