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九州激闘編

第三百四十五話 島津出陣

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 島津義久様はすぐさま行動をおこし、直ちに雄藩連合脱退と相良家への降伏勧告の使者を出しました。
 うふっ、相良家への使者には私が志願し相良の本拠地へむかいました。
 可愛らしい着物を着て、一人旅です。

「止まれーー!!」

 水俣に続く国道に関所が有り、私は止められました。
 海が近いはずなのに、私の目からは海が見えません。
 関所のまわりは、畑なのですが手入れがされていなくて雑草が伸び放題です。
 大殿が見たら悲しみそうです。

「私は島津義久様から、相良様への使者で参りました。これが、相良様宛の書状にございます」

「そこで待たれよ」

「はい」

 番兵は一冊の帳面を持って来ました。
 その中に島津義久様の直筆と印のページが有り、私の持つ書状と照らし合わせます。

「ふむ、間違いない本物だ。ちなみに中身はどんな内容だ」

「うふふ、使者の私が知るわけがありません」

 まあ、降伏勧告とは言えませんよね。

「で、あろうなあ。よし行って良いぞ」

「はい、ありがとうございます」

 相良様の本拠地は芦北の佐敷城跡に整備中です。
 元々相良の本拠地は、八代にあったのですが、新政府軍の侵攻を恐れて佐敷に変えたようです。
 佐敷のお城はまだ整備を始めたばかりで、住む事も出来なさそうです。
 私は城の横のドーム状の建物に通されました。

「な、なんだこれはーーーーーー!!!!!!」

 奥の部屋から大声が聞こえました。

「新政府軍が、攻めてきているこの忙しいときに島津の野郎!!」
「すぐに偵察を出せ、島津の人数を確認せよ!」
「出陣の準備だーー!!」

 これだけ、聞こえると言う事は、きっと使者は殺すつもりですね。
 重臣が、五人連れだって私の所へ来ました。
 腰には日本刀を持っています。

「使者殿、何か聞いておく事はありますかな」

「はい。島津軍は、戦争になれば総勢五百五十四人で攻め込む予定にしていると伝えよ。そう聞いております」

「そ、それは、まことか?」
「少ない、なめているのか?」
「いや、島津は豊前で兵を多数失ったはずだ。それが限界なのだろう」
「我らは、ここの守りを残しても三千人は出せるぞ」
「ふふふ、使者殿、おぬしには悪いが死んでもらう事になる」

 全員が抜刀しました。

「あんたには恨みはないが、その首をもって返事とする」

 はーーっ、私は響子さんやカノンちゃんのように容姿端麗ではありません。
 きっと、殺すのが惜しくないのでしょうね。
 反対する人すらいません。

「うふふ、それには及びません。私が帰ってお伝えいたします」

「ふざけるな!! かかれーー!!!!」

 私は、着ている着物の帯を解くと、くるりと回転をします。
 帯はこんなこともあろうかと、すぐに解けるように細工がしてあります。
 着物が私の体のまわりでパラシュートのように広がります。

「オイサストシュヴァイン!!」

「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!!」

 重臣達は、中から私の裸体でも出てくると思ったのでしょうか。
 驚いています。
 残念ですね。私の裸体はあなた達にはお見せしませんよ。
 はだかは、あのお方にしか絶対見せません。

「な、なんだ!!」
「なんだ、なんだ!」
「に、忍者だ!! 忍者が出て来た!!」
「くそう島津め! しゃらくさい忍者まで用意しているのかー!!」

 重臣達が驚いています。
 私は、そのまま高く跳躍して、二階の窓から外に出ました。

「くそーー、逃がすなーー!!」

「だめです。もう追えません」

「一体、何なんだあの身体能力は!!」

 こうなれば、後は全力で帰還するだけです。



 数時間後には鹿児島に戻り、義久様に面会しました。

「桃井殿、使者の任お疲れ様でした」

「はい、ありがとうございます。相良は三千の兵で迎え撃つと言っていました」

「そうですか。そんな事まで言ったのですか?」

 義久様はニヤニヤして聞いてきます。
 きっと、そこまで言ったのなら殺そうとしてきたでしょと、言っているようです。
 お人が悪いです。

「私が美人過ぎて、口が滑ったのでしょうか?」

「はははは、桃井さんのプロポーションは、木田家随一ですからな! お疲れ様でした。ゆっくり休んで下さい。出陣は明日の朝食後です。相良は迎撃するのなら、出水か水俣まで出てくるでしょう。決戦は三日後と言うところでしょうか」

 何と言う事でしょう。
 義久様は私のプロポーションが一番と言ってくださいました。
 お世辞でもうれしいです。
 待ってください。顔は褒めるところが無いということですかー。
 ちっとも褒められていません。ちっきしょーー!! です。

「ありがとうございます。同行させて頂きます」

 翌朝、島津軍は朝食を取ると鹿児島を出陣しました。
 陣容は、真田十勇士隊。十名。
 当主真田信繁様は指揮官用機動陸鎧幸村を装備し、真田隊の最後尾を進みます。これで合計十一名
 それに続き安東常久様の部隊四十一名。
 安東隊の最後尾に安東常久様が続き、計四十二名。
 続いて総大将島津義弘様の島津隊五百名、最後尾に島津義弘様。合計五百一名。

 総勢五百五十四名で国道一杯に広がって進みます。
 人数は少ないですが、全員大殿の装備をしています。
 国道をすすむ島津軍は朝日を反射して、キラキラ白く輝き美しくそして雄々しく見えました。
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