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◇145 雑で難しい暗号

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 アキラ達は一旦休みを取ってから再度ログインすることにした。
 時刻は午後3時。棚からチョコレート菓子の袋を取り出し、適当に口の中に放り込む。

「うわぁ、苦い! これってお母さんが送ってくれた奴だ」

 明輝は1人暮らし。両親が海外に出張中。と言うか自由人だ。
 正直生まれてこの方お父さんの顔を見たことがない。
 だから育ててくれたのはお母さんで、今は何処にいるのかはっきりしない。
 手紙に書いてあることが真実かすら怪しい人で、今は何をしているのかな。
 ふとそんなことに黄昏ていると、昔変なものを貰ったことに気が付く。

「そうだ。確か昔お母さんから変なおもちゃを貰った気がする。あれ何処に仕舞ったかな?」

 明輝は物置部屋を探してみることにした。
 それもそのはず、ログアウトする前に黒石みみたいなものだけ気になって目を通した。
 天井のコンパスの脇に不自然に散らばっていたシミ。その状態は暗号だったが、ヒントにもならなくてスルーした。ずっとコンパスにばかり着目していたけど、アレを解かないと先には進めない気がする。

「とは言っても、日本語でもない見たことない文字何てどうやって解けばいいんだろう……あっ、あったあった」

 嘆く明輝だったが見事物置と化した部屋の中から欲しかったものを見つけ出した。
 26枚のパネルには英語のアルファベットのようで若干象形文字みも。
 完全に子供向きでも何でもないおもちゃに苦戦していた苦い記憶が蘇る。

「あっ、やっぱりこれだ。昔お母さんたちが友達と作ったって言う秘密の暗号。これを使えば解けるかも」

 明輝は覚えてきたシミを頼りにパネルを並び替えてみた。
 すると英語のような日本語のような点字のような何かもよくわからない文章が生まれる。
 変な模様が描かれてはいるが、ちゃんと読み方を覚えれば読むことができる。
 できるけど……

「これどのパターンだろ」

 マジでそこだけがわからなかった。
 そこでいったん休憩してから再度パズルみたいな謎と向き直り、頑張って半分は埋めてみた。正直、読み方のパターンがあり過ぎて解釈が難しい万能文字だった。


「おい遅刻だぞ、アキラ」
「ごめんね。ちょっと寝すぎちゃった」

 ログインし直すと開幕アキラは怒られてしまった。
 平謝りすると既にみんな揃っている。どうやら一番最後らしい。
 みんなあのシミに前向きに考えているが、さっぱりな様子だ。

「どうみんな、何かわかった?」
「ぜーんぜん。Nightが頑張ってくれているけど、流石に時間がかかるみたい。この世界で使われている文字みたいだけど、変換されててわからないんだよね」

 プレイヤーはゲームが遊びやすいように全部日本語表記だ。
 英語も対応しているが、やはりこの世界特有の文字は難しい。
 どうしよう。このゲームの開発者さんがお母さんの友達だって言った方がいいかな? アキラは悩んでいた。だけどNightは自力で解いてしまう。

「そうだな。こんなところだろ」
「もしかして解けたの?」
「ある程度はな。解釈違いがあるかもしれないが、絵柄と方位だけで判断するなら、ここに書いてあるものはザッとこうなる」
「いやいや、ザッとでどうしてわかったの?」

 アキラは驚きすぎて呂律が変に回ってしまった。
 だけどNightは全く気にしている様子はなく、簡潔に答える。

「この太陽のようなマーク。これは太陽やSunを表しているんだろうな。そこからなぞらえて、時計のマークは時間を意味していてその前の矢のマークはおそらく射手座。つまり11時から12時を指しているわけだ」
「な、なるほど……凄いね。って言うか……」
「雑だな」

 そもそも知らない絵柄もある上に解釈が難しすぎる。
 本当に初見だと絶対にわからない仕様になっていた。
 アキラ達は絶句していたが、Nightのおかげで謎は解けた。
 文脈を読むとこうなる。

『導石を手にし者よ 高らかに掲げ大いなる希望の陽が満ち 天の頂に参られし時 赤き輝きに満ちたる石生まれる 四つの神に捧げ尋ね さすれば進むべき最良の道を示すだろう』

 よくわからないけどとりあえずチープ。
 まずはこの導石。つまるところのクリスタルを取ってみないと話が始まりそうにない。
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