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◇37 烈火、やる

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 ゴールデンウィークが明けた。
 長い長い休日が抜けたんだ。私はいつもの学校生活が始まり、クラスメイト達と楽しく過ごしていた。
 そんな中、親友の烈火が明輝の前にやって来た。

「うぃーす、明輝おはよ」
「烈火もおはよ。なんか黒いね? 焼けた」

 烈火の顔が黒かった。
 腕も足もちょっと黒い。日焼けしていた。
 すると烈火は頭を掻きながら、ゴールデンウィークのことを話してくれた。

「実はさー、新人戦が四月の終わりにあって、部活は楽しいんだけど、この休日の間ずっと山で合宿だったんだ。短いやつね」
「合宿! ちょっと楽しそう」
「うん、楽しかったよ。でもかなり疲れた子もいたみたいで、私はそんなでもなかったんだけど。それから山の中だから虫も出るし電波も悪くて、最悪だったんだー」
「それは散々だったね。でも勝ったんでしょ?」
「まあね。無事優勝はしましたよ、優勝は!」

 私は感心した。
 ネットの小さな記事になるほど、烈火は強い。
 なんたって、中学の頃はほぼ無敵で、他の追随を許さなかった。
 ちなみに烈火はテニスが好きってわけじゃない。じゃあ推薦でもないのに、どうして今テニスをやっているのかだけど、それは本人にしかわからない。
 とは言ったものの、親友の明輝には何となくわかっていた。

(確か安いからだよね。でもいいなー、烈火って、運動神経良くて)

 私が羨ましがる中、烈火は思い出したみたいに私の机を叩く。
 ドン! とけたたましくなってので、クラスメイトの視線が移る中、烈火だとわかるとすぐに自分たちの輪を作る。
 烈火は明輝にこう伝えた。

「そうだ、明輝。私、そろそろ始められそうだよ。部活も条件付きでの参加だったし、結構遊べるかも」
「そうなの! じゃあ、今日の夜にでもログインできる?」
「できるできる。いよいよ始めるぞー。って、メンバーは揃ってるの? いないんだったら、パーティー二人だけど……」

 烈火は不安な顔をした。表情が歪んでいるというよりかは、渋いものでも食べたみたいに、歪んでいる。
 そんな中、私はチッチッチッ! と指を動かして、決めると、烈火の顔色が変わる。

「もしかして仲間がいるの?」
「うん。この間ギルドを作ろうって、言ってくれた子なんだけどさ。Blue Nightがいるんだよ」
「マジで! それ凄いじゃん。あのBlue Nightなんでしょ!」
「そうみたいだよ。私はよく知らないけど、ちょーっと変わった子だった」

 そう説明したが、烈火は顔色一つ変えずに、首を横に振る。
 振り方は激しいわけじゃない。
 やっぱり考えの先が読める。だって顔に書いてあるから。

 明輝の予想は大まかにはあっていた。
 それから思ったことを口にした。

「大丈夫。ちょっと変わった子の方が、面白いからさ」
「面白いんだ。でも、変わった子は私も好き私もかも!」
「だよねだよね。だって、変わった子の方がなんか面白いもんね」

 烈火と私は昔から馬が合った。
 それは如何してか。今ではよくわかる。お互いに、完璧じゃない。誰だって同じことが言えるけど、なによりも何でもかんでも楽しんで助け合って、変わり者だからできることがあるんだ。
 烈火は運動得意。身体能力お化けで、明輝は運がよくてちょっと上手くいく子。パンチは弱いけど、二人は楽しく青春していた。
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