205 / 568
◇205 意思が共鳴する剣《マインド・レゾナンス》
しおりを挟む
樹の表面には亀裂が所々に入っていた。
近づくとよくわかるが、内部にまで侵食しているようだった。
「何だか中に入れそう……」
ポツリと思ったことを口にした。
するとスライムは樹の亀裂の中に入って行く。
「えっ? そっちに行くの!」
勝手に入ってもいいのかな? もしも何かのダンジョンならモンスターに襲われるんじゃないかと不安になった。
アキラは一瞬迷ったが、どうせここまで来たのなら行くのも行かないのも同じだろうと思った。
スライムが消えた亀裂からは中に入れるかもしれない。
アキラも樹の内部に行ってみることにした。
「うわぁ、樹の中ってこうなってたんだ……幻想的」
樹の内部に入ると、たくさんの草花が咲いていた。
池のようなものもできて、ここだけでもモンスターが平穏に生活できそうだった。
「外は秋の寒々しさがするのに、ここだけ春みたいな陽気を感じる……ヒカリゴケの姓かな?」
真上を見ると樹の内側にはたくさんのヒカリゴケが自生していた。
そのおかげでまるで外にいるみたいに明るい。さらによく見れば、上の方は亀裂から外の光を取り入れている。
そのおかげもあってか、中もぽかぽかで暖かい。
「何だろー。気持ちよくなっちゃうなー」
『ダメですよ。目的を見失っては』
「わかってるよー。目的?」
急に声が聞こえた気がした。
しかし何故か特に気になることもなく、それが当たり前のように感じてしまう。
これは超リアルな夢を見ているのか。アキラは錯覚に陥っていたけれど、今の声ではっきりした。
ここに来た目的……そんなものない。
「ここに何しに来たんだっけ?」
そう言えばとキョロキョロ見回すと、スライムの姿が無くなっていた。
捜しては見たものの、何処にも気配を感じない。
「変だなー。さっきまでいたはずなんだけど……」
腕組をして突然いなくなった理由を考えてみた。
その結果、バグなんじゃないかと落とし込むことにした。
だけどせっかく意思疎通ができそうだったモンスターがいなくなるのは、ちょっぴり寂しい。ここまで真っ直ぐ来たから帰り道はわかるけど、帰りも案内してほしかったと後悔する。
「って、どうしよう。なにしたらいいんだろ?」
ちょっと歩いてみる時になるものを見つけた。
まるでおとぎ話の中みたいに、池の畔に剣が突き刺さている。
別に女神さまが出て来るだとかではなく、普通に石に刺さっていた。
まるで「はい、来た人抜いちゃって」と言っているみたいに、一種のアトラクションのようにそこに存在していた。
「どうしてこんなところに剣が……しかも剣じゃなくて、鞘の部分が突き刺さってるの?」
今思えばどうしてこういう代物は鞘の部分が突き刺さるのか。
本来なら高密度の金属であるはずの剣身が刺さるべきだろう。
考える必要はないのだが、気になってしまう。
「何だろう、この剣。凄く引かれ合う」
自然とアキラの足は剣に向かって歩いていた。
自分の意思がそうさせるのか、それとも剣がそうさせているのか。
アキラは考えつくこともなく、気が付けば剣の目の前に来ていた。
「この剣、とってもカッコいい」
試しに柄を握ってみることにした。
すると頭がズキッとした。不意に手を放して、頭を押さえるもすぐに収まって途切れてしまう。
「今のは一体……もう一回だ」
アキラはもう一度剣の柄に触れた。
すると今度ははっきりと頭の中にズキズキとする気配を感じる。
けれど剣の柄を放しはしなかった。思いっきり体重を後ろに掛けて、剣を引き抜こうとして見る。
『そのまま』
「えっ!? うっ、そりゃぁ!」
剣が抜けた。いや、鞘が石から弾き飛ばされたんだ。
実は最初はびくともしなかった。だけど急に軽くなって、私が体重をかけたせいで派手に転んでしまった。
「ぐはぁっ、痛たたたぁ……まさか後ろ向きで転ぶなんて。でも、おかげで剣が手に入ったぞ!」
別にどうしても欲しかったわけじゃない。
だけどこうして手に入れてみると、さっきの感覚がなくなっていた。
むしろ清々しい気分になる。
「もしかして、この樹はずっとこの剣を守っていたのかな? それが私なんかが抜いちゃったけど、良かったのかな?」
不安に感じたのだが、剣が急に震えだした。
まるで剣が応えてくれたみたいだ。
「あはは……えーっと、君の名前は……おっ! これだこれ」
アキラは手にした武器の名前を調べた。
意思が共鳴する剣 レア度:?
