【R18】女騎士ゆきの憂鬱

牧村燈

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第4章 女騎士と王女

4-4 公開凌辱会①

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 第1クールの競技は「着衣サワサワ」と発表された。

〈ルール〉
 凌辱者たちはアン王女の着衣の上からのタッチは許されますが、服を脱がせたり、捲ったり、ズラしたりしてはなりません。一人30秒の制限時間内、それぞれの自由な発想力と独創性、お触りの技術が求められます。アン王女からいいリアクションを得た上位10人には、その反応の評価順に、第2クールのシード権(順番選びとボーナスタイム)が与えられます。

 トモは、このルールで王女の反応を引き出すなら、意外にくすぐり技が奏功するかも知れないな、と考えて、いや俺はそういうことのために今ここにいるんじゃなかったと、首を振った。

 まず第1クールはアン王女には我慢をしてもらって、味方が側にいることを伝えることがミッションだ。アン王女の反応が第2クールの順番に関わるので、いいリアクションをお願いするというのも重要任務だ。

 僕に出来るだろうか?トモは不安でいっぱいだった。自分に出来ることは気配を消すくらいのことだ。

 ああ、もういなくなりたい。トモがそう思った瞬間、その場からトモの気配が消えた。

 トモの存在感がないという特技がこんなところで役に立つことになった。そうか、このままアン王女のところに行けば誰にも気が付かれない。トモは気配を消したままの状態でアン王女の元へと歩き出した。誰もトモに気付くものはいなかい。もちろんアン王女もだ。

「王女様、私はゆき様のパーティの一員です。王女様をお救いすべく参上しました。今しばらくのご辛抱を」

 突然背後から聞こえた声に驚いた王女は、辺りを見回したが人の気配はない。アナウンスが凌辱会の開始を告げた。

「王女様。必ずやお助け致しますので待っていてください。私の声をきっと覚えていてください」

 はっきりとその声を聞いたアン王女は、小さく頷いた。

 トモはすっとアン王女の側を離れた。誰にも気づかれることなくミッションをクリア出来た。僕にも出来ることがあった。いや、多分こうなることをゆきもテツも分かっていたのだろう。これがトモが自分の可能性に気づく第一歩になる。そのことはまだ誰も知らなかった。


 開始のチャイムと同時にエンリーナンバー1の男がアン王女に駆け寄りスタンバイの位置に立った。何しろ一人30秒しか時間がないので、明確な目的を持たないと何も出来ないまま終わってしまう可能性も大である。15秒の準備時間もあっという間に過ぎ、ピッというホイッスルで、凌辱会がスタートした。

 1の男の狙いは王女の胸だった。決して巨乳ではないが、適度な大きさと品の良い形は、思わず手を伸ばしたくなる。その双丘を1の手が掴もうとした瞬間、つんのめるように男はもんどり打って倒れてしまった。一体何が起こったのか?王女の胸一点に集中していた殆どの人の目には見えていなかったが、観客席のナカには、王女の膝が男の鳩尾に刺さるのをはっきりと見ていた。

 さすが王女様だ!ナカは溜飲を下げる。幼少の頃から徹底した英才教育で育てられた王女は、文武両道、体術や武術においても並みの男に引けを取ることはない。

 1の男はそのまま身動き一つできずにリタイアになった。しかし、息つく間もなく2の男の順番を告げるチャイムが鳴る。事態を飲み込めないまま、ホイッスルと同時に1と同じように正面から王女に向かった2は、1のリプレイを見るように床に転がり動かなくなった。

 騒めきと共に王女の脚の動きに気づいた観客たちは、

「膝蹴り?」
「あんなのいいのか?」
「抵抗させるな」

 とブーイングを始めた。タイムアウト。ここでアナウンスが入る。

「アン王女には手枷をしていますが、抵抗することを禁止とはしておりません。出来るだけ素の王女を追い詰めるリアリティを追求したい為、本来であれば手枷もつけたくなかったのですが、手枷も無しにしますと、このお転婆王女に100人全員を病院送りにされかねませんので、手枷をつけております。さてこの状態でどのくらい王女が頑張れるのか、これも見物ではありませんか?如何でしょうか、皆さん」

 おおおおお、という観客の声。凌辱者たちからも、雄叫びが聞こえてきました。

 真剣勝負か。ここからはそう簡単にいかないわね、とナカは詰めていた息を飲み込み、ゆき様はいつ動くだろうか?と思案した。

 ナカに出来る幻想拷問の範囲は最大でも10人くらいだ。少数の敵から逃げる時にはかなり有効だが、大勢の敵陣に切り込む時には効果が局所になるため、どこで使うかが重要になる。ゆきからもここ一番が来るまで力は使うなと言われていた。

 3の男が自らの顔を叩いて気合を入れた。体格の良いいかにもマッチョな3は、チャイムが鳴ると着ていたTシャツを破り捨てムキムキの上半身裸になってアピールした。二人の前例を見た3の男はアン王女の背後に位置を取った。これでは膝蹴りを繰り出すことは不可能だ。

 ベルが鳴り、時計が動き出すと3はアン王女の背後から抱きつくような形で胸を掴みに行く。その瞬間、王女の身体が宙に浮かび、回転と同時に蹴りが3の顔面に突き刺さった。

「ローリングソバット!」

 回転したことで手枷をつなぐ鎖がギシギシと揺れ、華奢なアン王女の身体はその揺れに耐えきれずに態勢を崩してしまう。3の男は立ち上がれなかったが、すぐさま4の男のスタンバイのチャイムが鳴る。ようやく態勢を立て直したアン王女の息がわずかに弾んでいるのが、観客席からも見て取れた。

「あと97人か」

 薄笑いの中にいやらしさが透けて見える隣の初老の男の口元に嫌悪を覚えたナカは、この男に迷わず幻想拷問を突き付けた。ナカは男の頭の中で、アン王女の赤いドレスを切り刻み、それを男の口の中に突っ込んだ。

「そんなに王女の裸が見たいなら、王女の服を全部食べるがいいさ」

 男が突然苦しみ出し、椅子から転がり落ちる。周りにいた者が遠巻きにする喧騒が生まれた為に、凌辱会も再びタイムアウトになった。警備員が男を撤収するまで、ほんの2分ほどだったが、王女が息を整えるには十分な時間だった。

 こうなると即出番となる4の男は困った。ガタイのいい3の男ですら呆気なく倒されてしまったのだから、安易に近づくのはリスキー極まりない。だからといって近寄らなくては触ることも出来ない。さてどうしたものか、考えている内にスタートのベルが鳴り、無策に狼狽えている内に終了のベルが鳴った。会場からため息が漏れる。

 5の男はそれならばと横から近寄って行ったが、王女の睨みにすくんでしまい、またも何も出来ないまま時間切れになる。会場から再びのブーイングが巻き起こった。

「意気地なしー」
「何しとん!やられてもいいからぶつかって行かんかい」
「王女にダメージを与えろー」
「脱がせー」
「おいろえー」

 好き勝手なヤジや雄叫びが飛びかう。次の6の男はこれまでの男たちとは少し違う方法を試みた。体制を低くして王女の後ろから近づき、太ももを目掛けてタックルをかましたのだ。これにはさすがの王女も体をかわす余裕もなく、男のタックルをまともに食らってしまった。繋がれている両手の鎖がガシガシと音を立てて軋むほど身体を飛ばされる。6はその身体を抱きとめて、王女の胸に両手を掛けた。

「ううっ」

 初めての王女の不覚の反応は、乱暴なタックルから得たチャンスに乗じてもたらされた。ダメージもあったが、両手の自由がない状態で後ろから密着されてしまうと、元々パワーで劣っている王女には逃れる術がない。その態勢で6は自らの腰を王女のヒップに押し付けた。仰け反ってこれから逃れようとする王女だが、6の腰は離れない。下から突き上げるように王女の身体を浮き上がらせた。

 ピピという終了のベルに救われた。

 6の男は名をマッシュと言った。マッシュは手を挙げて歓声に応えながら、舞台を降りた。ベルに救われた王女はグッタリとうなだれてる。

 間髪を入れず7の男を呼ぶチャイムが鳴った。6の男を手本に、7もまた王女の背後から勢いよくタックルをお見舞いし、背中に密着して王女を弄ぶ形を踏襲した。7のタックルは6のような鋭いものではなかったが、それでも女子としても小柄な部類のアン王女には大きなダメージを与えるものだった。次の8の男は更に小柄な男だったが、全く同じ戦法でアン王女を簡単に捕え、その愛らしい胸を揉みしだくことに成功した。

 7.8の成功は、恐らく王女の防御能力が6のダメージで激減してしまったことに大きな要因だったと考えられるが、王女の背後からタックルをかまして身体を捕まえ、思う存分胸を触り、お尻に股間を押し付けるという『マッシュモデル』は、第1クールの必勝パターンとして定着した。

 3人の男に力任せに蹂躙された王女の纏う赤いドレスは、大きく形を変えたわけではないが、どこか淫らに湿って見えた。

 そして9の若い男はチャイムがなるといきなり王女の目の前まで歩み寄り、開始のベルと同時に王女の顎を持ち上げてキスをしよう唇を寄せた。王女が弱っていると判断しての暴挙だった。案の定王女の反応は鈍い。危機一髪のところで頭突きをかまし、膝を股間に入れて9をノックアウトしたが、あとほんの数センチで唇を奪われるところだった。

 この暴挙について、三度目のタイムアウトを宣言した公式アナウンスは、口腔を使用した愛撫を禁じる条項はなく、ルール内と発表した。この発表は、今後王女の唇を奪いにくる輩が続出することと合わせて、例えば首筋、耳、手、足など既に露出していて、衣類を脱がす、捲る、ずらすに当てはまらない場所への口腔攻撃の可能性を広げた。それぞれのフェチたちの舌なめずりする音が聞こえてきそうな展開に、観客たちも新たな興奮を高めていった。

☆中間順位(上位3名) 第1位 6、第2位 9、第3位 8

(続く)
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