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第二百十六話 美術館
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俺は一人美術館を目指し歩いた。
人のいない街を歩き、美術館の正面にたどり着くと、階段を上り正面玄関から中に入った。
建物は鉄筋コンクリート製で、きっと有名な建築家が作ったのであろう洋風のデザインだ。
玄関を入ると高い天井と豪華なシャンデリアが迎えてくれる。
照明が付いていないので薄暗いが、玄関の窓から太陽光が入ってくるので真っ暗では無い。
まずはいくつか照明を付けるところから始めた。
俺がここにきた目的は、美術品をありがたがって見に来たわけでは無い。
ここに俺の作った、美術品を展示するためだ。
世界が崩壊する前なら、考えられないことだったが、今なら自由に展示が出来る。
そのために来たのだ。
鉄にクロムをまぜてステンレスにする。
そして、ミスリルをまぜてミスリル合金にする。
ステンレスは業界ではサスという。名付けて、サスリルだ。
まずは、サスリル製のゴーレムメイドを作ろう。
美術館の清掃員兼警備員だ。
薄いブルーの人型を作り出した。
シュラに似ている。頭は小さく胸も小さく、足は長くだ。
まあこれが、俺が最も美しいと感じる女性のシルエットなのだからしょうが無い。
完成したら裸は可哀想だ。
――やっぱりまずは、パンツからかな
床に各種パンツを並べてみた。
何やら嫌な予感がする。
「だれだ!!」
俺は、適当に指をさしてみた。
カタッと指の先で音がした。
チッどうやら透明人間がいたようだ。
「なっ、何故わかったのですか?」
現れたのは、古賀さんだった。
「忍者の首領様でしたか」
「完璧に気配は消していたはずなのに」
「そして、アドはそこだ!」
俺は、名探偵ドイルの様に指をもう一度さした。
「ニャははは、外れニャ」
九十度ずれた位置からアドが現れた。
「ふふふ、古賀さん。気にしないでください。たまたま当たっただけです。ふふ、当てずっぽうです」
「本当ですか?」
古賀さんは少しほっとした表情で近寄ってきた。
本当は一人でこっそり楽しみたかったのだが、こうなってしまえばしょうが無い。
「この子に、服を着させようと思うのですがどれが良いでしょうか」
二人が選んだ下着を、自分でつけさせてメイド服を着せた。
「まあ、美しい。名前は何と言うのですか?」
古賀さんも美しいと思ってくれたようだ。
古賀さんの様な美人が言うのだから、美しいはずだ間違いない。
これなら、美術館にふさわしいだろう。
「名前なんてありませんよ」
「そ、それは可哀想です」
「じゃあ、リルだ」
俺は、サスリル製なので、そこから名前を付けた。
「リルちゃん、よろしくね」
古賀さんは優しく抱きしめた。
どうやら、リルは古賀さんに一目惚れしてしまったようだ。
それとも、生まれたばかりの生命は刷り込みで、最初に見たものを親と思うらしいが、それなのかもしれない。
「リル、まずは掃除からだ。ゴミは収納魔法で収納してくれ。後で俺が処理する」
リルは素直に掃除を始めた。
時々手を止めず、チラチラ素早く古賀さんを見ている。
リルが掃除し終った床に直接座り込んだ。
そしたら、アドが俺のヒザの上に座ってきた。
古賀さんはそれを見ると、何を勘違いしたのか、俺に体をぴったりくっつけて横に座った。
――ど、どうすんだこれ。
横を見ると、柔らかそうな古賀さんの髪があって、優しい笑顔が見えた。とにかく甘くて優しい顔立ちをしている。
そう言えば、一緒の時間は多いがゆっくり話したことが無かった。控えめな人なのだ。
「今日は、ヒマリちゃんは?」
「名古屋です。あずさ様と二人で、むくれてお勉強中ですわ」
「そうですか」
むくれていると言う事は、来たかったのか?
だがだめだ、子供が参加するものじゃない。
「大殿は……」
「待ってください。古賀さん、こんな所で大殿はやめてください。そうですねー、基本はシュウでお願いします。黄色い服の商人の時は大田、家臣の前だけでは大殿又は木田さんでお願いします」
「そうですか。では、改めましてシュウさん。……なんだか、恥ずかしいですね」
そう言うと、頬が少し赤くなった。
「なんですか」
「捕らえた間者の数が増えてきました」
「はい」
「恐らく、入り込んでいる間者の数はまだまだ増えると思います」
「なるほど、増員が必要ですね?」
「はい。現在古賀忍軍は、いろはにの四組四十八人です。全員ずいぶんたくましくなりました。それぞれに配下を持たせたいと思います」
「なるほど、そうですね。では、忍者服を用意しましょう。配下は四人、五人組ぐらいが丁度良さそうですね。二百着用意しましょう」
「はい、ありがたき幸せ」
ふふふ、古賀さんまで時代劇に毒されていますね。
「それと、古賀さんにはいつも感謝をしています。忍者の里を運営してもらいましょうか」
「え!?」
「伊賀とか甲賀でしょうか。どうにも違う気がしますね。そうだ。もうじき飛騨の地が平定すると思います。飛騨の古賀家。山奥ですし、いいですね。ここに忍者の里を作って下さい」
「はい、皆が喜びます」
「きゃー!!」
女性の声がして、拍手の音が聞こえた。
「もしかして……」
「ええ、います。みんな姿を見せて下さい」
十二人のくノ一が姿を現した。
「十二人もいたのですね」
