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◇23 赤と青の瞳
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赤と青の瞳。
銀の混じった不思議な色の髪。
そこにいた少女は、いろんな要素を散りばめて詰め込んだような、不思議な印象を漂わせるとともに、一見して近寄りがたかった。
それはその奇怪な瞳のせい。
青いコンタクトが外れた赤い瞳をした右目。
瞳を抑えながら、その顔は訝しい表情を浮かべ、忌み嫌う様子。
だったのだが、今は違う。何故かポカンとした顔になっており、なよなよしていた。
「その言葉、言い方。お前はまさか……」
「ん?」
肝心の明輝はわかっていなかった。
しかしこの鈍感な感じが、より一層少女の想像を確信に変えた。そう、彼女は、
「見つかるなんてな」
「見つかる? うーん、誰かと待ち合わせしてたっけ? えーっと、えっとー。もしかして、Night?」
「そうだ。ここではその名前よりも、夜野蒼伊の方がしっくりくるがな」
明輝は目を丸くして、一瞬放心状態になった。
意識は宇宙の彼方を流れ、無重力の空間に投げ出されたような感覚だった。
そのまま時が数秒経ち、ようやく状況を理解すると、瞬きとともに、意識を振り切った。
「ほ、本当にNight?」
「だからその名前は止めろ。まさか、こんな反応をする奴が本当にいるなんてな。コンタクトをしてまで、コンプレックスを隠そうとする私が馬鹿らしく思える」
「コンプレックス? どれが」
「この目に決まっているだろ。デリカシーがないのか、単に鈍感なだけか、お前はどっちなんだ」
「うーん。どっちだろ?」
「お前なー」
蒼伊は呆れ顔になって、顔を覆う。
しかしその表情の口角は、少し笑みが窺えて、嬉しそうに見える。
なにをどうではない。彼女にとって、この感覚こそが、何より未知の風だったからだろう。
「それより、お前の名前は?」
「はい?」
「名前だ。私は名乗ったんだ。お前も名乗るのが筋だろう」
そう促され、そう言えばと思い、名乗っていないことを思い出す。
明輝はすんなりと意識を切り替えて、名乗った。
「私は明輝。立花明輝だよ。よろしくね、蒼伊」
「な、馴れ馴れしいな。まあいい。そのぐらいの方が、タメ口でも構わないな。ああ、明輝」
二人は握手をするではなく、恥ずかしいので、ドライブでアドレスを交換した。
それからこれで目的は達成した。
つまり、
「じゃあパーティー、組んでくれるんよね」
「仕方ないか。ふん」
「な、なにそれ!」
蒼伊は澄ました顔になると、どこかに行ってしまった。
その先にはリムジンが停まっていて、さっきまでは停まっていなかったことから、いつの間に来たんだろう。
しかし蒼伊は左手を上げて、手を振ると、明輝に対して、
「楽しみにしているぞ」
「うん。私もね」
「ふん」
そう言い残して、リムジンに乗ってしまった。
それは肯定か否定かどちらでもいいが、明輝はやり切った感に満たされていた。
銀の混じった不思議な色の髪。
そこにいた少女は、いろんな要素を散りばめて詰め込んだような、不思議な印象を漂わせるとともに、一見して近寄りがたかった。
それはその奇怪な瞳のせい。
青いコンタクトが外れた赤い瞳をした右目。
瞳を抑えながら、その顔は訝しい表情を浮かべ、忌み嫌う様子。
だったのだが、今は違う。何故かポカンとした顔になっており、なよなよしていた。
「その言葉、言い方。お前はまさか……」
「ん?」
肝心の明輝はわかっていなかった。
しかしこの鈍感な感じが、より一層少女の想像を確信に変えた。そう、彼女は、
「見つかるなんてな」
「見つかる? うーん、誰かと待ち合わせしてたっけ? えーっと、えっとー。もしかして、Night?」
「そうだ。ここではその名前よりも、夜野蒼伊の方がしっくりくるがな」
明輝は目を丸くして、一瞬放心状態になった。
意識は宇宙の彼方を流れ、無重力の空間に投げ出されたような感覚だった。
そのまま時が数秒経ち、ようやく状況を理解すると、瞬きとともに、意識を振り切った。
「ほ、本当にNight?」
「だからその名前は止めろ。まさか、こんな反応をする奴が本当にいるなんてな。コンタクトをしてまで、コンプレックスを隠そうとする私が馬鹿らしく思える」
「コンプレックス? どれが」
「この目に決まっているだろ。デリカシーがないのか、単に鈍感なだけか、お前はどっちなんだ」
「うーん。どっちだろ?」
「お前なー」
蒼伊は呆れ顔になって、顔を覆う。
しかしその表情の口角は、少し笑みが窺えて、嬉しそうに見える。
なにをどうではない。彼女にとって、この感覚こそが、何より未知の風だったからだろう。
「それより、お前の名前は?」
「はい?」
「名前だ。私は名乗ったんだ。お前も名乗るのが筋だろう」
そう促され、そう言えばと思い、名乗っていないことを思い出す。
明輝はすんなりと意識を切り替えて、名乗った。
「私は明輝。立花明輝だよ。よろしくね、蒼伊」
「な、馴れ馴れしいな。まあいい。そのぐらいの方が、タメ口でも構わないな。ああ、明輝」
二人は握手をするではなく、恥ずかしいので、ドライブでアドレスを交換した。
それからこれで目的は達成した。
つまり、
「じゃあパーティー、組んでくれるんよね」
「仕方ないか。ふん」
「な、なにそれ!」
蒼伊は澄ました顔になると、どこかに行ってしまった。
その先にはリムジンが停まっていて、さっきまでは停まっていなかったことから、いつの間に来たんだろう。
しかし蒼伊は左手を上げて、手を振ると、明輝に対して、
「楽しみにしているぞ」
「うん。私もね」
「ふん」
そう言い残して、リムジンに乗ってしまった。
それは肯定か否定かどちらでもいいが、明輝はやり切った感に満たされていた。
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