293 / 428
激闘編
第二百九十三話 呂瞬対ゲン
しおりを挟む
「ごちゃごちゃ言ってねえでかかってこい!」
ゲン様が無表情で、すごみます。
よほど自信があるのでしょう、ゲン様の言葉にひるむ事無く呂瞬さんが襲いかかります。
遅れまいと慶次郎さんと張高さんも動きます。
一益さんも、手の平を前に出しました。
――!?
恐ろしい震動が体に伝わりました。
大砲が近くで撃たれた様な震動です。
呂瞬さんの体が橋を越え廣瀬さんの足下に転がります。
呂瞬さんの体を見たら、鎧が水面に大きな石を投げ込んだような波紋のように波うってへこんでいます。
鎧の中の呂瞬さんが大きく目を見開いて、目玉がだいぶ前に飛び出しています。でも、意識はあるようです。
鎧が必死で呂瞬さんを守ったようにも見えます。
鎧が動かないためなのか、呂瞬さんは起き上がれないようです。
鎧の中でゴソゴソもがいています。
「ゲン様は手加減を……したのでしょうか」
廣瀬さんがつぶやきました。
呂瞬さんの体が、廣瀬さんの足下で止まったと言う事はそこを狙っていますよね。
もう少し強ければゾンビの群れの中です。
この呂瞬さんの絶妙な位置を見れば手加減をしている事は明白ですね。
ゲン様は右手の平を前に出して止まっています。
大殿のように、掌底を使って攻撃したようです。
拳なら鎧を突き破っていたかもしれません。
「か、片手かよ! まいるぜ!!」
一益さんがあきれたようにつぶやきます。
「次はおめー達か?」
ゲン様はそう言うと、一益さんと慶次郎さんを見ました。
笑顔でも無く、怒りでも無い無表情なゲン様の顔は、他のどの表情よりも恐いです。
一益さんと慶次郎は、恐ろしい勢いで首を振っています。
頭にプロペラを付けたら飛んで行きそうな勢いです。
「兄ちゃん、こいつこわいよー」
「こいつだとー!!」
「こ、このお方こえーーよーー」
あの慶次郎がゲン様を恐れています。
「ちっ、てめーは、ゲンさん、いやゲン様と呼びゃあがれ! このやろー!」
慶次郎さんが今度は凄い勢いで首を盾に振っています。
そして、張高さんを見ました。
張高さんは駆け寄ろうとして、その姿のまま硬直しています。
そして、ゲン様の視線に気が付くと素早く地面に両手をつきました。
「ま、まいりました」
頭を下げます。
「ちっ、やる前からそれじゃあ、俺の何がわかるって言うんだよ!!」
いやいや、やらなくてもわかりますよ。
ここから見ている私でさえもわかりますよー!
「わ、わかります。もう、ぜんぜんわかります」
そう言う感じでよく言いますけど、張高さん日本語間違っていますよー。
「ちっ、わかった。鎧が壊れるのが嫌なんだな。大丈夫だ。壊れちゃいねえ。少し目を回しているだけだ」
ゲン様が言い終わると、呂瞬さんが立ち上がりました。
鎧が元に戻っています。
あの鎧は、生きているのでしょうか? ゲン様のとんでも無い攻撃で、本当に目を回していたということなのでしょうか?
「お、おおっ! わしの鎧が治った!」
呂瞬さんが喜んでいます。
「見ろ、言った通りだろ」
ゲン様はまだ張高さんと戦いたいようです。
「いえ、私ごときでは呂瞬様に遠く及びません。いまのまま戦っても勝負になるとは思えません。ご容赦頂きたい」
「ちっ!! まあいいか。少しは楽しめた」
「!?」
もはや全員が驚愕しています。
これで、少し楽しめた程度だそうです。
「あ、そうか、武器だ!! お前達は全員武器をつかおっか」
「ひーっ、ゲン様がこえーよー! 兄ちゃーーん!!」
慶次郎が四つん這いになって、涙目で一益さんに近寄ります。
ゲン様、どうやら全員ゲン様の実力を充分理解しているみたいですよ。
そろそろ、許してあげて下さい。
「ちっ! てめーはいかれてやーがるのか!?」
一益さんがゲン様に言いました。
ゲン様はそれを聞くと、視線を一益さんに向けてしばらくその目を見つめました。
「なるほどなあ。赤穂さんが推薦するわけだ。てめーはだいぶいかれているようだなあ。会えて良かったぜ! 実力も性根もよおーく理解できた」
一益がなおもゲン様をてめー呼ばわりするのを見て、一益さんの本性を見抜いたようです。
