0からの社会政治経済学_まとめ

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日本国内の土地に関する税収や法律、森友・加計問題について

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安倍政権時代に森友・加計に関する土地買収の疑惑が話題になった事はまだ、記憶に古くないものと思います。
結局は何が問題だったのでしょうか。

国会ではひたすら論議になった内容は、以下でしょうか。
■安倍氏の考え方を教育する学校が気に食わない
■土地の販売価格が不当に安く優遇されている
■安倍氏の権限で優遇した
■国民の財産を勝手に安く売った

こういった趣旨で批判する向きが殆どでしたが、これは民意的な批判であって国や市町村が管理する土地税などの知識があれば、こんな所で切り込むのはおかしな話です。

第一にこの問題に対する一番の疑念は「入札が公平に行われたか」の一点です。
ここに集中した論議が必要でしたが、「汚職」といった部分だけがクローズアップされて空転したまま、何も進展がなく今日に至っています。

筆者からすれば、それは当然であろうと考えます。
第一に大阪に住んでいた経験者なら存知と思いますが、当時の大阪府の財政は非常に厳しいものでした。
土地柄上、観光にしても就労にしても外国人の出入りが多く、警官の人員を確保して治安維持するための予算だけでも相当な額が必要でした。
実例で言えば、道頓堀の周辺に自転車に鍵を付け忘れてコンビニでも入ろうものなら瞬殺で盗まれるレベルです。
地元の人であれば存知ですが、特定の数か所の地域では居住に適さない場所も実際にあります。

そもそも都道府県の自治体が土地を所有するという状態は、都道府県がその所有する土地税を支払う事を意味します。土地税の基本は墓以外は基本的に税金徴収が発生します。
つまり、遊んでいる土地を保有している状態は最終的に各自治体の市民税の増額に繋がるのです。
これは一般の国民も同様なので、単純に「財産」として括る事の方が多いと思いますが、国や自治体が利用していない土地を保有する行為は赤字でしかありません。
わかりやすく言えば、国民には土地税を徴収する権利が無いので、所有して使途が無ければ赤字です。
所が国や都道府県には土地税や固定資産税を徴収する権利と義務があります。

ですから、都道府県が遊んでいる土地を例えば0円で売薬したとしても、その土地を誰かが購入するという行為が発生すれば所有者が都道府県に代わって土地税や固定資産税を支払う事になります。
例えば、更地の場所には固定資産税は徴収できませんが、購入する以上は特定の理由が無い限りは建物を建造するので固定資産税の徴収が見込まれます。
森友問題で問題になった土地は元々、更地だったため土地税を大阪府が負担していました。
そこに森友が仮に安く土地を購入したとしても、学校を建造するという行為によって土地税と固定資産税、他には学校法人としての税金を支払う義務が発生するのです。
つまり、自治体が仮に0円で土地を売却したとしても実際には儲かるのです。


昨今、税収の在り方が問題として挙げられ、減税の声が止まりません。
一方で自治体や国が所有する土地に収益が発生していない状態で抱えているものは沢山存在するのです。
本来なら、減税をやる手っ取り早い方法は都道府県や国が保有する遊んでいる土地を0円でもさっさと売薬する事の方が先でではないでしょうか。
(実際には0円で売薬してしまうと海外から政治的な意図で介入される恐れがあるので、実際には0円での売薬は現実的ではないとは思いますが。)

その土地税や老朽化した建物があれば固定資産税の支払いも市民税の中から支払われる事になるのです。
森友・加計の問題で、確かに土地譲渡に関する入札のプロセスが正当な手順で公平性のあるものとして行われたのかという部分には疑問が残るのですが、野党は単純に政権批判や自民党批判などを繰り返すだけで、売却した後の経済効果や都道府県の税収に関する部分には何も切り込みを入れませんでしたよね。
だから野党のやっている事は頓珍漢で政治家としてダメなのです。

宅建などの資格を持たない国民は、土地税などの知識がないので「国民の財産を勝手に安く売却した」「安倍政権は汚職と疑惑とファシストの塊」といった叩き具合で終始してしまう訳です。
そこに本来の土地買収に関するプロセスが本当に正しかったかどうかという、部分に関しては誰もツッコミませんしそこには利害が発生しないからスルーされるのです。
何の建設的な理論も無く「自民が悪くて野党の言ってる事が正しい」という主張が全てなら、国会が空転する以外にありません。
だから日本の国会は小学生の学級委員会くらいのレベルにしかなりようがないのです。
日本の政治が小学生レベルの学級委員会の様な状態で果たして、日本という国が正常運用できますかね・・・
筆者個人としては疑問を感じます。


所で余談になりますが少子化問題が騒がれる中、日本の不動産の投資や建設に掛かるリスクは一般的に誰も指摘しません。
中国では既に不動産の暴落が問題になっていますが、日本も円高に転じて景気が下がれば多かれ少なかれ不動産投資に対するリスクは高まります。
米国では景気が変動しても土地や建物の資産価格は大きくは変動しない様、米国政府が計画管理しています。
ですから、中国や日本の様に景気左右によって土地転がしをする様な現象は稀です。
本来、日本が景気指標に流されて不動産暴落や雇用悪化ドミノ倒しにならない様にするには、不動産の計画的な指針は作った方が良いでしょう。
安倍政権発足時に不動産や建設業界を活性化させる目的で相続時に建設支出を行った場合、減免の特例がありました。これが一部の区域で建設ラッシュが起きた原因なのですが、そこには節税や減免と投機目的のケースが多く、実際の需要を計算して建設しているケースは少ないと思われます。
もしトランプ政権が復帰した場合、前回と同様にドル安円高誘導と米国の強い輸出政策に転じる可能性は高くなるでしょう。仮にそうなれば、日本の景気は下振れする可能性が高くなり、不動産価値は数年後に暴落する可能性が出てきます。
安倍政権時代に日本が金融緩和を発動出来たのはEUも金融緩和競争に入っていて反論が出来たからです。トランプの政策指針はあくまでドル安と輸出強固を主軸にしていますから任期が終わる前にカナダに対してもFTAの協定内で米国側が政治介入で自由にドル安操作できる枠組みを作っています。
主軸はFTAありきになるでしょう、基軸通貨が米ドルである限りは絶対的に米国の政治交渉は優位になります。


