VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ユウ

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◇144 太陽のコンパス

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明らかに方位が書いてある。
 NとかSとかではなく、色で示されていた。
 だけどこの形状はもはや方位でしかない。だけどそれ以上何もない。
 ヒントが少なすぎてポカンとしている4人に対して、1人だけ真剣だった。

「なるほど。これはコンパスだな。さしずめ太陽のコンパスとでも言うべきか」
「いやいや、言いすぎでしょー」
「フェルノ空気壊しちゃダメだよ」

 フェルノはNightの決め台詞をぶっ壊した。そんなことができるのはアキラとフェルノだけだ。
 だけど今回のアキラはNight側なので破壊するのはやめる。
 だから逆にツッコミ役に回ってしまう。

「別に空気を壊したっていい。私はそんなくだらないことにとやかく思わない」
「そっかー。じゃあ気にしなくてもよかったねー」
「とは言え、我慢が効きすぎるわけでもないんだ。少し黙れ」
「ヒィッ!」

 Nightの目が怖かった。ギロッとフェルノを睨みつけると、アキラは背中を勢いよく叩いた。
 Nightがあまりに怖かったので、少し気を張らした。
 するとNightの反応がいつもよりも鈍かった。違う。アキラの反応が異常に速かった。

「それでどんな感じなの?」
「どんな感じと言われたらそうだな。あれは間違いなく、太陽を意味している」
「どうしてそんなことがわかるのかな?」
「決まっているだろ。方位を示している色とクリスタル上部の模様を見てみろ」

 ベルの質問を百聞は一見に如かずで切り返す。
 確かにクリスタルの上部には太陽のようなメラメラとした模様がある。
 その横には何か文字が書いてあるが、方位を示している模様は少し独特な色をしている。
 赤と青。それから白に黒色。何か意味があるのか。
 すると雷斬がピンと来て口にした。

「四神ですか?」
「そうだな。これは中国に伝わる四神を模した模様になっている。それによると、次第にコンパスだとわかるだろ」

 そう言えば前にお母さんから聞いたことがある。
 黒は玄武と言うヘビに巻き付かれたカメ。白は言わずと知れた白い虎、白虎だ。
 それから赤は赤でも朱の朱雀、赤い鳥。青は青龍のことを示している。
 方位や風水、陰陽道なんかでしか聞いたことがないが、まさかそれを絡めて来るなんて。
 もしかすると、いつか出てくるかもしれない。アキラはふと思考を巡らせる。

「コンパスと言うことは、この先どの方角に続いているのかがわかるだろうな」
「だけど南はないよね?」
「そうだな。入口自体は南向きだ。だが残りは三方向。それを示す手がかりもなしだ」

 Nightはとても困っていた。
 それもそのはず手掛かりと言う手掛かりがない。ヒントがないだけでこんなに何故は深まって泥沼のようになるのかと思うと、心底げんなりする。
 だけどNightはいつにも増して楽しそうだ。
 バカゲーも好きみたいだから、もしも突飛なアイデアでも許してくれそう。むしろそっちを期待しているのか、正統派の謎を前にして思考をただ巡らせる。
 きっと糖分が枯渇してくるころだ。

「一回ログアウトしない?」
「どうしてそんなことを言うんだ。今は良いところだぞ」
「だってNight疲れているでしょ? その足……」

 アキラの視線はNightの足に寄る。
 プルプルと小刻みに揺れているが、いかんせんよくわからない。
 常人なら気が付かないだろうが、アキラは訓練しているので気が付けた。

「確か脳波とリンクしているんだよね? 頭を使いすぎて体がガタガタだよ」
「……そうみたいだな。気が付かなかった」
「私たちもだよね?」
「「はい」」

 どうやら本人すら気が付けていないらしい。
 フェルノたちですら全くな様子で、アキラだけが研ぎ澄まされた意識の狭間で気が付けていた。
 しかしアキラですら驚いていた。今までで一番感覚が意識との狭間に落ちるのが早い。
 それはどういうことか、そんなのは……一番決まっている証拠だ。
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