上 下
29 / 550

◇29 闇夜の墓城2

しおりを挟む
 闇夜の墓城シャンベリー。
 なんかちょっとカッコいい。

 アキラとNightはシャンベリーの中に踏み入れると、そこに広がるのは中世ヨーロッパのお城のようだった。

「うわぁ! 本当にお城みたい」
「ここは城で合っているぞ。もともとこの地を治めていた領主が、戦争で亡くなった兵士たちの死を弔うために、ここに広大な墓を置いたんだ」
「お墓を? いい人だったんだね」

 アキラは何の気なしに呟くも、Nightは面白くないのか、話の続きを話した。

「だがそう甘い話でもない。本人は死後、この城の際奥の部屋に自らの遺骨を納めた。それ体、この城には悪霊が住み着くようになった」
「悪霊?」

 首を傾げる。信じていない顔だ。
 しかしNightはまるで気にせずに、話を続ける。

「悪霊と言ってもモンスターだ。この間見ただろ、ミイラのモンスター」
「う、うん」
「あれはマミーと言って、プレイヤーの中でも選択する奴は多い。包帯の中に、何を隠しているかはわからないからな」
「怖いね。でも、味方にいたら面白そう」
「そうか? お気楽な奴だな」

 Nightの感想は、かなりあっさりしていた。
 あっさり餃子並みに、ニンニクが少ない。わからないか。吸血鬼だけにとか言ってほしかったけど。

「餃子みたいなコメントだね」
「吸血鬼だからか?」
「うわぁ! 本当に言ってくれた」
「なにがだ? 別にそれぐらいなら、私は言うぞ」

 もっとお堅い感じかと思っていたけど、如何やら違うみたいでアキラは素直に驚いた。
 それからNightは話を戻すと、墓城の説明に戻す。如何やらお城の中の事らしく、流石はNight、ロケハン済みだ。

 この城の中は三階構造になっている。
 一つ一つの階層が広くて、様々な部屋があるみたいだ。
 その中には厄介なトラップがあるみたいだけど、どんなのがあるのかな。アキラは楽しみにしていた。しかし、

「トラップの類なら、全て解除しているぞ。宝箱も、全て開けて、回収済みだ」
「嘘でしょ!?」
「嘘ではない。そもそもこんなことで嘘をついて何の意味がある? そもそもダンジョンによっては、宝箱の中身が復活するものもあるが、ここはNOだ」

 絶句した。アキラは口を開けている。
 そう言うことは、もう少し早くに言ってほしかった。いや、ちょっと待って。なにか忘れてる。

「ねえNight。Nightはこのお城を探索したんだよね?」
「ああ。それが如何した?」
「何にもないのはわかってたし、探策済みなのも知ってたけど」
「だから、なんだ」
「あれは、なに?」

 アキラは指を差した。
 すると何か浮かんでいる。階段の上、フロア部分にいたのは青白い靄。それは明らかに、敵だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

言霊付与術師は、VRMMOでほのぼのライフを送りたい

工藤 流優空
SF
社畜?社会人4年目に突入する紗蘭は、合計10連勤達成中のある日、VRMMOの世界にダイブする。 ゲームの世界でくらいは、ほのぼのライフをエンジョイしたいと願った彼女。 女神様の前でステータス決定している最中に 「言霊の力が活かせるジョブがいい」 とお願いした。すると彼女には「言霊エンチャンター」という謎のジョブが!? 彼女の行く末は、夢見たほのぼのライフか、それとも……。 これは、現代とVRMMOの世界を行き来するとある社畜?の物語。 (当分、毎日21時10分更新予定。基本ほのぼの日常しかありません。ダラダラ日常が過ぎていく、そんな感じの小説がお好きな方にぜひ。戦闘その他血沸き肉躍るファンタジーお求めの方にはおそらく合わないかも)

