160 / 568
◇160 毒沼湿地
しおりを挟む
「うわぁ、本当にじめじめしてる」
アキラはいつものことながら驚きから始まった。
目の前には鬱蒼とした森が広がっている。
かと思えばそれは見せかけで、奥に行けば期の数は圧倒的に少なくなるらしい。
と言うのも、これから行こうとしているのはこの森の先。真ん中にある湿地帯だ。
「凄いね、2人とも」
「そうですね。それにしてもじめじめしています」
「……はぁ」
アキラは振り替えてったのもしい友達に声を掛けた。
ベルはにこやかに微笑んでくれている。本心から来るものみたいで、怪訝そうではない。
一方もう1人は絶望的に気乗りしていない。
黒いマントがしなしなになっていて元気の欠片もない。
「どうしたのNight? 元気出してよ」
「元気なんか出るか。どうしてこんなところに……」
「だって砂漠はダメでしょ? すぐフラフラになるもん」
「それは言うな! だが湿地もないだろ」
「ないかなー?」
「私は構わないわ。だって砂漠暑いから」
「砂漠は夜間は寒くなるんだぞ。どうして湿地帯に……しかも、夜に来るんだ」
空は真っ暗闇だった。
頭上を見上げるとたくさんの星たちが輝いている。この間教わったくじら座に似た星座も探せばあるかもしれない。
だけどNightは見ている余裕もないのか、アキラとベルに水を差す。
「綺麗だね」
「そうね。何だかロマンチック」
「そうでもないだろ。星なんて都会でも見ようと思えば見られる」
「風情ないな。よっぽどロマンチックとは縁がないんだね」
「お前はあるのか?」
「まーったくないし、興味もないよ。でも星は綺麗だから私好きなんだ。【月跳】だもん」
「スキルを引き合いに出すな」
Nightのツッコミに棘がある。
早く帰りたいのか、ぬかるんだ地面を踏み荒らしていた。
1人で行くと危ない。何処からモンスターが出てくるかわからない。
アキラとベルはNightの隣をサンドイッチみたいに挟み込んだ。
「ちなみにどうしてこのメンバーなのかは……」
「おい、誰に話しているんだ」
「確認だよ。Nightも気になるでしょ」
「そんなの暇そうだからだろ。ベルはあれだな。付き合ってくれそうだからだ」
「正解!」
「合ってるのか……はぁ、これならピアノのレッスンを入れておくんだった」
アキラはNightを真っ先に誘った。
ドライブからメッセージを送ったのだが見て貰えないので、スマホを使って電話した。
寝ていたらしく寝ぼけた様子で、「なぁんだぁー」と電話に出たので、チャンスだと思った。
「明日、湿地帯に行こう!」とだけ言って電話を切ってしまったので来るしかなくなったみたいだ。
「しかもよりにもよって毒沼湿地何て……正直気乗りしない」
「毒沼湿地ってそんなに危険な場所なの?」
「当たり前だろ。毒沼と言うことは常に毒が放出されていることになる。長居すると感染するぞ」
「毒に感染するの? 毒ダメージが出るってことだよね」
「そうだ。ポーションがいくらあっても足りないぞ」
確かにソウラからたくさんポーションを受け取っていた。
インベントリの中もベルトのポーチにも、回復用のポーションでいっぱいだ。
いつものような機敏な動きができそうにない。
「アキラ、凄い数のポーションね」
「少し持ってよ。私前衛だから」
「いいわよ。おっ、結構量あるのね」
「これは流石に多すぎるな。インベントリにでも入れておけ」
緑色の青汁みたいな液体が入った瓶を、ベルとNightに手渡す。
1本辺り、大体200ミリリットルだ。
それを10本も20本も装備していたら動きにくいにもほどがある。
「ありがと。おかげで軽くなったよ」
「これだけの回復ポーションの数だ。一体何を採取つもりなんだ?」
「あれ? まだ言ってなかったかな。ソウラさんはドクハナを採取して来てって言ってたよ」
「ドクハナだと!?」
「何だか嫌な名前の花ね。毒があるみたい」
