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激闘編
第二百七十九話 対決
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「村井さまーー!! 滝川隊の姿が見えました。その数約三百!」
声がするのは、金沢郊外の田園地帯で生け垣に周囲を囲まれた、広い敷地の大きな日本家屋です。
その広い中庭に百人弱の男達が集っています。
手には、バットやゴルフクラブ、モップの柄のような物に包丁をくくりつけた物などをもっています。
「黒川班長、助けなくてよろしいのですか」
「残念ですが、私達は木田家の忍びです。木田家以外の救助は出来ません。正義の味方ではありませんからね」
「私だけでも許可をして下さい」
「滝川隊は具足を着けて槍を装備しています。忍者装備は戦闘用ではありません。身軽に動くための装備です。場合によっては、ケガではすまない場合があります。許可は出来ません」
私達は村井家の隣、工場の屋根の上から見下ろすような形で様子を見ています。
「くそーー!! なんで俺達が殺されなくちゃあいけないんだ。降伏したじゃねえかーー」
村井家は、滝川に降伏を申し入れましたが、受け入れられず攻め込まれています。
滝川一益は、金沢一帯の人間を根絶やしにするかのごとく、暴れまわります。
村長の一族はもちろん、村人まで一人も生かしておく気は無いようです。
このことは、すでに三つの村から住民が消えたことから推察出来ます。
「きたぞーー!!」
滝川隊が数百メートルのところまで来ました。
村井家に集っている男達が道路に出ます。
数も少なく、武器も防具もそろっていない男達に勝ち目はありません。
絶望的な戦いが始まろうとしています。
勝負はあっという間に決り、村井家に集っている人達は虐殺されてしまうことでしょう。
「これが普通なのですよね」
部下の一人がいいました。
「そうですね。ずっと見てきたはずなのに、木田家にいたからこの景色を忘れていました」
別の部下が言います。
そうです。隕石が落ちる事が分り、人々が全てを諦めたとき、街ではこんな光景が当たり前の様にありました。
食べる物が無くなると、それを奪うために殺し合いが始まります。その殺し合いは終ることを知りませんでした。
街では、悲鳴が聞こえない日がありませんでした。
「私達が生きているというのは、そういうことなのですよね」
私達は暗く沈んだ気持ちになりました。
もう、助けたいという気持ちまで重いヘドロのようなものに押しつぶされてしまったようです。
「殺せーーー!!!!!!」
滝川軍が槍を構え突進します。
私達は、目を閉じました。
「木村さんどうやら、間に合ったようだなあ」
「き、木村組頭!!」
目を開けた私の前に古賀忍軍は組の組頭木村様がいます。
その横に太った黒いジャージに黒いヘルメットの男の人がいます。
「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!! な、何があったんだーーーーーー!!!!」
声の方を見ると滝川隊の三百人が全員倒れています。
どうやら、村井家の人達にも何があったのか分からなかったようです。
「あの、大殿。ケガはありませんか?」
うわあ、鬼の木村組頭から、出てはいけない言葉が出ています。
まるで女です。
しかも、赤い顔をして、ベタベタ触っています。
「ふふ、俺がこの姿の時はアンナメーダーマンだ。ここは、どうやら外れのようだ。本命は津田家のようだ。俺はそっちへ行く」
「はい」
木村組長がうれしそうに返事をします。
「あんた、名前は?」
アンナメーダーマンこと大殿は私に名前を聞きました。
「私は、古賀忍軍は組一班の班長黒川です」
「そうか。黒川さん津田家の場所はわかるか?」
「はい。存じております」
「よし。木村さんは村井家に行って、越中へ逃げる事を勧めてくれ。くれぐれも強制しないでくれ。行くもやめるも自由だ」
「は、はい」
「よし、黒川さん、津田家まで案内を頼む」
――えーーーっ!!
と、いう声が木村様から聞こえてくるような表情です。
むこうも村長さん、木村様じゃないと釣り合いが取れないということでしょうか。
「では、こちらです」
「あれ、そのパンツ」
「キャッ!」
そ、そうでした。
姿を見せているときは、コスチュームのミニスカートの中にパンツをはいていて、今、それが丸出しになっています。
でも、コスチュームの上にはいているので、見られても良いはずなのですが、これが妙に恥ずかしいのです。
私はスカートをつかんでパンツを隠しました。
「かわいいパンツだねえ」
「あっ、これですか。私の持っていた物です。標準の物は、ちょっとエッチすぎて、はきづらかったので変えてもらいました」
「変えてもらった?」
「はい。かわいいパンツを出して、コスチュームに次はこれでってお願いすると、収納されて次はお願いした物にしてくれるのですよ」
「へーーっ。そんなことも出来るんだー。知らなかった」
「あっ! あそこに見えるのが津田家です」
「どうやら、津田家にも来ていなかったようだな」
津田家のまわりには、滝川兵が大勢倒れています。
ただ、村井家の滝川兵とは違い、骨折をしている人や血を出して倒れている人など大けがの人が見られます。
倒れている場所もバラバラで、村井家の滝川兵のように一瞬で倒されていないのが見て取れます。
その中に滝川一益、慶次郎兄弟の姿は無かったようです。きっと、探しているのはこの二人でしょう。
「す、すごい」
この光景を見て驚いている人がいます。
奥村家の娘さんと、見た事が無い娘さんですね。
「謙之信、スケさん、カクさん、響子さん、カノンちゃん、ミサケガはないか」
どうやら、たった六人で滝川兵三百人を倒してしまったようです。
確かにすごいですが、アンナメーダーマンの方がもっとすごいですよね。
「あの、皆さんはどの様な方なのですか」
「ああ、俺達はそこの薩摩島津家の島津久美子さんのお供の物だ。そこにいるのが、十田謙之信様」
どうやら、上杉謙信様を、十田謙之信という偽名にするようです。
「そして、十田助三郎様、十田格之進様、十田響子様、十田楓音様、十田ミサ様だ。そして俺がその使用人、八兵衛だ」
「使用人のてめーの名なんざ聞いていないんだよ! このデブがー!! しかも何にもしてねーじゃねーか!」
うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!
な、何てことをするのでしょう。
アンナメーダーマンを足蹴にしました。
「くすっ」
うわあ、島津久美子さんが笑いました。
「な、なにをする!!」
謙之信様が、怒りを隠さずに蹴った津田様をにらみ付けます。
「す、すいませーーん。うっかりしていましたー」
アンナメーダーマンはヘルメットをとり、ひざをつくとペコペコ頭を下げています。
そして、謙之信様に目配せをします。
「ちっ、豚が」
私は手を握り力が入りすぎて、プルプル拳が震えました。
その時お尻をポンポンと叩かれました。
「ニャッ」
どうやら姿を消したアド様が慰めてくれたようです。
「ここは、もう良いだろう。奥村家へ行こう、あいつらが来るかもしれない」
大殿が言いました。
声がするのは、金沢郊外の田園地帯で生け垣に周囲を囲まれた、広い敷地の大きな日本家屋です。
その広い中庭に百人弱の男達が集っています。
手には、バットやゴルフクラブ、モップの柄のような物に包丁をくくりつけた物などをもっています。
「黒川班長、助けなくてよろしいのですか」
「残念ですが、私達は木田家の忍びです。木田家以外の救助は出来ません。正義の味方ではありませんからね」
「私だけでも許可をして下さい」
「滝川隊は具足を着けて槍を装備しています。忍者装備は戦闘用ではありません。身軽に動くための装備です。場合によっては、ケガではすまない場合があります。許可は出来ません」
私達は村井家の隣、工場の屋根の上から見下ろすような形で様子を見ています。
「くそーー!! なんで俺達が殺されなくちゃあいけないんだ。降伏したじゃねえかーー」
村井家は、滝川に降伏を申し入れましたが、受け入れられず攻め込まれています。
滝川一益は、金沢一帯の人間を根絶やしにするかのごとく、暴れまわります。
村長の一族はもちろん、村人まで一人も生かしておく気は無いようです。
このことは、すでに三つの村から住民が消えたことから推察出来ます。
「きたぞーー!!」
滝川隊が数百メートルのところまで来ました。
村井家に集っている男達が道路に出ます。
数も少なく、武器も防具もそろっていない男達に勝ち目はありません。
絶望的な戦いが始まろうとしています。
勝負はあっという間に決り、村井家に集っている人達は虐殺されてしまうことでしょう。
「これが普通なのですよね」
部下の一人がいいました。
「そうですね。ずっと見てきたはずなのに、木田家にいたからこの景色を忘れていました」
別の部下が言います。
そうです。隕石が落ちる事が分り、人々が全てを諦めたとき、街ではこんな光景が当たり前の様にありました。
