384 / 428
あずさと札幌ライフ
第三百八十四話 闇市
しおりを挟む
札幌へ向うのはUFOを使う事にした。
UFOには賊の親玉と俺とあずさそれとヒマリ、クザンにシュラ、フォリスさん、赤穂さんと数人の配下、アドとオオエは姿を消して同行しているはずだ。
賊の親玉がUFOを見て大きく口を開けて驚いていたが、声が出ないので静かで良い。
UFOに乗り込み、札幌の状態を確認するため地図を開いた。
「札幌の北部のこのあたりに、北海道国政府は移動しています」
赤穂さんの配下が教えてくれた。
戦争状態になり北部の川沿いの施設に移動して、川を天然の堀として利用し防衛するつもりのようだ。
住民も移動をして、政府の近くに引っ越しをしたようだ。
そのため、俺が隠れ家にする美術館のまわりには人はいない。
いったん美術館に降りてここから、住民のいる場所を目指した。
住民のいる住宅地に着くと住民は学校の校庭に集っている。
賊の親玉は、クザンを身につけさせて自由を奪った。
クザンは透明にして、その上に大きめの服を着せた。
あずさとヒマリは髪で顔の半分を隠し、男の子の格好をしている。
きっと学校でもこうしているのだろう。
それだけ、木田家の娘というのは目立つと言うことなのだろうなあ。苦労をかける。
俺も目立たないオタクのおじさんの格好をした。
他の者は全員透明化して、見えない様にしてもらった。
「なんだよー! 又、減っているじゃないか! これじゃあ生きていけないよ!! 乳飲み子を抱えた者は乳も出なくなっているんだ。政府はわかっているのかい」
婦人会の人だろうか、役人に文句を言っている。
「うるせーなー、ババアー! これを読んでみろーー!!」
そこには、欲しがりません勝つまでは、と書いてある。
おいおい、いつの時代の標語だよ。
俺達は、校庭が見える民家の影で隠れながら、校庭の様子を見ている。
「とうさん、あれは何をやっているの?」
あずさが真剣な顔で聞いてきた。
「あれは、配給だ。政府が住民に食糧を配っているのさ。少ないから生きていけないと言っているみたいだな。しかし、この暑いのに皆、真面目に整列している。日本人はとてもえらいなあ」
そう言っていたら、目の前の家で食事が始まった。
窓から失礼と思いながら、中を見つめてしまった。
机の上には、白く濁った碗と緑の浅漬けの様な物があるだけだった。
「うちより酷い」
なっ!! あずさのやろーー!!
うちより酷いって、なんて言いぐさだ。
痩せてしまったお母さんと、ガリガリに痩せた子供が手を合せて、「いただきます」をしてから、それをゆっくりたべている。ゆっくり、ゆっくり時間をかけている。
時間をかければそれだけ、おなかがふくれるというように……。
俺は気付くとあずさとヒマリを抱きしめていた。
賊の親玉はそれを見てニヤリと笑っている。
「八兵衛さん、報告します」
「どうぞ」
「闇市は郊外の野球場のような場所に開かれています」
俺は赤穂さんに頼んで闇市を探してもらっていた。
物資が不足すれば、闇市が出来ると思っていたのだが、やっぱり出来ていたようだ。
「ありがとうございます」
「あずさ、ヒマリ、今度はそっちへ行ってみよう。赤穂さん案内をお願いします」
「はい」
「とうさん、闇市ってなに?」
あずさは走りながら、俺に聞いてきた。
「今の北海道国は全ての物資が統制下にある。だから自由に物を手に入れる事が出来ないんだ。でも、それでは生きては行けない。だから政府に隠れて物資の売買をする。その売買をする場所のことをそう呼ぶのさ。もちろん違法で捕まれば物資が没収される。北海道国政府はもっと厳しい罰を与えているかもしれないなあ」
「ギリギリね」
「ふふふ、そうでもないのさ。そこには恐い人達がいて、役人にワイロを渡して、お目こぼしをしてもらっている。そうそう邪魔をされることがないのさ」
「いいのか、悪いのかわからないわ」
ヒマリが言った。
俺は、簡単に返事ができなかった。
法には反しているが、これがなければ生きていけない。
「あそこです」
赤穂さんが指をさした。
大勢の人がいて賑やかだ。
いくつも屋台が出ていて、ちゃんと日陰を作っている。
まあ、それでも暑いのだが。
俺達は、雑踏の中に入った。
「おい、でぶ!!」
はーーっ!!
いきなり、恐い顔をした奴にからまれた。
まじかー!! はやすぎるだろー!!
「てめー、見ねー顔だなあ!!」
俺は目を合せないようにした。
隣で賊の親玉も同じ仕草をしている。
――くっくっくっ!! こいつも怖がっているのか! 笑える!
「なに、俺じゃねえ見たいな顔をしてやあがる。てめーら二人だよ!!」
うわぁ! 次々人相の悪いお兄さんが集ってきた。
俺は、あずさとヒマリにだけ見えるように小さく、手をあっちへ行きなさいと振った。
「げえっ……あなた様は……」
なんだか、人相の悪い奴が、びびっている。
まさか俺の正体がばれたのか?
いや、違うはずだ。
バレる訳がない、北海道国に俺の顔を知っている奴なんかいないはずだ。
「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」
集って来た、人相の悪いお兄さん達がパニックになっている。
俺には、意味が全くわからなかった。
UFOには賊の親玉と俺とあずさそれとヒマリ、クザンにシュラ、フォリスさん、赤穂さんと数人の配下、アドとオオエは姿を消して同行しているはずだ。
賊の親玉がUFOを見て大きく口を開けて驚いていたが、声が出ないので静かで良い。
UFOに乗り込み、札幌の状態を確認するため地図を開いた。
「札幌の北部のこのあたりに、北海道国政府は移動しています」
赤穂さんの配下が教えてくれた。
戦争状態になり北部の川沿いの施設に移動して、川を天然の堀として利用し防衛するつもりのようだ。
住民も移動をして、政府の近くに引っ越しをしたようだ。
そのため、俺が隠れ家にする美術館のまわりには人はいない。
いったん美術館に降りてここから、住民のいる場所を目指した。
住民のいる住宅地に着くと住民は学校の校庭に集っている。
賊の親玉は、クザンを身につけさせて自由を奪った。
クザンは透明にして、その上に大きめの服を着せた。
あずさとヒマリは髪で顔の半分を隠し、男の子の格好をしている。
きっと学校でもこうしているのだろう。
それだけ、木田家の娘というのは目立つと言うことなのだろうなあ。苦労をかける。
俺も目立たないオタクのおじさんの格好をした。
他の者は全員透明化して、見えない様にしてもらった。
「なんだよー! 又、減っているじゃないか! これじゃあ生きていけないよ!! 乳飲み子を抱えた者は乳も出なくなっているんだ。政府はわかっているのかい」
婦人会の人だろうか、役人に文句を言っている。
「うるせーなー、ババアー! これを読んでみろーー!!」
そこには、欲しがりません勝つまでは、と書いてある。
おいおい、いつの時代の標語だよ。
俺達は、校庭が見える民家の影で隠れながら、校庭の様子を見ている。
「とうさん、あれは何をやっているの?」
あずさが真剣な顔で聞いてきた。
「あれは、配給だ。政府が住民に食糧を配っているのさ。少ないから生きていけないと言っているみたいだな。しかし、この暑いのに皆、真面目に整列している。日本人はとてもえらいなあ」
そう言っていたら、目の前の家で食事が始まった。
窓から失礼と思いながら、中を見つめてしまった。
机の上には、白く濁った碗と緑の浅漬けの様な物があるだけだった。
「うちより酷い」
なっ!! あずさのやろーー!!
うちより酷いって、なんて言いぐさだ。
痩せてしまったお母さんと、ガリガリに痩せた子供が手を合せて、「いただきます」をしてから、それをゆっくりたべている。ゆっくり、ゆっくり時間をかけている。
時間をかければそれだけ、おなかがふくれるというように……。
俺は気付くとあずさとヒマリを抱きしめていた。
賊の親玉はそれを見てニヤリと笑っている。
「八兵衛さん、報告します」
「どうぞ」
「闇市は郊外の野球場のような場所に開かれています」
俺は赤穂さんに頼んで闇市を探してもらっていた。
物資が不足すれば、闇市が出来ると思っていたのだが、やっぱり出来ていたようだ。
「ありがとうございます」
「あずさ、ヒマリ、今度はそっちへ行ってみよう。赤穂さん案内をお願いします」
「はい」
「とうさん、闇市ってなに?」
あずさは走りながら、俺に聞いてきた。
「今の北海道国は全ての物資が統制下にある。だから自由に物を手に入れる事が出来ないんだ。でも、それでは生きては行けない。だから政府に隠れて物資の売買をする。その売買をする場所のことをそう呼ぶのさ。もちろん違法で捕まれば物資が没収される。北海道国政府はもっと厳しい罰を与えているかもしれないなあ」
「ギリギリね」
「ふふふ、そうでもないのさ。そこには恐い人達がいて、役人にワイロを渡して、お目こぼしをしてもらっている。そうそう邪魔をされることがないのさ」
「いいのか、悪いのかわからないわ」
ヒマリが言った。
俺は、簡単に返事ができなかった。
法には反しているが、これがなければ生きていけない。
「あそこです」
赤穂さんが指をさした。
大勢の人がいて賑やかだ。
いくつも屋台が出ていて、ちゃんと日陰を作っている。
まあ、それでも暑いのだが。
俺達は、雑踏の中に入った。
「おい、でぶ!!」
はーーっ!!
いきなり、恐い顔をした奴にからまれた。
まじかー!! はやすぎるだろー!!
「てめー、見ねー顔だなあ!!」
俺は目を合せないようにした。
隣で賊の親玉も同じ仕草をしている。
――くっくっくっ!! こいつも怖がっているのか! 笑える!
「なに、俺じゃねえ見たいな顔をしてやあがる。てめーら二人だよ!!」
うわぁ! 次々人相の悪いお兄さんが集ってきた。
俺は、あずさとヒマリにだけ見えるように小さく、手をあっちへ行きなさいと振った。
「げえっ……あなた様は……」
なんだか、人相の悪い奴が、びびっている。
まさか俺の正体がばれたのか?
いや、違うはずだ。
バレる訳がない、北海道国に俺の顔を知っている奴なんかいないはずだ。
「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」
集って来た、人相の悪いお兄さん達がパニックになっている。
俺には、意味が全くわからなかった。
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
魔法少女はそこにいる。
五月七日ヤマネコ
キャラ文芸
ある時、突如大勢の魔法少女がこの世界、日本へと押し寄せてきた。
自衛隊の対魔法少女特殊戦術部隊が応戦する。
魔法少女たちの目的とは?
そしてその数日前、高校生イクローの前に一人の魔法少女が現れる。
彼女、キルカはイクローと結婚するためにやってきたと言う。
彼女とその仲間たちと共にイクローは否応なしに戦いに巻き込まれていく。
呑気なのかハードなのかよくわからない謎の多重構造を持つ作品です(笑)
お楽しみください!
勇者から逃亡した魔王は、北海道の片田舎から人生をやり直す
栗金団(くりきんとん)
ファンタジー
「ふははは!さぁ勇者よ、開戦だ!」
魔族と人間が対立して1000年。
災厄と呼ばれる魔王がいる魔王城に、世界平和を取り戻すため、勇者一向が訪れる。
城に攻め入り四大幹部を打ち倒した勇者は、ついに魔族の頂点に君臨する「転移の魔王」とあいまみえる。
魔族を倒すことに特化した聖魔法の奥義魔法を使い、勇者は魔王を追い詰める。
千年間生きていて最大の危機に、魔王は前代未聞の「逃走」を選択する。
そして、異世界で最強種族の頂点にいた魔王は現代日本に転移する。
命からがら転移するも大気圏から落下して重症の魔王は、怪我をした動物と間違われて少年に拾われる。
この物語は、魔族としては初めて勇者から逃亡した魔王のその後の物語。
そして、新しい世界で初めて魔族と出会ったとある少年の話だ。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる