125 / 428
第百二十五話 浜松の巫女
しおりを挟む
チリン、チリン「はままつー! はままつーー!!」
列車が止まると、ハンドベルをならしながらおじさんが駅名を言って通りすぎました。
浜松駅へ到着です。駅の景観はどこの駅でもあまり変わりがありません。でもそれが良いです。
大勢の人が列車からおりました。まるで終点のようです。
やっぱり浜松も人口が多いです。
駅の改札を出るとすぐに駅ビルが有り、そこにスーパーが開店しています。
「スーパー大田!」
大田大商店のお店みたいです。
スーパーが出来るほど商品があるのでしょうか。
ビックリしました。
名古屋にはまだありません。
ドアは自動ではありません。
お金は持っていませんが、興味津々です。
入場料はいらないと思いますのでのぞいて見ましょう。
「わーー、キャベツ、そして玉子。玉子は一パック十個入りです。うふふ、どちらも百円です」
お店に入ると、キャベツと玉子が出迎えてくれました。
とうさんのこだわりがわかります。うふっ、これはとうさん監修のおみせです。
とってもとうさんの存在感を感じます。
キャベツは渥美産、玉子は木田産です。
他にも大根、白菜、タマネギ、にんじんがあります。
「あっ、葡萄です。きっと甲斐が産地ですね。うそーー!! 試食があります」
た、食べても良いのでしょうか。
金属のザルに一杯、ほぐした葡萄の粒が入れてあります。
多くの人が食べられるように、葡萄祭りぐらい置いてあります。とうさんの仕業ですね。きっと何粒でもどうぞと言っている気がします。さすがは、とうさんです。はーと。
私は、一粒口に入れました。
紫、いいえ黒に近い実を一つ口に入れました。
「おいしーい!!」
甘くて、少し酸っぱいです。
貧乏育ちの私は、皮も食べます。
皮の渋みもとても良いです。
こっそり、もう二粒食べてしまいました。
きれいな緑の実もありましたので、そちらも食べました。
とてもおいしいです。
リンゴに柿もあります。
信州産と、美濃産です。
当然試食があります。
「あとは、お肉とお魚。お肉は鶏肉ですね。もうじき牛肉も並ぶはずです。ミスリルの冷蔵棚で冷やされています。お魚はマグロのお刺身かー。いわしとか、あじもありますねー」
お刺身の試食がありますが、これはパスです。
昨日、駿府で沢山食べました。
その後、お米に、小麦、トウモロコシがありました。
でも、調味料は塩しかありません。
おかしや、スイーツもありません。
寂しいですね。
でも、尾張には味噌も醤油もお酒もソースも工場があると、とうさんが喜んでいました。
もうじきここに並ぶと思います。
私は、もう一度、フルーツコーナーに戻って試食を食べました。
スーパーは思ったより充実しています。
駅ビルを出ると、太陽が高くなっています。
良い天気です。
風は爽やか。
秋ですね。
「さて、どこへ行こうかな」
私は、独り言を言っているみたいですが、クザンに話しかけています。
クザンは、話せないゴーレムなので、返事は返ってきませんが、ちゃんと私の話を聞いてくれています。
「まずは、ミサさんの家に行きましょう」
私はミサさんのいた、和風の綺麗な、おもむきのあるお家に行こうと思い立ちました。
ミサさんは、とうさんのお供をしています。
だから、お留守のはずですが、たまたまいるかもしれません。
ついでにとうさんもいるかもしれ……
やばいです。二人きりだと何をしていることやら。
そう思ったら、走り出していました。
クザンが慌てて追いかけてきます。
「とーーさーーん!! はあ、はあ、はあ……」
玄関を開けるなり叫んでいました。
「はっ、えーっと、あの」
見た事の無い同い年くらいの、女の子が巫女姿で掃除をしています。
ちょっと、チャラい感じの子ですが、明るそうで良い子そうです。
「とうさんは?」
「あの、ここは教祖様の家ですが」
「じゃあ、ミサさんは」
「はい、おとついまでいましたが」
「なんですって、おとついー!!」
私が、アイドルをしなければー! でも後悔はありません。
とても楽しかったから。
「出て行かれました」
「いっ、一緒にいた人の事は憶えていますか」
「はい、赤いロボットのようなメイドさんと、金髪の黄色いジャージを着た、気持ちの悪い脂ぎったオタクの豚のように太った、豚のような人と一緒でした」
じゃあ、とうさんじゃないわね。
とうさんは、気持ち悪くはありません。
