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◇105 モンスターがいない
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アキラたち一行は森の中を抜けた。
すると見えてきたのは小さな川だった。
緩やかな水の流れが心地よいリズムを奏で、太陽が眩しく照らし出す。
「うわぁ、小川があるよ」
「へぇー、こんなところに小川があるなんてね。ってことは、上流にはもっと広い皮があるのかしらね」
「多分そうですね。ですが不思議です」
雷斬は小川を見ながら首を捻った。
ベルはすぐに反応したが、アキラは小川の中を泳ぐ小さな生き物を見つける。
優雅に泳いでいたのは黒っぽい魚だった。
「魚が泳いでいるよ」
「そうみたいですね。ですが本当に不思議です」
「不思議ってなにが? もしかしてモンスターがいないのに、魚が泳いでいること?」
「はい。ここに来るまでの間にモンスターの姿は一切見ませんでしたが、魚が泳いでるとなるとモンスター以外の生物は生息しているということですね」
確かに雷斬の言う通りだ。
ここに来るまでの間にあった獣道も、小川の中を泳ぐ魚もモンスターではない。
それに森の中からは虫たちの声が聞こえていた。
モンスターの反応とは違うが生物であることは確かだった。
「この島はダンジョンとは違うのかな」
「おそらくそうでしょうね。それにしてもここまで危害を加えるものがないと、平和でいいですね」
「平和な方がいいよ。ゲームの中ではいつも戦っていたから、こんな風に探索だけするのも楽しいよね」
雷斬はにこやかに微笑んだ。
するとベルはその間に耳を澄ましてみる。
虫とは違う声が聞こえていた。
「あれ? ねえ2人とも聞こえない」
「何が聞こえるの?」
「耳を澄ましてみて。きっとわかるから」
アキラたちはベルに言われるがまま、耳を澄ましてみた。
小川の流れる音が心地よくて頭の中がスッキリする。
虫の無く声も独特の風物詩があって、踊っているみたいだった。セミの鳴く声はうるさいけど。
色々な音に意識を巡らせてみると、今度はおかしなことに気が付いた。
ピーピーと甲高い鳴き声が聞こえてくる。しかも真上からだ。徐々に近づいてくる。
「この鳴き声はもしかして鳥かな?」
「そうだと思う。だけど鳥の巣何て何処かにあった?」
「いいえ、私の目では見つけられませんでした」
「私もなかったと思う。じゃあ渡り鳥とか?」
「じゃあ聞くけど、あれがそう見える?」
ベルは指を差した。
そこには茶色い塊が飛んでいる。大きな翼は勇ましかった。
だけどここからじゃよく見えない。
アキラは片眼鏡を目に当てて目を凝らした。
「タカかな?」
「タカ? モンスターじゃないのね」
「うーん、敵意はなさそうだよ。だけどおかしいね、バグっているのかな」
一応表示だけはされた。どうやらモンスターではあるらしいが、文字化けしてしまっている。
特徴的なのは羽の1枚1枚が剣のように鋭くて痛そうだった。
しかもレベルは今までに遭遇したどんなモンスターよりも高い。
「レベル81だって」
「レベル81! インフレもほどほどにして欲しいんだけど」
確かにこの間のサボテンと言い、レベルだけじゃどうにもならないようなモンスターが多い。
覆そうにも策を練る必要がある。
まるでリアルだ。本当に生きているみたいに感じるのは、ゲームならではの楽なシステムがないこのゲームの特徴かもしれない。
完全に1人では攻略が難しくなる。いいや、ほぼ不可能なレベルだ。
だから改めて理解した。この島には謎が多い。
「もしかして、この島はバグが多いから誰も買わなかったのかな?」
「バグが多いからですか」
「うん。バグが多すぎてレベル上げには不向きだってこと。だから完全に広大な土地を開拓することだけに特化させた方がいいかもね」
アキラはそう考えるようになった。
だからここからは探索ではなく、何か使えそうなものはないか探すことにする。
いわゆるゲームの中だけのスローライフ生活を、ギルドホームでは目指すことにした。
すると見えてきたのは小さな川だった。
緩やかな水の流れが心地よいリズムを奏で、太陽が眩しく照らし出す。
「うわぁ、小川があるよ」
「へぇー、こんなところに小川があるなんてね。ってことは、上流にはもっと広い皮があるのかしらね」
「多分そうですね。ですが不思議です」
雷斬は小川を見ながら首を捻った。
ベルはすぐに反応したが、アキラは小川の中を泳ぐ小さな生き物を見つける。
優雅に泳いでいたのは黒っぽい魚だった。
「魚が泳いでいるよ」
「そうみたいですね。ですが本当に不思議です」
「不思議ってなにが? もしかしてモンスターがいないのに、魚が泳いでいること?」
「はい。ここに来るまでの間にモンスターの姿は一切見ませんでしたが、魚が泳いでるとなるとモンスター以外の生物は生息しているということですね」
確かに雷斬の言う通りだ。
ここに来るまでの間にあった獣道も、小川の中を泳ぐ魚もモンスターではない。
それに森の中からは虫たちの声が聞こえていた。
モンスターの反応とは違うが生物であることは確かだった。
「この島はダンジョンとは違うのかな」
「おそらくそうでしょうね。それにしてもここまで危害を加えるものがないと、平和でいいですね」
「平和な方がいいよ。ゲームの中ではいつも戦っていたから、こんな風に探索だけするのも楽しいよね」
雷斬はにこやかに微笑んだ。
するとベルはその間に耳を澄ましてみる。
虫とは違う声が聞こえていた。
「あれ? ねえ2人とも聞こえない」
「何が聞こえるの?」
「耳を澄ましてみて。きっとわかるから」
アキラたちはベルに言われるがまま、耳を澄ましてみた。
小川の流れる音が心地よくて頭の中がスッキリする。
虫の無く声も独特の風物詩があって、踊っているみたいだった。セミの鳴く声はうるさいけど。
色々な音に意識を巡らせてみると、今度はおかしなことに気が付いた。
ピーピーと甲高い鳴き声が聞こえてくる。しかも真上からだ。徐々に近づいてくる。
「この鳴き声はもしかして鳥かな?」
「そうだと思う。だけど鳥の巣何て何処かにあった?」
「いいえ、私の目では見つけられませんでした」
「私もなかったと思う。じゃあ渡り鳥とか?」
「じゃあ聞くけど、あれがそう見える?」
ベルは指を差した。
そこには茶色い塊が飛んでいる。大きな翼は勇ましかった。
だけどここからじゃよく見えない。
アキラは片眼鏡を目に当てて目を凝らした。
「タカかな?」
「タカ? モンスターじゃないのね」
「うーん、敵意はなさそうだよ。だけどおかしいね、バグっているのかな」
一応表示だけはされた。どうやらモンスターではあるらしいが、文字化けしてしまっている。
特徴的なのは羽の1枚1枚が剣のように鋭くて痛そうだった。
しかもレベルは今までに遭遇したどんなモンスターよりも高い。
「レベル81だって」
「レベル81! インフレもほどほどにして欲しいんだけど」
確かにこの間のサボテンと言い、レベルだけじゃどうにもならないようなモンスターが多い。
覆そうにも策を練る必要がある。
まるでリアルだ。本当に生きているみたいに感じるのは、ゲームならではの楽なシステムがないこのゲームの特徴かもしれない。
完全に1人では攻略が難しくなる。いいや、ほぼ不可能なレベルだ。
だから改めて理解した。この島には謎が多い。
「もしかして、この島はバグが多いから誰も買わなかったのかな?」
「バグが多いからですか」
「うん。バグが多すぎてレベル上げには不向きだってこと。だから完全に広大な土地を開拓することだけに特化させた方がいいかもね」
アキラはそう考えるようになった。
だからここからは探索ではなく、何か使えそうなものはないか探すことにする。
いわゆるゲームの中だけのスローライフ生活を、ギルドホームでは目指すことにした。
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