「多分あるよね。しかもモンスターの頭頂部に咲いているんだって」
「コミカルなモンスターなの?」
「わかんない。それでNightはどうして黙っているの? ……痛いっ!」
アキラはNightに蹴られた。
ブーツで足を蹴られたので普通に痛かった。
「どうして蹴るの!」
「お前がそんなヤバい依頼を持ってきたからだ」
「そんなにヤバいの? モンスターを倒すだけだよ?」
「それが難しいんだ。何たって相手は毒なんだぞ。触れられないんだぞ」
「「えっ!? 触れられないの」」
そんな情報聞いてない。ドクハナと言う名前だけで、それだけ脳内検索でヒットするのならきっと強くて危険なモンスターなのは間違いない。
何だか一変して不安になるが、ここで気圧されても仕方ない。
アキラは頬をバチンを勢いよく叩いた。気を引き締め直して、意識を切り替える。
まずは突拍子もないことから始める。
「とにかくやってみようよ! 大丈夫、これだけ回復ポーションがあるし私たちは強いんだからねっ!」
「フラグを下手に建てるな」
Nightにフラグ建設を否定されてしまった。
だけどアキラもベルもポジティブに考えることにしたので、ネガティブフラグには負けなかった。現代人には珍しい。
アキラはいつものことながら驚きから始まった。
目の前には鬱蒼とした森が広がっている。
かと思えばそれは見せかけで、奥に行けば期の数は圧倒的に少なくなるらしい。
と言うのも、これから行こうとしているのはこの森の先。真ん中にある湿地帯だ。
「凄いね、2人とも」
「そうですね。それにしてもじめじめしています」
「……はぁ」
アキラは振り替えてったのもしい友達に声を掛けた。
ベルはにこやかに微笑んでくれている。本心から来るものみたいで、怪訝そうではない。
一方もう1人は絶望的に気乗りしていない。
黒いマントがしなしなになっていて元気の欠片もない。
「どうしたのNight? 元気出してよ」
「元気なんか出るか。どうしてこんなところに……」
「だって砂漠はダメでしょ? すぐフラフラになるもん」
「それは言うな! だが湿地もないだろ」
「ないかなー?」
「私は構わないわ。だって砂漠暑いから」
「砂漠は夜間は寒くなるんだぞ。どうして湿地帯に……しかも、夜に来るんだ」
空は真っ暗闇だった。
頭上を見上げるとたくさんの星たちが輝いている。この間教わったくじら座に似た星座も探せばあるかもしれない。
だけどNightは見ている余裕もないのか、アキラとベルに水を差す。
「綺麗だね」
「そうね。何だかロマンチック」
「そうでもないだろ。星なんて都会でも見ようと思えば見られる」
「風情ないな。よっぽどロマンチックとは縁がないんだね」
「お前はあるのか?」
「まーったくないし、興味もないよ。でも星は綺麗だから私好きなんだ。【月跳】だもん」
「スキルを引き合いに出すな」
Nightのツッコミに棘がある。
早く帰りたいのか、ぬかるんだ地面を踏み荒らしていた。
1人で行くと危ない。何処からモンスターが出てくるかわからない。
アキラとベルはNightの隣をサンドイッチみたいに挟み込んだ。
「ちなみにどうしてこのメンバーなのかは……」
「おい、誰に話しているんだ」
「確認だよ。Nightも気になるでしょ」
「そんなの暇そうだからだろ。ベルはあれだな。付き合ってくれそうだからだ」
「正解!」
「合ってるのか……はぁ、これならピアノのレッスンを入れておくんだった」
アキラはNightを真っ先に誘った。
ドライブからメッセージを送ったのだが見て貰えないので、スマホを使って電話した。
寝ていたらしく寝ぼけた様子で、「なぁんだぁー」と電話に出たので、チャンスだと思った。
「明日、湿地帯に行こう!」とだけ言って電話を切ってしまったので来るしかなくなったみたいだ。
「しかもよりにもよって毒沼湿地何て……正直気乗りしない」
「毒沼湿地ってそんなに危険な場所なの?」
「当たり前だろ。毒沼と言うことは常に毒が放出されていることになる。長居すると感染するぞ」
「毒に感染するの? 毒ダメージが出るってことだよね」
「そうだ。ポーションがいくらあっても足りないぞ」
確かにソウラからたくさんポーションを受け取っていた。
インベントリの中もベルトのポーチにも、回復用のポーションでいっぱいだ。
いつものような機敏な動きができそうにない。
「アキラ、凄い数のポーションね」
「少し持ってよ。私前衛だから」
「いいわよ。おっ、結構量あるのね」
「これは流石に多すぎるな。インベントリにでも入れておけ」
緑色の青汁みたいな液体が入った瓶を、ベルとNightに手渡す。
1本辺り、大体200ミリリットルだ。
それを10本も20本も装備していたら動きにくいにもほどがある。
「ありがと。おかげで軽くなったよ」
「これだけの回復ポーションの数だ。一体何を採取つもりなんだ?」
「あれ? まだ言ってなかったかな。ソウラさんはドクハナを採取して来てって言ってたよ」
「ドクハナだと!?」
「何だか嫌な名前の花ね。毒があるみたい」
「多分あるよね。しかもモンスターの頭頂部に咲いているんだって」
「コミカルなモンスターなの?」
「わかんない。それでNightはどうして黙っているの? ……痛いっ!」
アキラはNightに蹴られた。
ブーツで足を蹴られたので普通に痛かった。
「どうして蹴るの!」
「お前がそんなヤバい依頼を持ってきたからだ」
「そんなにヤバいの? モンスターを倒すだけだよ?」
「それが難しいんだ。何たって相手は毒なんだぞ。触れられないんだぞ」
「「えっ!? 触れられないの」」
そんな情報聞いてない。ドクハナと言う名前だけで、それだけ脳内検索でヒットするのならきっと強くて危険なモンスターなのは間違いない。
何だか一変して不安になるが、ここで気圧されても仕方ない。
アキラは頬をバチンを勢いよく叩いた。気を引き締め直して、意識を切り替える。
まずは突拍子もないことから始める。
「とにかくやってみようよ! 大丈夫、これだけ回復ポーションがあるし私たちは強いんだからねっ!」
「フラグを下手に建てるな」
Nightにフラグ建設を否定されてしまった。
だけどアキラもベルもポジティブに考えることにしたので、ネガティブフラグには負けなかった。現代人には珍しい。
11
お気に入りに追加
221
あなたにおすすめの小説
仮想空間のなかだけでもモフモフと戯れたかった
夏男
SF
動物から嫌われる体質のヒロインがモフモフを求めて剣と魔法のVRオンラインゲームでテイマーを目指す話です。(なれるとは言っていない)
※R-15は保険です。
※小説家になろう様、カクヨム様でも同タイトルで投稿しております。
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
沢山寝たい少女のVRMMORPG〜武器と防具は枕とパジャマ?!〜
雪雪ノ雪
ファンタジー
世界初のフルダイブ型のVRゲーム『Second World Online』通称SWO。
剣と魔法の世界で冒険をするVRMMORPGだ。
このゲームの1番の特徴は『ゲーム内での3時間は現実世界の1時間である』というもの。
これを知った少女、明日香 睡月(あすか すいげつ)は
「このゲームをやれば沢山寝れる!!」
と言いこのゲームを始める。
ゲームを始めてすぐ、ある問題点に気づく。
「お金がないと、宿に泊まれない!!ベットで寝れない!!....敷布団でもいいけど」
何とかお金を稼ぐ方法を考えた明日香がとった行動は
「そうだ!!寝ながら戦えばお金も経験値も入って一石三鳥!!」
武器は枕で防具はパジャマ!!少女のVRMMORPGの旅が今始まる!!
..........寝ながら。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる