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第六話 ペナルティー

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「なつかしい……」

 誰かが言いました。
 ここから見える景色は、どこか故郷を感じさせます。
 それは、他の子供達も同じようです。

「おっとう、おっかあ……」

 両親を思い出したのでしょうか、すすり泣く声が聞こえます。
 過酷な運命を背負ってしまった少女と幼女です。
 こんな不幸はもう誰もしてほしくないですね。
 私はまわりに集った幼子達を見回しました。

 ――えっ!? おかしい!?

 私はすぐに異変に気が付きました。
 歳上ぶっていましたが、全員の目線が私の目線の上にあります。
 まさか、私が一番ちびっ子?
 いいえ、違うはずです。私より年下の子がいました。

 そうです、少なくともチマとヒジリは五歳で私より一つ年下のはず。
 それが、いつの間にか私より大きくなっています。
 この二ヵ月で成長したのでしょうか。
 成長はしているはずですが、こんなに早く成長するのは変です。

 ――まさか、私が縮んだ?

「レイカ姉が小っちゃくなっちゃった?」

 ヒジリが気付いたみたいです。
 私はあせって樽に駆け寄りました。

 ――ああ、樽が成長しています。

 そんなわけがありません。
 考えられるのは一つです。私が縮んだ。それしか考えられません。
 日本では、こんなことはありませんでした。いえ、こっちの世界でもいままではなかった。
 では、どうしてこんなことに……。

 ――考えられる事は一つ。日本に無くて、こっちの世界だけにあるもの

 魔法の使いすぎ……。
 船の中から、ここに到着するまで魔法を最大で使っていました。
 逆にこれ以外に考えられる原因はありません。
 よかった。早めに気が付けて。
 縮まない使用量を見極めないと、赤ちゃんになってしまいます。

「レイカ姉、関係あるかどうかは分りませんが、船の中で小バエを退治したら時々体が熱くなる時がありました」

 一番体の大きなイクサちゃんが言いました。

「あーーっ、わたしもー」
「わたしもー」
「わたしもですー」

 それを聞くと次々他の子供達が言いました。

「なっ、なんですってー!!」

 私は木人ゴーレムを変形させて大量の小バエゴーレムを作りました。

「うわあ! 気持ち悪ーい! 虫だらけーー」

「あなた達、この虫を退治してみてください」

 パシン、パシンと子供達が小バエを叩いています。
 船の中で、作っても作ってもいなくなっていたのは、この子達が退治していたからなのですね。

「あっ!!」

 声を出したのはヒジリちゃんでした。
 良く見ないと気付きませんが、体がうっすら光っています。

「ま、まさかこれは……」

 私の頭の中には一つの仮説が思いついています。
 でも、そんな事があり得るのでしょうか。
 次はチマちゃんが光りました。

「ヒジリちゃん、チマちゃん、あなた達はひょっとして少ししか退治をしていなかったのですか」

「は、はい。沢山飛んでいたけど、我慢していました」

 この二人は、他の子達よりおとなしい、控えめな子達です。
 小バエをあまり退治していなかったのですね。やさしい子供達です。

「そうですか……」

 で、あればやはり、それしか考えられません。
 きっとこれは……。
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