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◇239 座布団2
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とりあえず触っても大丈夫だとわかった。
アキラたちは藍色の座布団をちょこんと触ってみた。
「何も起きないね」
いくら触っても何も起きない。
爆発するでもモンスターが現れるでもないらしく、アキラたちは首を捻った。
「不気味だな。こんなところに座布団一枚……まさかとは思うが、ブラフか?」
「でもさ、こんなに叩いても何も起きないんだよ? それじゃあこの座布団の意味って」
「あっ、アキラ。その辺り縫い目が解れているよー?」
「解れ? 本当だ、ちょっとだけ中身が……うわぁ!」
「「私たちも!」」
座布団の叩きすぎで中身が爆発した。
大量の白い綿が出て来ると、アキラたちを飲み込む。
けれど体には特に異状無く、ただ中身の綿が飛び出ただけに留まった。
「こほんこほん! みんな大丈夫?」
「大丈夫も何も、何にも起きてないよ?」
「そうだな。ただ中身の綿が飛び出ただけで……ん?」
Nightの視線が地面に止まっている。
そこに座布団の姿はなく、さっきまで見たものは夢だったのか幻だったのか。
最初っから座布団何てなかったみたいに、人の脚が踏み入れられた様子もない地面が広がる。
「か、帰る?」
「そうだな。結果はただの運営のお遊びだったわけだ」
「なーんだ。でも結構考えさせられたから、楽しかったねー」
フェルノは頭の上で腕を組んだ。
確かにこれだけ遊べたら文句は言えないと、アキラたちも満足した。
座布団も無くなり、ありえない物の正体も判明した。
アキラたちは来た道を戻り、本来の登山道を登ることにした。
どうせ来たのなら頂上に行ってみる価値はある。
もしかしたら珍しいものや良い景色に出会えるかもしれないと、ちょっと期待していた。
しかし、アキラは一つ気になることがある。
「Night、フェルノ。気が付いていると思うけど……」
「もちろん気が付いているよー。でもさ、勘違いって可能性もあるけどね」
「いいや、その可能性は低いと見ているぞ」
「嘘でしょ。それじゃあこれもこの間の椿の森と同じってことだよねー!」
「同じアイデアを流用するのは悪いことではない。反復が経験の蓄積になるのなら、GAMEとしては問題ないはずだ」
Nightは悠長なことを言っていた。
アキラとフェルノは愕然としたものの、残念ながらこの間の時よりも状況は酷かった。
既に1時間近く歩いているにもかかわらず、アキラたちはいつまでも真っ直ぐに刈った獣道を歩いている。
「コレって完全に迷っているよね?」
「いいや、迷っているわけじゃないだろ。私たちは永遠に同じところを歩いているだけだ」
「いやいや、それじゃあ景色も変わるはずでしょ!」
「そうとは限らないな。例えば何処からスタートで何処までがゴールかもわかっていない現状、切れ目のないメビウスの輪を歩かされている状態と見てもいい」
「それは……ちょっと嫌だね」
アキラたちは景色も何も変わらない森の中をひたすら歩かされていた。
体力的には何ともない。
しかし同じ景色を見続けて、行き当たりもないのは精神的に疲労が蓄積されるものだ。
並大抵に精神力では今頃目眩を起こしているはずだが、アキラたちは何故か違った。
むしろこの状況を打開する方法をいち早く考える。
「それじゃあ如何するの? いつまでもここを歩いていても仕方ないよ」
「最悪デスポだな」
「デスポって何?」
「デス・リスポーン。一回死んでから、もう一度ここまで戻ってくることだ」
「それはないよ。絶対無し!」
「当然だ。私も望んでそんな解決をする気はない」
そうなるとこうなった原因を究明する方がいい。
けれど原因は一つしか思いつかなので、全員の頭の中には藍色の座布団が浮かび上がる。
「やっぱりあの座布団が原因だよね?」
「それしかないだろ。全員が巻き込まれたのは二つしかパターンがない」
「二つもあるんだ。ちなみにどんな?」
「一つ目は全員が馬鹿みたいにべたべた触ったせい。もう一つはあの綿だな。綿を全身で浴びたせいで、こんなことになった。まさに狸に化かされたみたいにな」
狸は人を化かす生物だと昔から言われている。
このGAMEでその設定が取り入れられる可能性は大いに高い。
アキラもフェルノと一緒に、Nightの言いたいことを理解した。
つまり先程触れた座布団は完全な罠で、アキラたちは完全に化かされていた。
「それじゃあ如何するの? 本体を倒す?」
「その本体が見つからないからこうして同じところをぐるぐるしているんだ」
「うっ……それじゃあ」
「燃やしちゃおうよ!」
フェルノがいつもみたいに強引なことを言い出した。
しかし今回はNightも止めたりしない。
「それしかないな。この状況を打破するには」
「もう、やるしかないのかな?」
「それじゃあ早速やってみよう。あっ、そうだ。コレってあれみたいだね、そうかちかち山!」
フェルノは竜化した拳をかち合わせた。
バチッ! と火花が散り、両拳に炎が灯る。
アキラたちは藍色の座布団をちょこんと触ってみた。
「何も起きないね」
いくら触っても何も起きない。
爆発するでもモンスターが現れるでもないらしく、アキラたちは首を捻った。
「不気味だな。こんなところに座布団一枚……まさかとは思うが、ブラフか?」
「でもさ、こんなに叩いても何も起きないんだよ? それじゃあこの座布団の意味って」
「あっ、アキラ。その辺り縫い目が解れているよー?」
「解れ? 本当だ、ちょっとだけ中身が……うわぁ!」
「「私たちも!」」
座布団の叩きすぎで中身が爆発した。
大量の白い綿が出て来ると、アキラたちを飲み込む。
けれど体には特に異状無く、ただ中身の綿が飛び出ただけに留まった。
「こほんこほん! みんな大丈夫?」
「大丈夫も何も、何にも起きてないよ?」
「そうだな。ただ中身の綿が飛び出ただけで……ん?」
Nightの視線が地面に止まっている。
そこに座布団の姿はなく、さっきまで見たものは夢だったのか幻だったのか。
最初っから座布団何てなかったみたいに、人の脚が踏み入れられた様子もない地面が広がる。
「か、帰る?」
「そうだな。結果はただの運営のお遊びだったわけだ」
「なーんだ。でも結構考えさせられたから、楽しかったねー」
フェルノは頭の上で腕を組んだ。
確かにこれだけ遊べたら文句は言えないと、アキラたちも満足した。
座布団も無くなり、ありえない物の正体も判明した。
アキラたちは来た道を戻り、本来の登山道を登ることにした。
どうせ来たのなら頂上に行ってみる価値はある。
もしかしたら珍しいものや良い景色に出会えるかもしれないと、ちょっと期待していた。
しかし、アキラは一つ気になることがある。
「Night、フェルノ。気が付いていると思うけど……」
「もちろん気が付いているよー。でもさ、勘違いって可能性もあるけどね」
「いいや、その可能性は低いと見ているぞ」
「嘘でしょ。それじゃあこれもこの間の椿の森と同じってことだよねー!」
「同じアイデアを流用するのは悪いことではない。反復が経験の蓄積になるのなら、GAMEとしては問題ないはずだ」
Nightは悠長なことを言っていた。
アキラとフェルノは愕然としたものの、残念ながらこの間の時よりも状況は酷かった。
既に1時間近く歩いているにもかかわらず、アキラたちはいつまでも真っ直ぐに刈った獣道を歩いている。
「コレって完全に迷っているよね?」
「いいや、迷っているわけじゃないだろ。私たちは永遠に同じところを歩いているだけだ」
「いやいや、それじゃあ景色も変わるはずでしょ!」
「そうとは限らないな。例えば何処からスタートで何処までがゴールかもわかっていない現状、切れ目のないメビウスの輪を歩かされている状態と見てもいい」
「それは……ちょっと嫌だね」
アキラたちは景色も何も変わらない森の中をひたすら歩かされていた。
体力的には何ともない。
しかし同じ景色を見続けて、行き当たりもないのは精神的に疲労が蓄積されるものだ。
並大抵に精神力では今頃目眩を起こしているはずだが、アキラたちは何故か違った。
むしろこの状況を打開する方法をいち早く考える。
「それじゃあ如何するの? いつまでもここを歩いていても仕方ないよ」
「最悪デスポだな」
「デスポって何?」
「デス・リスポーン。一回死んでから、もう一度ここまで戻ってくることだ」
「それはないよ。絶対無し!」
「当然だ。私も望んでそんな解決をする気はない」
そうなるとこうなった原因を究明する方がいい。
けれど原因は一つしか思いつかなので、全員の頭の中には藍色の座布団が浮かび上がる。
「やっぱりあの座布団が原因だよね?」
「それしかないだろ。全員が巻き込まれたのは二つしかパターンがない」
「二つもあるんだ。ちなみにどんな?」
「一つ目は全員が馬鹿みたいにべたべた触ったせい。もう一つはあの綿だな。綿を全身で浴びたせいで、こんなことになった。まさに狸に化かされたみたいにな」
狸は人を化かす生物だと昔から言われている。
このGAMEでその設定が取り入れられる可能性は大いに高い。
アキラもフェルノと一緒に、Nightの言いたいことを理解した。
つまり先程触れた座布団は完全な罠で、アキラたちは完全に化かされていた。
「それじゃあ如何するの? 本体を倒す?」
「その本体が見つからないからこうして同じところをぐるぐるしているんだ」
「うっ……それじゃあ」
「燃やしちゃおうよ!」
フェルノがいつもみたいに強引なことを言い出した。
しかし今回はNightも止めたりしない。
「それしかないな。この状況を打破するには」
「もう、やるしかないのかな?」
「それじゃあ早速やってみよう。あっ、そうだ。コレってあれみたいだね、そうかちかち山!」
フェルノは竜化した拳をかち合わせた。
バチッ! と火花が散り、両拳に炎が灯る。
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