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◇146 太陽が天を差す

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 アキラ達は太陽と決めつけたクリスタルを何とか外した。
 雷斬に肩車をしてもらい、アキラが腕を伸ばす
 はまり方があまりにがっちりしているのかと思ったが、如何やら違うらしい。
 横にはNightが解読した暗号。このクリスタルを外すことで、この謎が完全に解ける。
 解けるんだけど……いや、既に解けているんだけどね。アキラは必死に引っ張っても取れずに苦労していた。

「うっ、全然取れない!」
「頑張ってくださいアキラさん。私のことは気にせず、思いっきりやってください」
「思いっきりって。じゃあ、せーのっ!」

 思いっきり引っ張った。だけど全く取れない。
 Nightやフェルノもふざけているのかと思っていたが、この感じマジだ。

「どうした、取れないのか?」
「うん。もしかしてカビのせいで取れなくなっちゃっているのかも」
「うーん、カビは生えていないようだが……何か他のアクションをしてみてくれ」
「他のアクションって?」
「思いつくものから手当たり次第にだ」

 無茶苦茶なオーダーだ。アキラは言われたとおり色々やってみる。

「押しても引いてもダメなら、いっそ回してみたりして」
「案外いいかもな」
「あはは、まさかね……うわぁ!」

 アキラは急にずっしりと重たい感覚に襲われた。
 何かと思い両手にクリスタルが握られている。もしかして回すのが正解だった?

「これじゃあ電球だよ!」

 変なツッコみが腹の奥底から湧き上がる。
 窪みの部分を覗き込めば螺旋状に凹凸ができている。クリスタルにもあった。
 どうやらこのクリスタル、本当に電球らしい。

「やりましたねアキラさん」
「ねえNight、もしかしてアキラにやらせたのってこのため?」
「あいつは意外に発想力があるからな。それに体感も強いから落ちても大丈夫だろ」
「落ちること前提にしないでよ!」

 Nightの言い草に腹を立てるアキラ。
 だけどクリスタルは取れたので結果オーライ。結果オーライなのかな?
 アキラは腑に落ちない顔をしていた。


 とりあえずクリスタルを手にすると太陽に掲げてみた。
 正直重たいのでフェルノも大変そうだ。
 あのクリスタル、普通に5キロぐらいはある。

「掲げればいいんだよね?」
「そうだな。ここには『導石を手にし者よ 高らかに掲げ大いなる希望の陽が満ち 天の頂に参られし時 赤き輝きに満ちたる石生まれる 四つの神に捧げ尋ね さすれば進むべき最良の道を示すだろう』と書いてあるからな」
「要は太陽にクリスタルを掲げて太陽光をいっぱい集めればいいんだよね」
「そういうことだ」

 正直ここまで解読するのは容易じゃなかった。とっても苦労した。
 アキラとNightのイメージ力だけで何とか形にしたので正直遭っているかはわからない。
 だけどそれっぽいことは全部やってみる。しらみつぶしは常套手段だ。

「それにしても疲れますね。どのくらいの時間溜めればいいのでしょうか?」
「とりあえず12時だな。それまでにある程度光を溜めて置いてもいい」
「どうしてなの?」
「決まっているだろ。万が一に備えてだ」
「「なるほど」」

 それで納得されても困る顔をNightが何故か浮かべる。
 だけど12時まで待つのは大変だ。フェルノも根性と気合、それから得意分野を活かしてクリスタルを掲げ続けている。
 何だろう。傍から見れば滑稽だ。だけどアキラにはこう見えていた。

「カッコいいよね。生き生きとしている生命力を感じる」
「そうだな。それには私も納得だ」

 Nightが素直に称賛を送った。
 アキラや雷斬たちは普通に驚く。何せあのNightがこんなにあっさり返すなんて誰も思わなかった。
 だけどそれは裏を返せば信頼していることになる。
 多分フェルノにその自覚はないんだろうけど、凄いスタミナだよ。
 だって……

「もう2時間あのままだよ。しかもどんどん楽な体勢を見つけてる」
「そこが凄いんだ。あいつの底なしの体力はより極まっている」

 時刻は12時前。天の頂に太陽が昇る。
 その瞬間、急にクリスタルの色味が変化した。
 青い色がどんどん赤々となっていく。まるで炎を宿したみたいに、だけどフェルノは……

「な、何々何が起こったの!」

 普通にパニックだった。
 けれどその手だけは決してクリスタルから放すことはなく、太陽が12時を回った瞬間、光が照射されてクリスタルは赤くなっていた。
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