モンスターのいない世界で私の作るゴーレムだけがモンスター扱いでした。仲間だけレベルアップさせ巣立たせたら仲間達が世界の頂点に立っちゃいました

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第十八話 裕福な街

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 チビの言葉にうちの子供達が反応しました。
 四人が怒りの表情でチビをにらみ付けます。
 四人ともレベルが上がっているためか、年の割には体が大きい、イサミちゃんに至っては、大人と変わらない位の大きさです。

「レイカ姉に失礼な事を言うな!!」

 そのイサミちゃんが恐ろしい表情で言いました。

「な、何だよう。こんなチビがレイカ姉って、おかしいんじゃねえのか?」

「おかしくはないわ! レイカ姉は私達全員のお姉さんです。あなた如きが馬鹿にしていいわけがありません」

 チマちゃんがすごい剣幕です。
 シノブちゃんとヒジリちゃんは体が大きくなっても、昔のように控えめです。何も言いませんが、それでも顔は怒りの表情を隠しません。

「わ、分かったよう。で、レイカ姉は何が知りたいんだ?」

 チビが道案内をするつもりなのでしょうか、先頭に立って歩き出しながら言いました。
 チビまで私をレイカ姉と呼んでくれるようです。

「なぜ、私達にこんなに優しくしてくれるのですか?」

「なんだ、そんなことか。それはこの街がとても裕福だからだよ。だから皆、余裕があって優しいのさ。まあそれもこれも、新しく将軍になったラーケン様とアーサー様が滅茶苦茶強いからなんだけどね。敵を武器や鎧ごと、真っ二つにぶった切ってしまうんだってさ。周辺の国が二人を恐れて降伏して、サイシュトアリ国は何割も大きくなったんだ。戦争はまだまだ続くから、この街の武器や防具が高値で売れているんだ。今日も親方の作った武器がいつもより、すごく高く売れて親方は超ご機嫌だったのさ」

「でも、裕福なら、泥棒や強盗が増えそうですが、それは大丈夫なのですか?」

 チマちゃんが聞いてくれました。
 私は、今の話を聞いて心配で体が震えだして、ついて行くので精一杯になりました。

「そんなことか。大丈夫さ。だって、この街に住むのは屈強な鍛冶職人と鉱山で働く人夫しかいないからね。下手な兵士より強い人ばかりだよ。親方を見ただろう、あの人も喧嘩が滅茶苦茶つよいぜ。武器の買い付けに来ている人達は、大金持ちで護衛の兵士が必ず何人もいる。この街で悪さをすれば、その場で殺されてしまうのさ…………おっおい、レイカ姉大丈夫か?」

 私はとうとう、震えが限界まできて歩けなくなりました。

「……は、はい」

「はい、じゃないだろう。どうしたんだ。おぶってやるよ」

「それなら、私が……」

 イサミちゃんが言ってくれましたが、チビはそれを制して私をおんぶしてくれました。

「で、どうしたんだ?」

 男の子ですね。少し見直しました。

「はい。私には他にも姉妹がいました。その子達が半年ほど前に村を巣立って行きました。鎧ごと真っ二つにするような人がいるとは知りませんでした。そんな人がいると思うと、姉妹達が殺されていないか心配で心配で……あの日、すぐに追いかけて連れ戻せば良かった。うっうっ」

 とうとう涙があふれてしまいました。

「レイカ姉……だ、大丈夫さ。皆は頭が良い。そんな強い奴とは戦わないさ」

 イサミちゃんが、男の子のように言って優しく慰めてくれました。

「ほ、ほんと?」

「本当さ、なあ」

 イサミちゃんが言うと

「うんうん」

 チマちゃんとシノブちゃんとヒジリちゃんが凄い勢いでうなずきます。

「そ、そうね……」

 私はこの話を聞いて、余計にこの子達を強くしないといけないと、強い使命感に襲われました。

「ついたぜ。この店が一番好きなんだ。まあ落ち着いて、何か食べようぜ。お金はここにあるからよう」

 チビは胸のポケットをポンポンと叩いて、一軒の食事のお店の中に入っていきます。
 中に入ると、お気に入りの席があるのか迷うことなく一つの席を目指して歩いていきます。
 お店は、綺麗とは言えない室内ですが、席は多くきっと安く美味しい物を提供するお店なのでしょう。
 チビは店員さんに、何かを注文すると椅子に座り、私達にも座るように促しました。

「チビ、教えて欲しいのですが、これを見てください」

 私は席に座るとすぐ待ちきれないように、この街へ来た目的を切り出しました。

「レイカ姉、こ、これがどうしたんだ?」

 チビは少し驚いた表情をしました。

「これが、ほしいの! 探しているの! 知っているのなら教えて下さい!!」

「な、なんだって!! こ、これを探しているって!! 何てことだーー!!!!」

 チビがすごく驚きました。
 いったい何があるのでしょうか。
 私は体を乗り出してチビの顔をのぞき込みました。
 チビが赤い顔になります。

「はい、お待たせしました」

 店員のお姉さんが、このタイミングで料理を持って来ました。
 机の上に料理を置くと、人数分お皿を前に置いてくれました。
 料理から、かなり強い香辛料のかおりがします。
 持って来た料理は、一つの大きめの鍋に入ったスープでした。
 それと、カゴにパンが六個入っています。
 スープを、全員に取り分けて前に置いて店員さんは戻って行きました。

「やあ、来た来た。じゃあ皆、食べてくれ!!」

 料理を皆に勧めると、チビはもう一度体を乗り出して、返事待ちの私の顔を見ました。
 そして、また、真っ赤な顔になります。

「レイカ姉!!」

「は、はい」

 私はいよいよ返事が聞けると期待で胸が一杯になり、瞳がウルウルしてきました。

「レ、レイカ姉って…………こ、こんなことを言って良いのか分からねえけど……」

「は、はい」

 私はさらにチビに顔を近づけました。

「すす、す、すげーーかわいいなぁー!」

「はーーっ!!!! あっ、あなた、あなたは、な、なな、なにをいっているのですかーー!!!! このおばかあーー!!!!!!」

 私は真っ赤になり大きな声を出してしまいました。
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