爽やかで、とても感じのいい人です。
ついでに優しいし、私の理想の人です。
「そう言えば、ズボンが脱げた時、激豚とパンツに書いてありました」
へーー。
世の中には、似た人が二人はいるといいます。
……って、激豚ならとうさんじゃないですかー。
こっ、この子、さらっととうさんの悪口を言いやがりましたわ。
二回も豚と言いました。
まあ、そっちはどうでもいいですね。本人も言っていますから。
じゃねー!! なんで女の子の前でズボンをぬいでいるのよーー。
「あのー、二人で何をしていました?」
「そうですねー、夜遅くまで二人並んで……」
「ふ、二人並んで」
「あっ、そうそう、胸から……」
「胸からーー!!」
私が、一段大きな声を出すと、女の子は嬉しそうな顔をして、私の顔を見ています。
「胸から地図を出して、畳に広げてのぞき込んでいました。その時ヒザで移動して、ズボンが脱げました」
話しの順番に悪意を感じます。
ミサさんはとうさんの、よだれで汚れた地図を嫌がりもせず胸の谷間にしまっていたんですね。
「うふふっ」
女の子は私を見て笑っています。
か、可愛いです。
「あの、何か言っていませんでしたか?」
「えーーっと」
女の子は虚空を見つめて、思いだしている様です。
列車が止まると、ハンドベルをならしながらおじさんが駅名を言って通りすぎました。
浜松駅へ到着です。駅の景観はどこの駅でもあまり変わりがありません。でもそれが良いです。
大勢の人が列車からおりました。まるで終点のようです。
やっぱり浜松も人口が多いです。
駅の改札を出るとすぐに駅ビルが有り、そこにスーパーが開店しています。
「スーパー大田!」
大田大商店のお店みたいです。
スーパーが出来るほど商品があるのでしょうか。
ビックリしました。
名古屋にはまだありません。
ドアは自動ではありません。
お金は持っていませんが、興味津々です。
入場料はいらないと思いますのでのぞいて見ましょう。
「わーー、キャベツ、そして玉子。玉子は一パック十個入りです。うふふ、どちらも百円です」
お店に入ると、キャベツと玉子が出迎えてくれました。
とうさんのこだわりがわかります。うふっ、これはとうさん監修のおみせです。
とってもとうさんの存在感を感じます。
キャベツは渥美産、玉子は木田産です。
他にも大根、白菜、タマネギ、にんじんがあります。
「あっ、葡萄です。きっと甲斐が産地ですね。うそーー!! 試食があります」
た、食べても良いのでしょうか。
金属のザルに一杯、ほぐした葡萄の粒が入れてあります。
多くの人が食べられるように、葡萄祭りぐらい置いてあります。とうさんの仕業ですね。きっと何粒でもどうぞと言っている気がします。さすがは、とうさんです。はーと。
私は、一粒口に入れました。
紫、いいえ黒に近い実を一つ口に入れました。
「おいしーい!!」
甘くて、少し酸っぱいです。
貧乏育ちの私は、皮も食べます。
皮の渋みもとても良いです。
こっそり、もう二粒食べてしまいました。
きれいな緑の実もありましたので、そちらも食べました。
とてもおいしいです。
リンゴに柿もあります。
信州産と、美濃産です。
当然試食があります。
「あとは、お肉とお魚。お肉は鶏肉ですね。もうじき牛肉も並ぶはずです。ミスリルの冷蔵棚で冷やされています。お魚はマグロのお刺身かー。いわしとか、あじもありますねー」
お刺身の試食がありますが、これはパスです。
昨日、駿府で沢山食べました。
その後、お米に、小麦、トウモロコシがありました。
でも、調味料は塩しかありません。
おかしや、スイーツもありません。
寂しいですね。
でも、尾張には味噌も醤油もお酒もソースも工場があると、とうさんが喜んでいました。
もうじきここに並ぶと思います。
私は、もう一度、フルーツコーナーに戻って試食を食べました。
スーパーは思ったより充実しています。
駅ビルを出ると、太陽が高くなっています。
良い天気です。
風は爽やか。
秋ですね。
「さて、どこへ行こうかな」
私は、独り言を言っているみたいですが、クザンに話しかけています。
クザンは、話せないゴーレムなので、返事は返ってきませんが、ちゃんと私の話を聞いてくれています。
「まずは、ミサさんの家に行きましょう」
私はミサさんのいた、和風の綺麗な、おもむきのあるお家に行こうと思い立ちました。
ミサさんは、とうさんのお供をしています。
