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第377章『示威』
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第377章『示威』
陸軍の要職三名が狙い撃ちにされたという結論、それは九州のみならず中央――、京都の陸幕や統幕や三軍省、そして政府迄をも震撼させた。正体不明の勢力が遂に本格的に侵攻を開始しようとしている様だ、と、
『大和へと侵攻して来るのであれば対馬区以外では海からしか無い、太平洋側は遠浅で浮島式の製油施設が立ち並び円滑な接岸は難しいと思われる、侵攻の為の前線基地としては東シナ海の済州島が最適と思われる』
という陸軍西部方面旅団と海兵隊と沿岸警備隊西部方面艦艇群連盟の上申を根拠に、これ以上仕掛けられる前にこちらから攻めるべきではという強い主張が政府から出される事となった。
それを何とか押し止めたのは三軍省の制服組とその隷下である統幕、被害状況から推察出来る相手の兵力や技術力戦力は自分達を凌駕する、こちらから仕掛けたとしてとても太刀打ち出来る相手ではない。軍という組織の中で生きて来たからこそ肌身に感じるその思いがまさに必死と形容すべき抵抗を生み出した。
幾ら指揮権は政府、首相が有するとは言えど、実際に兵員を運用し事に当たる軍人達の猛烈な抗議が有っては、今後の円滑な動きと勝利を考えれば無理強いも出来ず、任せるからさっさと事態を収束させ事に備えろ、万が一の事が有れば責任はとってもらう、と、そう言うに止まった。
中央でそんな熾烈な駆け引きが為されていた頃、九州では或る騒動が持ち上がっていた。
横山が目撃したという、ジュリアーニが何処かへと連れ去って行ったタカコによく似た背格好の女、その女と思われる惨殺死体が市街地の一角の空き家で発見された。思われる、というのは、段々と夏の気配を感じ始める気温により腐敗が進行し始めていた事に加え、全身をズタズタに切り裂かれた上に首を切り落とされ、容貌がひどく変貌していた事が理由だった。推察される背格好から、もしや、と、唯一顔をはっきりと見ていた横山が現場へと赴き面通しをしたが、その彼も
「恐らくは……ただ、こうも酷い状態だと断言は」
そう言うに留まり、見た目の惨たらしさと腐敗臭にその日は寝込んでしまい仕事にはならなかった程。身に着けていた戦闘服の模様や袖に付けられていた部隊章から漸く断定へと至ったが、一つ不可解なものが現場に残されていたという報告が高根や黒川、そして敦賀の神経を妙に尖らせた。
残されていたもの、それは、死体が身に着けていた戦闘服の袖に縫い付けられていた部隊章と瓜二つの意匠の刺繍。周囲の床に落ちていたわけではなく死体、胴体の上に乗せられた頭部の上に置かれ、遺体の衣服から剥ぎ取られた形跡も無い。何か意味が有ると直感した高根の命令によりそれは回収され、比較の為にと死体の部隊章と一緒に高根の執務室へと届けられた。
「……違うな、これ」
「ああ、乗っけられてた方が上等で精巧な作りになってるな……糸は、これ、本物の銀糸じゃないのか?生地の色もこっちの方が深みの有る青だ」
「刺繍もこっちの方がずっと細かいな。死体が付けてた方は、似ちゃぁいるが全体的に雑ってぇか、安っぽいな」
「何より――」
「ああ、こっち、頭に乗せられてた方には見覚えが有る。あの時に見たのも、こんな銀と深い青だった」
執務机の上に置かれた防臭の為に袋に入れられた二つの部隊章、それを頭を突きあわせる様にして覗き込み、高根と黒川が話している。あの時――、それは二人で京都から帰って来た時、敦賀の執務室を訪れた自分達の前にタカコが現れた時。あの時ワシントンの戦闘服を身に纏っていたタカコ、その彼女の袖に縫い付けられていたのは、今回頭部へと置かれていた部隊章に間違い無い。死体の方は模造品なのだろう、実物を入手出来なかったのか全体的な意匠は確かにそっくりではあるものの、材質や刺繍の細かさ等、二つを並べて見ればその差は歴然だった。
上等な方の部隊章はタカコかその部下のものと見て間違いは無いだろう。女を連れ去って行ったのがジュリアーニなのだからそれは何等不自然ではない。
そこで二人がぶち当たったのが、何故タカコ達がこんな凶行に及んだのかという事。連れて行ったのがジュリアーニなら、殺したのも彼かタカコかその部下達だろう。しかし、自分達の知るタカコはこんな凶行に及ぶ人間ではない、殺す事に躊躇いは無いだろうがこんな『無駄』な事をする人間でもない。対馬区で北見を焼き殺した時に残忍さの片鱗を感じた事は確かだが、付きっ切りで火の番をしていたキムが骨を粉末にして散布し、後始末は実に綺麗なものだった。
「……あいつらしくないよな」
「……ああ、何か違和感が有るな」
そも、部隊章を残して行った理由は何なのか、どうも妙な事だらけだと頭を捻れば、何かを思い付いた様に黒川が口を開く。
「部隊章を残して行ったのは、俺達に向けてのものなんじゃねぇのか?」
「ああ、自分達は爆破には関与してないって?」
「そうそう。それで、死体の部隊章と比較してそれを分からせる為に態々残して行ったと考えれば辻褄合うだろ」
黒川のその言葉に高根もそれでかと納得がいく。しかしそれでもこの残忍さは何なのかと二人揃って頭を捻れば、今迄ソファにどかりと腰を下ろしたまま一言も喋らなかった敦賀が、実に不機嫌極まり無いといった様子で突然に吐き捨てる様にして話し出した。
「……殺したのはタカコか部下だろうしその部隊章もあいつ達のもんだろうがよ……理由は違うぜ、多分」
「敦賀?」
「どういう意味だ?」
「あいつの部隊はその特殊性から半官半民の形を採ってるってのは分かってんだろ?」
「ああ、あいつが言ってたからな。それで?」
「……この大和にゃそこ迄先鋭化した民間軍事企業は無ぇがよ、同じ様な組織は有るのを忘れてねぇか?」
「……何だよ、それ」
「ヤクザだよ。ワシントンの情勢なんか知らねぇがよ、軍の後ろ盾が有るとは言え非公式、その上決して大所帯でもねぇ。しかも頭張ってるのは見た目だけはあんな頼り無ぇ女だ、舐められる様な事は命取りになるだろうよ。それに自分達を騙られる様な事が有れば、その事自体が舐められてるって証拠だし、何よりも民間企業だけに信用問題に直結する……体面を保つ為にも、騙りには絶対に容赦しねぇ。そういうのはヤクザも同じだろうが」
突然に敦賀の口から出た内容に高根と黒川は顔を見合わせ、意味を整理しようと黒川が敦賀へと話し掛ける。
「……つまり、俺達を助けてくれた事はともかくとして、惨殺した上に斬首して自分達の部隊章を残して行ったのは、俺達大和に向けてじゃなく、ヨシユキとその部隊に向けての示威行動だったと、そう言いたいのか?自分達を騙る事は絶対に許さない、そういう意思が込められている、と」
「……ああ、軍人としてのあいつは、タカコは、こんな無駄をする人間じゃねぇ。最小の動きで最大の戦果を得る為に動く、至極有能な奴だ。だが、今回は軍人としてじゃなく、一つの武闘派企業の頭として動いた、そういう事だろうよ」
驚いたな、と、高根と黒川はそんな思いを夫々胸に抱き顔を見合わせる。敦賀は決して暗愚ではなく寧ろ頭の良い男ではあるが、それでも兵卒からの叩き上げという事も有ってか長期的俯瞰的な視点で物言いをする事は多くはなかった。それが自分達も思い浮かばなかったそんな事迄見通しているとはと感心の溜息を吐けば、次に気付いたのは不機嫌そのものの敦賀の様子。
「……で、何でそんな不機嫌なのお前」
高根のその問い掛けに敦賀は直ぐには答えない。代わりにポケットから取り出した煙草に火を点け、数度煙を吐き出した後に実に忌々しそうな様子で吐き捨てた。
「あの馬鹿が俺達の方を全く見てねぇであのキチガイしか見てねぇ動きをしたからに決まってんだろうが……俺達に弁解の一つもせずに売られた喧嘩買ってるんだぞ、これが不機嫌にならずにいられるかってんだよ」
つまり、と、敦賀の言葉を聞いた二人は顔を見合わせ、気が抜けた様に力無い笑いをその口元に浮かべる。この男はこんな深刻な事態の中、惚れた女が自分を見ずに他の男を見ている事を怒っているのだ。何とも馬鹿馬鹿しいと言うか可愛らしいと言うか、と、室内の空気は段々と穏やかなものに変わって行く。
「あの馬鹿女……次に会ったら絶対に逃がさねぇ、とっ捕まえて全力でぶん殴る」
敦賀のその言葉が止めとなったのか高根と黒川は声を上げて笑い出し、事態の深刻さをほんの少し和らげた。
陸軍の要職三名が狙い撃ちにされたという結論、それは九州のみならず中央――、京都の陸幕や統幕や三軍省、そして政府迄をも震撼させた。正体不明の勢力が遂に本格的に侵攻を開始しようとしている様だ、と、
『大和へと侵攻して来るのであれば対馬区以外では海からしか無い、太平洋側は遠浅で浮島式の製油施設が立ち並び円滑な接岸は難しいと思われる、侵攻の為の前線基地としては東シナ海の済州島が最適と思われる』
という陸軍西部方面旅団と海兵隊と沿岸警備隊西部方面艦艇群連盟の上申を根拠に、これ以上仕掛けられる前にこちらから攻めるべきではという強い主張が政府から出される事となった。
それを何とか押し止めたのは三軍省の制服組とその隷下である統幕、被害状況から推察出来る相手の兵力や技術力戦力は自分達を凌駕する、こちらから仕掛けたとしてとても太刀打ち出来る相手ではない。軍という組織の中で生きて来たからこそ肌身に感じるその思いがまさに必死と形容すべき抵抗を生み出した。
幾ら指揮権は政府、首相が有するとは言えど、実際に兵員を運用し事に当たる軍人達の猛烈な抗議が有っては、今後の円滑な動きと勝利を考えれば無理強いも出来ず、任せるからさっさと事態を収束させ事に備えろ、万が一の事が有れば責任はとってもらう、と、そう言うに止まった。
中央でそんな熾烈な駆け引きが為されていた頃、九州では或る騒動が持ち上がっていた。
横山が目撃したという、ジュリアーニが何処かへと連れ去って行ったタカコによく似た背格好の女、その女と思われる惨殺死体が市街地の一角の空き家で発見された。思われる、というのは、段々と夏の気配を感じ始める気温により腐敗が進行し始めていた事に加え、全身をズタズタに切り裂かれた上に首を切り落とされ、容貌がひどく変貌していた事が理由だった。推察される背格好から、もしや、と、唯一顔をはっきりと見ていた横山が現場へと赴き面通しをしたが、その彼も
「恐らくは……ただ、こうも酷い状態だと断言は」
そう言うに留まり、見た目の惨たらしさと腐敗臭にその日は寝込んでしまい仕事にはならなかった程。身に着けていた戦闘服の模様や袖に付けられていた部隊章から漸く断定へと至ったが、一つ不可解なものが現場に残されていたという報告が高根や黒川、そして敦賀の神経を妙に尖らせた。
残されていたもの、それは、死体が身に着けていた戦闘服の袖に縫い付けられていた部隊章と瓜二つの意匠の刺繍。周囲の床に落ちていたわけではなく死体、胴体の上に乗せられた頭部の上に置かれ、遺体の衣服から剥ぎ取られた形跡も無い。何か意味が有ると直感した高根の命令によりそれは回収され、比較の為にと死体の部隊章と一緒に高根の執務室へと届けられた。
「……違うな、これ」
「ああ、乗っけられてた方が上等で精巧な作りになってるな……糸は、これ、本物の銀糸じゃないのか?生地の色もこっちの方が深みの有る青だ」
「刺繍もこっちの方がずっと細かいな。死体が付けてた方は、似ちゃぁいるが全体的に雑ってぇか、安っぽいな」
「何より――」
「ああ、こっち、頭に乗せられてた方には見覚えが有る。あの時に見たのも、こんな銀と深い青だった」
執務机の上に置かれた防臭の為に袋に入れられた二つの部隊章、それを頭を突きあわせる様にして覗き込み、高根と黒川が話している。あの時――、それは二人で京都から帰って来た時、敦賀の執務室を訪れた自分達の前にタカコが現れた時。あの時ワシントンの戦闘服を身に纏っていたタカコ、その彼女の袖に縫い付けられていたのは、今回頭部へと置かれていた部隊章に間違い無い。死体の方は模造品なのだろう、実物を入手出来なかったのか全体的な意匠は確かにそっくりではあるものの、材質や刺繍の細かさ等、二つを並べて見ればその差は歴然だった。
上等な方の部隊章はタカコかその部下のものと見て間違いは無いだろう。女を連れ去って行ったのがジュリアーニなのだからそれは何等不自然ではない。
そこで二人がぶち当たったのが、何故タカコ達がこんな凶行に及んだのかという事。連れて行ったのがジュリアーニなら、殺したのも彼かタカコかその部下達だろう。しかし、自分達の知るタカコはこんな凶行に及ぶ人間ではない、殺す事に躊躇いは無いだろうがこんな『無駄』な事をする人間でもない。対馬区で北見を焼き殺した時に残忍さの片鱗を感じた事は確かだが、付きっ切りで火の番をしていたキムが骨を粉末にして散布し、後始末は実に綺麗なものだった。
「……あいつらしくないよな」
「……ああ、何か違和感が有るな」
そも、部隊章を残して行った理由は何なのか、どうも妙な事だらけだと頭を捻れば、何かを思い付いた様に黒川が口を開く。
「部隊章を残して行ったのは、俺達に向けてのものなんじゃねぇのか?」
「ああ、自分達は爆破には関与してないって?」
「そうそう。それで、死体の部隊章と比較してそれを分からせる為に態々残して行ったと考えれば辻褄合うだろ」
黒川のその言葉に高根もそれでかと納得がいく。しかしそれでもこの残忍さは何なのかと二人揃って頭を捻れば、今迄ソファにどかりと腰を下ろしたまま一言も喋らなかった敦賀が、実に不機嫌極まり無いといった様子で突然に吐き捨てる様にして話し出した。
「……殺したのはタカコか部下だろうしその部隊章もあいつ達のもんだろうがよ……理由は違うぜ、多分」
「敦賀?」
「どういう意味だ?」
「あいつの部隊はその特殊性から半官半民の形を採ってるってのは分かってんだろ?」
「ああ、あいつが言ってたからな。それで?」
「……この大和にゃそこ迄先鋭化した民間軍事企業は無ぇがよ、同じ様な組織は有るのを忘れてねぇか?」
「……何だよ、それ」
「ヤクザだよ。ワシントンの情勢なんか知らねぇがよ、軍の後ろ盾が有るとは言え非公式、その上決して大所帯でもねぇ。しかも頭張ってるのは見た目だけはあんな頼り無ぇ女だ、舐められる様な事は命取りになるだろうよ。それに自分達を騙られる様な事が有れば、その事自体が舐められてるって証拠だし、何よりも民間企業だけに信用問題に直結する……体面を保つ為にも、騙りには絶対に容赦しねぇ。そういうのはヤクザも同じだろうが」
突然に敦賀の口から出た内容に高根と黒川は顔を見合わせ、意味を整理しようと黒川が敦賀へと話し掛ける。
「……つまり、俺達を助けてくれた事はともかくとして、惨殺した上に斬首して自分達の部隊章を残して行ったのは、俺達大和に向けてじゃなく、ヨシユキとその部隊に向けての示威行動だったと、そう言いたいのか?自分達を騙る事は絶対に許さない、そういう意思が込められている、と」
「……ああ、軍人としてのあいつは、タカコは、こんな無駄をする人間じゃねぇ。最小の動きで最大の戦果を得る為に動く、至極有能な奴だ。だが、今回は軍人としてじゃなく、一つの武闘派企業の頭として動いた、そういう事だろうよ」
驚いたな、と、高根と黒川はそんな思いを夫々胸に抱き顔を見合わせる。敦賀は決して暗愚ではなく寧ろ頭の良い男ではあるが、それでも兵卒からの叩き上げという事も有ってか長期的俯瞰的な視点で物言いをする事は多くはなかった。それが自分達も思い浮かばなかったそんな事迄見通しているとはと感心の溜息を吐けば、次に気付いたのは不機嫌そのものの敦賀の様子。
「……で、何でそんな不機嫌なのお前」
高根のその問い掛けに敦賀は直ぐには答えない。代わりにポケットから取り出した煙草に火を点け、数度煙を吐き出した後に実に忌々しそうな様子で吐き捨てた。
「あの馬鹿が俺達の方を全く見てねぇであのキチガイしか見てねぇ動きをしたからに決まってんだろうが……俺達に弁解の一つもせずに売られた喧嘩買ってるんだぞ、これが不機嫌にならずにいられるかってんだよ」
つまり、と、敦賀の言葉を聞いた二人は顔を見合わせ、気が抜けた様に力無い笑いをその口元に浮かべる。この男はこんな深刻な事態の中、惚れた女が自分を見ずに他の男を見ている事を怒っているのだ。何とも馬鹿馬鹿しいと言うか可愛らしいと言うか、と、室内の空気は段々と穏やかなものに変わって行く。
「あの馬鹿女……次に会ったら絶対に逃がさねぇ、とっ捕まえて全力でぶん殴る」
敦賀のその言葉が止めとなったのか高根と黒川は声を上げて笑い出し、事態の深刻さをほんの少し和らげた。
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