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第二百九話 自己紹介

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「なあ、あずさ。大勢になったもんだな」

「そうね。楽しそう」

 俺は、少人数がよかったのだが、あずさが楽しそうなのでまあいいか。
 ずっと留守番ばかりさせている、あずさのご機嫌取りと、そろそろ牧場の準備が出来たこと、四月から始める学校の先生にフォード教授を迎えたいことを考えていたので、丁度いい機会だろうと行く事にした。

「連れてきたニャ」

「うわあ、すごーーい!!!」

「よくきたな。エマ、ライ、そしてノブ」

 大勢ついでに、関西から三人のゲストをアドと響子さんに連れてきてもらった。

「これで全員だな、乗ってくれ」

 輸送用ミスリル製の美しい青色のUFOに全員を案内した。

 メンバーは。
 あずさ、ミサ、アメリちゃん、ヒマリ、古賀さん、愛美ちゃん、坂本さん、はるさん、りん、スケさん、カクさん、響子さん、カノンちゃん、エマ、ライ、ノブ、クザン、シュラ、最後にアドだ。
 全員手荷物を持って乗船し出発した。



「ああっ!!」

 全員に飲み物を配り終ったあずさが驚いている。
 俺のヒザの上に、アメリちゃんとアドがちょこんと座っていたからだ。
 この二人の見た目は、幼児で六歳位にしか見えない。
 俺は、楽しそうなメンバーの中には入れないので、こそこそ隅っこにいたら、二人が嬉しそうな顔をして、乗ってきたのだ。

「どうした?」

「いいの……」

 あずさが、少し寂しそうな顔で笑った。

「なあ、あずさ。いったん全員をハワイで降ろして楽しんでもらうか?」

「うふふ、本当にとうさんは……。全員でハワイを楽しみます」

「そ、そうか。じゃあ、そうしよう」

「なあ、あずさ。こうして流れる景色をのんびり見ていると、昔の事を思い出すなー」

 窓は無いのだが、UFOは人の目の高さを透明にして窓のようにしてくれている。
 外はすでに海しか無いのだが、雲が流れて行く。
 ボーッと眺めていると、とりとめも無いことが次々と頭に浮かんでくる。
 二人の幼児を抱っこしているためか、あずさの幼い頃のことが多く浮かんでくる。

「どんなこと」

 あずさは横に座ると、俺に体を預けてきた。

「そうだなー。学校から帰ってきて俺の姿が無いと、パニックになって泣き叫んでいたことかな」

「えっ、あずさちゃんにそんな頃があったのですか?」

 俺の空いている横にヒマリちゃんが座って聞いて来た。
 ヒマリちゃんは今川と、響子さんの娘だ。
 今川も男前で、響子さんも駿河一の美女だった。
 そんな二人のいいところだけを受け継いだようなヒマリちゃんは、恐ろしいほどの美少女だ。

「憶えていません!」

 あずさがとぼけた。

「あと、頭に大きなハゲがあって、頭を撫でる度に治るのかと心配していた」

「もー、変なことばかり思い出さないで!」

「ほ、本当ですか?」

 あずさの横に愛美ちゃんが座って聞いて来た。
 愛美ちゃんは皇居で出会った少女で、もしかすると皇族のお姫様じゃ無いかと思っている。

「うふふ、本当なの。その当時は私、頭に毛がほとんど無かったのよ。見た目もガイコツみたいだったの。見て!」

 あずさは、髪をかき上げた。
 髪の下から、俺の唇のような、ハート型にも見える拳ぐらいの大きなハゲを見せた。

「すごい、大きい。何もかも完璧な美少女だと思っていましたが、こんな所に最悪の欠点が見つかりました」

 坂本さんが愛美ちゃんの後ろに座って言った。
 坂本さんは、愛美ちゃんの護衛係で側衛官という警察官だった人だ。
 赤色が好きで今日も赤い服を着ている。唇も真っ赤だ。
 ショートカットで吊り目の美女だ。

 ヒマリちゃんの後ろで古賀さんがうなずいている。
 古賀さんは、ヒマリちゃんの護衛兼教育係。
 さらさらヘヤーで優しい顔の、聖母様のような感じの女性だ。

「あら、欠点ではありませんよ。私にとっては大事な思い出の宝物です。とうさんの愛が詰まっているのですから」

 あずさは髪を下ろすと、髪の上から両手で押さえて、にっこりと微笑んだ。

「すげーー美少女だ。こんな美少女初めて見た」

 ノブがあずさの前に座りあずさの笑顔を、目を見開いて見つめている。
 まばたきすら忘れているようだ。

「あなたは誰?」

 二人は初対面だったか。

「俺は鶴見信秀、小六だ。ノブって呼んでくれ」

「同級生なのね。私は木田あずさ。よろしく」

「私はライ。私も同級生だ」

 ライがノブの横に来て、あずさにあいさつをした。

「私はエマ、二歳年上よ」

 身長は同じ位だが、エマは二歳年上なのか。
 エマはこうしてみると古賀さんに似ている。
 そう言えばライは、どことなく坂本さんに似ているな。
 でも、ライの奴は、美形の少年にしか見えないなー。
 あずさが勘違いしなければいいのだが。

「エマ姉って私は呼んでいる」

 ライが言った。

「じゃあ、私もそう呼びます」

「私もー」「俺も」

 ヒマリちゃんも愛美ちゃんも、ノブまで便乗した。
 いつの間にやら、俺のまわりに全員が集っている。

「エマ姉達三人とは、関西で知り合った。ついでに紹介しよう。はるさんは、木田家一の商店、大田商店のおかみだ。そしてりんさんは、名古屋城の女城主だ」

 はるさんと、りんさんが頭を下げた。
 りんさんを女城主と言ったのは、俺が名古屋にいない時、一番偉いのが実はこのりんさんだ。加藤の姐さんにあたる人なのだ。
 この二人は、丁度響子さんと同じ位の歳だ。響子さんもこれで寂しくないだろう。
 二人ともそれなりの美人だ。

 この後、機内食を食べ終ると太平洋の真ん中の島が見えてきた。
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