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◇206 突然のアップデート1
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11月も中頃から後半に。
もうリアルは相当寒くなってきました。
「寒いね。まだ12月でもないのに」
「そうだねー。最近は気候変動もあるからねー」
明輝と烈火は日常会話程度の話をしながら、学校に通っていた。
とは言え、体を抱き寄せるように覆う明輝とは違い、烈火は全然寒そうに見えない。
すると今度はGAMEのことが頭に浮かんだ。
突然アップデートが入ったんだ。
「そう言えば、最近アップデート入ったよね」
「そうだね」
「何か変わったことがあるのかな? ほら、蒼伊が言ってたでしょ。突然のアップデートは遊んでいるプレイヤーの脳波が混流して、GAME内で変化が起こるって。もしかしたら何か変わってるかもよ?」
「うーん。どうだろうねー」
「だよね。私たちは知らないもんね」
最近、それぞれがソロプレイをしていた。
部活で忙しかったり、色々と用事が重なってしまったんだ。
まあ、特に縛り付けるような関係ではない。そう思っているアキラは、今の仲間内の関係が好きだった。
「でもさ、最近変なダンジョンが見つかったんだって」
「えっ!? それ、初耳なんだけど」
「この間モミジヤの方に行ったときに噂になっていたんだよね。何か所か、新しいダンジョンが発見されたって。それで、まだ誰も手を付けてないのがあってさ……行く?」
「もちろん!」
明輝は大きく頷いた。
烈火は「よっしゃー! それじゃあ、絶対暇そうな蒼伊も誘って行ってみよう!」と大声で拳を高く上げた。
それに明輝は「せいやー!」と変な合の手を入れる。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ギルドホームに集まったのは、アキラとフェルノ。それからNightのいつ面だった。
「それで、誰が暇そうだって?」
「ご、ごめんって。それに、言ったのはフェルノでしょ?」
「黙れ。お前も同罪だ」
「あんまりだ!」
アキラは嘆いた。フェルノはいつもの漫談を見て「いつも通りだねー」と、完全に蚊帳の外を決め込む。
しかしアキラとNightは見逃してやることはなく「誰のせいだ!」と激しくツッコミを入れる。
けれどフェルノは「あははははー。やっぱり面白いねー」と笑みを浮かべていた。
Nightが拳を作ったが、すぐに解いて大きな溜息で気を紛らわせた。
「それで、雷斬とベルは……」
「部活だって。大変そうだねー」
「お前も部活はないのか?」
「大丈夫大丈夫。うちの部活は緩いから」
フェルノは頭の上で腕を組むと、完全に笑って誤魔化していた。
それに大丈夫。普段は真面目に部活に参加していて、しかもフェルノは強いので関係ない。
「フェルノ強いもんね」
「アキラ、努力は大切だよ。こうしている間にも、たくさんの猛者が来年に向けて鎬を削っているんだもん」
「そういうお前はどうなんだ?」
「私なんて大したことないよ。筋トレと走り込みと素振りを毎日やっているぐらいかな」
「基礎練は大事だよ。それにいつそんなのやっている時間あるの?」
「えっ? 聞きたい」
「いや、いいです」
何だか聞いてはいけない気がしたので、聞かないことにした。
するとフェルノは頬を膨らませていたが、Nightが咳払いをして話を強制終了させる。
「もういいだろ。それで、新しいダンジョンは何処だ?」
「多分Nightなら知っているでしょ」
「もちろんだ。お前が言っているのは、椿の森だな」
「あったりー!」
フェルノは特撮ヒーローの登場シーンみたいに右腕をグイーンと振り上げた。
けれど1人だけ理解していない人がいた。
「椿の森?」
首を捻るも、アキラは完全に置いてけぼりを食らった。
理解しているNightとフェルノはまだしも、何も知らないアキラにしてみれば新鮮そのものだった。
「あの森か。確かに興味深いな」
「でしょー。丁度いいかなーって思って」
「丁度は良くないだろ。それにまだ探索も進んでない危険なダンジョンの可能性もある」
「大丈夫だって」
まるで確信がない。Nightは大きな溜息で懲り懲りだった。
「ねえ、私だけわかってないんですけどぉー。説明してほしいんですけどぉー」
アキラはジト目になって2人を睨んだ。
フェルノが軽いノリで「ごめんごめん」と謝るも、先に説明してくれたのはNightだった。
「正直私たちもよくわかっていない。アキラ、お前がどこまでの内容をフェルノから聞いたかどうかは知らないが、この間のアプデで脳波から得られる情報が溜まったのか、この世界も広くなった。その結果、新しいダンジョンが増えたのは理解しているな」
「う、うん。もちろん……だよ?」
「その顔は半分半分ってところだな。まあいい、この際関係ないからな。そこで今回、私たちは椿の森と呼ばれるモミジヤの近くに新しくできた鬱蒼とした森に行くことにした。おそらく妖怪系のモンスターの根城だろうが、新しいダンジョンだ。何が起きるのか、私の情報戦も当てにならない。気を引き締めて行けよ」
なるほど。アキラはパッと理解した。
意識の切り替えで超高速思考になると、細かなことは吹っ飛ばす。
「わかった。椿の森にフィールドワークに行くんだね」
「まあ、そういうことだな……ん?」
Nightは首を捻る。そんなに愉快な話しじゃないんだけどな。
もうリアルは相当寒くなってきました。
「寒いね。まだ12月でもないのに」
「そうだねー。最近は気候変動もあるからねー」
明輝と烈火は日常会話程度の話をしながら、学校に通っていた。
とは言え、体を抱き寄せるように覆う明輝とは違い、烈火は全然寒そうに見えない。
すると今度はGAMEのことが頭に浮かんだ。
突然アップデートが入ったんだ。
「そう言えば、最近アップデート入ったよね」
「そうだね」
「何か変わったことがあるのかな? ほら、蒼伊が言ってたでしょ。突然のアップデートは遊んでいるプレイヤーの脳波が混流して、GAME内で変化が起こるって。もしかしたら何か変わってるかもよ?」
「うーん。どうだろうねー」
「だよね。私たちは知らないもんね」
最近、それぞれがソロプレイをしていた。
部活で忙しかったり、色々と用事が重なってしまったんだ。
まあ、特に縛り付けるような関係ではない。そう思っているアキラは、今の仲間内の関係が好きだった。
「でもさ、最近変なダンジョンが見つかったんだって」
「えっ!? それ、初耳なんだけど」
「この間モミジヤの方に行ったときに噂になっていたんだよね。何か所か、新しいダンジョンが発見されたって。それで、まだ誰も手を付けてないのがあってさ……行く?」
「もちろん!」
明輝は大きく頷いた。
烈火は「よっしゃー! それじゃあ、絶対暇そうな蒼伊も誘って行ってみよう!」と大声で拳を高く上げた。
それに明輝は「せいやー!」と変な合の手を入れる。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ギルドホームに集まったのは、アキラとフェルノ。それからNightのいつ面だった。
「それで、誰が暇そうだって?」
「ご、ごめんって。それに、言ったのはフェルノでしょ?」
「黙れ。お前も同罪だ」
「あんまりだ!」
アキラは嘆いた。フェルノはいつもの漫談を見て「いつも通りだねー」と、完全に蚊帳の外を決め込む。
しかしアキラとNightは見逃してやることはなく「誰のせいだ!」と激しくツッコミを入れる。
けれどフェルノは「あははははー。やっぱり面白いねー」と笑みを浮かべていた。
Nightが拳を作ったが、すぐに解いて大きな溜息で気を紛らわせた。
「それで、雷斬とベルは……」
「部活だって。大変そうだねー」
「お前も部活はないのか?」
「大丈夫大丈夫。うちの部活は緩いから」
フェルノは頭の上で腕を組むと、完全に笑って誤魔化していた。
それに大丈夫。普段は真面目に部活に参加していて、しかもフェルノは強いので関係ない。
「フェルノ強いもんね」
「アキラ、努力は大切だよ。こうしている間にも、たくさんの猛者が来年に向けて鎬を削っているんだもん」
「そういうお前はどうなんだ?」
「私なんて大したことないよ。筋トレと走り込みと素振りを毎日やっているぐらいかな」
「基礎練は大事だよ。それにいつそんなのやっている時間あるの?」
「えっ? 聞きたい」
「いや、いいです」
何だか聞いてはいけない気がしたので、聞かないことにした。
するとフェルノは頬を膨らませていたが、Nightが咳払いをして話を強制終了させる。
「もういいだろ。それで、新しいダンジョンは何処だ?」
「多分Nightなら知っているでしょ」
「もちろんだ。お前が言っているのは、椿の森だな」
「あったりー!」
フェルノは特撮ヒーローの登場シーンみたいに右腕をグイーンと振り上げた。
けれど1人だけ理解していない人がいた。
「椿の森?」
首を捻るも、アキラは完全に置いてけぼりを食らった。
理解しているNightとフェルノはまだしも、何も知らないアキラにしてみれば新鮮そのものだった。
「あの森か。確かに興味深いな」
「でしょー。丁度いいかなーって思って」
「丁度は良くないだろ。それにまだ探索も進んでない危険なダンジョンの可能性もある」
「大丈夫だって」
まるで確信がない。Nightは大きな溜息で懲り懲りだった。
「ねえ、私だけわかってないんですけどぉー。説明してほしいんですけどぉー」
アキラはジト目になって2人を睨んだ。
フェルノが軽いノリで「ごめんごめん」と謝るも、先に説明してくれたのはNightだった。
「正直私たちもよくわかっていない。アキラ、お前がどこまでの内容をフェルノから聞いたかどうかは知らないが、この間のアプデで脳波から得られる情報が溜まったのか、この世界も広くなった。その結果、新しいダンジョンが増えたのは理解しているな」
「う、うん。もちろん……だよ?」
「その顔は半分半分ってところだな。まあいい、この際関係ないからな。そこで今回、私たちは椿の森と呼ばれるモミジヤの近くに新しくできた鬱蒼とした森に行くことにした。おそらく妖怪系のモンスターの根城だろうが、新しいダンジョンだ。何が起きるのか、私の情報戦も当てにならない。気を引き締めて行けよ」
なるほど。アキラはパッと理解した。
意識の切り替えで超高速思考になると、細かなことは吹っ飛ばす。
「わかった。椿の森にフィールドワークに行くんだね」
「まあ、そういうことだな……ん?」
Nightは首を捻る。そんなに愉快な話しじゃないんだけどな。
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