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◇242 聖夜祭に向けて(一年目)
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翌日のことだった。
アキラたちがログインし、何気なくスタットを散策していると、いつもよりも街の中に活気があった。
普段は活気がないわけじゃない。
だけどお祭りの前日、準備に明け暮れる人たちみたく何処か忙しない。
もちろんもっとわかりやすく例えるなら、高校の文化祭準備のような生き生きとした空気が流れている。
しかも街中にはたくさんの飾り付けがされていて、アキラたちはアレを予期した。
「コレってクリスマスの準備かな?」
「多分そうでしょー? それ以外にあんな露骨な装飾品見たことないよ」
フェルノが指を指したお店の軒先にはトナカイの引くそりに乗るサンタさんが飾られていた。
この露骨な装飾品は間違いないなと、アキラも納得した。
「もしかしてクリスマスツリーも出てるのかな?」
「行ってみよっかー。多分中央広場でしょ?」
商店街の奥の方はより賑わっていた。
中央広場には噴水があり、たくさんのプレイヤーやNPCが歩いている。
ここにもたくさんの装飾品がされていて、街路樹にもたくさんの灯りが取り付けられている。
ベンチもいつもは殺風景だけど、今日は銀色のモールが束になって掛けてあった。
「うわぁ、こっちも装飾品が凄いね。ちょっと座り難そうだけど」
「確かに痛そうだよねー。チクチクするもん」
とは言いつつベンチに座る。
噴水を目の前にしてアキラは首を捻った。
ここまで来たけど、まだクリスマスツリーの影も形も見ていない。
もしかしたらまだ準備していないのかな?
アキラとフェルノはクリスマス感が半分なスタットの街を見て、クリスマス当日が楽しみのなった。
「ってことがあったんだけど、やっぱりクリスマスイベントってあるんだね」
「そうみたいですね。私とベルはモミジヤに行ってみましたが、クリスマス感はまるでありませんでしたよ」
「えっ、そうなの? やっぱり文化の違いとかあるのかな?」
「それはあるだろ。スタットはヨーロッパ系を一種のモチーフにしているが、モミジヤは完全に日本の京都や奈良。古風をイメージにしているのだからな」
Nightはアキラたちに軽く説明した。
先程からパンフレットらしきものを読み込み中で、全然目を合わせてくれない。
いつもの文庫本じゃないので何かとは思ったが、中には文字しか書いていないので、遠目からでは何もわからなかった。
「でもさー、クリスマスツリーもないのにクリスマスイベント何てするの? いや、普通のソーシャルゲームならいいんだよ。でもここってさ、超が付くぐらい自由度の高いGAMEなのにさ、肝心のクリスマスツリーがないのに、クリスマス感出しましたよって言えるのかな?」
「それは少し思うけど……クリスマスツリーが無くてもみんな楽しむでしょ? 全員じゃないけど、私たちみたいに楽しみにしている人もいるんだから」
「そうよね。……って、1人如何でもいい顔しているけどね」
ベルはNightに話を振った。
パンフレットを読み込みながらも、話は聞いていたらしく、「そんなことはないぞ」と口にした。
「うちでは毎年クリスマスパーティーをしているからな」
「「「えっ!? そんなことしてるんだ」」」
普通に驚いた。
実際Nightの家にはまだ行けていない。そのうち行ってみないと思うけど、ちょっと遠いのだ。
けれどNightの家は広くて有名だから何となく「Nightの家ならありそう」と思った。
「そんなことはさておき。クリスマスツリーがなかったのは本当だな?」
「うん。何処にもなかったよ。影も形もなくてびっくりしちゃったよー」
「そうか。やっぱりか……」
Nightはわかっていたのか、パンフレットをテーブルに置いた。
アキラは置かれたパンフレットを拾い上げ、文面だけの非常に読み難い箇条書きを読んだ。
「えーっと、なになに。クリスマス限定イベント集。報酬は以下の通り……へぇー、クリスマスイベント専用のパンフレット何だ」
「ギルドにたまたま行った際に貰って来た。読んでいたら絶句だったがな」
「絶句? でも、クリスマスイベントをGAME内でも予めわかるようになっているのは良いよね。それでどんなクエストがあるのかな? うわぁ!」
「如何したの、アキラ?」
急にアキラは声を上げた。
たまたま赤い線でNightが付けてくれたクエスト見て絶句したのだ。
「Night、コレって本当?」
「本当だ。そのクエストを達成しなければ、クリスマスイベントは始まらないぞ」
「「「はい?」」」
フェルノたちは首を捻った。
しかしアキラは箇条書きを読み、納得してしまっている。
トボトボとフェルノたちに教えてあげた。
「えっとね、クリスマスツリーがなかったでしょ? あれって、実はクエストの一部なんだって」
「クエストの一部? そっか、だからクリスマスツリーがなかったんだ」
「うん。それでね、もみの木を持ってこないといけないんだけど……」
「待って待って、その時点でちょっとおかしいんだけどさー。もしかして、まだある的な?」
「ある的な」
フェルノは目を見開いた。
驚いているところ悪いけど、今回のクリスマスイベントもハードスケジュールだった。
「『もみの木を持ってきて、クリスマスツリーを完成させよ』。尚、このクエストの報酬は『クリスマスイベントの開催と報酬の増加』である。だってさ」
アキラは自分で口に出してみて凄く不思議だった。
まさかイベントを成立させるにはプレイヤーたちの尽力が必要らしい。
新しすぎて、多分全プレイヤーが騒然だ。
アキラたちがログインし、何気なくスタットを散策していると、いつもよりも街の中に活気があった。
普段は活気がないわけじゃない。
だけどお祭りの前日、準備に明け暮れる人たちみたく何処か忙しない。
もちろんもっとわかりやすく例えるなら、高校の文化祭準備のような生き生きとした空気が流れている。
しかも街中にはたくさんの飾り付けがされていて、アキラたちはアレを予期した。
「コレってクリスマスの準備かな?」
「多分そうでしょー? それ以外にあんな露骨な装飾品見たことないよ」
フェルノが指を指したお店の軒先にはトナカイの引くそりに乗るサンタさんが飾られていた。
この露骨な装飾品は間違いないなと、アキラも納得した。
「もしかしてクリスマスツリーも出てるのかな?」
「行ってみよっかー。多分中央広場でしょ?」
商店街の奥の方はより賑わっていた。
中央広場には噴水があり、たくさんのプレイヤーやNPCが歩いている。
ここにもたくさんの装飾品がされていて、街路樹にもたくさんの灯りが取り付けられている。
ベンチもいつもは殺風景だけど、今日は銀色のモールが束になって掛けてあった。
「うわぁ、こっちも装飾品が凄いね。ちょっと座り難そうだけど」
「確かに痛そうだよねー。チクチクするもん」
とは言いつつベンチに座る。
噴水を目の前にしてアキラは首を捻った。
ここまで来たけど、まだクリスマスツリーの影も形も見ていない。
もしかしたらまだ準備していないのかな?
アキラとフェルノはクリスマス感が半分なスタットの街を見て、クリスマス当日が楽しみのなった。
「ってことがあったんだけど、やっぱりクリスマスイベントってあるんだね」
「そうみたいですね。私とベルはモミジヤに行ってみましたが、クリスマス感はまるでありませんでしたよ」
「えっ、そうなの? やっぱり文化の違いとかあるのかな?」
「それはあるだろ。スタットはヨーロッパ系を一種のモチーフにしているが、モミジヤは完全に日本の京都や奈良。古風をイメージにしているのだからな」
Nightはアキラたちに軽く説明した。
先程からパンフレットらしきものを読み込み中で、全然目を合わせてくれない。
いつもの文庫本じゃないので何かとは思ったが、中には文字しか書いていないので、遠目からでは何もわからなかった。
「でもさー、クリスマスツリーもないのにクリスマスイベント何てするの? いや、普通のソーシャルゲームならいいんだよ。でもここってさ、超が付くぐらい自由度の高いGAMEなのにさ、肝心のクリスマスツリーがないのに、クリスマス感出しましたよって言えるのかな?」
「それは少し思うけど……クリスマスツリーが無くてもみんな楽しむでしょ? 全員じゃないけど、私たちみたいに楽しみにしている人もいるんだから」
「そうよね。……って、1人如何でもいい顔しているけどね」
ベルはNightに話を振った。
パンフレットを読み込みながらも、話は聞いていたらしく、「そんなことはないぞ」と口にした。
「うちでは毎年クリスマスパーティーをしているからな」
「「「えっ!? そんなことしてるんだ」」」
普通に驚いた。
実際Nightの家にはまだ行けていない。そのうち行ってみないと思うけど、ちょっと遠いのだ。
けれどNightの家は広くて有名だから何となく「Nightの家ならありそう」と思った。
「そんなことはさておき。クリスマスツリーがなかったのは本当だな?」
「うん。何処にもなかったよ。影も形もなくてびっくりしちゃったよー」
「そうか。やっぱりか……」
Nightはわかっていたのか、パンフレットをテーブルに置いた。
アキラは置かれたパンフレットを拾い上げ、文面だけの非常に読み難い箇条書きを読んだ。
「えーっと、なになに。クリスマス限定イベント集。報酬は以下の通り……へぇー、クリスマスイベント専用のパンフレット何だ」
「ギルドにたまたま行った際に貰って来た。読んでいたら絶句だったがな」
「絶句? でも、クリスマスイベントをGAME内でも予めわかるようになっているのは良いよね。それでどんなクエストがあるのかな? うわぁ!」
「如何したの、アキラ?」
急にアキラは声を上げた。
たまたま赤い線でNightが付けてくれたクエスト見て絶句したのだ。
「Night、コレって本当?」
「本当だ。そのクエストを達成しなければ、クリスマスイベントは始まらないぞ」
「「「はい?」」」
フェルノたちは首を捻った。
しかしアキラは箇条書きを読み、納得してしまっている。
トボトボとフェルノたちに教えてあげた。
「えっとね、クリスマスツリーがなかったでしょ? あれって、実はクエストの一部なんだって」
「クエストの一部? そっか、だからクリスマスツリーがなかったんだ」
「うん。それでね、もみの木を持ってこないといけないんだけど……」
「待って待って、その時点でちょっとおかしいんだけどさー。もしかして、まだある的な?」
「ある的な」
フェルノは目を見開いた。
驚いているところ悪いけど、今回のクリスマスイベントもハードスケジュールだった。
「『もみの木を持ってきて、クリスマスツリーを完成させよ』。尚、このクエストの報酬は『クリスマスイベントの開催と報酬の増加』である。だってさ」
アキラは自分で口に出してみて凄く不思議だった。
まさかイベントを成立させるにはプレイヤーたちの尽力が必要らしい。
新しすぎて、多分全プレイヤーが騒然だ。
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