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九州漫遊編
第三百三十八話 新都之城へ
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久美子さんは、大きく息を吸うと胸に空気が入り、自然と顔が上にあがった。
「スケさーーん!! カクさーーん!! そしてケンさーーん!! 悪代官共をこらしめてあげなさい!」
「おおーーうっ!!!!!!」
三人が全力で答えた。
「ス、スケさんだと!?」
「カクさんだと!?」
「あ、あっ、悪代官だとーーっ!!!!」
棒を持った役人達がザワザワしている。
ケンさんを忘れないであげてー!
「うぎゃああっーー!!」
「誰が、デカパイですかーー!!!!」
最初に悲鳴を上げたのは、ミサを連行している役人だった。
ミサは怒っていたようです。
「ぎゃあああっーー!!」
「ぐわっ」
「おげっ」
それを皮切りに次々悲鳴が上がり、役人が倒されて行く。
「皆さん!! 逃げて下さい!!」
久遠さんが解放された住民を次々逃がしていく。
「す、すごいのじゃ!! のう、八兵衛さんや。あのスケさん、カクさんは本物なのか!?」
ユウ様が意味のわからない事を言っている。
本物かどうか聞かれたら、本物としか言いようが無い。
「は、はぁ」
俺は気の抜けた返事をした。
「きっ、きさまらーー!! とんでも無い事をしてくれたな!! これは伊藤家に対する反逆だぞ!! わかっておるのかーー!!!!」
「何を言うの!! 自分達の欲望のために女性に乱暴をする者が一丁前な事を言うものではありません!!!! 汚らわしい!!」
久美子さんが、き然と言い放った。
「ぐぬぬぬぬーー!!!! 殺せーー!! このゴミ共を殺せーー!!!!」
悪代官が吠えた。
役人達が、棒から刃物に武器を持ち替えた
「八兵衛さん、私達は住民の盾になりますよ」
久遠さんが言った。
おおよその住民は蜘蛛の子を散らすように逃げて行ったが、まだ逃げ遅れた者が何人かいる。
それを守ろうというのだ。
「さすがは久遠様にございます。わかりました。この肉の塊、喜んで盾となりましょう」
そう言って、捕らえられている住民と役人の間に入り、役人を大きな腹で一人吹っ飛ばした。
「ぎゃっ!!」
「ぐはっ!!」
「うぎゃあああああーーーーー!!!!」
スケさん、カクさん、ケンさんのギヤが一段上がり、攻撃が少し強くなった。
倒れた者が、次々立てなくなっている。
あっという間に、数十人が倒れ立っている者が悪代官だけになった。
「こ、黄門様は? 黄門様はどこじゃあぁ??」
「あ、あの、ユウ様。黄門様はいませんよ」
サッチンが真顔で答えた。
ひょっとして、ユウ様はいつもこんな感じなのかー?
「そ、そうなのか?」
ユウ様がこんどは俺に聞いてきた。
「……」
俺は無言でうなずいた。
――こ、こいつーー、天然だーー!!
「お代官様、私達はちゃんと手続きをしてここに居ます。手違いは無かったはずです。それをこのような仕打ち、どの様に申し開きをされるのですか?」
「ひゃははははっ!!!! ふざけるなーー!!!! 代官に……わし達に暴力を振るえば、それはもう反逆罪だ!! 全員死刑だーー!!!! 許さんぞ!! 絶対に殺してやる!! フーーッ フーーッ」
代官の目は血走り、真っ赤になっている。
呼吸も荒くなり、どうやら激高しているようだ。
逆恨みもいい所だ。
「ふーーっ!! そうですか。では、やってみて下さい。とことんまでお相手いたしましょう」
「久美子様。どうせなら、こちらから伊藤家の本拠地まで行きましょう。自慢の本拠地で充分に反省してもらいましょう」
本拠地の工事で大勢が強制労働をさせられている。
どうせなら、一日も早く解放してあげたい。
そんな思いで久美子さんの耳元に小声でささやいた。
「……」
久美子さんは一瞬「ほ、本拠地ーー!?」みたいな表情になったが、俺がうなずくのを見て代官の方に数歩近づいた。
「聞きなさい!! 私達はこれから、あなた達の本拠地に行きます。ふふふ、西洋ならこういうときは手袋を投げつけるのでしょうね。万全の準備をして、待っていなさい。そこで私達の恐ろしさを骨の髄まで染みこませてあげましょう」
「けっ! えらそうに! おいてめーら、いつまで寝ている! さっさと起きて兵士を集めろ! 返り討ちにしてやる。くそがっ!!」
悪代官は、唾を吐き捨てると部下を引き連れ駐車場を出て行った。
「よよ、よいのか。新都之城には、兵士が五百人はいるぞ。それに都城中の兵士を集めれば千人近くになる。十人足らずでは、死にに行くようなものじゃ。テレビの時代劇でも千人相手など見た事が無い」
ユウ様が久美子さんに思わず駆け寄った。
「千人ですか、それなら大丈夫ですよ。むしろ足りないぐらいです」
「な、なっ! まるでやった事があるような言い方。おぬし達は一体何者なのじゃ?」
「うふふ、何者って、私達はただの島津の慰問団ですよ。さあ、八兵衛さん後片付けをして、参りましょうか」
「はい」
久美子さんも慣れたのか、余裕が出て来た。
恐れる様子がみじんも無い、たいしたものだ。
俺が片付けをする間、全員には宿舎で眠ってもらった。
余り早くても悪代官の準備が出来ないだろうから、ゆっくりしてもらった。
俺は自然に皆が出てくるのを待った。
寝不足では可哀想だ。
六時間ほどで全員が起きてきた。
草木も眠る時間になっているだろう。
それから新都之城へ向った。たっぷり三時間ほどかけた。
「スケさーーん!! カクさーーん!! そしてケンさーーん!! 悪代官共をこらしめてあげなさい!」
「おおーーうっ!!!!!!」
三人が全力で答えた。
「ス、スケさんだと!?」
「カクさんだと!?」
「あ、あっ、悪代官だとーーっ!!!!」
棒を持った役人達がザワザワしている。
ケンさんを忘れないであげてー!
「うぎゃああっーー!!」
「誰が、デカパイですかーー!!!!」
最初に悲鳴を上げたのは、ミサを連行している役人だった。
ミサは怒っていたようです。
「ぎゃあああっーー!!」
「ぐわっ」
「おげっ」
それを皮切りに次々悲鳴が上がり、役人が倒されて行く。
「皆さん!! 逃げて下さい!!」
久遠さんが解放された住民を次々逃がしていく。
「す、すごいのじゃ!! のう、八兵衛さんや。あのスケさん、カクさんは本物なのか!?」
ユウ様が意味のわからない事を言っている。
本物かどうか聞かれたら、本物としか言いようが無い。
「は、はぁ」
俺は気の抜けた返事をした。
「きっ、きさまらーー!! とんでも無い事をしてくれたな!! これは伊藤家に対する反逆だぞ!! わかっておるのかーー!!!!」
「何を言うの!! 自分達の欲望のために女性に乱暴をする者が一丁前な事を言うものではありません!!!! 汚らわしい!!」
久美子さんが、き然と言い放った。
「ぐぬぬぬぬーー!!!! 殺せーー!! このゴミ共を殺せーー!!!!」
悪代官が吠えた。
役人達が、棒から刃物に武器を持ち替えた
「八兵衛さん、私達は住民の盾になりますよ」
久遠さんが言った。
おおよその住民は蜘蛛の子を散らすように逃げて行ったが、まだ逃げ遅れた者が何人かいる。
それを守ろうというのだ。
「さすがは久遠様にございます。わかりました。この肉の塊、喜んで盾となりましょう」
そう言って、捕らえられている住民と役人の間に入り、役人を大きな腹で一人吹っ飛ばした。
「ぎゃっ!!」
「ぐはっ!!」
「うぎゃあああああーーーーー!!!!」
スケさん、カクさん、ケンさんのギヤが一段上がり、攻撃が少し強くなった。
倒れた者が、次々立てなくなっている。
あっという間に、数十人が倒れ立っている者が悪代官だけになった。
「こ、黄門様は? 黄門様はどこじゃあぁ??」
「あ、あの、ユウ様。黄門様はいませんよ」
サッチンが真顔で答えた。
ひょっとして、ユウ様はいつもこんな感じなのかー?
「そ、そうなのか?」
ユウ様がこんどは俺に聞いてきた。
「……」
俺は無言でうなずいた。
――こ、こいつーー、天然だーー!!
「お代官様、私達はちゃんと手続きをしてここに居ます。手違いは無かったはずです。それをこのような仕打ち、どの様に申し開きをされるのですか?」
「ひゃははははっ!!!! ふざけるなーー!!!! 代官に……わし達に暴力を振るえば、それはもう反逆罪だ!! 全員死刑だーー!!!! 許さんぞ!! 絶対に殺してやる!! フーーッ フーーッ」
代官の目は血走り、真っ赤になっている。
呼吸も荒くなり、どうやら激高しているようだ。
逆恨みもいい所だ。
「ふーーっ!! そうですか。では、やってみて下さい。とことんまでお相手いたしましょう」
「久美子様。どうせなら、こちらから伊藤家の本拠地まで行きましょう。自慢の本拠地で充分に反省してもらいましょう」
本拠地の工事で大勢が強制労働をさせられている。
どうせなら、一日も早く解放してあげたい。
そんな思いで久美子さんの耳元に小声でささやいた。
「……」
久美子さんは一瞬「ほ、本拠地ーー!?」みたいな表情になったが、俺がうなずくのを見て代官の方に数歩近づいた。
「聞きなさい!! 私達はこれから、あなた達の本拠地に行きます。ふふふ、西洋ならこういうときは手袋を投げつけるのでしょうね。万全の準備をして、待っていなさい。そこで私達の恐ろしさを骨の髄まで染みこませてあげましょう」
「けっ! えらそうに! おいてめーら、いつまで寝ている! さっさと起きて兵士を集めろ! 返り討ちにしてやる。くそがっ!!」
悪代官は、唾を吐き捨てると部下を引き連れ駐車場を出て行った。
「よよ、よいのか。新都之城には、兵士が五百人はいるぞ。それに都城中の兵士を集めれば千人近くになる。十人足らずでは、死にに行くようなものじゃ。テレビの時代劇でも千人相手など見た事が無い」
ユウ様が久美子さんに思わず駆け寄った。
「千人ですか、それなら大丈夫ですよ。むしろ足りないぐらいです」
「な、なっ! まるでやった事があるような言い方。おぬし達は一体何者なのじゃ?」
「うふふ、何者って、私達はただの島津の慰問団ですよ。さあ、八兵衛さん後片付けをして、参りましょうか」
「はい」
久美子さんも慣れたのか、余裕が出て来た。
恐れる様子がみじんも無い、たいしたものだ。
俺が片付けをする間、全員には宿舎で眠ってもらった。
余り早くても悪代官の準備が出来ないだろうから、ゆっくりしてもらった。
俺は自然に皆が出てくるのを待った。
寝不足では可哀想だ。
六時間ほどで全員が起きてきた。
草木も眠る時間になっているだろう。
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