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第4章 女騎士と王女
4-6 公開凌辱会③
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二人連続でのリタイア、殊に12に対して密着した位置から繰り出されたアン王女の発勁は、強烈なまでの脅威を後続の者たちに与えていた。
発勁の威力を目の当たりにした13の男は、アン王女に近づくことすら出来ずに終了のベルを迎え、観客の嘲笑を浴びたが、運ばれていく12の痙攣する様を見ればそれもやむを得なかったかも知れない。
次に登場したひときわ小柄な14の男は、濡れたタオルを手に王女に正面から近づいていった。ドレスの裾がフワリと揺れて王女の蹴り脚が伸びたが、14は体をかわしてその脚を脇に捉えた。
「おおおおおお」
まともな形で王女の攻撃をかわしたのはこの14が初めてだった。しかも片脚を取られたことによって、これまでドレスに隠されていた王女の脚が膝上まで見えている。白い肌に、度重なる打撃を繰り出した名残の色がピンク色に浮かんでいた。
ここで14は思いもよらない行動を取った。持っていた濡れタオルで、王女の耳、首から背中、そして脇の下を丹念に拭き取ったのだ。10から始まった舐め技でベトベトに汚された王女の身体を清めることに時間を使い、14は終了のベルを迎えた。
呆気にとられて見ていた観客たちだったが、王女を気遣う少数の疎らな拍手が、やがて大きな感動に変わっていった。
「ありがとうー」
「男だねー」
「この、女ったらしー」
さっきまでとは風向きの変わった歓声の中、15の男を呼ぶチャイムが鳴る。王女にこの後の段取りを伝える役割のトモにとってはこの風変わりな14の後という流れは理想的だった。この流れなら無用に王女を疲労させることなく、観客に怪しまれずに王女に近づくことが出来る。
開始のベルが鳴った。背後から素早く王女を抱きしめたトモは、耳元で愛を囁くような素振りで要件を伝えた。
「この第1クールの後の休憩中に仕掛けます。あと5人、なんとかしのいでください」
王女は小さくうなずいた。
「テツさんと私が拘束を解いたら、正面の出口に向かって走ってください。止めるものは全て振り払ってください、出口までたどり着ければ、後は何があってもゆき様が必ず助けてくれるはずです」
「ゆきが......」
トモは、王女の瞳に力が戻ってくるのを感じた。よし、これならいける。ゆき様、あとは頼みましたよ、トモは終了のベルを聞いて控えに下がった。
ゆきが来てくれる。そのことがアン王女に与えた力は計り知れないものだった。この第1クールで最初の5人に触れることさえ許さなかった時をしのぐほど、身体のキレが戻っていた。
16の男が、後ろから王女を捕まえようと迫ると、まるで王女の周りが無重力になったかのように、ドレスがフワリと舞い、右脚一閃、王女の踵が16の顎を的確に捉えて吹っ飛ばした。右脚はそのまま天を指し、フィギュアのビールマンスピンを思わせる優美な姿のフィニッシュだった。
ドレスの下に見えた赤い下着はスケーターの見せパンとは全く異質な、高級感ある輝きに包まれていたことに一体どれだけの人が気づいたのか分からないが、それらひとつひとつの演出を含めて、第1クールのカウントダウンが観客を興奮の坩堝に飲み込んでいった。
17の男も18の男も、まるで赤子の手をひねるが如く、王女に触れることさえ出来なかった。気合い満点の19の男は、立派な体格をしたマッチョ系だった。しかも王女の背後からマッシュタックルを見舞う念の入りようだったので、再び王女に屈辱の時間を味あわせてくれるだろうと、観客も期待したが、その攻撃はもう飽きたわ、と言わんばかりにタックルの勢いに抗せず受け流した王女は、その返す刀で爪先を19の鳩尾に突き刺した。苦しみのたうち回る19の姿、そして嗚咽の声と吐瀉物、興奮して何にでも歓声を上げる観客もドン引きの惨敗だった。
タイトルは公開凌辱会。本来、会場にはもっとエロティックな場面が繰り広げられ、この時間にはアン王女の悲鳴や喘ぎ声が響いているはずだった。そのシーンを細大漏らさず観客に見てもらおうと、王女のうぶ毛のそよぎをも捉える映像システム、息遣いさえ漏らさない音響システムが備えられているのだが、その出番はここまでほとんどなく、高画質な映像は凌辱者たちのこうした汚らしいシーンをリアルに伝えるばかりだった。
観客のイライラに満ちたの視線が、第1クール最後の20番目の男に突き刺さった。これで最後とばかりに意気軒昂なアン王女に30秒で何かをするなんてことは、既に諦めた20の男は、両手を上げて降参の意思表示をして、開始のベルが鳴る前に会場から出ていってしまった。
敢無く第1クールが終了した。予想以上のアン王女の健闘に観客の期待は大きく外れてしまったものの、下着以外の着衣の剥奪が許される第2クールはこうはいかないと、次への期待を口にしながら、観客たちは新たな闘志をかき立てていた。
「これより30分間の休憩に入ります」
アナウンスがあり、会場が明転すると張りつめていた空気が一気に緩んだ。逆に中央のステージはスポットが落ちて暗転し、周りからは見えなくなった。
ここだ。
ゆきたちが狙った一瞬の隙。真っ暗になったステージから人がもみ合う音が聞こえてきた。
「何をしている、やめろ、やめろ」
ダダン、ドド、ドスッ、というぶつかり合い、何かが倒れ、人と人が殴り合い蹴り合う音が響いたかと思うと、その中から赤いドレスの女が駆け出して来た。
アン王女だ。
王女以外のすべての時間が止まったかのように、観客はその一点を注視して誰も動くことが出来ない。
「王女様!」
観客の中から一人の女が王女に向かって叫んだ。
「ゆき!」
王女は真っ直ぐにその女に向かって走る。王女とその女、すなわちゆきが、駆け寄り抱き合うシーンは、観客の目にまるでスローモーションを見るように鮮やかに焼きつけられた。
そうだ。それは会場の全カメラがこの様子を正確無比に追い掛け、全てのモニターが細大漏らさずこのシーンを鮮明に映し出していたからだ。
(続く)
発勁の威力を目の当たりにした13の男は、アン王女に近づくことすら出来ずに終了のベルを迎え、観客の嘲笑を浴びたが、運ばれていく12の痙攣する様を見ればそれもやむを得なかったかも知れない。
次に登場したひときわ小柄な14の男は、濡れたタオルを手に王女に正面から近づいていった。ドレスの裾がフワリと揺れて王女の蹴り脚が伸びたが、14は体をかわしてその脚を脇に捉えた。
「おおおおおお」
まともな形で王女の攻撃をかわしたのはこの14が初めてだった。しかも片脚を取られたことによって、これまでドレスに隠されていた王女の脚が膝上まで見えている。白い肌に、度重なる打撃を繰り出した名残の色がピンク色に浮かんでいた。
ここで14は思いもよらない行動を取った。持っていた濡れタオルで、王女の耳、首から背中、そして脇の下を丹念に拭き取ったのだ。10から始まった舐め技でベトベトに汚された王女の身体を清めることに時間を使い、14は終了のベルを迎えた。
呆気にとられて見ていた観客たちだったが、王女を気遣う少数の疎らな拍手が、やがて大きな感動に変わっていった。
「ありがとうー」
「男だねー」
「この、女ったらしー」
さっきまでとは風向きの変わった歓声の中、15の男を呼ぶチャイムが鳴る。王女にこの後の段取りを伝える役割のトモにとってはこの風変わりな14の後という流れは理想的だった。この流れなら無用に王女を疲労させることなく、観客に怪しまれずに王女に近づくことが出来る。
開始のベルが鳴った。背後から素早く王女を抱きしめたトモは、耳元で愛を囁くような素振りで要件を伝えた。
「この第1クールの後の休憩中に仕掛けます。あと5人、なんとかしのいでください」
王女は小さくうなずいた。
「テツさんと私が拘束を解いたら、正面の出口に向かって走ってください。止めるものは全て振り払ってください、出口までたどり着ければ、後は何があってもゆき様が必ず助けてくれるはずです」
「ゆきが......」
トモは、王女の瞳に力が戻ってくるのを感じた。よし、これならいける。ゆき様、あとは頼みましたよ、トモは終了のベルを聞いて控えに下がった。
ゆきが来てくれる。そのことがアン王女に与えた力は計り知れないものだった。この第1クールで最初の5人に触れることさえ許さなかった時をしのぐほど、身体のキレが戻っていた。
16の男が、後ろから王女を捕まえようと迫ると、まるで王女の周りが無重力になったかのように、ドレスがフワリと舞い、右脚一閃、王女の踵が16の顎を的確に捉えて吹っ飛ばした。右脚はそのまま天を指し、フィギュアのビールマンスピンを思わせる優美な姿のフィニッシュだった。
ドレスの下に見えた赤い下着はスケーターの見せパンとは全く異質な、高級感ある輝きに包まれていたことに一体どれだけの人が気づいたのか分からないが、それらひとつひとつの演出を含めて、第1クールのカウントダウンが観客を興奮の坩堝に飲み込んでいった。
17の男も18の男も、まるで赤子の手をひねるが如く、王女に触れることさえ出来なかった。気合い満点の19の男は、立派な体格をしたマッチョ系だった。しかも王女の背後からマッシュタックルを見舞う念の入りようだったので、再び王女に屈辱の時間を味あわせてくれるだろうと、観客も期待したが、その攻撃はもう飽きたわ、と言わんばかりにタックルの勢いに抗せず受け流した王女は、その返す刀で爪先を19の鳩尾に突き刺した。苦しみのたうち回る19の姿、そして嗚咽の声と吐瀉物、興奮して何にでも歓声を上げる観客もドン引きの惨敗だった。
タイトルは公開凌辱会。本来、会場にはもっとエロティックな場面が繰り広げられ、この時間にはアン王女の悲鳴や喘ぎ声が響いているはずだった。そのシーンを細大漏らさず観客に見てもらおうと、王女のうぶ毛のそよぎをも捉える映像システム、息遣いさえ漏らさない音響システムが備えられているのだが、その出番はここまでほとんどなく、高画質な映像は凌辱者たちのこうした汚らしいシーンをリアルに伝えるばかりだった。
観客のイライラに満ちたの視線が、第1クール最後の20番目の男に突き刺さった。これで最後とばかりに意気軒昂なアン王女に30秒で何かをするなんてことは、既に諦めた20の男は、両手を上げて降参の意思表示をして、開始のベルが鳴る前に会場から出ていってしまった。
敢無く第1クールが終了した。予想以上のアン王女の健闘に観客の期待は大きく外れてしまったものの、下着以外の着衣の剥奪が許される第2クールはこうはいかないと、次への期待を口にしながら、観客たちは新たな闘志をかき立てていた。
「これより30分間の休憩に入ります」
アナウンスがあり、会場が明転すると張りつめていた空気が一気に緩んだ。逆に中央のステージはスポットが落ちて暗転し、周りからは見えなくなった。
ここだ。
ゆきたちが狙った一瞬の隙。真っ暗になったステージから人がもみ合う音が聞こえてきた。
「何をしている、やめろ、やめろ」
ダダン、ドド、ドスッ、というぶつかり合い、何かが倒れ、人と人が殴り合い蹴り合う音が響いたかと思うと、その中から赤いドレスの女が駆け出して来た。
アン王女だ。
王女以外のすべての時間が止まったかのように、観客はその一点を注視して誰も動くことが出来ない。
「王女様!」
観客の中から一人の女が王女に向かって叫んだ。
「ゆき!」
王女は真っ直ぐにその女に向かって走る。王女とその女、すなわちゆきが、駆け寄り抱き合うシーンは、観客の目にまるでスローモーションを見るように鮮やかに焼きつけられた。
そうだ。それは会場の全カメラがこの様子を正確無比に追い掛け、全てのモニターが細大漏らさずこのシーンを鮮明に映し出していたからだ。
(続く)
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