『特殊な金属でできた剣。特定の意識体と共鳴することで所持者に真の力を与える。剣自体が所持者を選び、鞘から抜くには覚悟が必要である』
「何それ?」
正直に読んだ感想は、よくわからないだった。
確かに剣を鞘から抜こうとすると、何故か引っかかって抜くことができない。
仕方がないのでインベントリに収納することにした。
「さてと、そろそろ帰ろうかなぁー。うっ」
急に目眩がしてきた。もしかして時間切れかな?
ドライブ自体がアキラの意識を起こそうとしているらしく、気が付けば気絶してしまっていた。
近づくとよくわかるが、内部にまで侵食しているようだった。
「何だか中に入れそう……」
ポツリと思ったことを口にした。
するとスライムは樹の亀裂の中に入って行く。
「えっ? そっちに行くの!」
勝手に入ってもいいのかな? もしも何かのダンジョンならモンスターに襲われるんじゃないかと不安になった。
アキラは一瞬迷ったが、どうせここまで来たのなら行くのも行かないのも同じだろうと思った。
スライムが消えた亀裂からは中に入れるかもしれない。
アキラも樹の内部に行ってみることにした。
「うわぁ、樹の中ってこうなってたんだ……幻想的」
樹の内部に入ると、たくさんの草花が咲いていた。
池のようなものもできて、ここだけでもモンスターが平穏に生活できそうだった。
「外は秋の寒々しさがするのに、ここだけ春みたいな陽気を感じる……ヒカリゴケの姓かな?」
真上を見ると樹の内側にはたくさんのヒカリゴケが自生していた。
そのおかげでまるで外にいるみたいに明るい。さらによく見れば、上の方は亀裂から外の光を取り入れている。
そのおかげもあってか、中もぽかぽかで暖かい。
「何だろー。気持ちよくなっちゃうなー」
『ダメですよ。目的を見失っては』
「わかってるよー。目的?」
急に声が聞こえた気がした。
しかし何故か特に気になることもなく、それが当たり前のように感じてしまう。
これは超リアルな夢を見ているのか。アキラは錯覚に陥っていたけれど、今の声ではっきりした。
ここに来た目的……そんなものない。
「ここに何しに来たんだっけ?」
そう言えばとキョロキョロ見回すと、スライムの姿が無くなっていた。
捜しては見たものの、何処にも気配を感じない。
「変だなー。さっきまでいたはずなんだけど……」
腕組をして突然いなくなった理由を考えてみた。
その結果、バグなんじゃないかと落とし込むことにした。
だけどせっかく意思疎通ができそうだったモンスターがいなくなるのは、ちょっぴり寂しい。ここまで真っ直ぐ来たから帰り道はわかるけど、帰りも案内してほしかったと後悔する。
「って、どうしよう。なにしたらいいんだろ?」
ちょっと歩いてみる時になるものを見つけた。
まるでおとぎ話の中みたいに、池の畔に剣が突き刺さている。
別に女神さまが出て来るだとかではなく、普通に石に刺さっていた。
まるで「はい、来た人抜いちゃって」と言っているみたいに、一種のアトラクションのようにそこに存在していた。
「どうしてこんなところに剣が……しかも剣じゃなくて、鞘の部分が突き刺さってるの?」
今思えばどうしてこういう代物は鞘の部分が突き刺さるのか。
本来なら高密度の金属であるはずの剣身が刺さるべきだろう。
考える必要はないのだが、気になってしまう。
「何だろう、この剣。凄く引かれ合う」
自然とアキラの足は剣に向かって歩いていた。
自分の意思がそうさせるのか、それとも剣がそうさせているのか。
アキラは考えつくこともなく、気が付けば剣の目の前に来ていた。
「この剣、とってもカッコいい」
試しに柄を握ってみることにした。
すると頭がズキッとした。不意に手を放して、頭を押さえるもすぐに収まって途切れてしまう。
「今のは一体……もう一回だ」
アキラはもう一度剣の柄に触れた。
すると今度ははっきりと頭の中にズキズキとする気配を感じる。
けれど剣の柄を放しはしなかった。思いっきり体重を後ろに掛けて、剣を引き抜こうとして見る。
『そのまま』
「えっ!? うっ、そりゃぁ!」
剣が抜けた。いや、鞘が石から弾き飛ばされたんだ。
実は最初はびくともしなかった。だけど急に軽くなって、私が体重をかけたせいで派手に転んでしまった。
「ぐはぁっ、痛たたたぁ……まさか後ろ向きで転ぶなんて。でも、おかげで剣が手に入ったぞ!」
別にどうしても欲しかったわけじゃない。
だけどこうして手に入れてみると、さっきの感覚がなくなっていた。
むしろ清々しい気分になる。
「もしかして、この樹はずっとこの剣を守っていたのかな? それが私なんかが抜いちゃったけど、良かったのかな?」
不安に感じたのだが、剣が急に震えだした。
まるで剣が応えてくれたみたいだ。
「あはは……えーっと、君の名前は……おっ! これだこれ」
アキラは手にした武器の名前を調べた。
意思が共鳴する剣 レア度:?
『特殊な金属でできた剣。特定の意識体と共鳴することで所持者に真の力を与える。剣自体が所持者を選び、鞘から抜くには覚悟が必要である』
「何それ?」
正直に読んだ感想は、よくわからないだった。
確かに剣を鞘から抜こうとすると、何故か引っかかって抜くことができない。
仕方がないのでインベントリに収納することにした。
「さてと、そろそろ帰ろうかなぁー。うっ」
急に目眩がしてきた。もしかして時間切れかな?
ドライブ自体がアキラの意識を起こそうとしているらしく、気が付けば気絶してしまっていた。
1
お気に入りに追加
221
あなたにおすすめの小説
仮想空間のなかだけでもモフモフと戯れたかった
夏男
SF
動物から嫌われる体質のヒロインがモフモフを求めて剣と魔法のVRオンラインゲームでテイマーを目指す話です。(なれるとは言っていない)
※R-15は保険です。
※小説家になろう様、カクヨム様でも同タイトルで投稿しております。
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
沢山寝たい少女のVRMMORPG〜武器と防具は枕とパジャマ?!〜
雪雪ノ雪
ファンタジー
世界初のフルダイブ型のVRゲーム『Second World Online』通称SWO。
剣と魔法の世界で冒険をするVRMMORPGだ。
このゲームの1番の特徴は『ゲーム内での3時間は現実世界の1時間である』というもの。
これを知った少女、明日香 睡月(あすか すいげつ)は
「このゲームをやれば沢山寝れる!!」
と言いこのゲームを始める。
ゲームを始めてすぐ、ある問題点に気づく。
「お金がないと、宿に泊まれない!!ベットで寝れない!!....敷布団でもいいけど」
何とかお金を稼ぐ方法を考えた明日香がとった行動は
「そうだ!!寝ながら戦えばお金も経験値も入って一石三鳥!!」
武器は枕で防具はパジャマ!!少女のVRMMORPGの旅が今始まる!!
..........寝ながら。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる