6 / 18
第六話 新たなディスク
しおりを挟む
その後ザブさんは、のどかな山の道を歩き、他の廃屋に向かいます。
太陽の下での調査は気持ちよさそうです。
このディスクの映像では、他の廃屋も全部几帳面に調査をしています。
私からすると、ただダラダラとつまらない退屈な時間が過ぎていくだけでした。
そして、日が暮れてからの映像になります。
「ふふふ、夜の廃村は薄気味悪いですねー」
ザブさんが暗い廃村の前でコメントを入れています。
配信映像では全てカットされています。
その後の映像で気になる所はしばらく出て来ませんでした。
映像が三軒目の廃墟になりましたが、ここはあまり配信映像と差はありません。
大きく違うのは、ばけたんを取り乱して落とした時でした。
「うわあああーー、こ、子供、子供がいるー、うわああああ」
ガタン、ガタン、ガラガラガラ、ガタンガタン。
「うわぁぁぁー……」
声が小さくなっていきます。
どうやら、外へ逃げ出したようです。
随分無人の部屋の中を写していましたが、ザブさんが帰ってきました。
「ふーふーーっ、ここに髪の長い子供の姿が見えたと思ったけど、やっぱり誰もいない、気のせいか?」
カメラはまだザブさんを写していません、音声だけが聞こえます。
「もー限界だ、さっさと検証を終わって帰るぞ」
この台詞の先は、配信映像のままが続きます。
そして「帰りますーー!!」の台詞の後カメラにぶつかります。
配信映像は揺れた映像のままここで切り替わりましたが、ディスクの映像はこのまま倒れるところまで映っていました。
そこには一瞬だけ三面鏡がチラリと映っていました。
ここにいくつかの、情報が潜んでいたのに、あまりにも一瞬だったことと、三面鏡を見ることが出来て何故か安心してしまい、私はそれを見落としてしまいました。
そして、夜の検証はこのまま本当に終ってしまいました。
だから、ザブさんは夜中に三軒目の廃墟の二階に行っていないようです。
私は、安崎さんに会う前までに、この映像を何度も何度も見直しました。
当然、ユーツベの配信映像も繰り返し見直しました。
何を求めて、安崎さんは私にこの映像を見せたのでしょうか。
そして、私に何を聞きたいのかということを考えていました。
そんなことを考えていたら、すぐに1週間たってしまいました。
「いらっしゃい! 恵美ちゃん、貴賓席に座ってー」
私は一番入り口に近いテーブル席にちょこんと座った。
「生中三つと、つくね、お刺身も下さい」
「あいよー、生中二つ……っえ」
マスターは私がいつもの注文しか頼まないと思っていたらしく、私の注文が耳にはいらなかったようです。
「生中三つと、つくねとお刺身をお願いします」
私はどうせおごりなのだからと、贅沢な注文をしました。
安崎さんがどんな質問をしてくるのか、全く予想が出来無かった私は、今日で安崎さんに会うのも、終りになるかもしれないと思い、ちょっと贅沢をしてみたのでした。
「かはーーっ、ビールはうまい!」
一気にビールを二杯飲み干して、貧乏な私は普段食べることのないお刺身を食べ出しました。
「恵美子さん、お待たせしましたか?」
「いいえ、きっちり約束の五分前です」
「で、どうでしたか」
きたー、返事をどうしようかと悩みました。
「……その前に、一つ伺ってもよろしいですか」
私は、三面鏡を隠している事は間違いないと思い、そこから話しをしようと思いました。
「はい、何でしょう」
「あの、ザブさんは何かを隠していますよね」
「すごいですね。わかりますか。やはり恵美子さんに相談して良かった!!」
安崎さんが笑顔になり、ガリガリにやせている私の手を取った。
「……えっ」
「恵美子さん、忘れる前にこれをお渡しします。先入観無くこのディスクを見て下さい」
私は、またブルーレイディスクを渡された。
安崎さんは私の会計を済ますと、さっさと帰ってしまった。
まだ途中の、刺身とつくねを食べながら、私は頭の整理が追いつかないでいた。
どういうこと?
帰宅した私は、すぐさまパソコンを起動して、ディスクをセットして映像を再生した。
太陽の下での調査は気持ちよさそうです。
このディスクの映像では、他の廃屋も全部几帳面に調査をしています。
私からすると、ただダラダラとつまらない退屈な時間が過ぎていくだけでした。
そして、日が暮れてからの映像になります。
「ふふふ、夜の廃村は薄気味悪いですねー」
ザブさんが暗い廃村の前でコメントを入れています。
配信映像では全てカットされています。
その後の映像で気になる所はしばらく出て来ませんでした。
映像が三軒目の廃墟になりましたが、ここはあまり配信映像と差はありません。
大きく違うのは、ばけたんを取り乱して落とした時でした。
「うわあああーー、こ、子供、子供がいるー、うわああああ」
ガタン、ガタン、ガラガラガラ、ガタンガタン。
「うわぁぁぁー……」
声が小さくなっていきます。
どうやら、外へ逃げ出したようです。
随分無人の部屋の中を写していましたが、ザブさんが帰ってきました。
「ふーふーーっ、ここに髪の長い子供の姿が見えたと思ったけど、やっぱり誰もいない、気のせいか?」
カメラはまだザブさんを写していません、音声だけが聞こえます。
「もー限界だ、さっさと検証を終わって帰るぞ」
この台詞の先は、配信映像のままが続きます。
そして「帰りますーー!!」の台詞の後カメラにぶつかります。
配信映像は揺れた映像のままここで切り替わりましたが、ディスクの映像はこのまま倒れるところまで映っていました。
そこには一瞬だけ三面鏡がチラリと映っていました。
ここにいくつかの、情報が潜んでいたのに、あまりにも一瞬だったことと、三面鏡を見ることが出来て何故か安心してしまい、私はそれを見落としてしまいました。
そして、夜の検証はこのまま本当に終ってしまいました。
だから、ザブさんは夜中に三軒目の廃墟の二階に行っていないようです。
私は、安崎さんに会う前までに、この映像を何度も何度も見直しました。
当然、ユーツベの配信映像も繰り返し見直しました。
何を求めて、安崎さんは私にこの映像を見せたのでしょうか。
そして、私に何を聞きたいのかということを考えていました。
そんなことを考えていたら、すぐに1週間たってしまいました。
「いらっしゃい! 恵美ちゃん、貴賓席に座ってー」
私は一番入り口に近いテーブル席にちょこんと座った。
「生中三つと、つくね、お刺身も下さい」
「あいよー、生中二つ……っえ」
マスターは私がいつもの注文しか頼まないと思っていたらしく、私の注文が耳にはいらなかったようです。
「生中三つと、つくねとお刺身をお願いします」
私はどうせおごりなのだからと、贅沢な注文をしました。
安崎さんがどんな質問をしてくるのか、全く予想が出来無かった私は、今日で安崎さんに会うのも、終りになるかもしれないと思い、ちょっと贅沢をしてみたのでした。
「かはーーっ、ビールはうまい!」
一気にビールを二杯飲み干して、貧乏な私は普段食べることのないお刺身を食べ出しました。
「恵美子さん、お待たせしましたか?」
「いいえ、きっちり約束の五分前です」
「で、どうでしたか」
きたー、返事をどうしようかと悩みました。
「……その前に、一つ伺ってもよろしいですか」
私は、三面鏡を隠している事は間違いないと思い、そこから話しをしようと思いました。
「はい、何でしょう」
「あの、ザブさんは何かを隠していますよね」
「すごいですね。わかりますか。やはり恵美子さんに相談して良かった!!」
安崎さんが笑顔になり、ガリガリにやせている私の手を取った。
「……えっ」
「恵美子さん、忘れる前にこれをお渡しします。先入観無くこのディスクを見て下さい」
私は、またブルーレイディスクを渡された。
安崎さんは私の会計を済ますと、さっさと帰ってしまった。
まだ途中の、刺身とつくねを食べながら、私は頭の整理が追いつかないでいた。
どういうこと?
帰宅した私は、すぐさまパソコンを起動して、ディスクをセットして映像を再生した。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
機織姫
ワルシャワ
ホラー
栃木県日光市にある鬼怒沼にある伝説にこんな話がありました。そこで、とある美しい姫が現れてカタンコトンと音を鳴らす。声をかけるとその姫は一変し沼の中へ誘うという恐ろしい話。一人の少年もまた誘われそうになり、どうにか命からがら助かったというが。その話はもはや忘れ去られてしまうほど時を超えた現代で起きた怖いお話。はじまりはじまり
禁踏区
nami
ホラー
月隠村を取り囲む山には絶対に足を踏み入れてはいけない場所があるらしい。
そこには巨大な屋敷があり、そこに入ると決して生きて帰ることはできないという……
隠された道の先に聳える巨大な廃屋。
そこで様々な怪異に遭遇する凛達。
しかし、本当の恐怖は廃屋から脱出した後に待ち受けていた──
都市伝説と呪いの田舎ホラー
【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド
まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。
事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。
一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。
その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。
そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。
ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。
そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。
第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。
表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる