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夏休み編
第三百八十三話 出発
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「めしだーー!!!!」
……って、おい!
「朝ご飯出来たわよーー!!」って、起こすのはお母さんのセリフだろ!
自分で言って起きる奴を、俺ははじめてみるぜ!
あずさがロビーで目覚めた。
昨晩は宿舎のロビーで、あずさとヒマリは体を寄せ合い一緒に眠った。仲がいい。本当の姉妹のようだ。
賊の親玉は、部屋に押し込んで拘束はとってやった。くつろいでいるはずだ。
「クザン、賊の親玉も朝食だ。拘束して連れてきてくれ」
「……」
クザンは言葉をしゃべる事が出来ないので、無言でうなずいて親玉の部屋に向った。
「おはようございます!!」
騒がしかったのか、もう一人の美少女ヒマリが目を覚ましてしまった。
この子も美しい、聖女様のようだ。
あずさが凜とした少し鋭さのようなものがある美しさなら、この子は柔らかい優しい感じのする美しさだ。
そういうのが好きな人なら、ヒマリが世界一だと思うことだろう。
「おはよう。今朝食を用意しますからね」
いかん、ヒマリの美しさにつられて、お母さんのような口調になってしまった。
クザンに連れられて、親玉がロビーにやって来た。
「あずさ、そいつにゆで卵を食べさせてやってくれ」
後ろ手に拘束された賊の親玉は、自分で食事が出来ないのであずさに頼んだ。
賊の親玉は、ふてくされた顔をしているが、殻をむいたゆで卵を持って来た、あずさの顔を見ると少し頬が赤くなった。
ふふふっ、可愛いだろう。
世界一の美女が子供になったのがあずさだ。美しさの中に幼い可愛さがある。こんなもん最高としか表現のしようが無い。
「どうぞ、あーーんして下さい」
くうぅぅーーっ!! あずさの「あーーん」だ!!
「……!?」
賊の親玉が何も言わずに口を開けた。
ふふ、素直じゃねえか。
頬が真っ赤になっている。
――あっ!!
あずさの奴、賊の親玉の口に入れる前に手に待ったゆで卵を離してしまった。
ゆで卵はコロコロと床を転がった。
あーそうだった。
あずさは、人の口に何かを入れてやるのが致命的に下手だ。
それは、トラウマがあって出来ないのだ。
あずさが幼い時に、あめ玉やお菓子を「あーーん」と言って運んで来たとき、俺は必ずあずさの指ごと口の中に入れて、あずさの指をねぶってしまったのだ。
骸骨だったあずさが可愛すぎて、少しいたずらをしたのだ。
その時以来、口の前まで運んで口に入る前に、ビクンと体を揺らして手を離してしまうのだ。
――どんだけ、嫌なんだよーー!! なけるぜ!!
あずさは、テーブルの上の箸をとると、落ちたゆで卵を箸で拾ってそのまま口を開いている賊の親玉の口の中に入れた。
「ぶーーっ!!!! 何しやあがる!! 床に落ちたもんをそのまま口に入れるんじゃねえ! 汚えじゃねえかーー!!!!」
賊の親玉は口のゆで卵を、ポーーンと上手に飛ばした。
飛ばした、よだれだらけのゆで卵があずさにあたった。
あずさの顔に怒りの表情が出た。
「ハッポーー!!」
あずさは、瞬間的に水平にチョップを出した。
まるで、往年のジャイアント馬場のような華麗な水平チョップだ。
「ガッ! ゴッ! ゴハッゴハッ!! グエェェ!! ゲッ! ゲッ!」
それが丁度、賊の親玉の喉に綺麗に決まった。
賊の親玉は、咳き込んで苦しんでいる。
あずさのチョップだ手加減はしているのだろうが、さぞかし苦しいだろう。
「まったく、もったいないことはいけません!」
そう言うと、あずさは落ちたゆで卵を箸で拾って、当たり前のように口に入れようとした。
あずさーー!! それはだめだーー!! そのゆで卵は賊の親玉のよだれでベチョベチョだーー!!!! 今のお前は骸骨じゃ無いんだからーーーー!!
俺は両手を前に出してあせっていた。
美少女が食べていいものではない!
あずさの口の前でゆで卵が消えた。
どうやら蜂蜜さんが、消してくれたようだ。
「あらっ????」
「あらっ、じゃ無いんだよ! お前はそろそろ、淑女としての作法を身につけろーー!!」
「うふふ、じゃあ、次からはとうさんのだけにします」
そうそう、それでいいんだ。
なんだか、あずさがとてもうれしそうに言った。
「……じゃっ、ねーんだよっ!! 俺のでもダメだー!! 人が吐き出した物は食うなーー!!」
今日の朝食は、いつもの目玉焼きとキャベツの千切り、それではさみしいのでマグロの刺身を焼いてステーキにした物を付けた。
「……がっ…………ごっ……ごっ……ぇ」
賊の親玉が何かを言いたいようだが、声がまともに出なくなったようだ。
口の動きを見ると「俺にも食わせろ」と言っているようだ。
「しかたがない。クザン、賊の親玉の拘束をとってやってくれ」
クザンが賊の親玉の拘束を外すと、親玉は走りだした。
「……がっ……ぇ……」
口の動きを見ると「かかったな、娘を人質にしてやる」といっているようだ。
優しそうなヒマリをターゲットにしたようだ。
「ゲェェェェーー……がっ……ぐっ…………」
往年の佐山サトル、初代タイガーのローリングソバットをおもわせるヒマリのソバットが賊の親玉の喉に決まった。
親玉は吹飛ばされてゴロゴロ転がった。
「……、……、……!」
壁にぶつかって止まった親玉が、起き上がってこちらを見て口を動かしている。
賊の親玉の口は「あれ、声が、出ないぞ!」と言っているようだ。
どうやら、完全に声が出なくなったようだ。
「おいおい、可愛いからってこの二人をなめたらいかんぞ。なにしろ、昨晩のお前達のアジトで暴れていた奴らより強いからなあ。手加減してもらっていなければ、お前は今朝すでに二度死んでいるぞ」
「…………」
どうやら、賊の親玉は「げーーっ」と言っているようだ。
「大人しく食事をしろ!! いいな!! ちなみに、十田家中でお前より弱い奴はいない。気を付けることだな」
賊の親玉も大人しくテーブルに座ると静かに食事を始めた。
そして、食事が終わった俺達はいよいよ札幌に向う。
……って、おい!
「朝ご飯出来たわよーー!!」って、起こすのはお母さんのセリフだろ!
自分で言って起きる奴を、俺ははじめてみるぜ!
あずさがロビーで目覚めた。
昨晩は宿舎のロビーで、あずさとヒマリは体を寄せ合い一緒に眠った。仲がいい。本当の姉妹のようだ。
賊の親玉は、部屋に押し込んで拘束はとってやった。くつろいでいるはずだ。
「クザン、賊の親玉も朝食だ。拘束して連れてきてくれ」
「……」
クザンは言葉をしゃべる事が出来ないので、無言でうなずいて親玉の部屋に向った。
「おはようございます!!」
騒がしかったのか、もう一人の美少女ヒマリが目を覚ましてしまった。
この子も美しい、聖女様のようだ。
あずさが凜とした少し鋭さのようなものがある美しさなら、この子は柔らかい優しい感じのする美しさだ。
そういうのが好きな人なら、ヒマリが世界一だと思うことだろう。
「おはよう。今朝食を用意しますからね」
いかん、ヒマリの美しさにつられて、お母さんのような口調になってしまった。
クザンに連れられて、親玉がロビーにやって来た。
「あずさ、そいつにゆで卵を食べさせてやってくれ」
後ろ手に拘束された賊の親玉は、自分で食事が出来ないのであずさに頼んだ。
賊の親玉は、ふてくされた顔をしているが、殻をむいたゆで卵を持って来た、あずさの顔を見ると少し頬が赤くなった。
ふふふっ、可愛いだろう。
世界一の美女が子供になったのがあずさだ。美しさの中に幼い可愛さがある。こんなもん最高としか表現のしようが無い。
「どうぞ、あーーんして下さい」
くうぅぅーーっ!! あずさの「あーーん」だ!!
「……!?」
賊の親玉が何も言わずに口を開けた。
ふふ、素直じゃねえか。
頬が真っ赤になっている。
――あっ!!
あずさの奴、賊の親玉の口に入れる前に手に待ったゆで卵を離してしまった。
ゆで卵はコロコロと床を転がった。
あーそうだった。
あずさは、人の口に何かを入れてやるのが致命的に下手だ。
それは、トラウマがあって出来ないのだ。
あずさが幼い時に、あめ玉やお菓子を「あーーん」と言って運んで来たとき、俺は必ずあずさの指ごと口の中に入れて、あずさの指をねぶってしまったのだ。
骸骨だったあずさが可愛すぎて、少しいたずらをしたのだ。
その時以来、口の前まで運んで口に入る前に、ビクンと体を揺らして手を離してしまうのだ。
――どんだけ、嫌なんだよーー!! なけるぜ!!
あずさは、テーブルの上の箸をとると、落ちたゆで卵を箸で拾ってそのまま口を開いている賊の親玉の口の中に入れた。
「ぶーーっ!!!! 何しやあがる!! 床に落ちたもんをそのまま口に入れるんじゃねえ! 汚えじゃねえかーー!!!!」
賊の親玉は口のゆで卵を、ポーーンと上手に飛ばした。
飛ばした、よだれだらけのゆで卵があずさにあたった。
あずさの顔に怒りの表情が出た。
「ハッポーー!!」
あずさは、瞬間的に水平にチョップを出した。
まるで、往年のジャイアント馬場のような華麗な水平チョップだ。
「ガッ! ゴッ! ゴハッゴハッ!! グエェェ!! ゲッ! ゲッ!」
それが丁度、賊の親玉の喉に綺麗に決まった。
賊の親玉は、咳き込んで苦しんでいる。
あずさのチョップだ手加減はしているのだろうが、さぞかし苦しいだろう。
「まったく、もったいないことはいけません!」
そう言うと、あずさは落ちたゆで卵を箸で拾って、当たり前のように口に入れようとした。
あずさーー!! それはだめだーー!! そのゆで卵は賊の親玉のよだれでベチョベチョだーー!!!! 今のお前は骸骨じゃ無いんだからーーーー!!
俺は両手を前に出してあせっていた。
美少女が食べていいものではない!
あずさの口の前でゆで卵が消えた。
どうやら蜂蜜さんが、消してくれたようだ。
「あらっ????」
「あらっ、じゃ無いんだよ! お前はそろそろ、淑女としての作法を身につけろーー!!」
「うふふ、じゃあ、次からはとうさんのだけにします」
そうそう、それでいいんだ。
なんだか、あずさがとてもうれしそうに言った。
「……じゃっ、ねーんだよっ!! 俺のでもダメだー!! 人が吐き出した物は食うなーー!!」
今日の朝食は、いつもの目玉焼きとキャベツの千切り、それではさみしいのでマグロの刺身を焼いてステーキにした物を付けた。
「……がっ…………ごっ……ごっ……ぇ」
賊の親玉が何かを言いたいようだが、声がまともに出なくなったようだ。
口の動きを見ると「俺にも食わせろ」と言っているようだ。
「しかたがない。クザン、賊の親玉の拘束をとってやってくれ」
クザンが賊の親玉の拘束を外すと、親玉は走りだした。
「……がっ……ぇ……」
口の動きを見ると「かかったな、娘を人質にしてやる」といっているようだ。
優しそうなヒマリをターゲットにしたようだ。
「ゲェェェェーー……がっ……ぐっ…………」
往年の佐山サトル、初代タイガーのローリングソバットをおもわせるヒマリのソバットが賊の親玉の喉に決まった。
親玉は吹飛ばされてゴロゴロ転がった。
「……、……、……!」
壁にぶつかって止まった親玉が、起き上がってこちらを見て口を動かしている。
賊の親玉の口は「あれ、声が、出ないぞ!」と言っているようだ。
どうやら、完全に声が出なくなったようだ。
「おいおい、可愛いからってこの二人をなめたらいかんぞ。なにしろ、昨晩のお前達のアジトで暴れていた奴らより強いからなあ。手加減してもらっていなければ、お前は今朝すでに二度死んでいるぞ」
「…………」
どうやら、賊の親玉は「げーーっ」と言っているようだ。
「大人しく食事をしろ!! いいな!! ちなみに、十田家中でお前より弱い奴はいない。気を付けることだな」
賊の親玉も大人しくテーブルに座ると静かに食事を始めた。
そして、食事が終わった俺達はいよいよ札幌に向う。
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