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◇128 お月見バースト
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「はぁはぁ……嘘でしょ。こんなに長かったんだ」
アキラは息も絶え絶えだった。
普段から運動しているはずのフェルノ達ですら、何故か疲れている。
Night何て半分を超えたぐらいからばたりと倒れ、雷斬背負われていた。
「急に疲労感が溜まったんだけどー」
「空気が重たくなりましたね。これが高山病でしょうか?」
「そんな……わけが、あるか……これは、山の拒みだ」
「拒みって、そんなゲームみたいな。ってここはゲームだったわね」
アキラ達の疲労感は何処から来たのかわかっていない。
ただ酸素が薄くなったわけではなく、体が急に石のように重たくなった。
半分を超えた辺りで全身を駆け巡る酸素が滞ってしまい、歩くことがしんどくなっていたんだ。その原因はこの山の持つ呪いじみた重たい空気が原因だった。
「本当にこの山は終わっているな。はぁはぁ……見たところ綺麗そうだが」
「寂しいですね。空気が重たくて冷たいです」
山の頂上から見る月は綺麗だった。
しかしどこか寂しい雰囲気が滲み出ている。ここにいるだけで時が止まったような虚無感に苛まれる。
「みんな元気出してよ。もうすぐ3時だよ」
「そうだな。はぁはぁ……最近は疲労が溜まる高難易度依頼ばかりだな」
「でも楽しいよー」
「それだけ基礎スペックが高いパーティーの集まりだからだ。とは言え今回は疲労が……うっ」
Nightは【ライフ・オブ・メイク】を使う余力は残っていなかった。
このスキルはHPの消費が激しい。
そのため今のNightには脳を働かせるエネルギーも残されていない。
「まさか現実以外での食事がここまで重要になるなんてな」
パキッ!
Nightはチョコレートをかじる。糖分を補給するためだ。
ゲーム内での情報処理は現実とほぼ同じだ。
こっちでの影響も向こうでの影響も、どちらにも影響を及ぼす。
「はぁ……1回ぐらいはできるな」
「それじゃあ小雪さんから貰った団子を使ってみるよ」
「でもどうやって使うのさー?」
「うーん、わかんないけど。例えば、月に掲げてみるとか?」
アキラはインベントリから取り出した笹の葉を取り出す。中には白い団子が入っていた。
笹の葉の縛りを解くと、白い団子がお目見えする。
とりあえず月の光を浴びせてみよう。
お供えができないのなら、掲げてみるしかないと思ったからだ。
「胆略的だな」
「しかないよ。これくらいしか……あれ?」
白い団子が光り始めた。アキラは急なことで驚き、笹の葉を手から離す。
すると白い団子が落ちてしまい、コロコロと転がってしまった。
けれど光が途切れることはない。絶対におかしいと逃げる前に、変化が起きてしまった。
「ちょっとヤバいよ、アキラ!」
「そんなこと言われても……待って。これってまさか!」
「おそらくそうでしょうね。一旦隠れましょう」
「痛い痛い! 引っ張るな、雷斬」
アキラ達は揃って草むらの中に隠れた。
白い団子が眩い輝きを放つと、月の光を受けて柱のようなものがそびえる。
一体何が起きたのか。理解する前に、白い団子の周りに何かが生まれる。
カッカッカッカッカッ!
「何あれ? ウサギかな」
「白いウサギだけど、何だか大きくない?」
アキラとフェルノは草むらの陰から顔を覗かせ、白いウサギを見つけた。
しかしただのウサギではなく、奇妙な鳴き方や全身が3メートル以上は余裕である。
それに前脚も後脚も発達しており、奇妙としか言いようがないフォルムをしていた。
「何でしょうかあれは?」
「ウサギなのは間違いない。間違いないんだが……」
バキッ!
ウサギは大木をへし折った。
拳一発で簡単に木の幹に穴を空けられるウサギはもはやウサギではないと、冷汗をかくのだが、耳がいいのでアキラ達に気が付き視線を向けていた。
アキラは息も絶え絶えだった。
普段から運動しているはずのフェルノ達ですら、何故か疲れている。
Night何て半分を超えたぐらいからばたりと倒れ、雷斬背負われていた。
「急に疲労感が溜まったんだけどー」
「空気が重たくなりましたね。これが高山病でしょうか?」
「そんな……わけが、あるか……これは、山の拒みだ」
「拒みって、そんなゲームみたいな。ってここはゲームだったわね」
アキラ達の疲労感は何処から来たのかわかっていない。
ただ酸素が薄くなったわけではなく、体が急に石のように重たくなった。
半分を超えた辺りで全身を駆け巡る酸素が滞ってしまい、歩くことがしんどくなっていたんだ。その原因はこの山の持つ呪いじみた重たい空気が原因だった。
「本当にこの山は終わっているな。はぁはぁ……見たところ綺麗そうだが」
「寂しいですね。空気が重たくて冷たいです」
山の頂上から見る月は綺麗だった。
しかしどこか寂しい雰囲気が滲み出ている。ここにいるだけで時が止まったような虚無感に苛まれる。
「みんな元気出してよ。もうすぐ3時だよ」
「そうだな。はぁはぁ……最近は疲労が溜まる高難易度依頼ばかりだな」
「でも楽しいよー」
「それだけ基礎スペックが高いパーティーの集まりだからだ。とは言え今回は疲労が……うっ」
Nightは【ライフ・オブ・メイク】を使う余力は残っていなかった。
このスキルはHPの消費が激しい。
そのため今のNightには脳を働かせるエネルギーも残されていない。
「まさか現実以外での食事がここまで重要になるなんてな」
パキッ!
Nightはチョコレートをかじる。糖分を補給するためだ。
ゲーム内での情報処理は現実とほぼ同じだ。
こっちでの影響も向こうでの影響も、どちらにも影響を及ぼす。
「はぁ……1回ぐらいはできるな」
「それじゃあ小雪さんから貰った団子を使ってみるよ」
「でもどうやって使うのさー?」
「うーん、わかんないけど。例えば、月に掲げてみるとか?」
アキラはインベントリから取り出した笹の葉を取り出す。中には白い団子が入っていた。
笹の葉の縛りを解くと、白い団子がお目見えする。
とりあえず月の光を浴びせてみよう。
お供えができないのなら、掲げてみるしかないと思ったからだ。
「胆略的だな」
「しかないよ。これくらいしか……あれ?」
白い団子が光り始めた。アキラは急なことで驚き、笹の葉を手から離す。
すると白い団子が落ちてしまい、コロコロと転がってしまった。
けれど光が途切れることはない。絶対におかしいと逃げる前に、変化が起きてしまった。
「ちょっとヤバいよ、アキラ!」
「そんなこと言われても……待って。これってまさか!」
「おそらくそうでしょうね。一旦隠れましょう」
「痛い痛い! 引っ張るな、雷斬」
アキラ達は揃って草むらの中に隠れた。
白い団子が眩い輝きを放つと、月の光を受けて柱のようなものがそびえる。
一体何が起きたのか。理解する前に、白い団子の周りに何かが生まれる。
カッカッカッカッカッ!
「何あれ? ウサギかな」
「白いウサギだけど、何だか大きくない?」
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しかしただのウサギではなく、奇妙な鳴き方や全身が3メートル以上は余裕である。
それに前脚も後脚も発達しており、奇妙としか言いようがないフォルムをしていた。
「何でしょうかあれは?」
「ウサギなのは間違いない。間違いないんだが……」
バキッ!
ウサギは大木をへし折った。
拳一発で簡単に木の幹に穴を空けられるウサギはもはやウサギではないと、冷汗をかくのだが、耳がいいのでアキラ達に気が付き視線を向けていた。
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