「はい、古賀忍軍、い組の十二人です。一番の精鋭です」
「はははは」
俺は、美術品をあきらめて、忍者服の製作に取りかかった。
人のいない街を歩き、美術館の正面にたどり着くと、階段を上り正面玄関から中に入った。
建物は鉄筋コンクリート製で、きっと有名な建築家が作ったのであろう洋風のデザインだ。
玄関を入ると高い天井と豪華なシャンデリアが迎えてくれる。
照明が付いていないので薄暗いが、玄関の窓から太陽光が入ってくるので真っ暗では無い。
まずはいくつか照明を付けるところから始めた。
俺がここにきた目的は、美術品をありがたがって見に来たわけでは無い。
ここに俺の作った、美術品を展示するためだ。
世界が崩壊する前なら、考えられないことだったが、今なら自由に展示が出来る。
そのために来たのだ。
鉄にクロムをまぜてステンレスにする。
そして、ミスリルをまぜてミスリル合金にする。
ステンレスは業界ではサスという。名付けて、サスリルだ。
まずは、サスリル製のゴーレムメイドを作ろう。
美術館の清掃員兼警備員だ。
薄いブルーの人型を作り出した。
シュラに似ている。頭は小さく胸も小さく、足は長くだ。
まあこれが、俺が最も美しいと感じる女性のシルエットなのだからしょうが無い。
完成したら裸は可哀想だ。
――やっぱりまずは、パンツからかな
床に各種パンツを並べてみた。
何やら嫌な予感がする。
「だれだ!!」
俺は、適当に指をさしてみた。
カタッと指の先で音がした。
チッどうやら透明人間がいたようだ。
「なっ、何故わかったのですか?」
現れたのは、古賀さんだった。
「忍者の首領様でしたか」
「完璧に気配は消していたはずなのに」
「そして、アドはそこだ!」
俺は、名探偵ドイルの様に指をもう一度さした。
「ニャははは、外れニャ」
九十度ずれた位置からアドが現れた。
「ふふふ、古賀さん。気にしないでください。たまたま当たっただけです。ふふ、当てずっぽうです」
「本当ですか?」
古賀さんは少しほっとした表情で近寄ってきた。
本当は一人でこっそり楽しみたかったのだが、こうなってしまえばしょうが無い。
「この子に、服を着させようと思うのですがどれが良いでしょうか」
二人が選んだ下着を、自分でつけさせてメイド服を着せた。
「まあ、美しい。名前は何と言うのですか?」
古賀さんも美しいと思ってくれたようだ。
古賀さんの様な美人が言うのだから、美しいはずだ間違いない。
これなら、美術館にふさわしいだろう。
「名前なんてありませんよ」
「そ、それは可哀想です」
「じゃあ、リルだ」
俺は、サスリル製なので、そこから名前を付けた。
「リルちゃん、よろしくね」
古賀さんは優しく抱きしめた。
どうやら、リルは古賀さんに一目惚れしてしまったようだ。
それとも、生まれたばかりの生命は刷り込みで、最初に見たものを親と思うらしいが、それなのかもしれない。
「リル、まずは掃除からだ。ゴミは収納魔法で収納してくれ。後で俺が処理する」
リルは素直に掃除を始めた。
時々手を止めず、チラチラ素早く古賀さんを見ている。
リルが掃除し終った床に直接座り込んだ。
そしたら、アドが俺のヒザの上に座ってきた。
古賀さんはそれを見ると、何を勘違いしたのか、俺に体をぴったりくっつけて横に座った。
――ど、どうすんだこれ。
横を見ると、柔らかそうな古賀さんの髪があって、優しい笑顔が見えた。とにかく甘くて優しい顔立ちをしている。
そう言えば、一緒の時間は多いがゆっくり話したことが無かった。控えめな人なのだ。
「今日は、ヒマリちゃんは?」
「名古屋です。あずさ様と二人で、むくれてお勉強中ですわ」
「そうですか」
むくれていると言う事は、来たかったのか?
だがだめだ、子供が参加するものじゃない。
「大殿は……」
「待ってください。古賀さん、こんな所で大殿はやめてください。そうですねー、基本はシュウでお願いします。黄色い服の商人の時は大田、家臣の前だけでは大殿又は木田さんでお願いします」
「そうですか。では、改めましてシュウさん。……なんだか、恥ずかしいですね」
そう言うと、頬が少し赤くなった。
「なんですか」
「捕らえた間者の数が増えてきました」
「はい」
「恐らく、入り込んでいる間者の数はまだまだ増えると思います」
「なるほど、増員が必要ですね?」
「はい。現在古賀忍軍は、いろはにの四組四十八人です。全員ずいぶんたくましくなりました。それぞれに配下を持たせたいと思います」
「なるほど、そうですね。では、忍者服を用意しましょう。配下は四人、五人組ぐらいが丁度良さそうですね。二百着用意しましょう」
「はい、ありがたき幸せ」
ふふふ、古賀さんまで時代劇に毒されていますね。
「それと、古賀さんにはいつも感謝をしています。忍者の里を運営してもらいましょうか」
「え!?」
「伊賀とか甲賀でしょうか。どうにも違う気がしますね。そうだ。もうじき飛騨の地が平定すると思います。飛騨の古賀家。山奥ですし、いいですね。ここに忍者の里を作って下さい」
「はい、皆が喜びます」
「きゃー!!」
女性の声がして、拍手の音が聞こえた。
「もしかして……」
「ええ、います。みんな姿を見せて下さい」
十二人のくノ一が姿を現した。
「十二人もいたのですね」
「はい、古賀忍軍、い組の十二人です。一番の精鋭です」
「はははは」
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