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北海道最終戦

第四百十三話 野菜の差し入れ

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青い空、濃い緑の野菜達、そこには赤や緑の実が太陽を反射して輝いている。それを収穫するモンペ姿の美少女達、頭には麦わら帽子、夏休みすぎるだろう。
北海道国のご婦人達が育てた野菜達が、収穫を待っているのでそれを収穫し、籠城中のご婦人達に差し入れしようと、今日は早朝から収穫している。

「はあーー、楽しーーい!! とうさん、味見してもいい?」

あずさは、今日も夏休みが満喫出来てご機嫌だ。
昨日までは、ゲン達の所で牛たちと農場体験をしてきた。
大量のアイスクリームを作って、アイスクリーム祭りをしてきたのだ。
だが……、今日は楽しいばかりではないぞ……。
こんな笑顔の少女を泣かせるようなことに、ならなければいいのだが……。

「いいとも、お腹を壊さない程度にな。ああ、特に生のトウモロコシは美味いぞ!!」

「うおおーーーーー!! うまーーい!!!!」
「うふふ、おいしいです」
「うめーー!!」

あずさとヒマリとイルナが、笑顔になった。
イルナは、いまだに男言葉を使っている。
いつでも浮浪児にもどれるようにと考えているのだろうか?
それなら、さみしい限りだ。
イルナが見た目も、話し言葉も可愛い少女になれるようにがんばらないとなあ。

「さてと、みんなー!! そろそろ行くぞー!!」

美少女達の奥にはミサ達、越後の美女軍団が作業をしている。
持ちきれないほど取ってもしょうが無いので、適当に切り上げて北海道国を包囲する共和国軍の手前の物陰まで、あずさのテレポートで移動をする。





「ああ、信さんそれに八兵衛さん、これは我々への差し入れですか?」

共和国軍の沖田隊長が、俺達にすぐ気がつき笑顔で近寄ってきた。
まあ、大量の野菜をリヤカーにつんで、ゾロゾロ移動していれば目立つから、すぐに気がついてくれる事も計算尽くだ。
実は北海道国のバリケードの前まで護衛を頼もうと、この場所にしたのだ。

「いいえ。バリケードの中の、民間の方々への差し入れです。もともと、これを作ったのも、中にいる民間人のご婦人達なのです」

「ふふふ、そうですか。では、どうせ暇なので私も同行しましょう。少し待っていてください」

「はあ……、いいですけど……」

そう言うと、沖田隊長は近くの家に入り込んだ。
同時に何人かの、兵士が走って行く、各隊の隊長に連絡に走ってくれたのだろう。
沖田隊長が入った民家は自宅なのだろうか? 何をする気なのだろう?

「お待たせしました」

「ほ、本気ですか?」

沖田隊長は、麦わら帽子を深くかぶり顔を見えにくくして、農作業姿になっている。
俺達に同行って、どうやら北海道国の中まで行くつもりのようだ。

「ふふふ、私は北海道国とは直接やり合っていません。そんなに顔は知られていないはずです。いまから私は、越後十田家の総さんです。案内は副隊長に任せますので安心してください」

「ぷっ、くくく」

皆が、吹き出している。
死地に自分から飛び込もうなんて、豪胆というか、考え無しというか、本当に子供の様な人だ。

「沖田たーーい!! 荷車が通る!! 道を開けよーー!!」

副隊長の一声で、沖田隊に一本の道が出来た。
そこを俺達は、ペコペコしながら通り抜けた。
沖田隊を抜けると、目の前には何も無くなり、その奥にバリケードが見えるだけだ。
北海道国のバリケードは、近くにある民家をつぶして、その瓦礫を積んで作ってある。そのため視界をさえぎる物が何も無くなっている。

瓦礫のバリケードは至る所に突起物があり、のぼるのが自然と困難な壁となって立ちふさがっている。
民家をつぶして瓦礫にしたことは、守りと監視の両面で役に立っているようだ。
そして、バリケードの中央に門があり、そこだけが出入り可能な作りだ。

「とまれーー!!!! とまれーー!!!! お前達は一体何者だ??」

門番が驚いている。
突然、武装もしていない農作業着のおかしな集団が来たのだから驚くのも無理はない。しかも子供までいる。アドなどは幼児だ。

俺達の顔ぶれは、十田家の、信さん、スケさん、カクさん、響子さん、カノンちゃん、そして三柱のミサ、坂本さん、古賀さん、さらに娘のあずさ、ヒマリ、イルナ、護衛の忍者軍団アド、赤穂さん、オオエ、真打ちの残虐大臣、飛び入りの総さんがいる。大臣は顔バレが恐いのでクザンを装備して透明化をしてもらっている。ついでにシュラとフォリスさんも透明になり同行している。

「怪しい者ではありませんよぉーー。私達は越後の商人十田家の者でぇーす。中のご婦人方が丹精込めて作った農園のお野菜を収穫して届けに来たのでぇーす」

ミサが、麦わら帽子を上に上げて顔を見せ、キラキラ輝くような笑顔でゆるく言った。とうぜんその時、前に一歩、体をぴょんと弾ませている。
ミサは農作業用の服装だが、なぜか胸が大きく開いている。まるでフージコちゃーんだ。中身が半分出ている。
その中身の胸の柔らかいものが、暴れまくってなかなか止まらない。

「なにっ!?」

驚きながらも、門番達の目玉はミサの胸の動きと同じように上下に弾んでいる。
そして、ほっぺたが少し赤くなった。
実にわかりやすい。
俺はミサの胸には感心が無いので、門番の様子ばかりを細かく見ている。

「お、おい何をしている。荷物を調べろ!!」

隊長の門番だろうか、上下に目玉が揺れて動きを止めている、配下の門番達に言った。
ミサのおかげで、門番の警戒は俺達人足から荷物に移った。
これだけ、女子供がいるのだから、人足の方には危険は無いのだろうと勝手に判断したのかも知れない。

「何も怪しい物はありません。野菜だけです」

「荷車の下までちゃんと調べたのか?」

「はっ!! くまなく隅々まで調べました」

「ふむ、よし! しばし待たれよ。上役に聞いてまいる」

「はい、お願いします」

ミサの奴、またピョンとはねた。

「おおっ!!」

門番達は、声を上げてミサを見つめる。
門番達の目玉が激しく上下に揺れている。
ミサの奴とっても嬉しそうだ。
そして、時々俺を横目でチラチラ見とるぞ。
やれやれだぜ! 俺はそんな物に興味はねーっちゅーの!!
俺は、意地でも視線をミサの胸にはやらなかった。

「がっかりだぜ!!」

ミサが小声で言った。
それは、俺のセリフだっちゅーの!!!!
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