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◇165 ドクハナを採取するには
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アキラはラッキーだ。運を引き寄せるのは運命を変える力を持っているから。
自分の信じた道を貫きたい。そのために何をすればいいのか、知らず知らずのうちに答えを見つけ出していた。
それができるからこそ、アキラには強い力が宿っていた。
そして偶然を掴み取ったのだ。
「あっ、何か生えている」
毒沼の真ん中付近に何かある。紫色をした毒々しい花模様が窺えた。
ここからはよく見えない。
とりあえず報告しておこう。
「えーっと『なんか変な花を見つけたよ。場所は分かれた場所から西に300メートルぐらい』って、これでよし」
アキラは2人にメッセージを送った。
それからしばらく待っていると、ベルがやって来る。
ガスマスク越しだから一瞬ビックリしてしまった。
しかし体調もすっかり良くなったのか、アキラはホッと胸を撫で下ろした。
「アキラ、もう見つけたのね」
「うん。アレを見てよ」
「確かに何かあるわね。それにしても遠くない?」
ベルの言う通りかなり遠い。
ここから泳いで行ったとしても、ヘドロの沼のせいで多分主に襲われる。
アキラとベルはそれぞれスキルを使って取りに行くことも考えたが、そこにNightがやって来た。
「お前たち、何馬鹿なことをしようとしているんだ」
「「Night!」」
今度もガスマスクをした人がやって来た。
薄っすらと赤と青の瞳がマスク越しに見えている。
いつものマントがないのでただスタイルがいい人だ。
「あれがそうか……確かにドクハナだな」
Nightはそう双眼鏡片手に沼の奥にある花を観察した。
ガスマスク越しによく見える。
「何だ、そんなに変か?」
「変だよ。だって双眼鏡越しだよ!」
「仕方ないだろ。この場所には汚染する毒が発生している。どうやらこの沼を中心に、森全体に地面の断層を利用して臭いが撒かれているようだな」
「うわぁ、ヘドロ混じりの沼の水なんだ」
「かなり酷いわね。こんなの植物が可哀そうだわ」
「それは私たちの知ったことじゃない。人間がまだ足を踏み入れたことのない場所など、現実の世界にはいくらでもある。そんな世界で暮らしている動植物は、人間以上の能力を保有しているともされているな」
「最近未知の苔が発見されて、医療現場でも大活躍らしいよね」
「そうだな。ニュースでも言われているが……その臨床実験でどれだけの人間が犠牲になったのか……考えたくもないな」
普通に怖いことを言わないで欲しい。
一旦聞いていないふりをして、アキラはNightに尋ねた。
「これからどうするの?」
「どうするも何も取りに行くしかないだろ」
「そうだよね。じゃあ早速……」
「そうね。早速……」
アキラは【月跳】を使って跳ぶ準備をした。
ベルもワイヤーをくくり付けた矢を放とうとする。
「待て、そんな真似をするな」
「ええっ!?」
「ちょっと、何で止めるのよ」
ベルが少しイラっとしていた。
しかしNightには言いたいことがあるらしい。
「いいか、まずはアキラだ。【月跳】を使って跳んだところで、向こうまで届くのか?」
「高く跳べるんだからできるよ!」
「甘いな。高く跳ぶのと飛距離を稼ぐのは違うぞ。お前はもう少し練習しろ」
「ううっ……」
「これで黙るのか。もう少しましなアイデアを出してからやれ。お前の勘の鋭さは大したものだ。もちろん感情を読む力もな。だが考える力は私の方がある」
痛いところを突かれ過ぎて、アキラは何も言えなくなった。
次はベルに銃口が向く。
「ベルはワイヤーをくくった矢何か射って、まともに当たるのか?」
「心外ね。当たるわよ」
「なら聞くが風向きは、ヘドロ沼から発生される酸性系の毒素の可能性は、水の動きは底から発生される水蒸気による失速は……」
「ううっ……言い返せない」
「言い返す余地はあるだろ。まあいい」
「で、でも私なら……」
「【毒無効】に頼るのか。甘いな。だから甘い。残念だがヘドロの毒沼で毒は防げてもたどり着くまでに終わるぞ」
Nightが言いたいのは、ヘドロの重みのことだ。
完全にNightの手のひらの上で踊らされている。
迷宮のスパイラルの中に落ちた2人は成すすべがなく、Nightの優位に立たされた。
しかし何もしない訳ではない。アキラは反撃の一手に出た。
「そういうNightはどうなの!」
「そうよね。それだけ言うなら何か策があるのよね?」
「無論だ。私が無策でも飛び込みわけがないだろ」
「「本当だった……」」
2人は完全に坩堝に落ちた。
ちなみにNightの作戦は既に完成している。
【ライフ・オブ・メイク】の万能能力で、手の中には拳銃が収まっていた。小さいワイヤー銃だ。
「それは拳銃?」
「そうだ。この際、ファンタジーはもういいだろ」
「うわぁ、ツッコミを否定された。言い返せない……」
「先に返し手を潰さないでよね」
「それは普通のことだろ。今回は私のターンだ」
Nightは調子が上がっていた。
ワイヤー銃をどうやって使うのか。アキラたちは期待していたが、以外にも想像通りだった。
自分の信じた道を貫きたい。そのために何をすればいいのか、知らず知らずのうちに答えを見つけ出していた。
それができるからこそ、アキラには強い力が宿っていた。
そして偶然を掴み取ったのだ。
「あっ、何か生えている」
毒沼の真ん中付近に何かある。紫色をした毒々しい花模様が窺えた。
ここからはよく見えない。
とりあえず報告しておこう。
「えーっと『なんか変な花を見つけたよ。場所は分かれた場所から西に300メートルぐらい』って、これでよし」
アキラは2人にメッセージを送った。
それからしばらく待っていると、ベルがやって来る。
ガスマスク越しだから一瞬ビックリしてしまった。
しかし体調もすっかり良くなったのか、アキラはホッと胸を撫で下ろした。
「アキラ、もう見つけたのね」
「うん。アレを見てよ」
「確かに何かあるわね。それにしても遠くない?」
ベルの言う通りかなり遠い。
ここから泳いで行ったとしても、ヘドロの沼のせいで多分主に襲われる。
アキラとベルはそれぞれスキルを使って取りに行くことも考えたが、そこにNightがやって来た。
「お前たち、何馬鹿なことをしようとしているんだ」
「「Night!」」
今度もガスマスクをした人がやって来た。
薄っすらと赤と青の瞳がマスク越しに見えている。
いつものマントがないのでただスタイルがいい人だ。
「あれがそうか……確かにドクハナだな」
Nightはそう双眼鏡片手に沼の奥にある花を観察した。
ガスマスク越しによく見える。
「何だ、そんなに変か?」
「変だよ。だって双眼鏡越しだよ!」
「仕方ないだろ。この場所には汚染する毒が発生している。どうやらこの沼を中心に、森全体に地面の断層を利用して臭いが撒かれているようだな」
「うわぁ、ヘドロ混じりの沼の水なんだ」
「かなり酷いわね。こんなの植物が可哀そうだわ」
「それは私たちの知ったことじゃない。人間がまだ足を踏み入れたことのない場所など、現実の世界にはいくらでもある。そんな世界で暮らしている動植物は、人間以上の能力を保有しているともされているな」
「最近未知の苔が発見されて、医療現場でも大活躍らしいよね」
「そうだな。ニュースでも言われているが……その臨床実験でどれだけの人間が犠牲になったのか……考えたくもないな」
普通に怖いことを言わないで欲しい。
一旦聞いていないふりをして、アキラはNightに尋ねた。
「これからどうするの?」
「どうするも何も取りに行くしかないだろ」
「そうだよね。じゃあ早速……」
「そうね。早速……」
アキラは【月跳】を使って跳ぶ準備をした。
ベルもワイヤーをくくり付けた矢を放とうとする。
「待て、そんな真似をするな」
「ええっ!?」
「ちょっと、何で止めるのよ」
ベルが少しイラっとしていた。
しかしNightには言いたいことがあるらしい。
「いいか、まずはアキラだ。【月跳】を使って跳んだところで、向こうまで届くのか?」
「高く跳べるんだからできるよ!」
「甘いな。高く跳ぶのと飛距離を稼ぐのは違うぞ。お前はもう少し練習しろ」
「ううっ……」
「これで黙るのか。もう少しましなアイデアを出してからやれ。お前の勘の鋭さは大したものだ。もちろん感情を読む力もな。だが考える力は私の方がある」
痛いところを突かれ過ぎて、アキラは何も言えなくなった。
次はベルに銃口が向く。
「ベルはワイヤーをくくった矢何か射って、まともに当たるのか?」
「心外ね。当たるわよ」
「なら聞くが風向きは、ヘドロ沼から発生される酸性系の毒素の可能性は、水の動きは底から発生される水蒸気による失速は……」
「ううっ……言い返せない」
「言い返す余地はあるだろ。まあいい」
「で、でも私なら……」
「【毒無効】に頼るのか。甘いな。だから甘い。残念だがヘドロの毒沼で毒は防げてもたどり着くまでに終わるぞ」
Nightが言いたいのは、ヘドロの重みのことだ。
完全にNightの手のひらの上で踊らされている。
迷宮のスパイラルの中に落ちた2人は成すすべがなく、Nightの優位に立たされた。
しかし何もしない訳ではない。アキラは反撃の一手に出た。
「そういうNightはどうなの!」
「そうよね。それだけ言うなら何か策があるのよね?」
「無論だ。私が無策でも飛び込みわけがないだろ」
「「本当だった……」」
2人は完全に坩堝に落ちた。
ちなみにNightの作戦は既に完成している。
【ライフ・オブ・メイク】の万能能力で、手の中には拳銃が収まっていた。小さいワイヤー銃だ。
「それは拳銃?」
「そうだ。この際、ファンタジーはもういいだろ」
「うわぁ、ツッコミを否定された。言い返せない……」
「先に返し手を潰さないでよね」
「それは普通のことだろ。今回は私のターンだ」
Nightは調子が上がっていた。
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