「おーい、廣瀬さん、赤穂さーん!! 俺達は帰る。こっちへ来てくれー。おい、てめーら何をしている。前線へ戻らねーか! ボヤボヤするな馬鹿やろー!!」
ゲン様が、三人に言いました。
呂瞬さんはすでにこっちにいます。
私と廣瀬さんはゲン様の所へ戻りました。
その間にゲン様は伊達様の脱臼を治しているようです。
「よし、俺達は兄弟のところへ行かねえといけねえ。北海道国に喧嘩をうっちまったからなあ」
「なるほど、大殿に報告というわけですな」
伊達様がニヤニヤして言いました。
「廣瀬さん、兄弟のところまで案内を頼めるか?」
「は、ひゃい。お、大殿のところにゃら、ご案にゃいできます」
わかり易く動揺しています。
これでは、大殿に会いたいと言うのが誰の目にも明らかですよね。
まさか、廣瀬さんは大殿のことを……。
「よかったなあ、赤穂さん。いよいよ大殿に会える」
伊達様がニヤニヤしたまま、今度は私にいいました。
「なななにゃ、にゃにえを言うのれすか」
はーしまったー。廣瀬さんのせいで私まで動揺してしまいましたー。
ゲン様を見たら、何事も無い表情をしています。
やれやれ私の気持ちは、ばれていないようです。
私と廣瀬さんが天夕改に乗り、ゲン様と伊達様が独眼竜で大殿のいる金沢を目指しました。
ゲン様が無表情で、すごみます。
よほど自信があるのでしょう、ゲン様の言葉にひるむ事無く呂瞬さんが襲いかかります。
遅れまいと慶次郎さんと張高さんも動きます。
一益さんも、手の平を前に出しました。
――!?
恐ろしい震動が体に伝わりました。
大砲が近くで撃たれた様な震動です。
呂瞬さんの体が橋を越え廣瀬さんの足下に転がります。
呂瞬さんの体を見たら、鎧が水面に大きな石を投げ込んだような波紋のように波うってへこんでいます。
鎧の中の呂瞬さんが大きく目を見開いて、目玉がだいぶ前に飛び出しています。でも、意識はあるようです。
鎧が必死で呂瞬さんを守ったようにも見えます。
鎧が動かないためなのか、呂瞬さんは起き上がれないようです。
鎧の中でゴソゴソもがいています。
「ゲン様は手加減を……したのでしょうか」
廣瀬さんがつぶやきました。
呂瞬さんの体が、廣瀬さんの足下で止まったと言う事はそこを狙っていますよね。
もう少し強ければゾンビの群れの中です。
この呂瞬さんの絶妙な位置を見れば手加減をしている事は明白ですね。
ゲン様は右手の平を前に出して止まっています。
大殿のように、掌底を使って攻撃したようです。
拳なら鎧を突き破っていたかもしれません。
「か、片手かよ! まいるぜ!!」
一益さんがあきれたようにつぶやきます。
「次はおめー達か?」
ゲン様はそう言うと、一益さんと慶次郎さんを見ました。
笑顔でも無く、怒りでも無い無表情なゲン様の顔は、他のどの表情よりも恐いです。
一益さんと慶次郎は、恐ろしい勢いで首を振っています。
頭にプロペラを付けたら飛んで行きそうな勢いです。
「兄ちゃん、こいつこわいよー」
「こいつだとー!!」
「こ、このお方こえーーよーー」
あの慶次郎がゲン様を恐れています。
「ちっ、てめーは、ゲンさん、いやゲン様と呼びゃあがれ! このやろー!」
慶次郎さんが今度は凄い勢いで首を盾に振っています。
そして、張高さんを見ました。
張高さんは駆け寄ろうとして、その姿のまま硬直しています。
そして、ゲン様の視線に気が付くと素早く地面に両手をつきました。
「ま、まいりました」
頭を下げます。
「ちっ、やる前からそれじゃあ、俺の何がわかるって言うんだよ!!」
いやいや、やらなくてもわかりますよ。
ここから見ている私でさえもわかりますよー!
「わ、わかります。もう、ぜんぜんわかります」
そう言う感じでよく言いますけど、張高さん日本語間違っていますよー。
「ちっ、わかった。鎧が壊れるのが嫌なんだな。大丈夫だ。壊れちゃいねえ。少し目を回しているだけだ」
ゲン様が言い終わると、呂瞬さんが立ち上がりました。
鎧が元に戻っています。
あの鎧は、生きているのでしょうか? ゲン様のとんでも無い攻撃で、本当に目を回していたということなのでしょうか?
「お、おおっ! わしの鎧が治った!」
呂瞬さんが喜んでいます。
「見ろ、言った通りだろ」
ゲン様はまだ張高さんと戦いたいようです。
「いえ、私ごときでは呂瞬様に遠く及びません。いまのまま戦っても勝負になるとは思えません。ご容赦頂きたい」
「ちっ!! まあいいか。少しは楽しめた」
「!?」
もはや全員が驚愕しています。
これで、少し楽しめた程度だそうです。
「あ、そうか、武器だ!! お前達は全員武器をつかおっか」
「ひーっ、ゲン様がこえーよー! 兄ちゃーーん!!」
慶次郎が四つん這いになって、涙目で一益さんに近寄ります。
ゲン様、どうやら全員ゲン様の実力を充分理解しているみたいですよ。
そろそろ、許してあげて下さい。
「ちっ! てめーはいかれてやーがるのか!?」
一益さんがゲン様に言いました。
ゲン様はそれを聞くと、視線を一益さんに向けてしばらくその目を見つめました。
「なるほどなあ。赤穂さんが推薦するわけだ。てめーはだいぶいかれているようだなあ。会えて良かったぜ! 実力も性根もよおーく理解できた」
一益がなおもゲン様をてめー呼ばわりするのを見て、一益さんの本性を見抜いたようです。
「おーい、廣瀬さん、赤穂さーん!! 俺達は帰る。こっちへ来てくれー。おい、てめーら何をしている。前線へ戻らねーか! ボヤボヤするな馬鹿やろー!!」
ゲン様が、三人に言いました。
呂瞬さんはすでにこっちにいます。
私と廣瀬さんはゲン様の所へ戻りました。
その間にゲン様は伊達様の脱臼を治しているようです。
「よし、俺達は兄弟のところへ行かねえといけねえ。北海道国に喧嘩をうっちまったからなあ」
「なるほど、大殿に報告というわけですな」
伊達様がニヤニヤして言いました。
「廣瀬さん、兄弟のところまで案内を頼めるか?」
「は、ひゃい。お、大殿のところにゃら、ご案にゃいできます」
わかり易く動揺しています。
これでは、大殿に会いたいと言うのが誰の目にも明らかですよね。
まさか、廣瀬さんは大殿のことを……。
「よかったなあ、赤穂さん。いよいよ大殿に会える」
伊達様がニヤニヤしたまま、今度は私にいいました。
「なななにゃ、にゃにえを言うのれすか」
はーしまったー。廣瀬さんのせいで私まで動揺してしまいましたー。
ゲン様を見たら、何事も無い表情をしています。
やれやれ私の気持ちは、ばれていないようです。
私と廣瀬さんが天夕改に乗り、ゲン様と伊達様が独眼竜で大殿のいる金沢を目指しました。
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
勇者から逃亡した魔王は、北海道の片田舎から人生をやり直す
栗金団(くりきんとん)
ファンタジー
「ふははは!さぁ勇者よ、開戦だ!」
魔族と人間が対立して1000年。
災厄と呼ばれる魔王がいる魔王城に、世界平和を取り戻すため、勇者一向が訪れる。
城に攻め入り四大幹部を打ち倒した勇者は、ついに魔族の頂点に君臨する「転移の魔王」とあいまみえる。
魔族を倒すことに特化した聖魔法の奥義魔法を使い、勇者は魔王を追い詰める。
千年間生きていて最大の危機に、魔王は前代未聞の「逃走」を選択する。
そして、異世界で最強種族の頂点にいた魔王は現代日本に転移する。
命からがら転移するも大気圏から落下して重症の魔王は、怪我をした動物と間違われて少年に拾われる。
この物語は、魔族としては初めて勇者から逃亡した魔王のその後の物語。
そして、新しい世界で初めて魔族と出会ったとある少年の話だ。
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
【完結】魔導騎士から始まる、現代のゴーレムマスター
呑兵衛和尚
ファンタジー
異世界での二十五年間の生活を終えて、無事に生まれ故郷の地球に帰ってきた|十六夜悠《いざよい・ゆう》
帰還時の運試しで、三つのスキル・加護を持ち帰ることができることになったので、『|空間収納《チェスト》』と『ゴーレムマスター』という加護を持ち帰ることにした。
その加護を選んだ理由は一つで、地球でゴーレム魔法を使って『|魔導騎士《マーギア・ギア》』という、身長30cmほどのゴーレムを作り出し、誰でも手軽に『ゴーレムバトル』を楽しんでもらおうと考えたのである。
最初に自分をサポートさせるために作り出した、汎用ゴーレムの『綾姫』と、隣に住む幼馴染の【秋田小町』との三人で、ゴーレムを世界に普及させる‼︎
この物語は、魔法の存在しない地球で、ゴーレムマスターの主人公【十六夜悠】が、のんびりといろんなゴーレムやマジックアイテムを製作し、とんでも事件に巻き込まれるという面白おかしい人生の物語である。
・第一部
十六夜悠による魔導騎士(マーギア・ギア)の開発史がメインストーリーです。
・第二部
十六夜悠の息子の『十六夜銀河』が主人公の、高校生・魔導騎士(マーギア・ギア)バトルがメインストーリーです。
僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~
SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。
ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。
『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』
『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』
そんな感じ。
『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。
隔週日曜日に更新予定。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる