117 / 601
◇117 経験値を稼げ!
しおりを挟む
その日、突如として運営からお知らせもなく新しいモンスターが追加された。
ダンジョンも追加され、アイテムも増えた。
そのことに気が付く者は、まだ誰もいない。
「社長、これでよろしいですか?」
「はい。この変化がプレイヤーの皆さんにどんな結果をもたらしてくれるのか、非常に楽しみです」
彼女は部下とともに期待していた。
薄暗い部屋の中、パソコンのディスプレイだけが青く光る。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ギルドホームの中で、5人は久々に集まっていた。
ここ最近はNightも用事があったのかログインできていない。
そのため、アキラとフェルノの2人に、たまに雷斬が加わる超前衛思考なパーティーが組みあがっていた。
「ヤバかったよね。前衛しかいないパーティーって」
「確かに大変でしたね。おかげでレベルは上がりましたが」
「そうだよ! ついに私がレベル25だよ!」
「25なのね。私の方がちょっと上かな」
ベルが対抗心を燃やした。
実際レベルは28とやや上。しかし団栗の背比べとでも思ったのだろうが、Nightは紅茶を一口飲み……
「レベルなんて関係ないだろう」
「「それは言わないで!」」
「被らすな被らすな。話し方の違う2人がハモると聞き取りにくい」
「エコー掛かっちゃうもんね」
確かに2人の声はよく聞こえなかった。
アキラはストレートティーを飲みながら温まる。
まだ寒くはないけど、その内寒くなるだろう。
「そんなお前たち2人にいい知らせがある」
「いい知らせってなにー?」
「また無茶はごめんよ」
「違う。今回は経験値稼ぎだ」
珍しい。珍しすぎて何も口に出せないアキラは、黙ってNightの話を聞く体勢に入った。
するとNightは違和感を覚え、チラチラと視線を送り付ける。何か言えってことだろう。
でもその意図に気が付かないアキラはNightが話し出すのを待つ。
「いいか、今回はメタル系だ」
「メタル系? それってこの間のと同じだよね」
メタル系。ゲームだと超超超おなじみの経験値荒稼ぎモンスターだ。
通常のモンスターが落とす経験値とは比べ物にならない経験値を落としてくれる、ゲームだとおなじみの存在だ。
当然この世界にもいるが、1つだけ欠点もある。
この世界だとそんなに意味がないことだ。プレイヤーの勝敗を分けるのは皮の部分ではなく、中身の方にある。スタータスはおまけのようなもので、貢献度も低い。ステータス格差やレベル差なんかも覆せるのが、このゲームのポイントの1つでガッツリプレイヤースキルとスキル選択に依存する。固有スキルは変えられないので、完全ガチャ仕様で文句は誰も言えないが、底が魅力の1つでもあるのは確か。
とは言え、レアモンスターであるはずのメタル系もあまり当てにならない。
「メタル系は珍しいのですか?」
「いいや、そこまでだ。そしてしょっぱい」
「しょっぱいんかい!」
今一番上げちゃいけないものを出した。
確かにステータスが上がると微々たる差だが貢献してくれる。基本的にステータスの上り幅は経験。経験値ではなく経験だ。つまり経験の早い襲い、自分への貢献度に応じて決まった経験値は出現しない。それがこの世界のこのゲームの経験値問題だ。
「この世界におけるメタル系は、厄介度が高いことになる」
「厄介度……確かに面倒だよね」
「面倒度とも言うが、メタル系は討伐が極めて厄介かつ時間がかかる。要は非効率モンスターで、誰も好きに戦いたくない。この世界における経験値問題もあるが旨味が少ないんだ」
「でもアイテムは美味しいよ。それだったらいいんじゃないの?」
「誰が使うんだ」
「あっ……」
論破されてしまった。
確かにレア種とは言え、3日もすれば見つかった。
でもとりあえずレベル上げはしておいた方がいい。このゲームで遊んでいるうレイヤーは未だにレベル上げ必須だと思っている人も6割以上もいるらしい。
ダンジョンも追加され、アイテムも増えた。
そのことに気が付く者は、まだ誰もいない。
「社長、これでよろしいですか?」
「はい。この変化がプレイヤーの皆さんにどんな結果をもたらしてくれるのか、非常に楽しみです」
彼女は部下とともに期待していた。
薄暗い部屋の中、パソコンのディスプレイだけが青く光る。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ギルドホームの中で、5人は久々に集まっていた。
ここ最近はNightも用事があったのかログインできていない。
そのため、アキラとフェルノの2人に、たまに雷斬が加わる超前衛思考なパーティーが組みあがっていた。
「ヤバかったよね。前衛しかいないパーティーって」
「確かに大変でしたね。おかげでレベルは上がりましたが」
「そうだよ! ついに私がレベル25だよ!」
「25なのね。私の方がちょっと上かな」
ベルが対抗心を燃やした。
実際レベルは28とやや上。しかし団栗の背比べとでも思ったのだろうが、Nightは紅茶を一口飲み……
「レベルなんて関係ないだろう」
「「それは言わないで!」」
「被らすな被らすな。話し方の違う2人がハモると聞き取りにくい」
「エコー掛かっちゃうもんね」
確かに2人の声はよく聞こえなかった。
アキラはストレートティーを飲みながら温まる。
まだ寒くはないけど、その内寒くなるだろう。
「そんなお前たち2人にいい知らせがある」
「いい知らせってなにー?」
「また無茶はごめんよ」
「違う。今回は経験値稼ぎだ」
珍しい。珍しすぎて何も口に出せないアキラは、黙ってNightの話を聞く体勢に入った。
するとNightは違和感を覚え、チラチラと視線を送り付ける。何か言えってことだろう。
でもその意図に気が付かないアキラはNightが話し出すのを待つ。
「いいか、今回はメタル系だ」
「メタル系? それってこの間のと同じだよね」
メタル系。ゲームだと超超超おなじみの経験値荒稼ぎモンスターだ。
通常のモンスターが落とす経験値とは比べ物にならない経験値を落としてくれる、ゲームだとおなじみの存在だ。
当然この世界にもいるが、1つだけ欠点もある。
この世界だとそんなに意味がないことだ。プレイヤーの勝敗を分けるのは皮の部分ではなく、中身の方にある。スタータスはおまけのようなもので、貢献度も低い。ステータス格差やレベル差なんかも覆せるのが、このゲームのポイントの1つでガッツリプレイヤースキルとスキル選択に依存する。固有スキルは変えられないので、完全ガチャ仕様で文句は誰も言えないが、底が魅力の1つでもあるのは確か。
とは言え、レアモンスターであるはずのメタル系もあまり当てにならない。
「メタル系は珍しいのですか?」
「いいや、そこまでだ。そしてしょっぱい」
「しょっぱいんかい!」
今一番上げちゃいけないものを出した。
確かにステータスが上がると微々たる差だが貢献してくれる。基本的にステータスの上り幅は経験。経験値ではなく経験だ。つまり経験の早い襲い、自分への貢献度に応じて決まった経験値は出現しない。それがこの世界のこのゲームの経験値問題だ。
「この世界におけるメタル系は、厄介度が高いことになる」
「厄介度……確かに面倒だよね」
「面倒度とも言うが、メタル系は討伐が極めて厄介かつ時間がかかる。要は非効率モンスターで、誰も好きに戦いたくない。この世界における経験値問題もあるが旨味が少ないんだ」
「でもアイテムは美味しいよ。それだったらいいんじゃないの?」
「誰が使うんだ」
「あっ……」
論破されてしまった。
確かにレア種とは言え、3日もすれば見つかった。
でもとりあえずレベル上げはしておいた方がいい。このゲームで遊んでいるうレイヤーは未だにレベル上げ必須だと思っている人も6割以上もいるらしい。
10
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

びるどあっぷ ふり〜と!
高鉢 健太
SF
オンライン海戦ゲームをやっていて自称神さまを名乗る老人に過去へと飛ばされてしまった。
どうやらふと頭に浮かんだとおりに戦前海軍の艦艇設計に関わることになってしまったらしい。
ライバルはあの譲らない有名人。そんな場所で満足いく艦艇ツリーを構築して現世へと戻ることが今の使命となった訳だが、歴史を弄ると予期せぬアクシデントも起こるもので、史実に存在しなかった事態が起こって歴史自体も大幅改変不可避の情勢。これ、本当に帰れるんだよね?
※すでになろうで完結済みの小説です。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
転生したらついてましたァァァァァ!!!
夢追子
ファンタジー
「女子力なんてくそ喰らえ・・・・・。」
あざと女に恋人を奪われた沢崎直は、交通事故に遭い異世界へと転生を果たす。
だけど、ちょっと待って⁉何か、変なんですけど・・・・・。何かついてるんですけど⁉
消息不明となっていた辺境伯の三男坊として転生した会社員(♀)二十五歳。モブ女。
イケメンになって人生イージーモードかと思いきや苦難の連続にあっぷあっぷの日々。
そんな中、訪れる運命の出会い。
あれ?女性に食指が動かないって、これって最終的にBL!?
予測不能な異世界転生逆転ファンタジーラブコメディ。
「とりあえずがんばってはみます」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる