0からの社会政治経済学_まとめ

岸田首相がビースト同乗「異例」に感じる事

中国やロシアに対して牽制する意味合いとしては成功でしょう。
先日、ラブロフ外相との会談で中露の蜜月アピールに対抗して、迅速な外交上の牽制と見られます。
今まで筆者が書いて来た通り、中国とロシアは政治体制が異なるので幾ら蜜月をアピールしてもお互いに信用はしていません。ですから今回のショットは特に習政権に対して政治的な露骨な嫌がらせが含まれている様に思われます。（詳細は長くなりますが、既に米国側が中国が政治的意図で過剰生産と輸出を繰り返している事案に対して牽制しているからです、このショットを見る限り、実際には両者の言い分は平行線を辿ったという事でしょう。）

しかし、この写真や報道を見たガザ地区やイランを始めとする中東諸国はどう見るでしょうか。
恐らく、良い気はしないでしょう。
特にハマスやハマスに関わっている人達は日本が長期的にガザへ支援してきた事実を認識していません。
そこに今回のショットが大々的に報道された時にハマスの幹部などは日本に対して恨みを買う事に繋がるかもしれません。海賊行為が増えるだけならまだマシな方で、日本人を標的にしたテロが発生した場合に日本政府としてどの様に対応するつもりなのでしょうか。

最も、今まで日本はイランに対しても平等に外交を行って来ました。
イランは現状、イスラエルの行動に対してかなり自制をしている状況です。
ハメネイ師は国内の暴動を抑える事と外交上の自制が必要な面と真逆の対応を迫られており、非常に難しい立場に置かれています。
そこにイスラエルを支えている米国と日本が蜜月なショットを世界のメディアに流したらイランとしてはどの様に感じるでしょうか。

イランは報復すると強く牽制していますが、イランの立場としては国内のイスラエルに対する反発を押さえる事が先であり、本心としては余りイスラエルや米国に喧嘩を売る様な事は昨今の緊迫した中東の情勢下ではやりたくない筈です。
何故なら、一度アクセルを踏み込んでしまえば、イラン以外にも中東諸国や武装団体が参戦する可能性があるため、収集がつかなくなるからです。
下手すると第三次大戦の引き金になるような結果にはしたくないのが本音でしょう。

日本の外交が抱える問題はこの先です。
米国と蜜月なアピールを行った事により、中東諸国からなんとか安定的な原油調達をクリア出来ている日本が、この1ショットで不快に感じたとすれば、外交上で日本はせっかく中東に売り込んだプレゼンスは無効ないし不利な状況に追い込まれる事でしょう。
既にアラブに対しては再生エネに関する分野で日本企業を引き連れて大きく報道され、商売交渉に一定のアピールが出来た所で、商談に進むような場面です。
岸田氏は何を考えているのでしょうか・・・残念ですが何も考えていない様に感じます。

中東に対して誤解が生じないように難しい対応を迫られる事でしょう。
一番は支援金でしょうから、もし中東から要請が出れば岸田政権なら国会を通さずに問答無用で迅速に対応する事でしょう。
そのツケは残念ですが、税金で跳ね返ってきます。
残念ですが、支援金だけで終わるならまだ良い方でしょう、原油供給に関する部分でこじれてしまうと欧米諸国と比較して日本はそこまで燃料高騰になっていないのに欧米諸国並みの負担を受ける事にも成りかねません。

今現在、日本で供給されるガソリンや電気料金が上がったと強烈な不満が起きていますが、欧米諸国は今の日本国民が支払っている料金から更に3倍くらいを負担しています。
それを既に2年も続けているという事がどれだけ狂気の沙汰かを我々は理解しておくべきでしょう。
ドイツで言えば1世帯の月の電気料金（冬場）だけで10万（日本円の換算）を軽く超えています。
日本が物価高と言いつつも、世界の先進国の中ではまだかなりマシな部類なのです。

プレゼンスとして輪島塗をバイデンにプレゼントした事はプラス評価すべきでしょう。
これによって輪島塗が認知されて日本へインバウンドで来られる方々が興味を持って購入でもして貰えたらそれはそれで復興の役に立つでしょう。

しかし、米国と蜜月になる事が中東諸国の反感を買う可能性があるという事だけは認識しておく必要があります。
6月に解散総選挙を行うのであれば、首相として行動出来る範囲は2か月を切っています。
この3年間の岸田政権で確かに評価すべき点もありましたが、全体としては悪い印象や国民が全く求めていない行動が目立ちます。
ラストスパートをかけるのは仕方ないですが、ミスリードは控えて出来れば大人しくして頂きたいものです。