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第十四話 これぞ大和魂

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 血の気が無くなり、青ざめていた四人の女性達の顔に、赤みが差してきました。
 なんの気まぐれか分かりませんが、どうやら本当に助かったみたいです。
 侍女さんが破れて脱げかかっている服を直し終わりました。
 私は、ほっとして洞窟を後にしました。

「ふふふ、お前達、そこのお嬢さんはちーいと、着すぎているようだ。暑くねえのかなあ。おめー達で脱がしてやってくれ」

 ――えっ!?

 私は足を止めました。まったく!
 もう一度洞窟の様子を見る事にしました。
 ギャング達はどいつもこいつも、恐ろしい顔をしています。
 すごく恐くて、足がすくみますが、しょうがありません。

「そ、そのようなこと出来ません」

 侍女の一人、顔立ちのはっきりした、勝ち気な感じの侍女さんが言いました。

「てめーら、全員意見は同じか?」

「はい!!」

 侍女さんはうなずきます。

「ならば全員死ねーー!! レンカの宝刀で真っ二つに叩き切ってやる!!」

「ひ、ひぃぃぃぃーーーー」

 侍女達三人は目を固く閉じて、悲鳴にもならない声を漏らし座り込みました。

「お、おかしらーー!! ま、待ってくだせえ!!」

 ギャングの子分が止めました。
 良心が痛んだのでしょうか。

「全員殺したら、楽しめません」

「ふ、ふむ。そ、そうか。そうだな。ならば、まずは一人だけぶっ殺す。まずはおめーからだ」

 御頭は、刀を頭上に上げます。
 レンカの宝刀が、艶めかしい妖しい光で輝きました。
 最初に断った勝ち気な侍女様に狙いを決めたようです。

「ひっ、ひぃぃぃ!」

「やめてください!!」

 お嬢様が、止めました。
 おかしらが刀を止めてお嬢様を見ます。

「みんな、かまいません。脱がしてください」

 お嬢様は、両手を上げて目を閉じました。

「おい、おめー達! 全部は脱がすな! 薄皮は一枚残しておけ。俺は剥きながら食うのが好きなんだ」

 お嬢様の服が次々剥がされていきます。
 本当に、いっぱい着ています。
 なんだか、革製の紐が一杯付いたものまで着ています。あれは何でしょう見た事がありません。
 でも、とうとう薄皮一枚になりました。
 ……子供の私が見ていていいものなのでしょうか?

「おい、お前達またせたな」

「ひゃあぁーはっはっはっ」

 子分達が、それぞれ侍女さん達に襲いかかります。

「きゃああーー、いやーー、やめてーー」

 悲鳴と共に服が破られます。
 次々体が、あらわになっていきます。
 いよいよ、悲鳴が絶叫になっていきます。

「たく、うるせーなー。命だけは助けてやるから騒ぐんじゃねえ! ちょっと楽しむだけじゃねえか。おわったら、ちゃんと奴隷商に売ぱらってやるからよう! ひゃああはっはっはっ!!」

「まてーーーっ!!!!」

 ――あああっ! しまったー!!

 奴隷と言う言葉に反応して飛び出してしまいました。
 馬鹿なわたしー!

「な、なんだ、てめーー!!!!」

 ぎゃーーっ!! 全員が恐い顔をして見ています。

「お、俺は、ヤマト村のア、アーサーだ!」

 ダメです。ひざがガタガタ震えます。

「ひゃあぁぁぁはっはっーー!!」

 ギャング達が全員で腹を抱えて笑っています。

「ひひひっー! 笑える! ブルっているじゃねえか!! おめーは生まれたばかりの子鹿かー!」

 おかしらが言いました。

「そ、そこまで、じゃないだろうー!」

 そう言って足元を見てみました。
 あー、子鹿より揺れています。

「馬鹿が、何をしに出て来たーーーー!!!!!!」

 おかしらが刀を抜き斬りかかってきました。
 あの何でも紙のように切り裂くレンカの宝刀です。
 こもったような金属音がしました。
 まるで骨を切り裂くような……。

「……!?」

 あたりを静寂が包みます。
 私はとっさに大和魂を抜いて、レンカの宝刀を受けていました。

「なっ、なにーーっ!!!!」

 御頭の声です。
 私は、震えが止まっていました。
 だって、おかしらの動きが、木人より遅いのですもの。

「うそだろ、レンカの宝刀を受けたぞ。あの刀は何なんだ?」

 子分達がザワザワします。

「ふふふ、この刀は、世界に九本しか無い俺と兄弟専用の、大和魂という刀だ!!」

「すげーー!! レンカの宝刀よりかっこいい!!」

 私は、ギャングの子分達の言った事に気分が良くなっていました。
 確かに、飾りっ気の無いレンカの宝刀に比べると、大和魂は持ち手の所に、龍の飾りがつけて有り手が込んでいます。龍とはジャングに伝わる伝説の神獣です。
 刀身もヌメっと濡れたように輝き、それがうごめいてみえます。まるで生きているようです。

 ――あっ!!

 どうやら、鉄人と同じくゴーレムのようです。
 今、少し動きました。本当に生きているようです。
 レイカ姉の魔力のこもった、まさしく魂の刀なのです。

「ちっ! それがどうしたーー!! 腕が無ければ、ただの棒とかわらねえだろうー!! きええぇぇぇーーー!!!!」

 おかしらが次々攻撃を仕掛けてきます。
 私は難なく、それを受けます。体は普通に動くようになりました。
 もう、恐くはありません。
 しかし、レンカの宝刀もすごい刀です。ヤマト魂で受けても傷一つ付きません。
 こんな刀、誰が作ったのでしょう。まさしく宝刀です。
 ですが、おかしらの腕は大したことがありません。
 やはり木人の足元にも及びません。

「ごえええぇぇぇぇーーー」

 私は、おかしらの腹に軽く拳を合せました。
 おかしらは気持ちの悪い声を出して倒れると、ピクピク痙攣して白目をむいています。

「て、てめーーっ」

 子分達が、襲いかかります。
 まったく! 私なら、人質を取りますけど、この人達は全員で私にむかってきました。
 まるで、あくびが出そうな攻撃です。

「そ、そりゃあ無いだろう」

 私はつい口から出てしまいました。

「ひゃあぁー! はっはっは!! 今更泣き言を言っても遅いんだよーー!!」

「ぐえええええぇぇぇぇぇ!!!!!」

 全員の声が同じタイミングに聞こえるほど、一気に子分達が倒れました。
 おかしらと同じように、白目をむいて倒れました。
 あらあら口から泡が出ています。蟹みたいです。

「きゃああぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!!!!」

 大きな悲鳴です。
 何事でしょう。人質にでもされたのでしょうか?
 私は、あわてて、女性の方を見ました。
 誰にも襲われていません。

「か、かっこいい!!!!!!!!」

 なんだかビリビリの服から、色々な部分が飛び出している女性達の瞳がキラキラ輝いています。
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