利己的な聖人候補~とりあえず異世界でワガママさせてもらいます

やまなぎ
ファンタジー
9/11 コミカライズ再スタート! 神様は私を殉教者と認め〝聖人〟にならないかと誘ってきた。 だけど、私はどうしても生きたかった。小幡初子(おばた・はつこ)22歳。 渋々OKした神様の嫌がらせか、なかなかヒドイ目に遭いながらも転生。 でも、そこにいた〝ワタシ〟は6歳児。しかも孤児。そして、そこは魔法のある不思議な世界。 ここで、どうやって生活するの!? とりあえず村の人は優しいし、祖父の雑貨店が遺されたので何とか居場所は確保できたし、 どうやら、私をリクルートした神様から2つの不思議な力と魔法力も貰ったようだ。 これがあれば生き抜けるかもしれない。 ならば〝やりたい放題でワガママに生きる〟を目標に、新生活始めます!! ーーーーーー ちょっとアブナイ従者や人使いの荒い後見人など、多くの出会いを重ねながら、つい人の世話を焼いてしまう〝オバちゃん度〟高めの美少女の物語。

サ終手前の元覇権ゲームを極めた俺、再ブームした世界で無双する。

ファンタジー
世界初! 圧倒的グラフィック! 高性能AIによる生きているかのようなNPC! 脳波を読みとるヘッドギアが織りなすリアルと遜色ない操作性! どう成長するかはプレイヤー次第の自由成長システム! キミを待つのはゲームじゃない。もう一つの世界だ。 な〜んて謳い文句で世界中のゲーマーを虜にし、大ヒットを記録したのは過去の栄光であり、過疎も過疎、運営すらも匙を投げたVRMMORPG【Another verse online】。 そんなゲームを共に遊ぶフレンドすら失ったにも関わらず、飽きずにソロで周回する毎日だった主人公。 大規模アップデートをする!と大々的に告知されてから丸2年。アプデに対して黙りこくっていた運営がとある発表をした日から、世界は大きく変わることとなる… カクヨム様でも投稿しています。

魔王様は転生王女を溺愛したい

みおな
恋愛
 私はローズマリー・サフィロスとして、転生した。サフィロス王家の第2王女として。  私を愛してくださるお兄様たちやお姉様、申し訳ございません。私、魔王陛下の溺愛を受けているようです。 *****  タイトル、キャラの名前、年齢等改めて書き始めます。  よろしくお願いします。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

大怪獣異世界に現わる ~雇われ労働にテンプレはない~

轆轤百足
SF
 ※仕事が忙しすぎるので、しばらく不定期更新になります。  西暦二〇二八年。日本はかつてない危機さらされていた。巨大怪獣の出現である。  その超生命体の圧倒的な破壊力の前には、人類の全てが無意味であった。  そして為す術がなくなった日本政府は、ついに国を捨てる決断にいたる。  その日本からの脱出道中に、『村戸達人』は怪獣に襲われて補食されてしまう。  彼は、ただの人間。人智を超越した超生命体に敵うはずもなかった。  しかし彼は死んでいなかった。だが目を覚ましたとき視界に広がっていたのは剣や魔術や竜に溢れた異世界、そして超生命体と化した自分の肉体であった。  異世界でありながら、ファンタジーもテンプレも蹂躙された仕事が始まろうとしている。   ●初心者ゆえに文章が下手だったり、ストーリーに矛盾が生じるかもしれません、初めて書きます。  なんとか完結できればと思ってます。アドバイス頂けたら幸いです。 ●本作は小説家になろうで連載していましたが、運営から削除警告がきたため修正したものです。  ミッドナイトノベルズでも連載しています。 (注意)  残虐描写が過度すぎて、なろう運営から警告が来た作品です。

拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。 とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。 …‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。 「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」 これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め) 小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。

釣りガールズ

みらいつりびと
恋愛
カスミガウラ釣り百合ストーリー。 川村美沙希はコミュ障の釣りガールで、ボーイッシュな美少女。 琵琶カズミはレズビアンの少女で、美沙希に惹かれて釣りを始める。 カスミガウラ水系を舞台にふたりの物語が動き出す。

処理中です...