だから、お留守のはずですが、たまたまいるかもしれません。
ついでにとうさんもいるかもしれ……
やばいです。二人きりだと何をしていることやら。
そう思ったら、走り出していました。
クザンが慌てて追いかけてきます。
「とーーさーーん!! はあ、はあ、はあ……」
玄関を開けるなり叫んでいました。
「はっ、えーっと、あの」
見た事の無い同い年くらいの、女の子が巫女姿で掃除をしています。
ちょっと、チャラい感じの子ですが、明るそうで良い子そうです。
「とうさんは?」
「あの、ここは教祖様の家ですが」
「じゃあ、ミサさんは」
「はい、おとついまでいましたが」
「なんですって、おとついー!!」
私が、アイドルをしなければー! でも後悔はありません。
とても楽しかったから。
「出て行かれました」
「いっ、一緒にいた人の事は憶えていますか」
「はい、赤いロボットのようなメイドさんと、金髪の黄色いジャージを着た、気持ちの悪い脂ぎったオタクの豚のように太った、豚のような人と一緒でした」
じゃあ、とうさんじゃないわね。
とうさんは、気持ち悪くはありません。
爽やかで、とても感じのいい人です。
ついでに優しいし、私の理想の人です。
「そう言えば、ズボンが脱げた時、激豚とパンツに書いてありました」
へーー。
世の中には、似た人が二人はいるといいます。
……って、激豚ならとうさんじゃないですかー。
こっ、この子、さらっととうさんの悪口を言いやがりましたわ。
二回も豚と言いました。
まあ、そっちはどうでもいいですね。本人も言っていますから。
じゃねー!! なんで女の子の前でズボンをぬいでいるのよーー。
「あのー、二人で何をしていました?」
「そうですねー、夜遅くまで二人並んで……」
「ふ、二人並んで」
「あっ、そうそう、胸から……」
「胸からーー!!」
私が、一段大きな声を出すと、女の子は嬉しそうな顔をして、私の顔を見ています。
「胸から地図を出して、畳に広げてのぞき込んでいました。その時ヒザで移動して、ズボンが脱げました」
話しの順番に悪意を感じます。
ミサさんはとうさんの、よだれで汚れた地図を嫌がりもせず胸の谷間にしまっていたんですね。
「うふふっ」
女の子は私を見て笑っています。
か、可愛いです。
「あの、何か言っていませんでしたか?」
「えーーっと」
女の子は虚空を見つめて、思いだしている様です。
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
創星のレクイエム
有永 ナギサ
ファンタジー
2024年、今や世界中の人々が魔法を使えるようになった時代。世界はレイヴァ―スが創設した星葬機構と、神代が創設した大財閥クロノス。この二陣営が己が悲願のために争っていた。
そんな中最強クラスの魔法使いである四条陣は、禁忌の力に飢えながらも裏の仕事をこなす日々を送っていた。しかし一人の少女との出会いをきっかけに、陣は見つけてしまう。かつてこの混沌に満ちた世界を生み出した元凶。サイファス・フォルトナーの遺産を。
元四条家次期当主としての因縁、これまで姿をくらませていたレーヴェンガルトの復活、謎の少女と結ぶ禁忌の契約。陣が辿り着く果ては己が破滅か、それとも……。これは魔都神代特区を舞台に描かれる、星を歌う者たちの物語。
小説家になろう様、アルファポリス様にも掲載しています。
勇者から逃亡した魔王は、北海道の片田舎から人生をやり直す
栗金団(くりきんとん)
ファンタジー
「ふははは!さぁ勇者よ、開戦だ!」
魔族と人間が対立して1000年。
災厄と呼ばれる魔王がいる魔王城に、世界平和を取り戻すため、勇者一向が訪れる。
城に攻め入り四大幹部を打ち倒した勇者は、ついに魔族の頂点に君臨する「転移の魔王」とあいまみえる。
魔族を倒すことに特化した聖魔法の奥義魔法を使い、勇者は魔王を追い詰める。
千年間生きていて最大の危機に、魔王は前代未聞の「逃走」を選択する。
そして、異世界で最強種族の頂点にいた魔王は現代日本に転移する。
命からがら転移するも大気圏から落下して重症の魔王は、怪我をした動物と間違われて少年に拾われる。
この物語は、魔族としては初めて勇者から逃亡した魔王のその後の物語。
そして、新しい世界で初めて魔族と出会ったとある少年の話だ。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる