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◇170 火の矢
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アキラが跳んだ直後、Nightはベルに指示を送っていた。
「ベル、アキラをサポートするぞ。私たちは全力でアシストだ」
「わかっているわ。でも、あれだけ巨体な相手にどうやってダメージを与えるのよ」
「別にダメージを与えることにこだわる必要はない。今回はドクハナの採取に集中だ」
「そうね。それならどうするのよ? 的は大きいけど、単純な矢じゃ泥に覆われて終わりよ?」
ベルは危惧していた。
最初放った一射が鏃ごと泥に飲み込まれてしまったことを引きずっている。
単純な攻撃は泥に威力を殺されて意味を持たない。
ベルは苦汁を舐めていたが、Nightだって馬鹿ではない。むしろそこに頭を使っていた。
「敵は泥だ。そこに着目すれば自ずと答えは見えてくる」
「泥に? まさか泥を剥がすのかしらね」
「そんなわけがないだろ。とにかく弓を構えろ。矢はこれを使え」
Nightは即座にベルに弓を構えさせた。
すると今度は矢の先端が白い布で覆われた、不思議な矢を渡す。少し重いのでベルは矢のニオイを嗅いだ。独特な油分の香りがする。
おそらくこの布には油が塗ってある。
「なるほど火矢を使うのね。確かに少しは効きそうかしら」
「ダメージはないだろうが、やりたいことが理解できただろ」
「そうね。何となく理解したわ」
ベルはNightの意図を汲み取っていた。
瞬く間に弓を構えると、少しだけ曲射的に構える。
矢がいつもよりも重いため、射線を伸ばすための措置だ。
【風読み】を使って風を呼び寄せ、矢を遠くへ飛ばし自分の命中率も底上げする。
「いつでもいいわよ」
「それじゃあ行くぞ。しくじるなよ」
「私にプレッシャー? いつもソロで活動してた私に、プレッシャーなんて関係ないわよ」
Night葉マッチをインベントリから取り出し、油分たっぷりな白い布に点火した。
これで火の矢が完成したが、普通の油ではないのかやけに強く燃えている。
「Nightってマッチの使い方がわかるのね」
「当然だ。アキラが起きてくるタイミングで射貫け。私はその間に……」
Nightの手にはワイヤーが握られていた。
硬くしなるワイヤーを木の幹に引っかけ、反対側をブーツに噛ませる。
それから【ライフ・オブ・メイク】で何か作る。木でできた車輪のようだが、ワイヤーを組み込んでベアリングに使っていた。
「なるほど、考えたわね。何をするのかわからないけど」
「理解の必要はない。時間との勝負だ、行くぞ」
Nightは一気に走り出した。
その瞬間、アキラがドクハナを手に取り毒ナマズから落ちて来るのが2人の目には見えていた。
ベルは意識を集中させると、風を使って矢を遠くに飛ばす。
風のおかげで酸素が運ばれ、どんどん火は強く燃えだしている。今にも矢の棒にも炎の揺らめきが触れそうになるが、ベルは構うことなく矢を放った。
「これできっと……」
ベルは毒ナマズを確実の捉えた。すると火の矢が毒ナマズに触れるや否や、泥に邪魔されることなく火が燃え移る。
最初の矢は鏃ごと飲み込まれてしまったが、今回の矢は泥に触れるとゆっくりとだが泥に含まれる水分を蒸発させていく。
泥がカピカピになると泥ナマズの動きが確実に悪くなっていた。動きがぎこちなくなっていき、【泥腕】も出現しなくなる。
ボロボロに崩れてしまい、毒ナマズの動きが一瞬止まった。
「私の役目はお終いね。とは言え、ここからがソロ活動の真の力を発揮する場面ね」
ベルは弓矢を構え直した。泥がないなら攻撃は通る。
少しでもアキラとNightに意識が向かにように注意を裂きつつ、毒ナマズの相手をすることにベルは意識を割いていた。
「それで私だが、アキラの奴絶叫のせいで耳をやられたな。無理もないか、耳を塞ぐ余裕も耳栓も与えていないんだ」
あのガスマスクは防音効果はない。
アキラのことだからすぐに回復するだろうが、不自然なため落下の勢いも合わさってまともに受け身が取れないだろう。
そこでNightが走っていた。アキラが降って来るのを目視ずると、新しく用意したワイヤー銃をアキラの腕に引っかける。
「アキラ、腕伸ばせ」
「えっ? 腕を伸ばすの? ……うわぁ!」
アキラは左腕を軽く伸ばした。する炉ワイヤーが腕に絡みつて、Nightが引き金を引くと凄まじい速度で引き戻される。
アキラの腕がギィーッと引き千切れるぐらい引っ張られ、瞬時に目を覚ました。
瞼をカッと見開いて、気が付いた時には目の前に木の幹が迫っていた。
パニックになって空いた右腕を【甲蟲】と【灰爪】を使い木の幹に突き刺してクッションにしようとしたが、瞬く間にNightの方に引き寄せられていた。体が突然のことに耐えられなくなる。
「もう、酷いなぁ。何するの、Night!」
「真っ逆さまで落ちてきたお前を助けたんだ。私だって引き寄せの際に引きずられて痛いんだぞ」
「ご、ごめん……ていうか、この体勢は何?」
「知らん。お前が乗っかって来たんだろ」
「あはは、そうなんだ。ごめんごめん」
アキラは平謝りをした。
Nightの上に重なるように乗りかかり、アキラは無事に助かった。
「ベル、アキラをサポートするぞ。私たちは全力でアシストだ」
「わかっているわ。でも、あれだけ巨体な相手にどうやってダメージを与えるのよ」
「別にダメージを与えることにこだわる必要はない。今回はドクハナの採取に集中だ」
「そうね。それならどうするのよ? 的は大きいけど、単純な矢じゃ泥に覆われて終わりよ?」
ベルは危惧していた。
最初放った一射が鏃ごと泥に飲み込まれてしまったことを引きずっている。
単純な攻撃は泥に威力を殺されて意味を持たない。
ベルは苦汁を舐めていたが、Nightだって馬鹿ではない。むしろそこに頭を使っていた。
「敵は泥だ。そこに着目すれば自ずと答えは見えてくる」
「泥に? まさか泥を剥がすのかしらね」
「そんなわけがないだろ。とにかく弓を構えろ。矢はこれを使え」
Nightは即座にベルに弓を構えさせた。
すると今度は矢の先端が白い布で覆われた、不思議な矢を渡す。少し重いのでベルは矢のニオイを嗅いだ。独特な油分の香りがする。
おそらくこの布には油が塗ってある。
「なるほど火矢を使うのね。確かに少しは効きそうかしら」
「ダメージはないだろうが、やりたいことが理解できただろ」
「そうね。何となく理解したわ」
ベルはNightの意図を汲み取っていた。
瞬く間に弓を構えると、少しだけ曲射的に構える。
矢がいつもよりも重いため、射線を伸ばすための措置だ。
【風読み】を使って風を呼び寄せ、矢を遠くへ飛ばし自分の命中率も底上げする。
「いつでもいいわよ」
「それじゃあ行くぞ。しくじるなよ」
「私にプレッシャー? いつもソロで活動してた私に、プレッシャーなんて関係ないわよ」
Night葉マッチをインベントリから取り出し、油分たっぷりな白い布に点火した。
これで火の矢が完成したが、普通の油ではないのかやけに強く燃えている。
「Nightってマッチの使い方がわかるのね」
「当然だ。アキラが起きてくるタイミングで射貫け。私はその間に……」
Nightの手にはワイヤーが握られていた。
硬くしなるワイヤーを木の幹に引っかけ、反対側をブーツに噛ませる。
それから【ライフ・オブ・メイク】で何か作る。木でできた車輪のようだが、ワイヤーを組み込んでベアリングに使っていた。
「なるほど、考えたわね。何をするのかわからないけど」
「理解の必要はない。時間との勝負だ、行くぞ」
Nightは一気に走り出した。
その瞬間、アキラがドクハナを手に取り毒ナマズから落ちて来るのが2人の目には見えていた。
ベルは意識を集中させると、風を使って矢を遠くに飛ばす。
風のおかげで酸素が運ばれ、どんどん火は強く燃えだしている。今にも矢の棒にも炎の揺らめきが触れそうになるが、ベルは構うことなく矢を放った。
「これできっと……」
ベルは毒ナマズを確実の捉えた。すると火の矢が毒ナマズに触れるや否や、泥に邪魔されることなく火が燃え移る。
最初の矢は鏃ごと飲み込まれてしまったが、今回の矢は泥に触れるとゆっくりとだが泥に含まれる水分を蒸発させていく。
泥がカピカピになると泥ナマズの動きが確実に悪くなっていた。動きがぎこちなくなっていき、【泥腕】も出現しなくなる。
ボロボロに崩れてしまい、毒ナマズの動きが一瞬止まった。
「私の役目はお終いね。とは言え、ここからがソロ活動の真の力を発揮する場面ね」
ベルは弓矢を構え直した。泥がないなら攻撃は通る。
少しでもアキラとNightに意識が向かにように注意を裂きつつ、毒ナマズの相手をすることにベルは意識を割いていた。
「それで私だが、アキラの奴絶叫のせいで耳をやられたな。無理もないか、耳を塞ぐ余裕も耳栓も与えていないんだ」
あのガスマスクは防音効果はない。
アキラのことだからすぐに回復するだろうが、不自然なため落下の勢いも合わさってまともに受け身が取れないだろう。
そこでNightが走っていた。アキラが降って来るのを目視ずると、新しく用意したワイヤー銃をアキラの腕に引っかける。
「アキラ、腕伸ばせ」
「えっ? 腕を伸ばすの? ……うわぁ!」
アキラは左腕を軽く伸ばした。する炉ワイヤーが腕に絡みつて、Nightが引き金を引くと凄まじい速度で引き戻される。
アキラの腕がギィーッと引き千切れるぐらい引っ張られ、瞬時に目を覚ました。
瞼をカッと見開いて、気が付いた時には目の前に木の幹が迫っていた。
パニックになって空いた右腕を【甲蟲】と【灰爪】を使い木の幹に突き刺してクッションにしようとしたが、瞬く間にNightの方に引き寄せられていた。体が突然のことに耐えられなくなる。
「もう、酷いなぁ。何するの、Night!」
「真っ逆さまで落ちてきたお前を助けたんだ。私だって引き寄せの際に引きずられて痛いんだぞ」
「ご、ごめん……ていうか、この体勢は何?」
「知らん。お前が乗っかって来たんだろ」
「あはは、そうなんだ。ごめんごめん」
アキラは平謝りをした。
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