特段、中国の不動産業界や投資の考え方は日本や米国と大きく違う所があり、参考にはならないかもしれません。
中国の不動産は投機目的が多く、日本の様に内装まで完備して直ぐに使える状態ではない事の方が一般的です。
内装が無いので枠と箱だけ囲ったようなもので、実際に居住するには数か月かかります。
中国政府が課した恒大集団への制裁を切っ掛けにドミノ倒しになっている理由は、中国国内の独特な取引にあります。
明確な居住需要が無いのにオークションの様に積みあがって土地価格や建造物の価格が上がると、景気が良い時には投機で更に積み上がりますが、そもそも実際の需給関係はないので景気が悪くなると一気に手が引いてしまいます。それが過剰投資された都市開発が一気にゾンビ化する原因であり、その様な案件は大抵が巨大プロジェクトなので不動産業界や建設業などがさっさと手を引いて雇用も大きく消失します。
そして開発途中の地域はゾンビ化するのです。
ゾンビ化して中途半端なものが立ち並んで朽ちた状態で誰も人は寄ってこないですよね。
この方向自体は中国特有であり、他の無人コンビニやEVなどにも類似した傾向があります。
中国国内の競争はサイクルが早いので需要を考えている暇がなく、過剰投資して淘汰された後に閑散化しているのが多くの場合で共通しています。


中国を例に挙げましたが、日本にも特有の仕組みがあります。
筆者が兼ねてからREIT投資に対する懸念を記載してきた理由に言及するものです。
そもそもREITは政府が不動産投機を誘導する為に作った不動産投資信託です。
なぜ、この枠が必要になるかと言えば、建設業界の雇用を担保する為に必要だからです。

IT業界は20年前と比較してかなり規制が入りましたが、建設業界は20年前のIT業界とあまり変わりません。
理由は大手護送船団で引っ張って中抜き業者が介在して地域毎の主従関係を作っているからです。
IT業界も20年前はその様な状況でしたが、バブル崩壊後に人材教育を放棄した結果、人材が枯渇してオフショアが流行りました。オフショアは殆どの場合、正常に動かないのが通例で酷い場合は作り直しも普通にありました。
法改正も作用して結果的には中抜きが減りました。

ですから、目に見える部分では景気の良い時には基本的に需要の見込まれる所に建設案件が浮上し、投資するといった流れになるのですが、不動産投機はある程度纏まった投資資金が無ければ需要があったとしても取り掛かれません。REITはその投資をファンドに委託運用して貰うための投資手法です。

REITは政府が勧めている投資なので、銀行や証券会社は纏まった資金を持っている人に投資勧誘を行います。
筆者自身も実際に銀行から投資を強く勧められた経験を持っています。

しかし、実際には勧誘した人に突っ込んで話を聞くと以下になります。
■委託で運用は別の証券会社がやります
■元本保証は一切ありません

そもそも不動産投機を行って実際に償還するまでには5年ないし10年くらいは必要です。
利益はその後からつくものなので、そもそも元々の収益性が低いのです。
ここに運用手数料や銀行や証券会社の紹介手数料が発生すると投資した差額利益は幾らになるかを考えてみれば理解を頂けるのではないかと思います。

また、不動産投機に失敗する最大の原因は景気の悪化によって需要が消失し、投機価値を失うという部分にあります。建造した建物のまま売却でも出来ればまだ良い方なのですが、更地に戻す必要があれば取り壊しの費用も発生します。
そうなると景気に左右されて投資リスクだけが残る事になります。
実際にはそのリスク自体は不動産会社が背負う事になるのですが、その投資失敗に該当したREIT枠を持つ債権者は不動産業者と一緒に損失責任を債権の下落価値で支払う事になります。
手数料を取ってリスクなしで確実に儲かるのはファンドだけですよね。

今現在、投資に関するセミナーを親子で受講する傾向が流行りの様ですが、この様な流行りが起きる何年も前からREITの投資で損をする人が多く出ているのです。
大抵の場合、口座手数料や維持費でマイナスになったまま、債券価値も一度下落すると上がらない為に5年や10年先までの償還を待ったり、債券価値が消失するよりはマシと言う理由で泣き寝入りで売薬するケースが多いのです。
REITの投資枠の中にも色々な種類がありますので一概には言えないのですが、基本的にはハイリスクローリターンで景気が悪くなると損益を被る確率が高い債券であるという事を知っておくべきです。
債権の性質を理解して購入するのと、そうでは無いのとでは話が全く違います。

日本には色々な国際外交上のリスクや不利益を抱えていますが、国内事情で済む事は国内の法整備で解決していくべきでしょう。
その為の知識が国民に無ければ、経済も政治も正しい方向には向かないでしょう。

もし、日本の景気を長期的に見据えるならば、土地や建造物の都市計画と需給調整から始める必要があるのではないでしょうか。
それが結果的に不動産の変動リスクや雇用消失のリスクを下げる事に繋がるのではと筆者自身は考えます。
最も、市町村や国が都市計画を綿密に行うには第三者機関の監査なども踏まえて色々な論議が必要でしょう。
米国で実際に運用し、継続して成功している事例を取り入れていくのも一つの日本の在り方ではないかと思います。
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