161 / 550
◇160 毒沼湿地
しおりを挟む
「うわぁ、本当にじめじめしてる」
アキラはいつものことながら驚きから始まった。
目の前には鬱蒼とした森が広がっている。
かと思えばそれは見せかけで、奥に行けば期の数は圧倒的に少なくなるらしい。
と言うのも、これから行こうとしているのはこの森の先。真ん中にある湿地帯だ。
「凄いね、2人とも」
「そうですね。それにしてもじめじめしています」
「……はぁ」
アキラは振り替えてったのもしい友達に声を掛けた。
ベルはにこやかに微笑んでくれている。本心から来るものみたいで、怪訝そうではない。
一方もう1人は絶望的に気乗りしていない。
黒いマントがしなしなになっていて元気の欠片もない。
「どうしたのNight? 元気出してよ」
「元気なんか出るか。どうしてこんなところに……」
「だって砂漠はダメでしょ? すぐフラフラになるもん」
「それは言うな! だが湿地もないだろ」
「ないかなー?」
「私は構わないわ。だって砂漠暑いから」
「砂漠は夜間は寒くなるんだぞ。どうして湿地帯に……しかも、夜に来るんだ」
空は真っ暗闇だった。
頭上を見上げるとたくさんの星たちが輝いている。この間教わったくじら座に似た星座も探せばあるかもしれない。
だけどNightは見ている余裕もないのか、アキラとベルに水を差す。
「綺麗だね」
「そうね。何だかロマンチック」
「そうでもないだろ。星なんて都会でも見ようと思えば見られる」
「風情ないな。よっぽどロマンチックとは縁がないんだね」
「お前はあるのか?」
「まーったくないし、興味もないよ。でも星は綺麗だから私好きなんだ。【月跳】だもん」
「スキルを引き合いに出すな」
Nightのツッコミに棘がある。
早く帰りたいのか、ぬかるんだ地面を踏み荒らしていた。
1人で行くと危ない。何処からモンスターが出てくるかわからない。
アキラとベルはNightの隣をサンドイッチみたいに挟み込んだ。
「ちなみにどうしてこのメンバーなのかは……」
「おい、誰に話しているんだ」
「確認だよ。Nightも気になるでしょ」
「そんなの暇そうだからだろ。ベルはあれだな。付き合ってくれそうだからだ」
「正解!」
「合ってるのか……はぁ、これならピアノのレッスンを入れておくんだった」
アキラはNightを真っ先に誘った。
ドライブからメッセージを送ったのだが見て貰えないので、スマホを使って電話した。
寝ていたらしく寝ぼけた様子で、「なぁんだぁー」と電話に出たので、チャンスだと思った。
「明日、湿地帯に行こう!」とだけ言って電話を切ってしまったので来るしかなくなったみたいだ。
「しかもよりにもよって毒沼湿地何て……正直気乗りしない」
「毒沼湿地ってそんなに危険な場所なの?」
「当たり前だろ。毒沼と言うことは常に毒が放出されていることになる。長居すると感染するぞ」
「毒に感染するの? 毒ダメージが出るってことだよね」
「そうだ。ポーションがいくらあっても足りないぞ」
確かにソウラからたくさんポーションを受け取っていた。
インベントリの中もベルトのポーチにも、回復用のポーションでいっぱいだ。
いつものような機敏な動きができそうにない。
「アキラ、凄い数のポーションね」
「少し持ってよ。私前衛だから」
「いいわよ。おっ、結構量あるのね」
「これは流石に多すぎるな。インベントリにでも入れておけ」
緑色の青汁みたいな液体が入った瓶を、ベルとNightに手渡す。
1本辺り、大体200ミリリットルだ。
それを10本も20本も装備していたら動きにくいにもほどがある。
「ありがと。おかげで軽くなったよ」
「これだけの回復ポーションの数だ。一体何を採取つもりなんだ?」
「あれ? まだ言ってなかったかな。ソウラさんはドクハナを採取して来てって言ってたよ」
「ドクハナだと!?」
「何だか嫌な名前の花ね。毒があるみたい」
「多分あるよね。しかもモンスターの頭頂部に咲いているんだって」
「コミカルなモンスターなの?」
「わかんない。それでNightはどうして黙っているの? ……痛いっ!」
アキラはNightに蹴られた。
ブーツで足を蹴られたので普通に痛かった。
「どうして蹴るの!」
「お前がそんなヤバい依頼を持ってきたからだ」
「そんなにヤバいの? モンスターを倒すだけだよ?」
「それが難しいんだ。何たって相手は毒なんだぞ。触れられないんだぞ」
「「えっ!? 触れられないの」」
そんな情報聞いてない。ドクハナと言う名前だけで、それだけ脳内検索でヒットするのならきっと強くて危険なモンスターなのは間違いない。
何だか一変して不安になるが、ここで気圧されても仕方ない。
アキラは頬をバチンを勢いよく叩いた。気を引き締め直して、意識を切り替える。
まずは突拍子もないことから始める。
「とにかくやってみようよ! 大丈夫、これだけ回復ポーションがあるし私たちは強いんだからねっ!」
「フラグを下手に建てるな」
Nightにフラグ建設を否定されてしまった。
だけどアキラもベルもポジティブに考えることにしたので、ネガティブフラグには負けなかった。現代人には珍しい。
アキラはいつものことながら驚きから始まった。
目の前には鬱蒼とした森が広がっている。
かと思えばそれは見せかけで、奥に行けば期の数は圧倒的に少なくなるらしい。
と言うのも、これから行こうとしているのはこの森の先。真ん中にある湿地帯だ。
「凄いね、2人とも」
「そうですね。それにしてもじめじめしています」
「……はぁ」
アキラは振り替えてったのもしい友達に声を掛けた。
ベルはにこやかに微笑んでくれている。本心から来るものみたいで、怪訝そうではない。
一方もう1人は絶望的に気乗りしていない。
黒いマントがしなしなになっていて元気の欠片もない。
「どうしたのNight? 元気出してよ」
「元気なんか出るか。どうしてこんなところに……」
「だって砂漠はダメでしょ? すぐフラフラになるもん」
「それは言うな! だが湿地もないだろ」
「ないかなー?」
「私は構わないわ。だって砂漠暑いから」
「砂漠は夜間は寒くなるんだぞ。どうして湿地帯に……しかも、夜に来るんだ」
空は真っ暗闇だった。
頭上を見上げるとたくさんの星たちが輝いている。この間教わったくじら座に似た星座も探せばあるかもしれない。
だけどNightは見ている余裕もないのか、アキラとベルに水を差す。
「綺麗だね」
「そうね。何だかロマンチック」
「そうでもないだろ。星なんて都会でも見ようと思えば見られる」
「風情ないな。よっぽどロマンチックとは縁がないんだね」
「お前はあるのか?」
「まーったくないし、興味もないよ。でも星は綺麗だから私好きなんだ。【月跳】だもん」
「スキルを引き合いに出すな」
Nightのツッコミに棘がある。
早く帰りたいのか、ぬかるんだ地面を踏み荒らしていた。
1人で行くと危ない。何処からモンスターが出てくるかわからない。
アキラとベルはNightの隣をサンドイッチみたいに挟み込んだ。
「ちなみにどうしてこのメンバーなのかは……」
「おい、誰に話しているんだ」
「確認だよ。Nightも気になるでしょ」
「そんなの暇そうだからだろ。ベルはあれだな。付き合ってくれそうだからだ」
「正解!」
「合ってるのか……はぁ、これならピアノのレッスンを入れておくんだった」
アキラはNightを真っ先に誘った。
ドライブからメッセージを送ったのだが見て貰えないので、スマホを使って電話した。
寝ていたらしく寝ぼけた様子で、「なぁんだぁー」と電話に出たので、チャンスだと思った。
「明日、湿地帯に行こう!」とだけ言って電話を切ってしまったので来るしかなくなったみたいだ。
「しかもよりにもよって毒沼湿地何て……正直気乗りしない」
「毒沼湿地ってそんなに危険な場所なの?」
「当たり前だろ。毒沼と言うことは常に毒が放出されていることになる。長居すると感染するぞ」
「毒に感染するの? 毒ダメージが出るってことだよね」
「そうだ。ポーションがいくらあっても足りないぞ」
確かにソウラからたくさんポーションを受け取っていた。
インベントリの中もベルトのポーチにも、回復用のポーションでいっぱいだ。
いつものような機敏な動きができそうにない。
「アキラ、凄い数のポーションね」
「少し持ってよ。私前衛だから」
「いいわよ。おっ、結構量あるのね」
「これは流石に多すぎるな。インベントリにでも入れておけ」
緑色の青汁みたいな液体が入った瓶を、ベルとNightに手渡す。
1本辺り、大体200ミリリットルだ。
それを10本も20本も装備していたら動きにくいにもほどがある。
「ありがと。おかげで軽くなったよ」
「これだけの回復ポーションの数だ。一体何を採取つもりなんだ?」
「あれ? まだ言ってなかったかな。ソウラさんはドクハナを採取して来てって言ってたよ」
「ドクハナだと!?」
「何だか嫌な名前の花ね。毒があるみたい」
「多分あるよね。しかもモンスターの頭頂部に咲いているんだって」
「コミカルなモンスターなの?」
「わかんない。それでNightはどうして黙っているの? ……痛いっ!」
アキラはNightに蹴られた。
ブーツで足を蹴られたので普通に痛かった。
「どうして蹴るの!」
「お前がそんなヤバい依頼を持ってきたからだ」
「そんなにヤバいの? モンスターを倒すだけだよ?」
「それが難しいんだ。何たって相手は毒なんだぞ。触れられないんだぞ」
「「えっ!? 触れられないの」」
そんな情報聞いてない。ドクハナと言う名前だけで、それだけ脳内検索でヒットするのならきっと強くて危険なモンスターなのは間違いない。
何だか一変して不安になるが、ここで気圧されても仕方ない。
アキラは頬をバチンを勢いよく叩いた。気を引き締め直して、意識を切り替える。
まずは突拍子もないことから始める。
「とにかくやってみようよ! 大丈夫、これだけ回復ポーションがあるし私たちは強いんだからねっ!」
「フラグを下手に建てるな」
Nightにフラグ建設を否定されてしまった。
だけどアキラもベルもポジティブに考えることにしたので、ネガティブフラグには負けなかった。現代人には珍しい。
10
お気に入りに追加
208
あなたにおすすめの小説
いや、一応苦労してますけども。
GURA
ファンタジー
「ここどこ?」
仕事から帰って最近ハマってるオンラインゲームにログイン。
気がつくと見知らぬ草原にポツリ。
レベル上げとモンスター狩りが好きでレベル限界まで到達した、孤高のソロプレイヤー(とか言ってるただの人見知りぼっち)。
オンラインゲームが好きな25歳独身女がゲームの中に転生!?
しかも男キャラって...。
何の説明もなしにゲームの中の世界に入り込んでしまうとどういう行動をとるのか?
なんやかんやチートっぽいけど一応苦労してるんです。
お気に入りや感想など頂けると活力になりますので、よろしくお願いします。
※あまり気にならないように製作しているつもりですが、TSなので苦手な方は注意して下さい。
※誤字・脱字等見つければその都度修正しています。
ーOnly Life Onlineーで生産職中心に遊んでたらトッププレイヤーの仲間入り
星月 ライド
ファンタジー
親友の勧めで遊び、マイペースに進めていたら何故かトッププレイヤーになっていた!?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
注意事項
※主人公リアルチート
暴力・流血表現
VRMMO
一応ファンタジー
もふもふにご注意ください。
【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件
こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。
だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。
好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。
これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。
※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ
最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
病弱な私はVRMMOの世界で生きていく。
べちてん
SF
生まれつき体の弱い少女、夏凪夕日は、ある日『サンライズファンタジー』というフルダイブ型VRMMOのゲームに出会う。現実ではできないことがたくさんできて、気が付くとこのゲームのとりこになってしまっていた。スキルを手に入れて敵と戦ってみたり、少し食事をしてみたり、大会に出てみたり。初めての友達もできて毎日が充実しています。朝起きてご飯を食べてゲームをして寝る。そんな生活を続けていたらいつの間にかゲーム最強のプレイヤーになっていた!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる