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激闘九州猛将伝

第四百七話 陣中見舞い

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 待ち構える新政府軍に、最初に突っ込んだのは安東常久様の配下と、島津義弘様の配下の中で、黒い具足を装備する兵士達でした。
 黒い具足の兵士達は無敵の強さで、最初にバリケードを破壊すると、盾を装備する兵士を打ち倒し、槍隊を蹴散らして新政府軍を丸裸にします。
 これで一気に陣形が崩れると、そこに九州雄藩連合の兵士本隊が雪崩れ込みました。

「ぐわああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!」

 敵兵から悲鳴が上がります。
 兵士の質も九州雄藩連合の方が上のようです。九州を代表する精鋭達ですからね。
 新政府軍の兵士達は、五番目、六番目、七番目の兵士達です。隊長は優秀ですが兵士の質では九州が圧倒しているようです。
 新政府軍は一気に形勢が悪くなります。

「てっ、撤退だーー!!!! 勝山の砦まで撤退するぞーー!! 遅れるなーー!!」

 ナカヅイ隊長からの撤退の指示が出ました。

「深追いはするなーー!!」

 ベッキーと安東常久様、そして島津義弘様の声が聞こえます。
 九州雄藩連合軍は逃げる新政府軍を追いかけることはしませんでした。
 残された動けないほどの大けがをした敵兵のみを捕虜にして、動ける兵士は皆逃がしました。

「よーーし、いいだろう!!!! 我軍の勝利だあぁぁーーーー!!!!」

 総大将島津義弘様の声が上がると。

「うおおおおおおおおおぉぉぉぉーーーーーーーー!!!!!」

 兵士達の大歓声が上がりました。
 その声は、あたりの全部を震動させるような、そんな大きな声でした。
 続けて勝ち鬨を上げると島津義弘様は部隊を進めます。
 島津様は、関門橋と敵の砦の中間に有る学校を陣と決め、全軍をあげて陣を包む様に柵を作り始めました。
 まるで、しばらく動かずに、にらみ合いを続ける。そんな意志すら感じます。

 私は部下を走らせて、敵の動きを探ります。
 ですが、砦にこもった新政府軍も九州雄藩連合軍と同様に、防御を固める作業を始めて、にらみ合いに応じる動きをしています。まったく動きがありません。
 まるで、お互い何か約束事をしている様に見えます。



 三日ほどの時間が立ちました。

「おーーーーい!! 大殿からの陣中見舞いだーー!!!!」

 校庭に輸送型UFOが着陸しています。
 校庭にはゾロゾロと、既に兵士が集っています。

「桃井様」

 UFOには私の部下も乗っていた様です。

「はい」

「うふふ、何だと思いますか?」

 部下が、いたずらっぽく楽しそうに笑います。

「えっ!? なんでしょう。わかりません。」

「アイスクリームですよ。しぼりたての牛乳とお砂糖がたっぷりです。ほっぺたが落ちそうになりますよ」

「なんですってーー!! アイスクリームーーッ!!」

 私は思わず大声が出ました。
 周りの兵士達が、一斉にこっちを向きました。そして、唾をゴクリと飲み込みました。
 時は真夏です。
 何も無くなったこの世界で、アイスクリームです。喜ばない人はいないでしょう。

「うふふ、しかも大殿の手作りですよ」

「えっ??」

 だって、大殿は札幌で戦争の真っ最中じゃないですか。

「札幌は現在包囲戦をしています。北海道国を共和国軍が包囲をして、持久戦の最中です。大殿は、あずさ様とヒマリ様を連れて、農地で夏野菜を収穫したり、牧場でアイスクリームを作ったりして、二人に夏休みの楽しい思い出を作ろうと頑張っているようです」

 うふふ、そうか、ここと同じで暇なんだ。
 きっと、あずさ様とヒマリ様は毎日笑顔で、楽しすぎる夏休みを送っていますね。
 帰るのが嫌になるのじゃ無いかしら。

「すごい量じゃのう」

 安東常久様の声がします。

「ふむ、まさかこれは、ナカヅイ達にも食わせてやれと言うことかのう」

 島津義弘様が応えました。

「ははは、それは面白いじゃないですか。ついでにジンギスカンも送ってやったらどうですか」

 ベッキーが笑いながら言いました。
 私は口に入れようとしたアイスクリームを、ポロリと皿に落としてしまいました。
 な、何を言っているのでしょうか。敵ですよ。
 しかも三人とも、とても楽しそうです。
 友達に美味しい物をプレゼントする。そんな雰囲気です。



「あのー、トラックになれたりしますか?」

 私は、青いUFOに話しかけました。

「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!! すげーーーー!!!! すげーーーー!!!!」

 三人の猛将が子供の様に、はしゃぎます。
 UFOが変形して、トラックに変わりました。
 荷物はそのまま、荷台に入っています。

「よぉーーし、みんなー!! ジンギスカンの肉と野菜と、そうだなあ、美味いおかずにはご飯も必要だろう、米も積んでやれーー!!!!」

 総大将の島津義弘様が言いました。
 本当にすごいのはやっぱり大殿ですよね。こんな凄いものを作るなんて……
 兵士達が次々物資を積み込んでいきます。

「では、桃井さんお願いします」

 積み込みが終わると、島津義弘様が私に言いました。

「はい」

 私はトラックに乗り込むと一人で敵の勝山砦に向います。
 女が一人の方が安心するだろう、と言うことでわたしが選ばれました。
 私は透明にした忍者コスチュームの上に、可愛いピンクのワンピースを着ました。
 桃井ですからね。そして、頭には麦わら帽子です。
 でも本当は一人ではありません。当然部下の忍者四人を、護衛のために姿が見えない様に透明にして潜ませていますけどね。

 そして、敵の待つ砦に向いました。
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