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◇237 くだらない雑談1
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アキラたちはギルドホームでいつも通り話していた。
特に会話に華があるわけでもないが、これが日常なので、アキラはいつも通りを全うしていた。
それが何より平和なことでのんびりとくつろげている自分に酔いしれていると言ってもいい。
「それでさ、最近バスケ部に助っ人で入っているんだよね」
「そうなんだ。確か、バスケ部の2年の先輩が怪我しちゃって、代わりの人を捜しているんだよね?」
「そうなんだよねー。本当は部の他の子が出るべきなんだけど、この時期に食中毒だよ?」
「うわぁ、あの噂って本当だったんだ」
「そうなんだぁー。それでうちのクラスの早山いるでしょ? その子から頼まれたんだよ。バスケ部の助っ人に少しでいいから出てくれない? ってね。最初はいいよって言ったんだけど、そしたら何故か部員でもないのに今度のウィンターカップ? 冬の大会のメンバーにされてたんだよね。いいのかな、私なんかで?」
フェルノらしくもなく悩んでいた。
それもそのはず、この大会のために頑張って来たバスケ部の人は多い。
それなのにテニス部員で普段からバスケを本気でやっていない自分がメンバーの選ばれて僻まれるんじゃないかと悩んでいる。
アキラは「大丈夫だよ」と励ました。
しかしフェルノはいつも以上に考えてしまっている。
そこに痺れを切らしたNightがズバリと切り裂いた。
「いいんじゃないか? 他の部員はお前に何か文句でもあったのか?」
「無かったよ?」
「陰口は?」
「それもないねー。でもさ、やっぱり頑張ってきた人たちが……」
「だったらいいだろ。お前は考えすぎているだけだ。お前の取った行動はバスケ部の人間も認めていることで、お前を助っ人に呼んできた奴もそれを望んでいたんじゃないか?」
Nightが口にしたことはもっともだった。
アキラもそれに合わせて応援をする。
「ほらNightもこう言ってるよ」
「うーん。でもさ、私ってバスケとか体育の授業の時にがむしゃらにやってた程度だよ?」
「……アレってがむしゃらなのかな?」
アキラはふと中学の記憶を呼び起こす。
フェルノはずっとテニス部で全国優勝をしたほどの強者。
男子に混ざっても遜色ない、むしろそれ以上の力を見せていた。
そんなフェルノは他の運動もとても得意で、趣味程度に遊んでいた。
「フェルノって昔から運動得意だよね」
「うん。体動かしたり鍛えるの嫌いじゃないからねー」
「私とは真逆だな」
「でも勉強は好きじゃないんだよー。歴史以外は赤点ギリギリの時もあるから」
「そこに特化していることがおかしい」
「何か点良かったんだよねー。普段全然覚えてないし、ほとんど興味もないんだけどさー」
フェルノは天井を見上げて口走った。
運動全般が得意。それはアキラも熟知している。
何せ一回バッティングセンターに行った時は……
「前に一回バッティングセンターに行った時あったよね」
「あっ、あったあった。中学3年の時に怒られた奴だ」
「そうそう。部活さぼってね。でもその時は確かホームラン打ったよね」
「うんうん。景品で目覚まし時計貰ったよね。金メッキの、触ると剥がれるやつ」
本当に突拍子もなくくだらないことを思い出した。
あの時もそうだけど、フェルノは良く公園に置いてあるバスケットコートの3ポイントシュートのラインから何本も決めていた。
もしかしたらそのことを知っていて、頼まれたのかもしれない。
「ちなみに早山ちゃんは出るの?」
「もちろん。だって全国3位の強豪校出身よ。そりゃ出るよねー」
「全国3位だったんだ! 知らなかった」
「私も初めて聞いたよ。まあ、アレだよね。私はいつも通り囮になって相手選手を引き付ける的な?」
「いつも通りが最近先制パンチになっているがな」
「ご、ごめんねー」
フェルノは何故か反省した。
別にアキラもNightも気にしていないし怒ってもいない。
けれど大人しくなった瞬間を皮切りに話が一つ終わった。
雑談タイムは終了になると、静寂が一瞬だけ流れるものの、アキラがすぐに口を出そうとしたけれど。
「まあ……」
すると話が切れたことを察知したNightが口を開けた。
「まあそんなことは置いておくとしてだ。この間のアップデート。覚えているな」
「うん。椿の森に行った時だよね」
「そうだ。実はあれからまたしばらくして変わった噂を調べたんだ」
「「変わった噂?」」
噂の時点で変わっているとは思っている。
けれど文面通り読んだNightは間違ってはいない。
「森の中に絶対にありえない物が落ちている。そんな噂だ」
あまりに突拍子もない上にアバウトな説明だった。
アキラとフェルノは瞬きをして、困惑している。
「それだけ?」
「それだけだ」
「えーっとソース元は? そこ産ですか?」
「SNSだ」
全然信じられなかった。
けれど“何か”わからないので興味が湧いてくる。
Nightを始め、アキラたちの脳裏にも想像力の種が落ちた。
「変わったものって何だろうね?」
「それを調べてみるのは良い暇潰しになるかもな」
アキラたちは変な物が落ちている森に行ってみることにした。
特に会話に華があるわけでもないが、これが日常なので、アキラはいつも通りを全うしていた。
それが何より平和なことでのんびりとくつろげている自分に酔いしれていると言ってもいい。
「それでさ、最近バスケ部に助っ人で入っているんだよね」
「そうなんだ。確か、バスケ部の2年の先輩が怪我しちゃって、代わりの人を捜しているんだよね?」
「そうなんだよねー。本当は部の他の子が出るべきなんだけど、この時期に食中毒だよ?」
「うわぁ、あの噂って本当だったんだ」
「そうなんだぁー。それでうちのクラスの早山いるでしょ? その子から頼まれたんだよ。バスケ部の助っ人に少しでいいから出てくれない? ってね。最初はいいよって言ったんだけど、そしたら何故か部員でもないのに今度のウィンターカップ? 冬の大会のメンバーにされてたんだよね。いいのかな、私なんかで?」
フェルノらしくもなく悩んでいた。
それもそのはず、この大会のために頑張って来たバスケ部の人は多い。
それなのにテニス部員で普段からバスケを本気でやっていない自分がメンバーの選ばれて僻まれるんじゃないかと悩んでいる。
アキラは「大丈夫だよ」と励ました。
しかしフェルノはいつも以上に考えてしまっている。
そこに痺れを切らしたNightがズバリと切り裂いた。
「いいんじゃないか? 他の部員はお前に何か文句でもあったのか?」
「無かったよ?」
「陰口は?」
「それもないねー。でもさ、やっぱり頑張ってきた人たちが……」
「だったらいいだろ。お前は考えすぎているだけだ。お前の取った行動はバスケ部の人間も認めていることで、お前を助っ人に呼んできた奴もそれを望んでいたんじゃないか?」
Nightが口にしたことはもっともだった。
アキラもそれに合わせて応援をする。
「ほらNightもこう言ってるよ」
「うーん。でもさ、私ってバスケとか体育の授業の時にがむしゃらにやってた程度だよ?」
「……アレってがむしゃらなのかな?」
アキラはふと中学の記憶を呼び起こす。
フェルノはずっとテニス部で全国優勝をしたほどの強者。
男子に混ざっても遜色ない、むしろそれ以上の力を見せていた。
そんなフェルノは他の運動もとても得意で、趣味程度に遊んでいた。
「フェルノって昔から運動得意だよね」
「うん。体動かしたり鍛えるの嫌いじゃないからねー」
「私とは真逆だな」
「でも勉強は好きじゃないんだよー。歴史以外は赤点ギリギリの時もあるから」
「そこに特化していることがおかしい」
「何か点良かったんだよねー。普段全然覚えてないし、ほとんど興味もないんだけどさー」
フェルノは天井を見上げて口走った。
運動全般が得意。それはアキラも熟知している。
何せ一回バッティングセンターに行った時は……
「前に一回バッティングセンターに行った時あったよね」
「あっ、あったあった。中学3年の時に怒られた奴だ」
「そうそう。部活さぼってね。でもその時は確かホームラン打ったよね」
「うんうん。景品で目覚まし時計貰ったよね。金メッキの、触ると剥がれるやつ」
本当に突拍子もなくくだらないことを思い出した。
あの時もそうだけど、フェルノは良く公園に置いてあるバスケットコートの3ポイントシュートのラインから何本も決めていた。
もしかしたらそのことを知っていて、頼まれたのかもしれない。
「ちなみに早山ちゃんは出るの?」
「もちろん。だって全国3位の強豪校出身よ。そりゃ出るよねー」
「全国3位だったんだ! 知らなかった」
「私も初めて聞いたよ。まあ、アレだよね。私はいつも通り囮になって相手選手を引き付ける的な?」
「いつも通りが最近先制パンチになっているがな」
「ご、ごめんねー」
フェルノは何故か反省した。
別にアキラもNightも気にしていないし怒ってもいない。
けれど大人しくなった瞬間を皮切りに話が一つ終わった。
雑談タイムは終了になると、静寂が一瞬だけ流れるものの、アキラがすぐに口を出そうとしたけれど。
「まあ……」
すると話が切れたことを察知したNightが口を開けた。
「まあそんなことは置いておくとしてだ。この間のアップデート。覚えているな」
「うん。椿の森に行った時だよね」
「そうだ。実はあれからまたしばらくして変わった噂を調べたんだ」
「「変わった噂?」」
噂の時点で変わっているとは思っている。
けれど文面通り読んだNightは間違ってはいない。
「森の中に絶対にありえない物が落ちている。そんな噂だ」
あまりに突拍子もない上にアバウトな説明だった。
アキラとフェルノは瞬きをして、困惑している。
「それだけ?」
「それだけだ」
「えーっとソース元は? そこ産ですか?」
「SNSだ」
全然信じられなかった。
けれど“何か”わからないので興味が湧いてくる。
Nightを始め、アキラたちの脳裏にも想像力の種が落ちた。
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