食べる物が無くなると、それを奪うために殺し合いが始まります。その殺し合いは終ることを知りませんでした。
街では、悲鳴が聞こえない日がありませんでした。
「私達が生きているというのは、そういうことなのですよね」
私達は暗く沈んだ気持ちになりました。
もう、助けたいという気持ちまで重いヘドロのようなものに押しつぶされてしまったようです。
「殺せーーー!!!!!!」
滝川軍が槍を構え突進します。
私達は、目を閉じました。
「木村さんどうやら、間に合ったようだなあ」
「き、木村組頭!!」
目を開けた私の前に古賀忍軍は組の組頭木村様がいます。
その横に太った黒いジャージに黒いヘルメットの男の人がいます。
「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!! な、何があったんだーーーーーー!!!!」
声の方を見ると滝川隊の三百人が全員倒れています。
どうやら、村井家の人達にも何があったのか分からなかったようです。
「あの、大殿。ケガはありませんか?」
うわあ、鬼の木村組頭から、出てはいけない言葉が出ています。
まるで女です。
しかも、赤い顔をして、ベタベタ触っています。
「ふふ、俺がこの姿の時はアンナメーダーマンだ。ここは、どうやら外れのようだ。本命は津田家のようだ。俺はそっちへ行く」
「はい」
木村組長がうれしそうに返事をします。
「あんた、名前は?」
アンナメーダーマンこと大殿は私に名前を聞きました。
「私は、古賀忍軍は組一班の班長黒川です」
「そうか。黒川さん津田家の場所はわかるか?」
「はい。存じております」
「よし。木村さんは村井家に行って、越中へ逃げる事を勧めてくれ。くれぐれも強制しないでくれ。行くもやめるも自由だ」
「は、はい」
「よし、黒川さん、津田家まで案内を頼む」
――えーーーっ!!
と、いう声が木村様から聞こえてくるような表情です。
むこうも村長さん、木村様じゃないと釣り合いが取れないということでしょうか。
「では、こちらです」
「あれ、そのパンツ」
「キャッ!」
そ、そうでした。
姿を見せているときは、コスチュームのミニスカートの中にパンツをはいていて、今、それが丸出しになっています。
でも、コスチュームの上にはいているので、見られても良いはずなのですが、これが妙に恥ずかしいのです。
私はスカートをつかんでパンツを隠しました。
「かわいいパンツだねえ」
「あっ、これですか。私の持っていた物です。標準の物は、ちょっとエッチすぎて、はきづらかったので変えてもらいました」
「変えてもらった?」
「はい。かわいいパンツを出して、コスチュームに次はこれでってお願いすると、収納されて次はお願いした物にしてくれるのですよ」
「へーーっ。そんなことも出来るんだー。知らなかった」
「あっ! あそこに見えるのが津田家です」
「どうやら、津田家にも来ていなかったようだな」
津田家のまわりには、滝川兵が大勢倒れています。
ただ、村井家の滝川兵とは違い、骨折をしている人や血を出して倒れている人など大けがの人が見られます。
倒れている場所もバラバラで、村井家の滝川兵のように一瞬で倒されていないのが見て取れます。
その中に滝川一益、慶次郎兄弟の姿は無かったようです。きっと、探しているのはこの二人でしょう。
「す、すごい」
この光景を見て驚いている人がいます。
奥村家の娘さんと、見た事が無い娘さんですね。
「謙之信、スケさん、カクさん、響子さん、カノンちゃん、ミサケガはないか」
どうやら、たった六人で滝川兵三百人を倒してしまったようです。
確かにすごいですが、アンナメーダーマンの方がもっとすごいですよね。
「あの、皆さんはどの様な方なのですか」
「ああ、俺達はそこの薩摩島津家の島津久美子さんのお供の物だ。そこにいるのが、十田謙之信様」
どうやら、上杉謙信様を、十田謙之信という偽名にするようです。
「そして、十田助三郎様、十田格之進様、十田響子様、十田楓音様、十田ミサ様だ。そして俺がその使用人、八兵衛だ」
「使用人のてめーの名なんざ聞いていないんだよ! このデブがー!! しかも何にもしてねーじゃねーか!」
うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!
な、何てことをするのでしょう。
アンナメーダーマンを足蹴にしました。
「くすっ」
うわあ、島津久美子さんが笑いました。
「な、なにをする!!」
謙之信様が、怒りを隠さずに蹴った津田様をにらみ付けます。
「す、すいませーーん。うっかりしていましたー」
アンナメーダーマンはヘルメットをとり、ひざをつくとペコペコ頭を下げています。
そして、謙之信様に目配せをします。
「ちっ、豚が」
私は手を握り力が入りすぎて、プルプル拳が震えました。
その時お尻をポンポンと叩かれました。
「ニャッ」
どうやら姿を消したアド様が慰めてくれたようです。
「ここは、もう良いだろう。奥村家へ行こう、あいつらが来るかもしれない」
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